2008年07月10日

学校教育で気になること3

544d9bcb.JPG 最近、学校教育をめぐって、ちょっと気になっていることがある。学校が管理的、強圧的になっていやしないかという心配である。

 
 最近のマスコミ報道、また、教育ブログ、わたし宛にいただく読者の方からのメールなどを通し、そう思わせる事例が相次いでいる。

 もちろん、それらの多くは、一方の意見しか分からない。批判される相手の言い分は分からない。

 一つ一つの事例を検証するなら、双方の言い分を聞かなければならないことは申すまでもない。



 しかし、そうした状況でも、以下のことは言うことができる。


 学校批判の声が、わたしに寄せられる。ということは、少なくとも、当該校と地域・保護者とのあいだに信頼関係が構築されていないのではないか。

 また、事実は分からないとしよう。しかし、少なくとも、地域、保護者から、学校経営が強圧的、管理的と受け取られている。そういう学校がある。それは確かだ。


 学校にも、言い分はあるだろう。努力しているのであろう。それは信じたい。

 しかし、それが地域・保護者に通じていない。そう感じざるを得ない。



 たとえば、

〇学校が、保護者の声を聞かずに、一方的に通学路の変更を通知してきた。反対の声を上げたが、聞いてくれない。

〇学校の、『特別支援学級とふつう学級との交流計画』について、不安があるので、我が子に関してははずしてくれるようたのんだ。だが、それは論外とし、受け入れてくれない。

〇PTAの立場で父母の要望を学校に伝えると、『誰ですか。そのようなことを言うのは。』と、ものすごい剣幕で怒られた。そして、要望は無視された。

〇担任の指導力不足を指摘したら、それを根に持たれ、事態はかえって悪くなった。それをまた学校に指摘したが、改善の様子は見られない。

 など。など。


 わたしの感覚からすれば、一むかし前のことではないかと思われるようなことが、
今も平然としてあるようだ。

 わたしは、これを、とても残念に思う。 



 視点を少し変える。


 近年、学校は、『学校評議員制』『学校の外部評価』などをとり入れることにより、地域住民の声を学校経営に反映させることを求められている。

 たとえば、我が地域において各学校は、外部評価制度に沿って、地域・保護者を対象に、日ごろの学校経営等についての意見を求めている。(わたしは、外部評価そのものには反対ではないが、現行のやり方には問題性を感じている。それは、リンク記事に書かせていただいた。)


 そのなかには、たとえば、

『学校は、地域・保護者の声を聞こうとする姿勢がありますか。』とか、
『学校は、地域・保護者の声に対し、すすんで説明責任を果たそうとしていますか。』
などという質問項目があるはずだ。そして、それら質問項目について、5段階評価(3段階もある。)をしてもらう。

 学校はそれらを集計し、公表するとともに、改善策も明らかにする。


 こうしたことは、全国的に行われているだろうと思うが、どうだろうか。


 このようなことが行われる時代なのに、信頼関係が築けない。そういう状況は、正直、不思議に思うくらいだ。

 

 先にも述べたように、わたしには、寄せられた声に関しての事実関係を論じるには無理がある。だから、それは問わないことにしよう。ここでは、ただ、信頼関係の構築に関して、日ごろ感じていることを述べてみたい。

 信頼関係が築けないところで、教育は成立しないと思うからだ。


 なぜ築けないのであろう。


その1

 わたしは、学校のあせりを感じてしまう。

 すぐ成果を上げないといけないという思い。何かあったらすぐ責任を問われるから。だから、『こうと決めたらこう。』それしか考えられなくなる。

 異論を示されると、『それもあるなあ。』とは考えにくくなる。相手の思いに心をいたす余裕がない。そして、視野がせまくなる。

 そうしたことはないか。

 わたしは、今、バンキシャの番組を思い出している。


その2

 学校の教員は、概してまじめ。筋を通そうとする。

 学校の方が正論だ。利害を超越している。公平である。だから、それに異論を示されると、腹が立ってくる。

 『押してもだめなら引いてみよ。』あるいは、『次善の策』という発想になりにくい。

 そうしたことはないか。

 『一つの事象への対応が、これしかないということもなかろう。』と思うのだが、・・・。


その3

 長い間、教え込みの授業、価値観の押し付けを子どもにやってきた。それにならされると、世間に対しても、そういう対応をしてしまう。

 そういうことはないか。

 前記事で言わせてもらった、『言って聞かせよう式』の横行だ。そこには、愛情(ここでこの言葉を使うのは変か。)が感じられない。

 理屈で攻める。情が通わない。論争の場とは違うのに、その使い分けができない。




 学校経営は、信頼関係の上に成り立つ。どんなにいい方策も、信頼関係のないところでは、よい成果を得られない。いや。マイナスにはたらいてしまうことだってある。

 それを肝に銘じるべきではないか。


 それなら、学校は、どう対応したらいいだろう。学校の本音を探るとともに、対応策を考えてみよう。


その1

 地域、保護者の声は多様である。矛盾し合う関係にある要望が2つ出されるということもある。とても、すべてに応えてはいられない。


 とり入れられるものはとり入れたらよい。もし、要望が、『次善の策』とも言えないくらいのものだとしたら、『どうしてとり入れられないのか。』の説明を、懇切丁寧に行いたいものだ。

