2009年05月04日

小1プロブレムの心配は?(2)4

9a360b30.jpg (1)の続き。

 さて、話は、わたしの1年生学級担任時代にさかのぼる。

 そのころは、前記事に書いたように、

 4月は、第1週が2時間目まで。第2週が3校時まで。第3週が4校時まで。そして、午後の授業や給食は、5月から。

 それが常識だった。


 だから、長女だって、かつて、そういう1年生時代を過ごしてきたわけだ。

 
 ところが、前記事の長女との話の続きだが、

「そうだったの。ぜんぜん覚えていないわ。・・・。でもさ、あのころは、土曜日だって授業があったじゃない。

 今は、土曜日がお休みになっているから、その分、授業がふえたように感じるだけで、ほんとうはふえていないのではないかなあ。」

「まあ、全体としては、今でも、当時より少ないだろうが、でも、月から金の間がハードになっていることは間違いない。」 

「そうか。まあ、そう言えばそうだね。」

「なんだ。あんまり問題を感じていないようだな。それなら、はるえもんさんのブログを読んでごらんよ。」



 ところで、読者の皆さんの多くは、1年生に、4月当初から午後の授業も行うようになったのは、新学習指導要領のせいと思われているだろう。

 しかし、それは、半分当たっていて、半分は当たっていないのだ。少なくとも、わたしはそう思う。


 
 それを説明するために、

 上記、4月の、ある意味、のんびりした時間の組み方が変わっていった経過から、話を進めよう。



 それは、わたしの校長時代のことだ。

 ある日、教育委員会から、地域の小学校長会に打診がきた。

 『新1年生も、4月から給食を開始することはできないだろうか。』

 当時、我々は無理ということで一致していた。


 その理由。

〇1年生の4月は、子どもが学校生活になれることが一番大切。

〇現行のように、徐々に授業時数をふやしていっても、入学当初の緊張から、疲れのたまる子は少なくない。だから、徐々に時間数を増やしていく取組は、子どものために必要である。

〇それに、学校になれるための学習がたくさんある。

〇学級づくりは当然のこととして、ロッカー、トイレの使い方、昇降口の使い方、体育着などの着替えや始末、道具の出し入れ、登下校の指導、防災頭巾の使い方や避難訓練などの安全指導、上級生との交流など、など。それらで目いっぱいだ。

〇給食開始は、それらが一段落ついた5月からが当然で、現状でいい。


 しかし、翌年の教育委員会はもう、容赦なかった。4月からの給食開始は、至上命令のようになった。

 我が地域はどうだったか忘れたが、このことが、市町村長選挙での候補者の公約になった地域もあった。


 なぜか。

 都会においては、子どもを取り巻く家庭、社会環境が激変してしまった。

 子どもが下校しても、家庭に誰も居らず、子どもが一人ぼっちになってしまうケースが急増したのだ。共働きの関係だね。


 当時、保護者の思いは、次のようなものであったろう。

「幼稚園では、給食はもちろん、午後まで子どもを預かってくれる。それなのに、子どもを学校に入学させたとたん、なぜ、11時などという早い時間に下校となってしまうのだろう。

 だから、家庭で昼食を用意しなければならない。

 5月からは給食があるからいいのだが、4月中だけは、子どもをあずかってくれるところをさがさなければならない。見つからない家庭では、長時間、子どもは一人ぼっちで過ごすことになる。

 なんとか、4月初めから、給食が出るようにしてもらえないだろうか。」


 放課後学童クラブの充実ともに、この4月からの給食開始、そのための4時間授業が、教育現場に求められるようになった。教委からの至上命令(?)は、こうした保護者のニーズに、応えるものであったのだ。


 さあ。わたしは、校長として、これを教職員に理解してもらわなければならない。話した内容は、概略以下のようであった。


・もう、前述のような、『子どものため』『学校にとって、』という論理が通用する時代ではなくなった。

・ことは、教育問題ではない。社会問題になったのだ。現実に、子どもを早く下校させても、家で子どもが一人ぼっちで過ごすのでは、どんな教育論も通用しなくなってしまう。

・確かに、入学当初からの4時間授業は、子どもにとってきびしいものがあるだろう。だから、授業に、『遊び』の要素をうんととり入れてほしい。それは学校に親しむ上でも、学級づくりの面でも有効なのではないか。
 また、幼稚園とのスムースな接続という意味でも、効果があると思う。

・給食は確かに大変だ。だから、4校時の後半はもう給食時間にしていいだろう。また、一人の担任だけでは大変なので、級外の職員にお手伝いいただくのもいいし、保護者のなかにも、『お手伝いしていいですよ。』とおっしゃってくださる方もいるので、そういう方に応援をたのむのもいい。

 また、そこに教育的な価値を見いだせるなら、6年生に応援をお願いするのもいいと思います。

 以上だ。


 教職員の皆さんは、『積極的に賛成』というわけではなかったと思う。時代の変化を感じ、『子どものために』といっても、その中身が大きく変わってしまったことを感じ、了承したのではなかったか。

    (次回へ続く。)


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 さあ。今日の記事からわたしの言いたいことは何か。

 それは次回に譲らせていただきましょう。

 今日は、あまり、小1プロブレムそのものにはふれませんでしたが、小1プロブレムなどといわれるようになったのは、これ以後ですし、今日の記事とまったく無関係というわけにはいかないようです。 

rve83253 at 13:59│Comments(2)TrackBack(0)教育制度・政策 | 教育風土

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この記事へのコメント

1. Posted by しれとこまま   2009年05月10日 20:35
こんにちは。シリーズ拝見させていただいています。都会の小1は大変ですね。
次男の小学校は、4時間目の後半から給食を食べるのを最初の1週間はしていました。時間の配分がわからないからだそうです。
いつもは、全校で食べる給食も、その間は教室給食でした。
6年生に長男がいるため、とても頼りになっていますが、授業参観などに冬は一緒に行っていたりして、先生とも顔見知りですしスケート練習もしていましたので、すっかりなじんでいます。入学前の12月には、1・2年生の授業参観の体育に特別参加したりしたくらいです。
田舎は田舎ならではの問題もいっぱいあります。競争がなくのんびりしているのがいい反面、社会に出た時についていけなくなってしまったりします。
しかし、小学生にはいいのかもしれませんね。
2. Posted by toshi   2009年05月11日 02:42
しれとこままさん
 うん。初めは、やはり、4時間目の後半は給食でいいと思いますよ。配膳までに恐ろしく時間がかかってしまうと思うのです。
 この時期、何でもやるのは初めてですから、準備や片付けの方が、大変なのですね。
 入学前から学校になじんでいるというのも、すてきですね。やはり、都会でも、こうした取組は大事かなと思いました。

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