2006年08月09日

やすらかに、母の元へ

 今日は申し訳ありません。
 まったく教育の話ではありません。
 お読みいただけたら、ありがたく思います。

 2歳下の妹が、昨夜、数ヶ月の闘病生活の末、亡くなった。早い死が、かわいそうでならない。

 ガンと分かったのは、昨年末。
 おなかがふくらんできて、『おかしいね。何で太っちゃったのだろう。』と言い、診てもらったが、もう手遅れだった。今も発見しにくいのだそうだが、卵巣のガンだった。
 それでも、今年になってから手術をし、『よかったね。これで転移がなければ大丈夫。』と、本人も喜んでいた。
 
 しかし、やはり再発した。医者も驚くような早い進行だった。『ふつうのガンとは違う。さらに進行を早める悪性の何かがあるのではないか。』ということで、今日、解剖にふされることになった。

 
 
 今、ガンは比較的治る病気で、そのためか、ガンであることの本人への告知も進んでいるようだ。
 で、病気が分かった最初から、逐一知らされてきた。

 「わたし、長生きできないわ。5年後の生存確率は、10%だって。せいぜい、ゆったりとやりたいことをやって生きていくわ。」
 初期はそんな調子だったが、最近は、精神的にも追いつめられ、いらいらすることもあった。

 
 それにしても、妹はすごい。我が妹ながら尊敬してしまう。

 医者が言ったのだそうだ。
「この人はすごいね。自分のことなのに、こんなに冷静に症状を受け止める患者さんはめったにいない。」
「そうですね。この患者さんには、ちゃんとありのままを話さなければいけませんね。」
 そういう会話があったことを、義弟から聞いた。


 妹は長く、福祉の仕事に携わっていた。点字の本に関わる仕事だった。
 わたし、授業でとり上げたこともあり、そういうときは、妹から取材したものだった。

 7年前に退職したのに、その関係の方が多く見舞ってくれて、本人も喜んでいた。

 
 「ああ。何でこんなに早く。・・・。悔しいなあ。」

 最後は、そんなことも口にし、ベッドのさくを、ガタガタ揺することもあった。

 それでも、心を落ち着かせ、「お母さんのところへ行くのだ。」とも言っていた。

 何度も言うようで恐縮だが、母は、わたしが20歳だったから、妹が18歳の時、他界している。



 妹よ。花の60代と言われる今、それを前にしての死は、ほんとうに悔しかっただろうね。
 まだまだやりたいことが、たくさんあっただろう。

 でも、こんなときでも、気持ちをスパッと切り替えられる君はすてきだった。
 天国で、お母さん、お父さんに再会してください。
 やすらかに、眠ってください。


 家族よ。よく看病してくれたね。

 ご夫君は、ほんとうなら泊まることのできない病室だが、妹の要請と病院の許可もあって、毎晩泊まり込んだ。狭い仮のベッドで、もう限界に来ていたのではないか。

 また、3人の、甥、姪たちも、遠くから駆けつけ、孝行の限りを尽くした。

 ほんとうに、よくやったと思う。妹もうれしかったことだろう。



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 昨日、今日と、わたしは人間ドック。今はホテルに宿泊しているが、昨夜はホテルから病院に向かった。
 妹のことと、なれないベッドで、なかなか寝られない。

