2009年04月26日

全国学力・学習状況調査実施(3−1)国語編4

6e2f6463.JPG ああ。年1回の本シリーズも、3回目を迎えることとなった。

 今年も、ある地域を除いては、平穏のうちに実施されたようである。

 ある地域とは、ご多聞にもれず、大阪のこと。


 橋下府知事はまたまた、『豊中市教育委員会は、関東軍。』などと言ったようである。

 一度言ってすぐ撤回することの多い知事だが、このことについては、繰り返し言っているようなので、わたしはあえて申し上げるが、『橋下府知事こそ関東軍だ。』と断定する。


 かつて、拙ブログで記事にしたことがあるので、それに補足するかたちで書かせていただくが、

・国の方針に従わず、勝手に公開(侵略)へ突き進んだのは、橋下知事であること。

・ある種の雰囲気から、高い支持を得ていること。

・国も優柔不断で、断固たる措置をとらず、あるいは、とれず、事実上、暴走を許してしまっていること。

 以上の理由で、橋下知事こそ関東軍なのであり、国の状況も含め、実にそっくりなのである。


 一方、豊中市教育委員会はよくやっているのであり、

 これは当たり前のことだが、当時の関東軍各部隊で、軍上層部の命令に逆らったものはいないわけで、そういう意味からも、関東軍などでは決してない。


 日本を敗戦に追い込んだ関東軍。橋下知事が、その二の舞にならなければ幸いだ。
 
 とにかく、これまでもさんざん記事にしてきたように、子どもが最大の犠牲者なのであるから。


 もう一つある。

 『橋下・大阪府知事:学テ結果公表、「狙いは騒ぎ」と幹部にメール』とある。

 そうだったのか。騒ぐことが目的だったのか。開いた口がふさがらない。

 こともあろうに、教育に、騒動を持ち込むとは。

 わたしは拙ブログに、『狂騒』『狂騒』と、『競争』をもじって書かせていただいてきたが、これはもう、子どもたちの前に、謝罪しなければいけないね。



 ああ。ごめんなさい。わたしとしたことが、ついむきになってしまった。

 本記事は、そのようなことを書くのではなかった。学力調査問題の検討、分析をするのだったね。

 

 それでは、気持ちをとり直し、まず、分析結果から概略述べてみると、

〇今年もおおむね、PISA調査の影響を受け、良問が多いようである。

〇すなわち、子どもの生活を大切にし、そこから生まれる事象をもとにつくった問題が多い。

〇だから、正常に機能すれば、授業改善に資する力は大きいものがあると考える。

〇しかし、一つ、判断を留保したい点がある。



 それでは、本日は、同調査問題の国語をとり上げてみたいと思う。


 最初は、国語(A)


〇単純な知識を問う漢字の読み書き


 すぐ上で評価したのだが、この点はいただけない。

 せっかく、PISA調査の心を大切にしているのに、なんで、ずっとこの出題を続けているのだろう。


 昨年はまだよかった。同種の問題はあったが、それに続いて、『開場』と『会場』にかかわる問題があり、これは、どちらを選択すべきかを問いながら、該当する漢字を書かせる問題だった。


 こちらを大切にしてほしいと思っていたら、それはなくなり、単純な漢字の読み書きのみが残った。


 さらに、新しくローマ字の出題があったが、そのこと自体は評価するものの、やはり単純な知識を問う読み書きであることには違いがない。

 以上、この点だけは、PISA調査とは無縁な問題となっている。 


〇4番はおもしろい。


 一見、理科の問題かと思うようである。

 しかし、これは、実験の目的なのか、注意なのか、方法なのかを問うようになっているなど、やはり、国語の問題なのだ。そこに理科的な知識がないと解けないというものではなく、良問といっていいであろう。

