2008年07月17日

校長先生の授業(1)4

こども2

  我が勤務校の校長先生の授業があった。音楽の楽器紹介の授業である。

  子どもたちは、校長先生が大好きだ。そこで、この授業を楽しみにしていた。 

  この校長先生は、音楽を専門とするわけではないが、7つの楽器をこなすという、音楽大好きの校長先生だ。そこで、音楽専科のA先生が、授業をお願いしたということだった。 

 

  初めに、トランペットを子どもたちに見せた。

「うわあ。ピカピカだあ。」 

「きれいだね。」 

と子どもたちの声。

  「これね。これだけでも音は出せるのだよ。マウスピースって言うんだ。」 

    本体から切り離す。そして、

「さあ。吹いてみたい人。」

何人かの子どもたちに吹かせる。みんな、フーフー言うだけで、音は出せない。

「はい。これはね。みんなのリコーダーとは違って、そのまま吹いても、音は出せないのだよ。唇を震わせてね。その振動で音を出すの。」 

そこで、校長先生が吹いてみせた。  

「おならみたいな音だね。」 

「あっ。そう。おもしろい。おならみたいか。・・・。これね。ミツバチの羽の音のようだっていうことでね。『ブジング』って言うのだよ。」

そうして、『ブンブンブン〜』と、曲を吹いてみせた。

「うわあ。それだけでも、吹けるんだ。」 

「そうこども3。マウスピースだけでも、いろいろな高さの音が出せるのだね。それではね。こうやって吹きながらトランペットにつなげてみるね。」 

「うわあ。すごい。きれいな音になった。」

  演奏し終わると、自然に子どもたちから拍手が起きた。 

  そして、ピストンを紹介、それを押して、『ドレミファソラシド』を吹いてみせた。続いて、子どもたちおなじみのコマーシャルソングを演奏する。

  ほんとうに、光り輝く演奏だった。

 

  次に、トロンボーンのマウスピースを見せた。

「うわあ。大きいね。」

「太いよ。」 

「そうか。じゃあ、どんな音がでるかな。」

「低い音だよ。きっと。」 

「大きな音。」

そんな発言が続く。校長先生。吹いてみせた。

「これね。校長先生、吹けるようにだいぶ練習したのだけれど、うまく吹けるかな。」

大丈夫。ちゃんと音が出せた。

「うわあ。ぶっといおならだ。」

もう、おかしくて笑ってしまう。

 こども4   これも、トロンボーン本体につなげた。

「トロンボーンには、ピストンがないでしょう。それで、こうやって音の高さを変えるのだ。」 

「そこ外れるでしょう。外れるとどうなるの。」

  校長先生、子どもたちの要望に応えて、外してみせた。音はでなくなった。続いて、空気の通り道を示して見せた。

 

  わたしは、校長先生じきじきの指導に、感動のしっぱなしだった。

 

  授業が終わって、子どもたちが、楽器のまわりに、いや、校長先生のまわりに集まる。

  一人の子が、

「あらあ。校長先生のネクタイ、おもしろい。」 

「あっ。ほんとうだ。音楽のネクタイだ。」 

「そう。気づいてくれたんだ。うれしいな。今日は、君たちと音楽の授業をやることになっていたので、このネクタイを選んできたの。」    

    まあ、すごい。わたしは、朝から、校長先生と話していたのに、まったく気がつかなかった。ネクタイ        

  子どもたちとふれ合うのが楽しくしてしかたないようだった。

 

  この校長先生は、6年生が卒業するときは、記念の授業として、ピアノ演奏をされるともうかがった。ほんとうに楽器の好きな先生なのだね。

 

  さて、校長先生だが、授業の最後に、実は、一つの話をされた。

「いつも、音楽の授業で、A先生は、当たり前のようにピアノを弾いていると思うのだけれど、楽器ってね、ちょっとでも練習を怠けちゃうと、すぐ腕が鈍っちゃってね。ちゃんと演奏できなくなっちゃう。だから、毎日、毎日、練習をしているのですよ。

  みんなの見えないところでがんばっている。

  みんなのお勉強もそうだよね。 毎日、しっかりお勉強しようね。」

  みんなの見えないところでがんばっている。

  なにやら、なおみさんからいただいたコメント2番を思い出していた。

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  わたしのことで大変恐縮ですが、わたしも、かつて、校長時代、卒業を記念して、授業を行っていました。ただし、音楽ではなく、道徳です。 

  それを記事にしたことがありますので、ご紹介します。ご覧いただければ、うれしく存じます。

    記念の授業(4)道徳 卒業のときに 

    (2)へ続く。

rve83253 at 02:41│Comments(3)TrackBack(0)音楽科指導 | 子どもと管理職と

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この記事へのコメント

1. Posted by なおみ   2008年07月18日 17:50
toshi先生、こんにちは♪ 校長先生の音楽の授業すばらしいですね。toshi先生の道徳の授業の記事なども読ませていただき、とてもすがすがしい気分になりました。最近、嫌な話を聞いて暗い気分になっていたので、なおのこと気持ちが楽になりました。公立の幼稚園で、障害児に加配の先生がついているクラスがあるのですが、一人の子ばかりお世話している先生がいる…親達がわが子への目が行き届かないのではないか…と苦情を言ったらしいのです。「わが子だけ」という親の存在は見聞きしてきましたが、あまりにもワガママな親の姿に悲しくなってしまったのです。
2. Posted by なおみ   2008年07月18日 17:50
私は学校が学習して保護者達と融和をはかろうとしてくださっているなら、私を含めた親達は学校とよい関係を作っていけるように成長していかなければならないと思っています。しかし、時折、消費者や客という立場でしか、学校や園と関われない親に遭遇すると、ただ悲しいとしか言いようがないのです。toshi先生が学校関係者の汚職に胸をいためるお気持ち、本当によくわかります。
3. Posted by toshi   2008年07月19日 06:59
なおみさん
 今、人間をめぐって、いろいろな面が二極分化していると思います。そのことを記事にしたことがあり、本コメントのHNをクリックしていただければ出るようにいたしました。
 これも、かつての教育の至らなかった部分のつけがきたと言えなくもないでしょう。今こそ、わたしたち教員は、心を育む教育について、真剣に考えていかなければなりません。
 家庭教育力だって二極分化にあると思うのです。
そうであるなら、それだけ、なおみさんがなさっているような教育力も含め、公教育がしっかりしないといけないのではないか。そういう思いでおります。ともに、がんばりましょう。
(ごめんなさい。『学校の教育力も二極分化ではないか。』と言われそう。)

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