 矛盾し合う要望は、『学校の外部評価の集計結果の公表』などを利用し、おおやけにしたうえで、地域、保護者同士(教職員を交えてもよい。)で話し合ってもらうのも一策ではないか。


その2

 一度要望をとり入れたら、要望は際限もなくふえてしまうのではないか。そして、やがて対応しきれなくなるに違いない。


 これは、学校の側からの、地域、保護者に対する不信感の表れであろう。

 信頼関係のないところでは、こういうことも起こりうる。

 逆に、信頼関係があれば、要望を受け止めたり、受け入れたりすることは、さらなる信頼関係の構築につながる。際限なくふえるということは、まずない。


 これについては、正直申して、名案はない。

 ただただ、時間をかけて、誠意を示していくことしかないだろう。つまりとり入れられることはとり入れ、無理なものについては、なぜ無理と考えるかの説明責任を果たすということだ。


その3

 とうてい受け入れることのできない無理難題も多い。

 これも、『こんな要望がありました。』と、公表したらどうだろう。地域、保護者のなかには、理解ある人も多いわけだから、そういう方々が、却下してくれるものと思われる。

 今は、マスコミがそれをやってくれているね。

 
 平凡な結論になってしまうが、

 地道に、理解し合える努力をしていこうではないか。




 わたしは、思う。


〇よく、『それは、公務員だから、起きるのだ。民間企業だったら、そんなことは起きない。』と言われる。

 これについて、わたしはそうは思わない。

 民営だって、ひどいところは、ひどいではないか。偽装、隠蔽・・・、

 でも、それは、そうだよね。同じ人間がやっているのだもの。


〇信頼関係の構築に特効薬はない。地道に努力する漢方薬でいくしかない。



 最後に、2つ。

〇わたしの事例で、大変恐縮してしまうのだが、保護者の要望を真摯に受け止め、教職員の理解も得て取り組んだ事例を紹介させていただきたい。

    保護者の声に応えて

 
〇また、教育行政は、学校と地域、保護者が信頼関係で結ばれるように、学校をあせらさないなど、そのための支援を積極的に行ったり、現行を見直したりしてほしいものだ。


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 なんか、さえない結論で申し訳ありません。

 そう言えば、バンキシャの教育問題特集。待っているのですが、なかなか放送されないですね。
 いい策が示されるのではないかと、期待しているのですが・・・、

 もう少し、待ちましょう。


 それでは、信頼関係の構築に向けて、1クリックいただけると、大変ありがたく存じます。

rve83253 at 05:18│Comments(4)TrackBack(0)学校経営 | 教育風土

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この記事へのコメント

1. Posted by なおみ   2008年07月10日 18:08
toshi先生こんにちは。今朝、今日の記事を読ませていただいたのですが、夕方いらした私の教室の親御さんで以前教員をされていた方が、「toshi先生のブログいいですね〜」と絶賛されていたので、もういちどこちらに来て、じっくり読ませていただきました。(前置きが長いですね…)
信頼関係を作っていくのは、学校側だけの課題ではありませんね。親達も考えていかなくてはならないと思っています。ただ、親は学校という大きな組織の運営の難しさはわかりにくいです。事故をおこさないために、どれほど神経を使うかなども、気づけない点です。それで、安易に要望を出しがちなのでしょうね。
2. Posted by なおみ   2008年07月10日 18:09
子ども会のようなずっと小規模なものでも、子どもを預かる責任や連絡網の大変さに辟易することがよくあるのです。
今、親と先生の信頼関係についての記事を書いていますので、次回にこちらの記事とリンクさせていただけますでしょうか?
3. Posted by toshi   2008年07月11日 07:44
なおみさん
 身に余るお言葉をいただいております。ほんとうにありがとうございます。

《信頼関係を作っていくのは、学校側だけの課題ではありませんね。》
 このようにおっしゃっていただいて、ほんとうにありがたく思います。そして、まさに、これは正論でしょう。
 しかし、学校に身をおく者としては、『はい。そうですね。』とはなかなか言えません。
 それに学校はやはり組織だった秩序体ですから、まずは、範を示す必要がありそうです。

4. Posted by toshi   2008年07月11日 07:44
《安易に要望を出しがちなのでしょうね。》
 わたしもそういうものを受けた経験はあります。でも、そういうことを言いやすい環境、言いにくい環境(これは変ですね。『言わなくても満足できる環境』と言ったらいいでしょうか。でも、このあたりは、人それぞれ、学校それぞれかもしれません。)というのがあり、それが信頼関係にかかわってくるように思います。
 なおみさんの記事、楽しみにしています。そして、勉強させてください。
 

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