2008年06月01日

初任者の成長(7) 歓送迎会の一コマ4

cb677a8b.JPG 一昨日は、去年勤務した学校の歓送迎会に招かれた。約2ヶ月ぶりに、皆さんにお会いしたのだが、もう、すごくなつかしい思いがした。


 わたしが担当した初任者は、涙を流しながらお別れの言葉を言ってくれた。

「〜。
いつもtoshi先生が教室の後ろにいらして、授業を見てくださっていましたから、4月から、毎日、自分だけで学級経営しているのが、とても不思議な気持ちがします。『ああ。もう、toshi先生に見てもらえることはないのだな。』と思うと、とてもさびしくなります。
〜。
 何かこまったことがあれば、『こういうとき、toshi先生は何ておっしゃるだろうか。』といつも考えます。
〜。
 早く、独り立ちできるようにがんばります。〜。」

 よく教員冥利に尽きると言うが、これはまた、初任者指導教員冥利と言ったらいいだろうか。ありがたい思いでいっぱいになった。



 アルバムを贈ってくださったが、

 そこには、3月末にやってくれた、『toshi先生とのお別れ会』の写真がふんだんにおさめられていた。子どもたちのお楽しみ会なのだが、『お別れ会』と称してやってくれた。

 その場には、保護者の方も何人かいらした。そして、この会の最後、子どもたちの前で、お礼の言葉とともに、花束を贈呈してくださった。

 その写真も貼ってあった。


 初任者指導をしていて、『保護者からも、お気持ちをいただく。』このようなことは初めてだ。とてもうれしかったし、ありがたかったが、・・・、

 心中、複雑なものがあったのも確かだった。





 ここで、話は変わる。

 わたしのことだが、元校長と言えども、やめてしまえば、ただの人。

 他方、現校長は、皆、後輩にあたるわけだが、しかし、『校長先生』であることに変わりはない。

 だから、勤務日、職員室に入れば、校長先生、教頭先生に対し、深くお辞儀をし、挨拶する。これは当然のこと。


 さて、

 初任者が、わたしに、『〜をお願いできますか。』と言ってきて、わたしが、『ああ。それは、まず、校長先生にうかがってください。校長先生が了解されれば、わたしは、かまわないですよ。』と応えることがよくある。

 特に初任者は、何を管理職に報告、連絡、相談しなければいけないか、何は自分の判断で進めていいか、それが分からなかったり、間違えたりすることがあるから、これは、やはり、大切な指導事項となる。



 昨年度末のことだ。

 わたしの担当する初任のAさんが言った。

「toshi先生。明日が最後の学級懇談会なのですが、toshi先生にも入っていただいて、保護者に、一年間の子どもたちの成長のことや、子育ての話などをしていただけないでしょうか。」

 わたしは、正直のところ、驚いた。

 と言うのは、わたしが、初任者指導教員となって以来、学級懇談会に加わるなどと言うことは、基本的になかったからだ。

 しかし、Aさんはその前に校長先生に、許可をもらっているようにはみえなかった。気楽に、わたしに依頼しているようにみえた。

 そこで、

「ああ。それはね。校長先生にうかがってください。校長先生が、了解してくだされば、わたしはかまわないですよ。」




 すみません。ここでまたまた話が変わります。


 今の法制化された初任者研修が始まったのは、平成元年度のこと。

 それ以前は、地域、学校の判断で行われていた。

 法制化される以前は、研究授業でもないのに先輩教員が初任者の教室に入るなどということは、ほとんどなかった。

 なぜ、ないか。それは、『初任者がたよりないのだな。』という思いを、保護者や子どもがもってしまうのではないか。それを管理職が恐れるから。



 その点、制度化であれば、そのような思いを抱かなくてすむ。

 指導教員が初任者の教室にしょっちゅう入るとしても、それは制度だから入るわけで、初任者がしっかりしているか、いないかは、関係がない。



 ここで、話を戻します。

 しかし、上記、A先生の話を聞いたとき、『学級懇談会となると、話は別だな。ここまでは制度化されていない。』と思った。指導教員は、授業の指導をするだけだから、基本的に、学級懇談会などにはタッチしない。

 それで、やはり、上記のように、
『学級懇談会に、指導教員が同席するなど、とんでもない。そのようなことをしたら、保護者は、初任者がたよりないと思ってしまうかもしれない。』
そう判断して、これを認めない校長は大勢いるのではないか。そう思った。



 しかし、心の広い校長先生だった。

 快く了解してくださった。『よろしくお願いします。』とのことだった。そこで、わたしは、最後の懇談会に入ったのだが、・・・、



 わたしの話の後、保護者が、お礼の気持ちを語ってくれた。

「一年間、ほんとうにありがとうございました。
 今、toshi先生のお話をうかがって、子どもの心の成長は、もちろん、担任のA先生が、子どもにやさしく接してくださったり、きめ細かく対応してくださったりしたおかげなのですけれど、その背後では、toshi先生が温かく、A先生や子どもたちを見守ってくださっていたのだということが、よく分かりました。

