2007年09月30日

雨のなかの運動会 学校だよりへの想い(14)4

b7c9926b.JPG 長女夫婦は、我が家から車で一時間ほどのところに住んでいる。その長女夫婦の長男が通う幼稚園の運動会が、昨日、行われた。

しかし、この、『運動会決行』には驚かされた。天気予報は雨だったし、早朝より本降りと言っていいお天気だったからだ。そこまで行くのに、ずっと、ワイパーを動かしながらの運転だったしね。まさか、やるとは思わなかった。

『それなら、なぜ行ったのですか。』と聞かれそうだ。それは、ただただ、『孫、会いたさ』だったのである。


 霧雨のなかの開会式。続いての、孫をはじめとした園児たちの見事な演技。

 そう。お天気は、だいたい霧雨。ときどき、やんでいるという状態。でも、何より寒いのには参った。わたしは、薄着で出かけてしまったので、娘のご夫君のセーターを借りて見物していた。


 小学校で言うところの徒競走とか、父母参加競技などはとばし、長期間練習をつんだであろう種目に限定し、運動会はすすんでいった。そうした流れを見ながら、わたしは、見ず知らずではあるが、園長さんの決断に思いをはせていた。

・今はピンポイントの天気予報がある。それがあんがいいい予報だったのかな。
・近接する小学校の校庭を借りての運動会だ。延期するにも不自由さがあるのに違いない。無理してでもやれるだけやってしまおうと思われたのかな。
・今のところは何とかもっている。このままの状態で昼食を迎えてしまえば、あとは、いつ中止になっても保護者は納得するだろう。それまで何とかもってほしい。

 知らず知らずのうちに、主催者側の気分になっていることが、我ながらおかしかった。
 

 ところが、昼近くなると、やや本降り状態。
 上記のような種目が一段落したようで、そのまま閉会式となった。昼食は各自、おうちに帰ってということで、お土産をもらって帰宅した。


 さて、園長さんではないが、運動会や遠足のときの、実施か中止かの判断は、頭の痛いことではある。ほんとうにむずかしい。中止にはしたが、その後天気がよくなって、子どもたちからうらまれるということは、多くの校長が経験しているのではないか。

 着任した年に、雨にたたられることが多いと、『雨校長』などと陰口をたたかれる。それも、いかんともしがたいことながら、いかに切実な問題(?)かを物語る。


 先ほど、『むずかしい、頭が痛い』と書いた。

 しかし、ことはお天気だ。決断の根拠が、それほど複雑に絡み合っているわけではない。だから、要は、決断してしまうことだ。それがどう転ぶかは、それこそ、運を『天』に任せるしかない。どちらに転んでも、愚痴をこぼされたり、批判されたりする可能性はある。それはもう、いたし方のないことだ。

 
 わたしの校長時代、以下のようなことがあった。

 昼食をとり終えたころ、集中豪雨となった。午後の部をどうしようか悩んだが、けっきょく延期とした。延期を決め放送を入れると、少したって、薄日が差すくらい天候は回復した。
 保護者のなかには、『運動会、できるじゃないか。』と言いたそうな表情も見えた。ちょっとつらかった。


 でも、でも、〜、あとは当時の学校だよりを引用させていただく。




 感激も2倍に


 今年の運動会は盛り上がる予感が、かなり前からありました。

 各学年の練習を見ても、子どもたちの意欲が、動きや表情などに感じられました。

 練習は何度も繰り返されたり、中断して指導が入ったりしますが、子どもたちはそれを前向きに受け止め、真剣に取り組みました。そして、練習を重ねるごとに上手になっていきました。何にもまして、にこにこ演技に取り組んでいる姿が印象的でした。
 そのせいか、
「うわあ。上手よ。すごい。」
「よくできたね。」
などという教員の声が何度も聞こえてきました。また、子どもの手で演技内容を決めていく学年もありました。子どもたちは豊かな発想で、何回も練り上げていきました。

 そんなある日、教育委員会指導主事の先生がお見えになり、各クラスの学習を見てまわりました。
「すばらしいですよ。子どもたちが意欲的ですね。運動会の練習にしても、子どもと教員が一体となっているではないですか。楽しそうなのがいい。ふつう練習というものは、そんなに楽しいものではないと思いますがね。」

 子どもにもそのような実感があったようです。保護者の方からうかがったのですが、おうちで、お母さんに、
「運動会の日のわたしたちの演技を見たら、担任の先生は泣いちゃうかもしれないよ。」
と言った子もいたようです。

「運動会、見に来てね。」
そういう言葉が、多くのご家庭で聞かれたのではないでしょうか。


 そうして迎えた運動会でしたが、ちょうど昼食時、雨に見舞われてしまいました。まことに残念でしたが、午後の部は延期とさせていただきました。雨はやみましたが、校庭に水が浮くようになり、続行しても危険と判断しました。

 延期の運動会に来られなくなった保護者の皆様には、まことに申し訳ない言い方になりますが、延期にしてよかったと思う部分もありました。

 まず、子どもたちの意欲は完全に持続しました。延期した日も大いに盛り上がりました。ご来賓のなかには、
「校長先生。すばらしいですね。心が一つになっていましたよ。どの子も満足感いっぱいの顔をしているではないですか。子どもたちの顔を見ていると、涙が出そうです。」
とおっしゃってくださる方もいました。ありがたい思いでいっぱいになりました。このように子どもたちがすばらしいので、2日間にわたった分、感激も2倍になったなと思いました。

