2009年06月11日

運動会、あれこれ(1) 代表委員会の議決を経て4

4799c2e2.JPG かつて、運動会は秋に行うのがふつうだったが、今は、どうなのだろう。我が地域は、今ごろの実施がふつうとなった。これは、全国的に言えることなのだろうか。


 ところで、つい最近、ある保護者の方からメールをいただいた。とても楽しいメールだった。

 それでは、その一部だけですが、どうぞ。



 昨日、子供の小学校の運動会でした。

 〜。一般男女(ほとんどは、青年男子と小学生の母親)参加の競技もありました。

 そのため、本日は筋肉痛。特に、小学校児童とその母親との綱引き「母の底力」で、腕がとても痛いです。

 普通は、負けてあげるのでしょうが、かなり本気です。滑り止めの軍手を持参して、真剣に引きます。去年・一昨年は勝ちました。(大人気ないといわれますが)
母親は負けないのだ。まだまだ強いのだというのを見せなければならない!

 しかし、その気配を察して(毎年ですが)子供の後ろには、青年部が何人も着いています。

 子供に加勢がついて、今年は負けてしまいました。

 〜。


 引用は以上です。


 なんか、ほほえましい情景が目に浮かぶようだ。


 実は、この、子ども相手に本気を出すのがいいか、それとも、子どもに花を持たせてやるのがいいか、

 これに関連して、わたしにも楽しい思い出がある。

 本記事では、それを紹介させていただこう。



 と、申し上げながら、急に話を変えてしまうのは、申し訳ないのだが、ご了承ください。


 代表委員会の話し合いを本気モードでということは、先日記事にさせていただいた。

 同記事にも書かせていただいたが、代表委員会での話し合いを活気あるものにするには、やはり、子どもにとって切実感、必然性のある話題を提供することが大切だ。


 わたしには、この代表委員会の議題について、気になるところがあった。

 我が地域に過ぎないのかもしれないが、

 運動会をめぐっては、議題が、きれいごとというか、おざなりというか、子どもが夢中になって話し合うものになってはいないのだ。


 多くは、運動会のスローガンを話し合うのだった。

 たとえば、『赤も白も力を出し切って、勝利にむかい、がんばろう。』など、

 各クラスで出し合った原案をもとに、子どもたちの声で決めていく。

 正直のところ、見ていると、『大人が子どもにスローガンづくりをやらせている。』そんな感じがすることもあった。子どもにとっては、夢中になるような、あるいは、むきになるような、そんな話題ではなかった。

 また、各学級バラバラな案を持ち寄るため、代表委員会での話し合いが、難渋することもあった。そういうとき、子どもたちの表情からは、『どうだっていいや。』と思っているフシが感じ取れた。


 その一方で、

 採点競技をどうするか、勝ち、負けそれぞれを何点にするかなどは、職員会議で、大人が決めてしまうのだった。

 わたしがかねがね思っていたのは、

 これを、『子どもたちに決めていいよ。子どもたちにゆだねよう。』としたらどうだろう。子どもは真剣に話し合うのではないだろうか。

 たとえば、

・団体種目は、勝ち、負け、それぞれ、〇点。
・個人競技は、点数に含めるか。含めるなら、〇点。
・職員競技、PTA・来賓競技は、点数に含めるか。

など、子どもたちが決定する。それで不都合は何もないはずだ。


 しかし、それを口にしたことはなかった。それは、校長になっても同様だった。

 だって、職員競技、PTA・来賓競技などは、子どもがかかわる種目ではないということで、採点競技とはしないことが、どこでも常識化していたからだ。

 それに、子どもたちが決定するということは、毎年、採点法を変えてしまうことにもなりかねず、それでは、安定性を欠くということもあったであろう。


 しかし、ある年、それを口にできる場面がやってきた。

 我が勤務校の教員の何人かが、

「代表委員会の話し合いが、いまいち盛り上がらない。」
「どうしたらいいのだろう。」
などと、話している場に遭遇したのだ。

 そこで、わたしは、我が持論を展開することにした。

 
 そこにいた教員たちは、『なるほど。』と思ったようだ。感心してくれたものもいた。

 そこで、職員会議で、係はそのように提案した。要するに、
・採点にかかわることは、職員会議で決定しない。
・代表委員会の議決にゆだねる。

 そういう提案だった。


 多くの教員は、驚いたようだ。

 『反対ではないが、〜。』と前置きし、しかし、疑義の念を言うものもいた。

・公平にいくだろうか。
・毎年代表委員会で話し合うことになるのか。議決の安定性をどう考えるか。
・引き分けを認めるのか。その場合は、大人、子ども、どちらが決めるのか。
・毎年、採点法が変わると、混乱しやしないか。保護者から不満の声がでるのではないか。

