2007年09月24日

PTAと学校(3)4

21c01313.JPG これまでいただいたメールをもとに、PTAと学校との問題について考えているが、今日はその第3弾である。


 今日の質問は、

 「現校長になってから、学校との距離が開いてしまったように思います。子ども、保護者から信頼を集めていた先生が転勤させられたり退職に追い込まれたりして、逆な先生が、どんどん出世していきます。toshi先生は、こういう状況について、どう思われますか。」

 ほんとうはもっと具体的に書かれているのだが、ここであまり具体的に書くのもね。
 

 この問題は、むずかしい。人事のことは、ほんとうにむずかしい。

 この方のメールを読ませていただくと、かなり具体的なので、『ああ。学校(校長)に問題があるなあ。』と思えるのだが、一般的には、主観的で、事実はどうなのかという思いになることが多く、論評のしようがないことが多い。

 

 そこで、ここでは、心底、学校に問題がある場合として、書いていきたいと思う。


 かつては、『希望と承諾の原則』と言って、一校在職期間ぎりぎりでない限り、本人の了解なく転勤させられることはなかった。多くの地域でそうだったと思う。

 しかし、近年、『校長の権限強化』が叫ばれ、教員本人の了解がなくても、校長の方針によって、異動させることができるようになった。これも、多くの地域でそうなっていると思う。

 そうなのだが、現状はどうかというと、一方では、旧来の、『希望と承諾の原則』を重視する校長もいれば、『権限強化』だとばかり、ワンマン的に振舞う校長もいるということだと思う。
 ただし、この次元の話だと、地域差はかなりあるのではないかな。


 わたしは、『どちらも違う。』と思う。

 基本的には、学校運営の全責任は校長が負うのだから、校長の権限強化そのものには賛成だ。少なくとも、校長の人事権が多分に形式的だったという旧来のかたちは、おかしなものだったと思う。(『学校民営化?(2)』という記事を参照してください。)

 これは、異動の話ではないが、かつて、どなたかのブログに載っていた。
『学級担任等、学校組織の決定のほとんどが教職員の手ににぎられている結果、威勢のいい教員がいつもいい思いをし、おとなしい教員がいつも損な役回りとなる。』
全国的に見れば、そのようなケースもあるようだった。

 他方、いただいたメールにあるように、校長がワンマン的に振舞うというのも、問題だ。恣意的、好悪による人事が行われるのはよくない。

 権限強化の時代とは言っても、勝手気ままでいい訳ではない。校長がそういう学校運営をすれば、間違いなく学校は危うくなる。そうなったときの責任は、これまでになく大きなものと言えるだろう。



 そのためのチェック機能がある。地域・PTAは、この機能をうまく生かしてほしい。(とは言っても、今の時期言えるのは、たぶんに原則論です。)
 
○校長の恣意的な学校運営を正す(?)仕組みはある。学校評議員制外部による学校評価などである。

○また、これも校長の権限強化の具現化だが、校長が行う人事考課・査定がある。これも、恣意的、主観的にならないようなシステムが開発されている。

○これらの仕組みは、いずれも法制化されているのだが、国のPR不足か、まだ多くの市民、保護者は、知らないままでいるようだ。

○そして、わたしも、これまでブログ記事で、評価したり、批判したりしてきたのだが、これらの仕組み自体が、いまも、発展途上にある。まだまだ改良の手を加えていかなければいけない。

○また、後述するが、これらは、100%実施されているというわけではなさそうだ。

○さらに言えば、PTAが単独で、学校に意見具申してよいというわけではない。あくまで、校長が任命する学校評議員としての立場で意見具申するのである。この場合、まさか、PTA会長がメンバーに選出されないなどということはなかろうとわたしが考えて論述していることは、お断りしておきたい。

○でも、何より、PTAは学校と定例的な会議の場をもっているのであるから、事実上は、学校運営に対し物申すことが定例化してよいのではないかと、これも、わたしがそう考えるということである。


 
 従来、『PTAは、学校運営には協力はするが、口を出すことはしない。』が鉄則だった。

 しかし、以上述べてきたように、現在ではもう、これは通用しない。

 いや。通用しないどころか、

 先に、『人事のことは、口をはさみにくいテーマ』と書いた。

 しかし、上記、リンクした学校評議員制についての国のホームページを見ると、さらにすすんだ組織においては、『当該学校の教職員の任用に関して意見を述べる権限を持っている。』としている。

 人事についても、意見を表明してよいのだね。




 国は以上の仕組みを法制化した。しかし、〜、

 学校評議員制について、毎年、国の現状報告がある。そのホームページを開いてみたが、全国的に見た場合、学校評議員会の設置率は、80パーセント弱だった。
 もっともっと、これが設置されなければならないだろう。


