2008年04月23日

慕われる校長(2)4

5bd8a7c4.JPG 今日は、前記事に引き続き、手作りのA校長講話集のなかから、全校朝会での子ども向けの話を掲載させていただきたい。



 そのまえに、この講話集にまつわる思い出をひとつ。 

 講話集作成にあたっては、全教職員の協力があった。絵の得意な教員には、カットをお願いした。A校長のもとで、教頭は次々と校長に昇任していったが、皆さんが、巻頭の言葉を送ってくださった。

 事務のBさんたちは、印刷、製本などを担当してくれた。



 A校長の退職をお祝いする会の席上で、このでき上がったばかりの本を披露させていただいた。


 A校長は、いたく驚かれ、絶句された。それがまた、わたしたちの喜びと感謝になった。

 『感謝の心はひびき合う。』

 なにやら、以下の内容も、それにかかわらなくもない。

 それでは、どうぞ。




 平成〇年2月18日(〇曜日)

 はい。おはようございます。

 春になって、だんだんだんだんと、影も濃くなっていくでしょう。また、校長先生がうちを出るとき、自分の影がものすごく大男になっちゃう。

 ガリバーって、知っているかな。おお。知ってる。

 校長先生の影、ガリバーより大きいんだな。校長先生の足が向こうの建物の2階に届いちゃうくらい長いんだよ。こんな大男になっちゃったらすごいなあと思ってね。もし校長先生が、その地面に映っている影を起こしたら、ちょうど4階建ての校舎の5年生、6年生の教室があるところくらいまで届いちゃう感じだろうね。そうしたら、みんなが、こんな小ちゃく見えちゃうんじゃないかな。

 そうしたら、遠くの方も眺められて、気持ちがいいだろうと思うし、それから足が長くて、一歩歩いたら50メートルくらい歩いちゃう。一歩二歩で、もうこの場所から学校の門のところくらいまで届いちゃうぞ。

 

 そうして、校長先生が学校へ来るとどうだろう。学校へ来ると、朝は、ガリバーみたいに大きかったのが、だんだんだんだん小さくなって、さっきの半分よりももっと小さくなっちゃう。


 ねっ。朝と昼と夕方、よく自分の影を見てご覧なさい。ずいぶん長さが変わってくるよ。



 さあ。話は変わるけれど、

 このあいだ、PTAのお母さん方が、ずうっとむかし、校長先生もまだ生まれていないころの、古い古い、このB小学校の作文集。『まちの図書館にありました。』って言って、持って来てくださったの。

 ずいぶん古いお話ですよ。校長先生が生まれる前のこのB小学校の子どもが書いた作文なんですから。

 その作文をずうっと読んでいたら、青い目のお人形の写真があったんです。そのころ、アメリカから贈られてきたんです。このB小学校へ。B小学校へというよりも、そのころ日本中の学校へ、アメリカの国から、『仲良くしましょう。』と言って、このくらいの大きさの青い目の人形が贈られてきたんです。

 じゃあ、日本からも、アメリカへ日本のお人形を贈りましょうって、交換したんですね。


 わたしは、日本の言葉が分からない。日本のやさしい嬢ちゃんよ。仲良く遊んでやっとくれ。

 そういう歌もあったんです。心をこめて交換したんです。仲良くしましょうって。


 ところが、そのあと、戦争になっちゃってね。アメリカと日本が戦争をしたら、アメリカからもらったものなんて焼いちゃえって焼いちゃった。バカなことをしたもんでしょう。

 だけれども、『焼かないで、大事にしまっておこうよ。』って学校もあったんです。わたしたちのまちの学校にも、そのお人形は少しだけ残っています。

 このB小学校にもあったことが、PTAのお母さんの努力で分かったんだけれど、
B小学校は、これ、焼いちゃったのかな。しまっといたのかな。よく分からない。しまっといたとしても、このB小学校は空襲で焼けちゃったから、そのお人形は跡形もありません。だけども、その、昭和の初めころの作文集にちゃんと写真が載っているんです。びっくりしました。

 ああ。こういうことがあったんだ。B小学校のむかし、こういうことがあったんだね。驚きました。


 人間の心、仲良くする心、これ、大事だと思います。

 ね。焼き捨てちゃう。人形まで憎たらしくなったら、こまっちゃうもんね。

 
 みんな、お友達からもらったプレゼント。大事にしていますか。

 ね。『こんなプレゼント、もらったんだよ。』って、大事にしているでしょう。

 よそのおじちゃん、おばちゃんが、お土産買って来てくれましたよ。6年生が修学旅行でお土産買って来てくれましたよ。そういうとき、『何だ、こんなもの。』なんて思わないでしょう。『ありがたいなあ。』と思うでしょう。

 校長先生だって、よそへ行ったとき、近所の人からお土産もらっていたら、こんだ、『お土産ですよ。』そうすると、『どうもありがとうございました。』言うでしょう。

 やっぱり人間の心って、大事でしょう。そういう、ありがたいなあと感謝する心。これは、ふだん、いろいろな生活のなかから生まれると思います。今、人形のお話をしましたけれど、きっと、君たちも心のなかで、みんな、お友達を大切にする心をもっています。その心は、人間として消してはいけないと思います。大事にしましょう。

 (以下、賞状授与に移る。)

 あっ。すごいね。今、6年生から拍手が起きた。校長先生、言わないうちに拍手が起きたの。ほら。友達を大切にする心だよね。こういういいことは、どんどんどんどん真似していこうね。

 ねっ。じゃあ、終わります。


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 今回、この記事を掲載するにあたり、A校長に電話しました。大変お元気そうで、うれしく思いました。

「いやあ。このまえも、C小学校のD校長から電話をもらってね。『あの講話集、大切にしています。今も、座右において、学校経営の参考にさせていただいています。』って言ってくれたんだよ。ありがたいよなあ。」

 もう、この本の発刊から、20年近くたっているのですけれどね。わたしもうれしくなりました。

 それでは、今日も、1クリックをぜひ、よろしくお願いします。

rve83253 at 05:11│Comments(3)TrackBack(0)子どもと管理職と | 学校管理職

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この記事へのコメント

1. Posted by フルタ   2008年04月23日 21:58
ご無沙汰しています。そして、いつもお世話になっております。
A校長先生の声が聞こえてくるようなお話、今日もありがとうございます。
子どもに教えるというのではなく、おしゃべりに近い感じがします。子どもたちの心にす〜っと入っていくのでしょうね。
それにしても、慕われる校長先生って、子どもにも、先生方にも、慕われるのですね。子どもを中心とする視点がずれないから、みんな安心できるのだと思いました。


2. Posted by toshi   2008年04月24日 11:37
フルタさん
《子どもを中心とする視点がずれないから、みんな安心できるのだと思いました。》
 もう、ほんとう。おっしゃる通りと思います。
 固い信念と、相手を思いやる心とが、見事に調和されていたと思います。
 わたしも、この校長先生のお話は、今でも、まるで昨日聞いたかのような錯覚を起こすくらい、耳に残っています。
 わたし、先の記事で、この校長のまねと書きましたが、ほんとうは、とてもまねなどできないくらい、大きな方だったというのが、正直のところです。

 
3. Posted by toshi   2008年04月25日 11:28
TBされた方へ
 どうも前から気にはなっていたのですが、本ブログ記事と関係のないものですので、本日より、削除させていただきます。

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