 保護者への説明については、わたしが話した。

「PTAの会合や学校だよりなどを通し、わたしから説明します。子どもが決めたことならと、保護者は納得してくれると思いますよ。」


 そうして、原案通りとなった。


 代表委員会での話し合いはおもしろかった。

 子どもたちは、真剣に、むきになって話し合っていた。

 特に、職員競技、PTA競技については、賛否両論見事に分かれた。

「子どもの運動会なのだから、今までのように、採点からはずすことにしていい。」
「子どもだけだったら、赤が勝っていたのに、大人の種目で逆転して白が勝ったらつまらない。」

「そんなことはない。わたしたちは、職員競技やPTA・来賓競技だって、必死になって応援している。それなのに、これまでは採点されなかったから、勝ってもがっかりした。採点されないのは、つまらない。」
「まちとともにあゆむ学校と言っている。だから、まちの人にもお世話になっている。また、先生方にも、いろいろなことを教わっている。だから、やる以上みんな採点競技にしたほうがおもしろい。大人の人にも楽しんでもらえる。」

 
 決をとることになり、採点競技とすることになった。


 PTAの皆さんも、最初は驚いたけれど、でも、子どもたちが決めたことならと納得したり、もうそれじゃあ張り切らざるを得ないと喜んだり、様々な表情が見られた。

 この年の同種目は綱引きだったけれど、例年をはるかに超えた参加人数となった。そして、子どもたちの応援も必死になった。もう、大変な盛り上がりをみせた。


 おもしろかったのは、職員競技だった。

 運動会後の反省会は、このことをめぐって、ものすごいやりとりが見られた。多くの教員が、それこそムキになった。言葉はすごかったが、でも、雰囲気は和気藹々としたものだった。ものすごいやり取りそのものが、楽しかった。


 運動会の運営全般をつかさどる体育主任が口を開いた。

「いやあ。『職員競技やPTA・来賓競技を採点種目にしたのは、あんがいいい面もあるなあ。』と思ったのですよ。点差が少し開いている場合は、大人の種目で調整することができる。僅差にもっていけば、最終種目の紅白リレーは、ものすごい盛り上がりをみせるだろう。そう思ったのですよ。

 だけどね。職員の赤組は、そんなことに無頓着で、真剣にやっちゃったじゃないですか。だから、僅差どころか、勝っていた赤がさらに勝っちゃった。そのため、紅白リレーの盛り上がりは、まったくなくなっちゃったですよ。」

「そうですよね。大人気ないというか、せっかく盛り上がるチャンスだったのにね。あんなに真剣にやることはないじゃないですか。手を抜けとまでは言わないけれど・・・。」

 そのように攻撃された赤組の職員は、それこそ、むきになってやり返す。

「何言っているのですか。せっかく採点競技になったのですもの。血も涙もないって言われたって、真剣にやらなければダメですよ。」
「そうですよ。わざと負けるなんてねえ。」
「そんなことしたら、子どもに見抜かれますよ。」


 さあ。読者の皆さんはどちらを支持されますか。

 まあ、わたしは、ニヤニヤして教員同士のやり取りを聞いていました。ちなみに、わたしは、負けたほうの白組でした。


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 スローガンのきれいごとと、少し関連すると思いますが、教員の思いと子どもの思いにはギャップがありますね。

 教員の最大関心事は、子どもの真剣味、全力を出し切ることの喜び、集団演技の美などでしょうか。

 しかし、子どもはなんと言っても勝負です。最大の目標は勝つことでしょう。

 これは認めてあげなければいけません。『勝ち負けにこだわらず、〜。』などと大人は言いますが、これに無理があることは承知しておかなければなりません。 

rve83253 at 03:15│Comments(6)TrackBack(0)特別活動指導 | 学校経営

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この記事へのコメント

1. Posted by yoko   2009年06月11日 12:30
私の住んでいる地域では、秋の実施が多いように思います。娘の学校は3学期制ですしね。市によっては、3学期制で運動会春実施や、2学期制で運動会秋実施のところもあります。
ところで、どうして秋から春へと移行したのでしょうか?