 わたしも気をつけなければ。

(2)へ続く。

rve83253 at 04:09│Comments(14)TrackBack(0)エッセイ 

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この記事へのコメント

1. Posted by にしこ   2006年08月09日 06:52
何と申し上げたらよいのやら…
言葉が見つかりません。
心より妹様のご冥福をお祈りいたします。
2. Posted by うさ   2006年08月09日 13:52
妹様、心よりご冥福をお祈りいたします。
実は私も「肉腫」という悪性腫瘍です。
5年生存率も高くない数字が出ています。
がんの中でも稀なケースだそうです。
でもなぜでしょう、私もすんなりと受け止めました。逆に自分が心底わかってないんじゃないか、鈍いんじゃないかとさえ思うほど。同じ病で亡くなった先輩のご主人と話をして、「こういう仕事してるからかな。」といわれました。(このご夫婦も私も福祉施設で働いています)ありのままを受け入れることが身についているのかしら。でも手術1週間前からとても不安になりました。(看護士の友人からはそれは当たり前といわれましたが。)自分の事、家族の事…。
妹様も、ご家族のことは気になっていらっしゃったことと思います。私が言うのも変ですが、どうか、toshiさん、ご家族との交流を今後ともお願いします。
3. Posted by Hideki   2006年08月09日 20:49
こんにちは
まずは、心より、ご冥福を
お祈りいたします。
それと、Toshi 先生も、
お体にはお気をつけてください。
すこやかに生きることが、いちばん大事なことなんですよね
つい、忘れちゃいがちなんですが
4. Posted by rusie   2006年08月09日 22:26
わたしといくつも違わない年令での妹さんのこと。心よりご冥福をお祈りします。
きっとこのブログを妹さんは読んでらっしゃいますよね。
死ぬことがものすごく怖かったわたしが,ここ3ヶ月くらいでぜんぜん怖くなくなったのは,今ここに生きている意味がわかってきたような気がするからです。
妹さんはすばらしい方のようですので,この世での学びはすっかり終えられたのでしょう。きっと今,すばらしい世界にいらっしゃるような気がします。そして,妹さんの死は,わたしたちにまた生きることを考えさせてくれます。
一日一日,感謝しながら生きていきたいと思います。学校の子供達のために働ける今を大切にしたいと思います。
5. Posted by toshi   2006年08月10日 09:58
にしこさん
 ありがとうございます。
 いつかは来る日とは思いながらも、こんなに早く来るとはという思いです。
 わたしには、さらに2歳下、わたしよりは4つ下の妹もいます。その妹も、10年以上前に乳ガンをやりました。幸い初期だったので、今は元気に過ごしています。
 わたしも検診等、おこたらず、気をつけたいと思っています。
 お互い、健康には気をつけましょう。
6. Posted by toshi   2006年08月10日 10:05
うささん
 それは、それは、我が妹のケースと似ているようで、驚きました。
 でも、うささんの心は、ほんとうに自然態。おっしゃるように、福祉の仕事に携わられていることと、無関係ではないという思いになりました。
 ガンも心の有りようと関係があるとのこと、最近知りました。
 そういう意味で、すばらしい未来がやってきますよう祈念します。
 最後の2行も、ありがとうございます。心がけていきます。
7. Posted by toshi   2006年08月10日 10:18
Hidekiさん
 ありがとうございます。
 ほんとうに、健康のこと、ここ数ヶ月はいつも心にとめていました。
 妹の病状と、それへの心の有りよう、努力は、わたし自身にも、「生」を見つめるときを、与えてくれました。妹の「心の強さ」はどこからくるのだろうとも思いましたし、この記事に寄せてくださる皆さんのコメントからも、学ばせていただきました。
 ほんとうに、お互い、健康には留意していきましょう。
8. Posted by toshi   2006年08月10日 10:26
rusieさん
 ありがとうございます。妹も、うれしい思いで、rusieさんのコメントを読ませてもらうのではないかと、心からそう思いました。
 妹は、生きる意味が分かってきたのでしょうか。わたしも、少しは分かってきたような気がします。 『人へのやさしさ、思いやり、理解、それも、身を捨ててもやり通す、そういう経験を積んで、分かる境地なのかな。』そんな気がしてきました。
わたしなど、まだまだです。
 このブログを通しても、学ばせてください。
9. Posted by くるみ   2006年08月10日 10:44
妹様のご冥福を心からお祈りいたします。
旅立たれる妹さまを見送られたtoshi先生はじめ、ご親族の皆様のご健康も祈念しております。
妹様の切り替えの素晴らしさ、toshi先生の妹様への
想い、ご両親様の元に見送られ、ご家族へ心を寄せられるご様子を拝読し、改めてお心の有り様に心打たれました。
「教育の話ではありません」とおっしゃいましたね。私にとっては、素晴らしいご家族とtoshi先生の
お心の有り様そのものがお手本と感じ入りました。
一晩考え、どうしても気もちをお伝えしたく、何か、生意気なことを申し上げているようにも感じつつ、コメント致しました。
どうぞお許しくださいませ。
10. Posted by toshi   2006年08月10日 12:58
くるみさん
 ありがとうございます。
 皆さんからコメントをいただき、だんだんわたし自身が妹から、生き方を学んできたのだなという気がしてきました。
 『死に直面して、どうしてこんなに、強い心でいられるのだろう。』
 我が妹ながら、わたしは、当初、そんな思いをもちました。
 昨日、義弟と話して分かったのですが、妹は自分の葬儀のことを、こと細かく、こうしてほしいと希望を述べて逝ったのでした。
 福祉の仕事に携わり、障がいのある人などと関わり、そのなかで、妹は、人の心の強さを実感することに恵まれてきたのかな。
 今は、そう思うようになりました。
11. Posted by takep   2006年08月10日 21:19
初めまして。
妹様のご冥福をお祈りします。残念なことでしょう。
私の妹はつい先日ガンの摘出手術を受けました。まだ30代半ばという若さです。未だに信じられません。術後に見舞いに行き、生気の失せた顔を見て、現実であることにあらためて衝撃を受けました。しかし、本人も旦那さんもしっかりと現実を見つめ、病気と闘おうとしている、その姿にこちらの方が勇気づけられました。
家族の病気というのは自分のことよりもつらいと思うのですが、そこから教えられることがあるのだ、学ばなければならないのだということを考えさせられました。
12. Posted by toshi   2006年08月11日 00:08
takepさん
 ありがとうございます。
 takepさん。妹さん、お若いですね。驚きました。takepさんの妹さんこそ、無事全快されますよう、祈念しています。
 
