2009年05月15日

学校だよりへの想い(16) 代表委員会をめぐって4

616e4990.JPG 久しぶりの本シリーズである。

 本シリーズでは、学校だよりがたんなる、地域・保護者へのサービスではなく、学校運営を盛り上げるうえで、大切な手段の一つになりうると、書かせていただいている。

 そして、今日とり上げる学校だよりは、その目的が多岐にわたっていると感じられる。




 それでは、まず、本文から、どうぞ。


 ある日、一人の先生が、興奮してわたしに話しかけてくれました。

「校長先生。今日の代表委員会はすばらしかったです。これまでもよく意見を発表する子どもたちだと思っていましたが、今日はそのなかでも格別なものがありましたね。」


 代表委員会というのは、保護者の皆さんが小学生だったころもあったと思います。本校の場合4年生以上ですが、各学級から選ばれた代表委員が2名ずつ、それに各委員会の代表と計画委員が一堂に会し、学校全体にかかわることを議題として話し合うものです。

 この日は、『1年生を迎える会』について、どのような会にしたらいいかを話し合ったのでした。


 別な先生方も、続けて言ってくれました。

「とにかく感動しました。どの子も人の意見を聞いて、うなずいたり、質問したり、つぶやいたりと、全体が一つになって真剣に考えているのです。その空気がとてもあたたかくて、うれしくなりました。」

「そうなんです。その背景には、1年生を思う気持ちがみんなにあったのではないでしょうか。どうしたら1年生が喜ぶか、そういうことを考えて発言するので、感動的な話し合いになったのだと思います。」

「歌う曲を決める話し合いがありました。『1年生が歌えるドラえもんがいい。』という意見が出ると、別な子が、『小さな世界がいいよ。これなら2年生以上もなじんでいて、しかも、1年生でも歌えるでしょう。』というように、話し合っていきました。」

「それだけではなく、ダンスを決める話し合いでは、一人の子が実際に踊ってみせたのです。そうしたら、全員が踊りだして、それに共感し、決めていきました。『こういう動きなら、1年生でも大丈夫だね。』『そうだね。』というようなやりとりも聞こえました。」


 そうした話をそばで聞いていた、A教頭先生、

「それは、もとになる、各学級での話し合いが充実していたからでしょう。だから、代表委員会にも切実感をもって参加するし、そのおかげで感動的な話し合いになったのではないでしょうか。」


 わたしは、そうした先生方の話し合いを聞きながら、特別な感慨にひたりました。と言いますのは、

 昨秋、地域・保護者の皆様を対象にして、学校運営に関するアンケートをお願いしましたね。

 そのなかには、

『本校の子どもたちは、明るくやさしく素直で思いやりもあると思いますが、大人の指示を待ってばかりいて、自ら問題を発見したり、自分たちの力で解決していこうとしたりする力は弱いのではないでしょうか。』

という意見が少なからずあったのです。これは、我が地域でも言っている『生きる力』『自己教育力』にもかかわりますね。

 しかし、うれしいことに、『そういう力も身につけつつあるな。』

 そう思ったのです。


 今、総合的な学習の時間が誕生しようとしています。本校では、今年度、教科の学習の総合化の研究に取り組みますが、知識中心の学習のほかに、子ども自らが課題を持ち、自分たちで追求、解決していこうとする力も養おうとしています。

 上記の事例からは、こうした力も育ちつつあるなと感じます。


 そして、さらに思うこと。

 これは、上記事例から学ばせていただいたことなのですが、生きる力も、自己教育力も、根底には、『人(1年生)を思う気持ち』があるのですね。そんなことを強く印象づけられました。


 先生方に言われてしまいました。

「校長先生。今度ぜひ、代表委員会にいらしてください。」
「そうですね。見せていただきましょう。楽しみです。」

 ほんとう。これまでうかがわなかったことを申し訳なく思いましたし、『子どもの育ち』に関して、教員の自信も見え、たのもしさを感じました。



 学校だよりは以上だが、


〇まず、地域・保護者へのサービスであることには変わりがない。

 代表委員会という組織が、学校において、どういう教育的な価値をもっているのか、地域・保護者の方はなかなか分かりづらいものがあるだろう。

 しかし、本事例のようなことがあったときは、それを説明させていただくチャンスだ。だって、何事もないときに、『代表委員会とは、〜。』という記事を書いたって、それは無味乾燥で、あまり読んでいただけないものね。