 ほんとうに、うちなんか、末っ子ということもあり、親として、ちょっと甘やかして育ててしまったかな。そのために、多少わがままだったり、自分の思い通りにならないとすぐ態度が悪くなったりしてしまって、反省していたのですが、A先生のおかげで、この一年間、ずいぶん成長することができたなと、心から感謝しています。

 toshi先生のことも、子どもは、『やさしい先生だよ。』とか、『先生のプロみたいな先生だよ。』とか言っていたので、ずっと感謝していたのですが、ほんとうにありがとうございました。」

 


 さきほど、複雑な思いと書いた。

 そのわけは、

 ほんとうは、わたしのようなものが目立ってはいけないのだ。縁の下の力持ちでなければならない。

 でも、お礼の言葉や、花束までいただいたのは、

〇法制化があったから。

 保護者も、A先生の役割のほかに、わたしの仕事も正しく理解してくださった。

〇A先生と子どもとの信頼関係はばっちりだったから。

 わたしが多少目立っても、この信頼関係はゆるがない。その確信があった。

〇校長先生が、柔軟な考えの方だから。

 そう。校長先生が、杓子定規な方だったら、やっぱりわたしの懇談会参加を認めないだろう。



 再度、話を戻す。

 一昨日の歓送迎会での、先輩の先生の話。

「A先生は、『toshi先生がいなくなったら、学級経営が下手になったなんて言われないように、がんばるのだ。』と言って、ほんとうによくやっています。」

「もう、安心してみていられます。toshi先生の教えを守り、いつも、子どもたちの『よさ』を見つけようと懸命になっています。今年もまた一歩前進しているなと思います。」

そうか。

 A先生。あなたは、立派に、独り立ちしていますよ。


 最後の言葉は特にうれしかった。

 そう。教え込みでは、わたしがいるときだけの成長になってしまう。借りもの、よそもの、そして、頭の中だけの知識になってしまう。

 ほんとうの独り立ちをねらうには、A先生自らの気づきを大切にしなければならない。本物の獲得。そして、生きて働く知識。

 そう思えたことが一番うれしかった。


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 現職のときにはなかったこと。

 それは、初任者指導は一年間ですから、わたしは、今、毎年異動しています。したがって、歓送迎会では、いつも主役の一人。

 週2日の勤務に過ぎないのに、ありがたいことだと思っています。

「ブログ、今も大切に読ませていただいています。」

 そのようなこともおっしゃっていただきました。

   (8)へ続く。

rve83253 at 02:55│Comments(5)TrackBack(0)指導観 | 初任者指導

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この記事へのコメント

1. Posted by くるてん   2008年06月01日 18:12

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2. Posted by kei   2008年06月01日 19:59
 ごぶさたしております。コメントは久しぶりですが、いつもこのブログは見せていただいています。
 今日の記事は、初心者でもないのに、涙がこぼれて困りました。3年前、toshi先生の初任者指導を字際に見せていただいたこと、「きいちゃん」の授業を参観させていただいたことが、まるで昨日のことのようによみがえってきたからです。

 toshi先生と出会えた初任者の方はなんて幸せなことなのでしょう。そう心から思います。

 私は法令化された平成元年から教職につきました。講師経験もなく、数日前は学生だった自分がなんとか、学級を作ることができたのは、今でも尊敬している指導教官の先生がいて、その姿で大事なことをお教えくださったからでした。

 職場の方々にもこのtoshi先生のブログを紹介させていただきますね。いつもありがとうございます。
 
3. Posted by yoko   2008年06月01日 23:29
毎年、職場が変わるというのは寂しいですね。でも、toshi先生の教育が確実に広がっていくと思うと本当に素晴らしいですよね。toshi先生のご指導を受けた、初任の先生方や子供達…その保護者の方々、羨ましい限りです。
でも、こうしてブログを拝見させていただいて、色々学ばせていただけることに感謝しています。
歓送迎会、良かったですね。これもtoshi先生のお人柄ゆえですね(*^_^*)
4. Posted by toshi   2008年06月03日 05:22
keiさん
 こちらこそ、ご無沙汰しました。
 3年前のことなのに、そのようにおっしゃっていただいて、ありがとうございます。
 わたしも、なつかしく思い出します。
 平成元年度、わたしも、指導教員となりました。いつだったか記事にさせていただいたように、学級を担任しながらの指導で、大変苦労したことを覚えています。考えてみれば、そのころから、今のような流れができたのだなと、感慨も新たです。
 職場の方に知らせてくださるとのこと。大変光栄です。よろしくお願いします。
 kei先生。今年は、3年生の担任でいらっしゃるのですね。先生は、高学年が多いから、新鮮な気分でいらっしゃるでしょう。ご健闘を祈ります。
5. Posted by toshi   2008年06月03日 05:38
yokoさん
 ありがとうございます。
 毎年学校が変わること。確かに、この先生、この子たちと、もっと一緒にいたいという気持ちはあります。一年間の成長は大きいですからね。
 でも、楽しくもあるのですよ。退職後も、子どもたちとともに過ごせるとは、ほんとうに幸せなことだと思います。
 子どもの日々の成長が、手に取るように分かります。以前も書きましたが、子どもって、たった一週間でも、大きな変容を示すことがあるのです。
 今後とも、よろしくお願いしますね。

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