 繰り返しになるが、

 ○学校運営について、積極的に意見具申しよう。

 ○制度の未熟な点についても、同様だ。

 ○校長の学校経営について疑問を感じたときも同様だ。



 
 もっとも、冷静なご意見をぜひお願いしたい。感情的にならず、建設的で、前向きな意見表明であってほしい。そうでないと、この制度は、発展、充実しないだろう。



 最後に、こういう時代だからこそ、言えること。

 かつて記事にしたことがあるのだが、管理職の降格人事もスタートさせなければならないだろう。今は、とり入れたところがあったとしても、あくまで本人の希望降格だ。

 今のシステムの必然として、そういう問題も起きてくると思われる。

 そして、早く、いろいろなシステムを正しく機能させて、『校長が、不合理、不条理な学校運営をしたら、学校は傾く。その場合、子どもが最大の被害者だ。』ということが市民の常識となるようにしたい。

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 管理職の降格制度についての意見は、すでに、教員査定の問題(3)の末尾に、記事にしたことがあります。
 
  それでは、今日も、1クリックをぜひお願いできればと思います。

  (4)へ続く。


rve83253 at 14:55│Comments(5)TrackBack(0)PTA | 教育制度・政策

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この記事へのコメント

1. Posted by きくちR   2007年09月25日 17:15
的外れなコメントかもしれませんが、『希望と承諾の原則』って進歩した社会を感じるとても良い言葉のように私には響きました。以前、子どもが通っていた学校で、「これからは民間と同様に、先生の希望は聞かずどこにでも転勤させる」というような内容を校長先生が話されているのをたまたま聞いて、民間でも理解ある上司ならば諸事情も汲んでくれるし、そうしてもらえれば余裕もできもっと頑張れるのにと、思ったことがあります。
2. Posted by きくちR   2007年09月25日 17:18
Toshi先生が教員査定の問題(3)に書かれている教育が数値目標にしにくく、成果がすぐに出るものでないことや、数値では示せない成長ぶりがいかに重要であったかを私自身が分かったのは、子ども達を何年も学校に通わせた後でした。校長先生方はおそらくこのことを熟知されているはずです。親の勝手な言い分ですが、「民間」という言葉に振り回されず、この点についての先生方の働きを親達が理解できるように積極的な働きかけをしていただけたらいいのになぁと、そして子ども達にとって素晴らしい先生方がのびのびと仕事ができる環境を作っていただきたいなぁと思いました。
3. Posted by toshi   2007年09月25日 23:32
きくちRさん
最後の、『先生方の働きを親達が理解できるように、積極的な働きかけを、していただけたらいいのになぁと、そして子ども達にとって素晴らしい先生方がのびのびと仕事ができる環境を作っていただきたいなぁと思いました。』は、まったく賛成です。校長の職務というのは、おっしゃる通りにやることだと思います。
 下記URLは、調理員さんの働きを紹介した学校だよりの記事です。ご参考までに、紹介させてください。
http://blog.livedoor.jp/rve83253/archives/2007-05.html#20070502
 伝家の宝刀は、やたら抜くものではありませんよね。本記事の校長の権限が、伝家の宝刀であるかどうかは別として、『先生の希望は聞かずどこにでも転勤させる』は明らかにおかしいと、わたしも思います。職権乱用のニュアンスが感じられます。
 何より、こういうことで学校運営をおかしくしてしまうとしたら、それは、校長の最大の失策と思います。
 校長の権限強化は、子どもを大事にし、真に子どもを育む教員に信頼をおき、そういう教員を守り、育てるように機能させなければなりません。それこそが、校長の最大の職務と思います。 
4. Posted by きくちR   2007年09月26日 13:31
上でご紹介くださった学校だよりの記事を読むと、子ども達が先生方に話している様子が目の前で起こっていることのように想像できます。自然な会話で楽しそうで、保護者も安心していられますね。また、調理員さんも含めて学校全体で子ども達に関わってくださっていることもよく分かり、仕事などでなかなか学校に行けない保護者の視野も広がるような気がします。
子どもがすくすくと成長している様子も伝えることができる学校だよりの力のすごさを、改めて感じました。
5. Posted by toshi   2007年09月30日 05:46
きくちRさん
 説明責任を果たす事例を紹介した学校だよりの記事をお読みいただき、ありがとうございました。
 学校だよりは、一見保護者へのサービスのように見えます。確かにそうした側面はあるのですが、学校への信頼をかち取ることができれば、まわりまわって、学校経営を支えてくれるのです。
 『力のすごさ』などとおっしゃっていただき、ほんとうにありがとうございました。
 もうとっくに退職した身ではありますが、あらためて、学校だよりの果たす役割を再確認させていただきました。

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