 もう一つ。延期した運動会が始まってすぐのことです。保健委員会の子が2人、わたしのところへ走ってきて、報告してくれました。にこにこしてほんとうにうれしそう。
「校長先生。今日のお休みはいません。」
「欠席、0です。」
「ほんとう。それはよかった。この前の運動会の日は、少しだけれど、欠席の子がいたのだ。・・・。そうか。運動会が2日間にわたって、かえってよかったのだね。あの雨のおかげだ。・・・。教えてくれてありがとう。」
 全員参加をこれだけ喜んでくれる子どもたち。心打たれました。

〜。
 
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 雨の中の幼稚園の運動会。とても盛り上がって、それはそれでよかったのですが、親子の種目、未就園児の種目などは、中止されてしまいました。母親である長女が言います。
「わたしたちは、これでよかったと思っているけれど、年長さんの保護者は、延期して、いい天気の日にやってほしかったかもしれないわね。その方が思い出に残るし、〜。」

 それを聞いて、上記学校だよりに紹介した事例を思い浮かべました。

 『災い転じて福となす。』ということわざがありますが、何が災いで、何が福かは、ものの考え方によるのかもしれませんね。

 それでは、どうぞ、『福』の1クリックをよろしくお願いします。


rve83253 at 15:43│Comments(6)TrackBack(0)学校経営 | 学校だより

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この記事へのコメント

1. Posted by うるとらまる   2007年09月30日 21:29
こんばんは。静岡のワタシの勤務校でも、土日が延期。ひょっとしたら明日も延期で、火曜日に給食ありの運動会になるのかもしれません。

運動会を決行するかどうかの判断、迷いますね。

事実、土曜日の静岡は気象台の観測によると、
朝8時は雨が降っていたのに、10時から5時までは降雨0ミリ。

同じ地区の中には「決行」した学校もあり、
ワタシの学校の選択はむしろ「間違っていた」と
思われているのかもしれません。

それでも「中止」の決断をした校長教頭、体育主任の判断を是としたいと思います。

いかんせん、昨日も今日も寒すぎました。

早いところ前線が抜けるといいですね。
お母さんたちには悪いですが、やはり
運動会には晴天が似合うと思います。

では。

ちなみに明日も6時出勤。運動場の整備かな。
2. Posted by toshi   2007年09月30日 22:48
うるとらまるさん
 うわあ。完全なる順延ですか。それは大変だ。子どもは休みでも、教職員は休めませんものね。ほんとうにご苦労様です。
 お天気のことですから、仕方ないことです。自校の判断がよかったのだと思うしかありません。それに、昨日のような天候だと、近隣であっても降り方が違うということもありますから、他校と比べても仕方ないのではないでしょうか。
 どうか、いいお天気の日にできますように。成果が上がりますよう、祈念しています。
3. Posted by hirarin   2007年10月01日 04:43
体育主任を長年やっているので、この天気にはいつも悩まされます。
インターネットの予報を頼りに、競技種目を削除したり入れ替えたりすることが近年ありました。
プログラムには「天候により競技時間が多少変更することがあります」と明記してあるので、何とか工夫して乗り越えてきました。

自分で言うのも何ですが、「晴れ男」です。
未だかつて私が準備運営してきた運動会、大会で「延期」「中止」は1度もありません。
「晴らせることは、体育主任の一番の仕事だ」とよくほめられます。
4. Posted by KG   2007年10月01日 08:44
うちの子の通う幼稚園は、統合保育(全園児のおよそ1割強が発達障碍)をやっている関係で、極力予定通りに実行します。
発達障碍の子らは、突然の予定の変化に弱いのと、中止にした後晴れると、中止になった理由が納得できないからです。
同様の理由で遠足なんかも中止になることはほとんどありません。
小雨の中の運動会も経験しましたが、子供は雨なんてお構いなしですね。雨の中で遊ぶことにも鍛えられていて、案外動きもしっかりしています。
むしろ大人の方がデリケートだし危なっかしくなります。
5. Posted by toshi   2007年10月01日 20:48
hirarinさん
 運動会は、体育主任さんの晴れ舞台ですね。一番たよりになる存在でもあります。
 「晴れ男」とはうらやましい。わたしは、半々よりやや「晴れ」が多かったかな。
 でも、いろいろありましたよ。一番劇的だったのは、夜半、集中豪雨があり、朝は、曇っていたものの、水溜りだらけ。
 教職員と高学年児童総出で、雑巾片手に水を吸い取り、一時間遅れで、開会の運びにしたことがありました。
 いやあ。ほんとうに、35年もやっていると、いろいろな思い出があります。
6. Posted by toshi   2007年10月01日 20:57
KGさん
 ああ。ありがとうございます。
 いろいろな条件があるのですね。勉強になりました。
 子どもの実態に応じ、いろいろな手立てを講じなければいけませんものね。
《小雨の中の運動会も経験しましたが、子供は雨なんてお構いなしですね。》
 これはもう、子どもならみんな、同じですね。我が孫の運動会も、園児たちは、もう、晴れの日同様の張り切りようでした。
 お昼に終わって、長女夫婦は、子どもたちをすぐお風呂に入れていました。
 いやあ。でも、一昨日はほんとうに寒かったですよね。

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