≪しかし、子どもはなんと言っても勝負です。≫そうですね。娘は、前の学校の友達と運動会の話しになると真っ先に勝った負けたで盛り上がっています。競技も勝負がかかるリレーが走る側も応援する側も一番盛り上がりますね(*^_^*)それで、団結力を実感できるのかもしれませんね。

そういえば、先日道徳の授業の中で「言われた事をするだけではなぜいけないか」と先生が質問していました。「自分で考えて行動した方がもっと楽しくなるから」と答えている子がいました。

きっと楽しい活気溢れる運動会だったのですね。(綱引き、お疲れ様でした)
2. Posted by しれとこまま   2009年06月11日 13:31
今回のこのお話の先生方、素敵ですね。
やっぱり、大人だって一生懸命を見せること、大事だと思います。最近では、みんなで一緒にゴールしたりして勝負つけないとか聞きましたが、やっぱり本気になること大事じゃないかな。
接戦になるとワクワクするし楽しいけど、わざとすると子供ってわかると思うし。
必ず「赤勝て、白勝て、どっちも勝て」そんなの無理ですし。先生方の気持ちはそうかもしれませんが、保護者は自分の子供が居る方が勝ってもらいたいです
6年生の長男のクラスは、カードを引いて出た条件の人を客席から連れてきて、二人三脚でゴールする、と言う競技をしました。
事前に「家族」が多いと先生からお知らせがあり、全家族スタンバイして(靴はいたりして)待ってました。
家の子は「自分の家族」でしたので、私が出ましたが、「○○さんの家族」の人もいて、その子のお母さんは立ち上がり出ようとするし、子供は「違う違う」と言うし、別のお母さん連れてくし。
兄弟で二人三脚してこける子はいるし、頭はたいてるし。
楽しかったですわ〜。
まだ、筋肉痛はとれません・・・。
3. Posted by toshi   2009年06月12日 06:25
yokoさん
 秋から春への移行についてですが、我が現職最終校においては、次のような理由でした。
・地球温暖化の影響でしょう。9月はものすごい残暑の季節となり、連日の練習も含め、体力的に気になることが多くなりました。それに比べると春はいい陽気なのですね。
・二期制への移行の影響もあります。9月は学期末となりました。
・逆に春にしたくない理由としては、新1年生の入学直後であることが上げられます。
 しかし、これ、地域・保護者等も含め、各学校の考え方ですから、理由は他にもいろいろあろうかと思います。

 運動会。楽しかったです。特に、わたしがかかわっている中学年の種目を中心に見せていただいたのですが、張り切って楽しそうに演技しているのが印象的でした。
4. Posted by toshi   2009年06月12日 06:33
しれとこままさん
 うん。やっぱり、保護者の皆さんのご意見は、『あくまで本気で。』というのが多数派でしょうかね。
 わたしも、『うまく調整しよう。』などというのは、子どもに分かってしまうと思います。それに何年か続ければ、『うまく調整しようとしているな。』というのは、保護者にも見抜かれてしまうでしょう。
 おもしろいなと思いました。必ずしも自分の家族と組むとは限らないのですね。きっとほほえましい情景がいっぱい見られたことでしょう。
 筋肉痛の件とは違いますが、走る競技など、子どものためのトラックはカーブがきついですし、大人の方が本気を出されると、けっこう転倒してしまうと思います。どうぞ、気をつけてくださいね。
5. Posted by しれとこまま   2009年06月12日 19:17
toshiさん、ご心配ありがとうございます。
さすが、地域の運動会。ご年配の方も出ますので、一般競技は、全部ストレートなんです。
親が参加した競技は、グラウンドを横切ったりして、きちんとしたコースはないんですよ。
二人三脚のスタート・ゴールがあるだけで。大体、土手の上にある客席から飛び出てくる母親達・・・。一度見に来ていただきたいです。
6. Posted by toshi   2009年06月13日 13:28
しれとこままさん
 すごい。全部ストレートですか。
 なんか、想像もつきません。きっと野性味豊かなのでしょうね。見せていただきたくなりました。

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