2008年12月30日

一人ひとりを見つめて! 学級だよりから

633a3d37.JPG 今年最後の記事となりました。これまでと変わらぬご愛顧を賜り、厚くお礼申し上げます。

 世は、学力低下論争から始まり、ついには全国学力調査結果の公表で大騒動です。

 そのような折、教育の原点を見つめていただくのも、意義あることかと存じます。

 教育にとって何が大切かをお考えいただくよすがにしていただければ、幸いです。


 というわけで、

 わたしのかつての学級だよりを紹介させてください。

 1年生担任でした。

 7月のたよりです。

 本物は、全員、実名で掲載してありますが、ここではもちろん仮名とします。ただし、アルファベットを超えてしまうので、明日の紅白歌合戦に出場する歌手の名前を拝借することにしました。



 それでは、どうぞ。よろしくお願いします。


青山 4・5月は内気で、ほとんど声を聞いたことがなかった。あるとき、「toshi先生。今日はマスク、持って来たよ。」と、後ろの席から大きな声で報告してくれた。にこにこしてとてもうれしそうだった。それからは、青山さんの声を聞かない日など、まったくなくなったよ。

秋川 わたしが給食のたよりに、「秋川」と書く。栄養士のA先生の返事には、「雅史君」とある。完全に名前を覚えられたね。なぜか。秋川さんはいつも「給食、全部食べたよ。」と報告しているから。返事には、しょっちゅう、『いきいき』『はりきり』『パクパク』の言葉がある。   

秋元 給食室の見学をした。見学後、感想を絵や文にかいた。「給食室には何であんなに水道があるの。」とてもいい問題提起だ。みんなで考えた。給食が大量に作られていることに結びつく、いい話し合いができたね。秋元さんのおかげでいい勉強ができたと、みんなで喜んだ。

五木 上記秋元さんの問題提起について、「野菜についている土を洗うため。」と発言。他の子から、「土なんかついてないもん。」物議をかもした。さっそくみんなで聞きにいく。調理員さんのBさんに答えてもらった。土がついてくるのにはジャガイモがあるとのこと。五木さんの生活経験が、見事に生きた。

石川 朝会や集会の終了時、音楽に合わせて昇降口に向かう。石川さんはそういう時、実にいきいきと行進する。手足がよく動く。そして、いつも笑顔だ。石川さんのように大きな子は手足がなかなか音楽に合わないものなのだが、張り切っているからリズムにのるのだね。

北島 朝会や集会が始まる前、『早く並びなさい。』という意味で、いつも音楽がかかる。そういうとき、にこにこしながら足踏みをしている北島さんの姿が見られる。一番前で目立つだけにとてもうれしい。教頭先生も感心していられた。「とっても楽しそうだね。しかも、いつまでもやっているよ。」

大塚 大塚さんは保健係。つい最近、『保健だより』を書いてくれた。それを見たとき、大塚さんは新聞係だったかなと錯覚してしまったよ。絵と文でとてもしっかりかけていた。クラスへの呼びかけもあったね。みんなも、大塚さんの呼びかけにしっかり応えようね。

北山 おうちでの自主的な勉強を張り切って持ってくる。最初のうちはわたしに見せていたけれど、校長先生が健康を回復され、出勤するようになると、お祝いを兼ねて、校長室までそれを持っていった。校長先生からほめてもらったみたい。校長先生も、とても喜んでいらっしゃいました。

川中 国語の、『先生、あのね。』を書いていたとき、初めは、「何を書いていいか分からない。」と言ってきた。わたし、何気なく、給食を全部食べたときのことを言ったら、川中さん、ニコッと笑い、すぐそのことを書いてきた。やっぱりとてもうれしい思い出だったのだね。

木山 「給食のお代わりは、わたしがよそってあげた量だけにしてね。」人気メニューのときの話。そうしたら、「toshi先生は、ぼくたちより量が多いじゃん。お代わりも多いの。」と心配そう。「よし。わたしも、お代わりはみんなと同じ量にしよう。」木山さん。安心したみたい。とてもうれしそうだったよ。