 感動とともに語らせていただければ、読者である地域・保護者の皆さんは、たとえ我が子のことではなくても、関心をもって読んでいただくことができる。



〇素直に感動

 
 わたしが知る限り、だいたいの代表委員会は、仏頂面の子どもたちが並ぶ。なぜか。

・放課後、多くの子どもたちは帰ってしまったあとで、代表委員だけが残されて話し合っている場合が多い。

・議題の多くは、子どもたちにとっては話し合う必然性がない。実質、教員が決めた議題であって、子どもたちにとっては、どうでもいいような内容が多い。

・子どもたち同士が、あまりなじみがなく、特に他学年となると知らない子が多いから、どうしてもよそいきの気分になってしまう。

・各学級からの意見、提案があり、それを受けて代表委員は発言するわけだが、代表委員にとっては、どこまで自分の学級の意見を主張していいか、その判断がなかなかつかず、むずかしい。
 特に、代表委員会の話し合いのなかで、自分の学級の意見は妥当性がとぼしいと感じてしまった場合、主張を変えていいかどうかの判断は、学級によってはかなりむずかしいだろう。

・いきおい、活発な意見交換が期待できないケースもふえ、その場合、担当教員が、一方的に話してしまうようになるのではないか。


 そんなわけで、本記事のように、担当教員が興奮してわたしに報告してくれる、その気持ちは、痛いほどよく分かった。

 子どもたちの主体的、積極的な取組が、すごくうれしかったに違いない。


 この記事の中で、わたしが一番感動したのは、
《ダンスを決める話し合いでは、一人の子が実際に踊ってみせたのです。そうしたら、全員が踊りだして、それに共感し、決めていきました。》
の部分だ。

 このようなことは、ふつう、上記、(・)に書いたようなことが理由で、考えることもできない。すごい子どもたちだと思った。


〇教頭先生の存在

 このときの教頭は、特別活動担当の指導主事だった方である。だから、代表委員会の指導に関しての専門家である。そして、そのことは、PTAの役員など一部は知っていても、大部分の地域・保護者の方はご存じない。

 ただでさえ、教頭という存在は、名前すら覚えてもらえない影の薄い存在

 だから、おたより等を通し、その仕事内容も含め、よくPRしたいものである。

 これは、養護教諭、事務職員、調理員、用務員など、すべてに共通している。

 今、それらに関する記事にリンクさせていただこう。なお、『民間人校長を迎える前に』なる記事では、地域・保護者にPRしたと書いてはいないのだが、これは、そういうPRもさせていただいたことを付記しておきたい。

   ・民間人校長を迎える前に

   ・学校だよりへの想い(8) 説明責任も楽しく


〇アンケートへの回答

 地域・保護者の方に、『学校運営に関するアンケート』をお願いした。その回答はすでに出しているが、そこには、『課題となる部分は、今後の努力目標とさせていただきます。』などと書いている。

 その努力目標。本記事の内容は、それが、まさに達成された瞬間ということもできよう。それなら、それをタイムリーにお知らせするに限る。

 そういう意味でのうれしさもあった。

 
〇自分で自分を追い込む。

 校長という存在は、一種、孤独な存在と言われる。

 だれも、意見を言ってくれない。だから、常に、自分で自分を点検し、自己反省すべきはして、『自分』を保持する必要がある。

 その一手段としては、

 自分で宣言してしまうことだ。『〜させていただきます。』と、多くの方の前で言い切ってしまう。自分で自分を追い込むのだ。


 正直、子どもが踊っている場面など、わたしも見たかった。

 しかし、それはもう、後の祭り。

 校長というのは、出張もあり、不意の来客もあり、予定がたつようでいてたたない部分もある。そこに、『甘え』心が生まれる要因がある。しかし、宣言してしまえばね。もう、やるしかない。

 
 この場合、教員の皆さんからお願いされてしまった。それも含めてたよりに書くことにより、よけい、自らの『いい加減な心』を許さない効果も生まれるというものだ。


 にほんブログ村 教育ブログへ
 ninki



 近年、我が地域では、折々に、教頭先生が、学校だよりの記事を書く学校がふえているようです。

 これはでも、わたしはあまり賛成しません。

 確かに、教頭先生のお名前を覚えてもらえるし、教頭先生の人柄とか、考えていることが分かってもらえるという点は感じられますが、やはり、全保護者、地域の方とふれ合うことのできる大事な手段なのですから、校長として大切にしたいと思うのです。

 でも、こだわりません。

 そうしたわたしの思いを、子どもたちが許さなかった事例もあります。

 そのときは、教頭先生にもご活躍願いました。ただし、おたよりの話ではありません。

    前例主義あれこれ

rve83253 at 06:10│Comments(0)TrackBack(0)学校経営 | 特別活動指導

トラックバックURL

コメントする

名前
URL
 
  絵文字