 特に途中、間違った予想を書いており、その点でもおもしろい。


 言葉を変えれば、社会、理科などの授業でも、国語力を養うことを現場に求めているといえないだろうか。

 もっと言おう。逆もあるのだ。国語の授業だって、社会、理科の学力を大切にする必要がある。

 まさに、これは、教科横断の総合的な学習を指向しているといえよう。


 また、これは、過去記事にも関連する。

 リンク記事の下の方、『〇教育行政の努力についてもふれられている。』からに着目してほしい。そこにある香川県の取組を思わせる。

 全国学力調査は、国語と算数のみだが、その活用問題を解くにあたっては、社会、理科にも力を入れないといけないということで、香川県では、社会、理科の調査も実施することにした。


 ああ。全国でこのような取組を見せれば、全国学力調査も有用なものになるのだけれどね。


〇7番も良問だ。


 これは、特別活動と関連する。もし、学級会をあまりしていない学級があれば、解きにくい問題となるのではないか。生活経験にないからだ。

 また、学級会をよく開いていても、多数決主義の学級会に終始していれば、これも、子どもは、『どうしてこの進行がいいのだろう。』と思うばかりで、やはり解けなくなるかもしれない。


 また、この問題のような、国語の『話す・聞く』は、実は、作問しづらい領域である。

 よく音声を聞かせての、単純な聞き取り問題になっていることが多い。

 その点、この問題は、思考力も必要とするし、また、後で述べる点と異なり、自由記述もとり入れていて、わたしは、良問と判断する。


〇9番は、PISA型の問題そのものだ。


 これは、『書』をとり上げている。しかし、特別、『書』の知識を必要とするようにはなっていない。『書』の知識は問題文に書かれているからだ。

 ここでも、わたしは、過去記事の、『PISA調査問題には、問題が・・・?(2)』を想起する。

 このころお世話になっていた、大阪府の元の高校の校長でいらした神原敬夫氏が、コメントをくださったのだった。
 
 上記、リンク先記事の後半のほう、『さて、ここからは、全般的な考察に移る。』の箇所だが、同氏の主張を引用させていただいている。

 そこには、

『問題に答えるのに科学の知識は殆ど必要ありません。まして、科学の論理などは影も見えません。15歳としての常識を持ち合わせていれば十分です。』

とある。

 それをもじらせていただければ、

 『問題に答えるのに、書の知識はほとんど必要ありません。まして、書の心などは影も見えません。小学校6年生としての常識を持ち合わせていれば十分です。』

となるだろうか。

 もっとも、これは、PISA調査とは違い、別に、『書リテラシー』などとうたっているわけではない。しかし、『せっかく書の問題を出しているにもかかわらず、書の知識を必要としない問題でいいのか。こんなのは学力調査に値しない。』という指摘は、ありうるかもしれない。

 ありうるかもしれないが、

 神原氏は真剣に問題を検討吟味されているのだが、多くの結果主義者は、問題も見ないで批判するから、このようなことは言わないのだよね。



 さて、ここで、国語(B)に移らせていただこう。


〇1番の2は問題だ。


 PISA調査の影響を受けながらも、日本的な意味での妥協を感じる。

 先ほどの、(A)の7番は、文字通りの自由記述だった。しかし、ここでは、自由記述のように見せながら、内実は違う。

 だから、問題文に矛盾を起こしているとわたしは思う。


 『あなたならどのような内容を書きますか。』と聞いている。それなら、書く内容は子どもにゆだねるべきだ。つまり自由記述だね。そう問うている。

 それなのに、すぐ、『次の条件に合わせて書きましょう。』とくる。条件は実質2つある。もうこういうことを書いてしまうと、自由記述とはいえない代物になってしまう。

 ここは、問題文の、『調べて分かったことを書きました。』だけで、十分であろう。


 作問者の気持ちは分かるのだ。

 正答率を上げるため。それに間違いない。


 しかし、過去記事を思い出してほしい。再度紹介させていただくが、今度は、記事の前半部『〇まず、岩手県のある小学校の例。』からをごらんいただきたい。

 原文のまま引用させていただくと、

 国語で『二つの感想文を読み比べて、共通する良い書き方を2点記述しなさい。』という問題があった。子どもたちの解答を見ると、『思ったことが書かれていてよかった。』『いっぱい書いてあってよかった』など、答えになっていなかった。