 妹は、再発が確認されたとき、わたしと4つ下の妹に、『がんばりますから、悲しまないでください。』と、便りをよこしました。
 妻に、「すごいな。話が反対だね。」などと言いながらも、takepさんのおっしゃるように、こちらが勇気づけられました。
13. Posted by つぼみ   2006年08月12日 10:32
ふと、永訣の朝 の詩が浮かんできました。
素晴らしい妹さんを見送らなくてはならなかったお兄様のお気持ち、いかばかりかと涙が出そうになります。
 人は、最期のときのあり方を選べない。けれども、福祉や、いろいろなことに尽力されて生きられた妹さんが、なおかつ周りの方に勇気を与え、そして天に戻っていくように、神様は配慮されたのでしょうね。命の長さが問題なのではないそうです。その質、そこに凝縮されたものこそが重要なのだそうです。
 誰にも平等に訪れる死というもの。妹さんのように強く受け止められるように・・・しっかり日々を生きていきたいと思います。
 亡くなった方に話しかけたり、亡くなった方の話をしたりすることは、何よりの供養だと聞きました。美しいところで、妹さんが微笑んでらっしゃるような気がします。
14. Posted by toshi   2006年08月12日 23:54
 つぼみさん。ありがとうございます。
 今日、告別式を滞りなく終えることができました。皆様からの弔辞、弔電、何よりも、故人をしのんでのお話、そして、このコメントの数々から、妹という存在の大きさ、人柄などをはっきりとらえることができました。
 そう。何よりも、どう生きたかを、具体的に知ることができました。
 細かくは記事にしますが、妹の人生は、人との恵まれた関わりのなかで、大きく花開いていたのだな。また、妹の心の強さは、自分自身で人生を切り拓いてきたことに起因するのだなということでした。
 これからもきっと、自分の子どもたちを、そして、多くの人々を、見守り続けることでしょう。
 すてきなコメントを、たくさんいただきました。皆さんからいただいた真心の数々を、妹に送り届けたいと思います。
 

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