倖田 お姉さんが2年生。放課後同じ服装で校庭に遊びに来た。そうしたら、保健のC先生。ふたごと間違えちゃった。仲良しなんだね。翌日はお姉さん、風邪を引いてお休み。国語の、『先生、あのね。』には、お姉さんの健康を気遣っていることを書いたよ。やっぱり仲良しなんだ。再確認。

東方 下校中、出張するわたしと出会った。「わああ。」と声を上げながら、全力で走ってきて、「先生。さようなら。」と手をふってくれた。入学後、どちらかと言うと、おとなしい感じの子だっただけに、このいきいきとした表情が、うれしかったなあ。

伍代 牛乳アレルギー気味だった。ある日、友達にはげまされながら、牛乳を全部飲んじゃった。その日の夜、家で湿疹が出ちゃったんだって。それ以来、半分に減らし、ゆっくり飲む量を増やしていった。そうしたら、全部飲んでも大丈夫となった。友達と伍代さんの努力だ。

徳永 入学してすぐは、縄跳びが苦手だった。体力づくりが始まったころは、ちょっと嫌がる姿も見られた。でも、がんばった。今では、連続で何回もとべる。「縄跳びが好きになったからとべるようになったんだよ。」と言う。この言葉、うれしかったなあ。

小林 「先生、昨日は初めて、氷川さんのうちに遊びにいったんだよ。」それから、2・3日たったら、今度は、「今日は、徳永さんちに遊びにいくんだよ。」と報告してくれた。放課後は、校庭でも友達何人もと遊ぶ姿が見られるようになった。ここのところ、急速に友達の輪を広げている感じがする。

坂本 放課後、用事もなさそうなのに、校庭側のドアから職員室をのぞきこみ、「あっ。toshi先生、何やっているの。いけないんだ。」でも、底抜けの笑顔と、あどけなさで、職員室にいる先生、みんな、にこにこ楽しそうに聞いていた。「かわいいなあ。」と言いながら。

氷川 友達にとってもやさしい。友達がこまっているとき、はげます意味で、声をかけてやっている場面が何回もあったよ。みんな廊下へ出て並んでいるのに、なかなか出てこない友達がいたとき、その子のそばへ行って、肩に手を置くようにして、はげましてやっていたっけ。

天童 「先生。ごめんなさい。」と言って、いきなりわたしにしがみついてきた。どうしたのかなと思ったら、国語の教科書を忘れてきたと言う。そのくらいのことで涙を流さんばかりにしている姿を見て、いじらしくなっちゃった。反省する心が豊かなのだね。もちろんその後、まったく忘れ物はありません。

平井 最近とても表情が豊かになってきたよ。だから、美人に見える。大人っぽい表情と言ってもいいかな。「お姉ちゃんがめだかを取ってきてくれたので、持ってきたの。とっても小さいから、よく見ないと分からないよ。」そして、よく面倒をみている。

中島 とってもユーモアがあるんだよ。水泳でシャワーを浴びたとき、「ああ。傘を忘れてきちゃったよ。」と言って先生方を笑わせた。その言い方がかわいらしかったなあ。あどけないだけではないよ。人をくったところもあって、ちょっととぼけたような味もあるのだよ。

布施 最近とても明るくよくしゃべるようになった。このまえの、『花の道』の載っている学級だよりを配ったとき、それを見て、「ばんざあい。ぼくのも載ってらあ。」と言って、喜んでいた。積極的になったので、授業での発言も増えてきたよ。このままがんばってね。

中村 雨の日の休み時間に校庭へ出た。理科の勉強だ。そうしたら、中村さん、びっくりした顔をして、わたしに訴えた。「大変だよ。プールの水があふれている。もうすぐこぼれそう。」ありがとうね。言わずにはいられないというその心情がうれしかった。でも、排水されるから大丈夫。

前川 発表力抜群。いい発表をたくさんするよ。ちょっと口をとんがらせて、訴えかけるような表情が印象的。自分の思うことだけでなく、友達の意見に対し、賛成、反対の意見もよく言う。友達の発言もよく聞いているから、言えるのだよね。『話す・聞く』能力がすばらしい。

浜崎 音楽の時間、自分から希望して、一人で歌った。「ささのは さらさら 〜」七夕の歌だ。歌声がとってもきれいで、特に高い音がすてきだった。輝くようにすき通った歌声で、よくひびいていた。思わず聞きほれちゃった。『美空ひばり』が生まれ変わったかと思ったよ。

