2009年07月06日

小1プロブレムの心配は?(続・番外編) 3

37dae012.JPG ちょっと緊急にお知らせしなければいけないことが起きた。

 それは、2ヶ月ほど前に掲載していた『小1プロブレムの心配は?』シリーズに関連するからである。


 同シリーズの連載中に、どうして調べておかなかったかと、今、悔やまれる。

 大事なことに気づいていなかった。読者の皆さんには、大変申し訳なかったと思う。

 ごめんなさい。



 というのは、

 これまで、新旧の学習指導要領の比較検討といえば、現行と新の間で行うのみだったけれど、

 今回、わけあって、今の小学生の保護者世代の方々が小学生だったころの学習指導要領とくらべてみたのだ。そうしたら、愕然とすることがあった。


 当時、わたしは初任者。

 だから、分かっていていいはずだったのに、つい先日の記事の、『小中学校では、いまも「号令」をしていますか。』の号令同様、まったく忘れていた。

 はずかしいことに、今回の、30年前の学習指導要領を見て、『ああ。そうだったなあ。』と、はっきり思い出すことができた。


 むかしの学習指導要領とは、昭和46年度施行の学習指導要領をさす。これは、昭和54年度まで実施された。


 ちょっとわき道へそれるが、

 この学習指導要領で思い出すのは、社会科に『神話が復活する。』と、戦前回帰が騒がれたことである。


 さて、それでは、新学習指導要領を、30年前のそれと、授業時間数でくらべてみよう。

 そう。本記事で問題とするのは、授業時数である。


 そして、まずは、お断りだが、

 単純に、表に示された時数だけではくらべられない。

 それは、新が、特別活動(学級会など)を時数に計上しているのに対し、30年前のそれでは、学習していながら、時数には計上していないなどということがあるからだ。

 だから、toshiがいろいろ勘案して、できるだけ時数に含まれる教科領域をそろえて比べるように努めた。


 その結果分かったことは、


〇まず、総授業時数だが、

・現在、土曜日すべてが休日となっているにもかかわらず、低学年の総授業時数は、当時とほとんど同じだった。

 ということは、単純に考えれば、むかしの土曜日の4時間分が、月〜金に移されたことになる。

 もっとも、ここでも単純にはくらべられないのであって、完全に4時間移されたとはいえない面がある。実際は2〜3時間が移されたということかもしれない。

    
〇もう一つ、分かったことがある。そして、このことこそ、『小1プロブレム』の問題に深くかかわるのではないか。総授業時数より、深刻な問題と言えるかもしれない。

 それは、教科領域等の時数を比較検討して、分かったことだ。


・当時、1年生だけ、音楽と図工は週3時間、年間では102時間あった。それが、昭和55年の改訂で現行の週2時間、年間では68時間と減らされてしまう。

・次は、国語と算数をみてみよう。

 国語は当時238時間、算数は102時間だった。それが、今回の新学習指導要領では、国語306時間、算数136時間となる。国語がものすごく増えていることに気づかれるだろう。

 
 以上、3点について、

 どうだろう。

〇『小1プロブレム』などという言葉もなかった30年前。そちらの方が、よほど、幼稚園、保育園との接続を考慮していた。そう言えるのではないか。

 だって、接続を考えた場合、音楽、図工は、とても重要なこと、どなたも異存はないよね。

〇それに対して、国語、算数の時数増。これはもう、すさまじいものがある。

 小学校へ入学したとたん、いきなり、席に着き、じっと先生や友達の話を聞いているという、そういう時間がものすごく増えることになる。  

〇音楽、図工同様、接続を考えた場合重要視されていい、体育については、これはもう、むかしから、週3時間確保されているので、問題はない。


 さあ。

 そもそも、拙ブログの、『小1プロブレムの心配は、』なるシリーズは、はるえもんさんの、『学習指導要領改定で小1プロブレムは深刻化しないか???』なる記事がきっかけだった。

 この記事に、


 〜。

 子どもたちに負担とストレスが増せば、学校で「落ち着かない子」や「ついてこられない子」が今以上に増えるのではないかしら?