とある。

 だから、この学校は、その後真剣に、授業改善に取り組むこととなった。その姿勢は、すばらしいものだったと思う。


 しかし、今回の、親切すぎる(?)問題からは、このような課題は見えてきにくいと思われる。


 ここにも、正答率アップ至上主義の弊害が見られる。安易な学力アップ策だ。


 橋下さんよ。あなたのやっていることは、このような弊害ももたらす。反省してほしい。

 しかしながら、安易に妥協する作問者の姿勢も問題だよね。


〇4番はおもしろい。


 これも、PISA調査の影響を色濃く受けている。

 国語力崇拝主義者(?)からは、批判されるような問題だ。だって、文章に即して解く問題ではないものね。

 今度は、体育の授業と関連する。繰り返すが、こうした他教科との関連を重視する姿勢は、評価できる。まさに、『実生活重視』そのものだ。

 体育のゲームの授業では、こうした作戦図なるものはよく使われる。わたしが多用したのは、お菓子の箱の裏を使う。そこにコートを書いておき、一人ひとりの動きは、丸い小さな磁石を使い、それを動かして示す。

 これも、そういう授業を経験していない学級にとっては、難問となるだろうね。図の読解だけで苦労するだろう。やはり、授業改善に役立つというものだ。



 以上、おおむね良好だが、なかには問題性もある今回の問題だったと思う。本記事では、1つずつとり上げて書かせていただいたが、そういう評価できる点や問題点は、けっして1問だけに限定されるものではなく、他の問題にも言えることを付記させていただく。


 なお、本日は、国語だけで、いっぱいになってしまった。申し訳ないが、算数は次回にさせていただこう。


 最後に、現段階で言える考察を3つほど。


〇よく、『学力調査の結果は、そのまま学校の指導力を示すものではない。塾へ通う子の多い地域では、学校の指導力とは無関係に結果はよくなるであろう。』と言われる。

 それは間違いない。確かに言えることだ。しかし、今回、同調査問題をふり返るとき、子どもの実生活重視は、そのまま、塾の指導とは無関係な問題も多々あることにつながっている。そのことに気づかされるのではないか。

 少なくとも、受験用学力ではないし、そういう意味で、私学の採用が少ないのは、むべなるかな。目指す方向が違うのだね。

 でも、納得しているわけではない。逆に一部私学の指導の問題性を感じるのだ。

 そういう意味での作問者の苦労のほどがうかがわれる。


〇子どもの生活重視。その姿勢は、わたしが日ごろ主張する、問題解決学習ともつながる。がんらい、問題解決学習でいうところの問題は、子どもの生活からうまれる問題そのものなのである。

 その点を主張した過去記事はいくつもあるが、今、そのなかの一つにリンクさせていただこう。

    学習問題とは(4) 社会科全国大会の思い出

 もとより、本調査問題が、問題解決学習と深くかかわるなどと言いたいわけではない。むしろ、子どもの生活重視、本リンク記事なら、身近な地域重視となるが、その点でかかわるに過ぎない。


〇ちょっと日ごろ主張している点と矛盾するかもしれないが、あえて言わせてほしい。

 実用的学力を問うのはいいが、それに傾斜がかかりすぎ、いわゆる、『文学』から遠ざかる傾向にあるのは、いかがなものか。

 教科書でも、物語が減る傾向にある。読書好きの子どもを育てるのも、国語の大事な使命ではないのか。

 本調査に、それらしき問題が皆無なのは、問題提起として、特にふれておきたい点である。


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 本記事にかかわることでは、KGさんやとびうおさんからも、コメントをいただいています。それにかんしてのわたしの考察も、次回にまわさせていただきます。すみません。お待たせしっぱなしで。

 冒頭、あまりにカッカしたものですから、ついよけいなことも書いてしまいました。これもお詫びします。どうも、すみませんでした。 

rve83253 at 10:14│Comments(0)TrackBack(0)国語科指導 | 全国学力調査

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