美川 入学したころはよく友達といさかいを起こした。でも、それは、真剣に生きている証拠のような感じだった。ところが、最近は、めっきり落ち着いた感じで、言い争うような声をまったく聞かなくなった。友達と仲良くなったし、心に余裕が出てきた感じだ。

平原 理科の学習で、雨の日の休み時間に校庭に出た。多くの子が長靴で水たまりに入ったとき、平原さんは入らなかった。「あたりまえじゃん。ぼく、長靴じゃなかったんだもん。」でも、これ、あたりまえじゃないんだよ。何人も長靴でないのに入っている。その判断力をほめた。

水谷 席が一番前。わたしが手紙やプリント類を列の分わたすと、いつも大きな声で、「ありがとうございます。」って言うよ。えらいなあ。わたしも思わず、「あっ。また、感謝されちゃった。うれしいなあ。こちらこそ、ありがとう。」って言うよ。

藤 水谷さんと似ているけれど、藤さんは、「さようなら。」をした帰りのときに、「先生。今日も一日、わたしたちにいろいろ教えてくれて、ありがとうございました。」って言うよ。最初言われたときは、びっくりしちゃった。こんなこと言われたの、初めてだったからね

森 とってもかわいいなあと思うときがある。それは、発表するとき、にこにこしながら、頭をちょっと斜めにして、はっきり言うのだよ。はずかしそうな、あまったれたような感じがまたいいんだなあ。『十』の読みをやったときも、「うちのお母さん、テレビを見るとき、ジッチャンネルって言うよ。おかしくなかったんだね。」

藤岡 ちょっとはずかしいと思うと、すぐ涙が出てしまった藤岡さん。それが、最近は、『あっ。泣いちゃうかな。』と思うようなときでも、そんなことはなく、とても素直に話が聞けるようになった。おなかが痛いと訴えてきたのに、そのまま掃除をがんばったときもあったっけ。心が強くなったね。

森山 外で遊ぶのが大好き。友達と遊ぶのも大好き。だから、友達は多いのではないかな。すぐカッとしてしまうときもあるけれど、あと、さっぱりしているところがいいね。だから、仲直りがすぐできる。友達の発言をよく聞いていて、すぐ反応するところもいいよ。

水森 給食の片付けのとき、2組の前の廊下に、肉団子の汁をこぼしてしまった。そのとき、D先生がふこうとしたら、さっと動いて、D先生より早くふいたよ。自分がこぼしたのだから、D先生にやらせるわけにはいかないと思ったのだね。えらいなあ。なかなかできないことだと思ったよ。

和田 入学直後からみると、とっても口のきき方がおだやかで、かわいらしくなったよ。心がゆったりとしてきたからではないかな。終わりの会などでは、友達のいいところもたくさん教えてくれるよ。特に女の子のいいところを言ってくれる。ずいぶんやさしくなったね。


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 ああ。なつかしいなあ。

 もう一回担任をやりたくなりました。

 紅白出場の歌手の皆さんには、お名前を勝手に拝借し、申し訳ありません。

 紅組も白組も、がんばってください。 

 それでは、読者の皆さん、よいお年を。


rve83253 at 23:27│Comments(2)TrackBack(0)学級だより | 児童観

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この記事へのコメント

1. Posted by たけや   2008年12月31日 22:01
素晴らしい学級だよりですね。こんなすてきな学級だよりをもらったら、親としては「ああ、一人ひとりをしっかり見ていてくださるのだな。」と感じることでしょう。
少しでも近づけるようにがんばって行きたいと思います。よいお年を。
2. Posted by toshi   2009年01月02日 07:32
たけやさん
あけましておめでとうございます。本年も、よろしくお願いします。
 この学級だよりは、けっこう反響を呼びまして、美空ひばりとか、美人とか、ジッチャンネルとか、けっこうのちのちまで、保護者が話題にしてくれることが多かったです。
 子ども同士のつながりが密なせいで、保護者もけっこうクラスの子のことを知っていたものですから、初めて訪れる友達がいると、『ああ。あの、〜ちゃんね。』というかたちでも、話題となったと聞きました。
 うれしかったです。このたよりがさらに、つながりを密にしてくれるという側面もありました。

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