 そして先生にも余裕がなくなれば、「落ち着きのない子」や「ついてこられない子」に、ゆったりと構えていられなくなる。悪循環にならなきゃいいのですが・・・。

 〜。

とある。

 もう、今年の4月は通り過ぎてしまったけれど、

 ああ。わたしも、かなり心配になってきた。


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 保護者の方は、ご自分が1年生のときの授業時間数など、もう覚えていらっしゃらないでしょうね。

 ということは、本記事を読まれて、わたし同様、愕然とされた方もいらっしゃることでしょう。

 どうも、国は、今の小学生を、きびしい状況に追い込んでいるようです。

 『ゆとり』。この言葉がなにやらなつかしく思い出されます。


 さて、最後に、冒頭の写真を説明しましょう。これは、本記事にかかわっています。

 今年度、各学年とも、授業時数とともに、学習内容も増えました。そこで、従来の教科書だけではたりず、国は、補助教材を配布することにしました。増えた学習内容がそこに示されているのです。

 

rve83253 at 02:07│Comments(6)TrackBack(0)教育制度・政策 

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この記事へのコメント

1. Posted by 中   2009年07月06日 10:12
お久しぶりです。
高学年の話になりますが、
昔は毎週必ずあったクラブ活動も、
今では年に10回できたらいいほうだと、
学校側から聞きました。
クラブの時間が算数に変わったりと、
やはり急な単位数や内容の増加と、
週5日制は、やはり無理がありますね。

しかも、昨今の小学生は、
お稽古事が多く、放課後も忙しい。

うちも今年から週3回は5時前から、
お稽古に通うようになりましたが、
9時までに寝させようとすると、
本当に予習、復習の時間がない。

宿題は、お稽古までにやらせています。
勉強する時間も削られれば、
遊ぶ時間も減りました。
お稽古は減らすべきかなと考えています。

学力向上のために一つ改革しても、
その他、環境が以前と同じならば、
しわ寄せがどこかに来てしまう。
難しいですね。


2. Posted by しれとこまま   2009年07月06日 21:06
私が小学生の頃(昭和40年代後半)。
ゆとりがないとは決して思わなかったです。
また、詰め込まれてるとも思わなかったです。
あの頃は、中学受験とかも今ほど無かったからか、塾も習い事もあまり行かなかったからか・・・。
むしろ、土曜日の半日でゆとりがあったような気がします。
土曜日、帰って家でお昼を食べて、吉本新喜劇を見るのが楽しみだったなぁ。
今は、この田舎でさえ、ゆとりが見えません・・・。
3. Posted by toshi   2009年07月07日 02:20
中さん
 学校の授業時間数と学習塾、習い事などとの関係については、最近、取りざたされることが多いですね。
 子どもの生活にゆとりがなくなったと言われます。
 わたしは、家庭の責任において行われている学習塾、習い事に関して、とやかく言う立場にはないのですが、一般論で言わせていただければ、当たり前のことなのですが、
『子どもの生活をご覧になって、減らした方がいいと思われるなら、やはり減らしたほうがいいでしょう。』
『その塾なり、習い事なり、どんな指導法をとっているか、我が子に合うか、などは、よく吟味された方がいいですね。』
『遊ぶ時間が不足しがちなら、確保に努めることは大切でしょう。でも、ご近所に遊び仲間がいないのなら、これはむずかしい問題と言わざるを得ません。ごめんなさい。要領を得なくて。』

 
4. Posted by toshi   2009年07月07日 02:20
今のクラブ活動は、内容としてはあるのですが、時数には計上されていません。まったく学校の自由裁量です。
 何時間やるかは学校に任されています。我が地域では、年10回という学校はあまりないと思います。だいたい15回から20回くらいはとれていると思います。

 ちなみに、クラブ活動だけでなく、委員会活動、学校行事などの時間数は、学校が主体的に決めているため、それらを加味した総授業時間数は、学校ごとに異なる場合があります。
5. Posted by toshi   2009年07月07日 02:44
しれとこままさん
 当時は、今と比べると、低学年と高学年の授業時間数の差が、大きかったと思います。
 なぜなら、高学年を、今と比べると、
 当時の5・6年生は、土曜日も授業日である上に、他はほとんど6時間授業だったため、
 今は、土曜日の分だけ、減らざるをえないわけです。
 低学年のように、土曜日の分を他の曜日に移すとなると、一日7時間授業になってしまいますからね。
それはいくらなんでも無理と言うものでしょう。
 当時は、はっきり申して、学習内容過密の時代です。高学年など、授業時間数も一番多かった時代ではないでしょうか。高度経済成長下で、おさえるべき知識・技能はどんどんふえていったのです。
 その反省のもと、昭和55年以降、授業時間数は減っていきます。
6. Posted by toshi   2009年07月07日 02:53
 当時の中学受験については、
 わたしの経験の方が、異常だったのでしょう。
 わたしは、初任時代、受験教育推進校(こんな言い方はありません。皮肉をこめて言っています。)にいました。 当時の経験は過去記事にあり、本コメントのHN欄に貼り付けさせていただきました。
 そんな学校にいながら、わたし個人はどう過ごしていたか。ご覧いただけたら幸いです。
 でも、一般的には、しれとこままさんがおっしゃるように、受験は今ほど多くはなかったでしょうね。

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