2009年08月02日

ああ。壮大なムダづかい3

aca207ce.JPG 昨夕、報道特集NEXTを見た。『文教予算バラまきの怪』とある。

 国のずさんでいい加減な予算編成をとり上げていた。ここまでひどいのかとあきれる思いだった。


 ご覧でない方のために、どんな放送だったか、まずその概略を述べてみよう。

 
 最初、子どもたちの野外体験宿泊学習の様子が写されていた。湖だろうか。グループで楽しくボートをこいでいる場面だった。どの子も、うれしそう。力の限り体をつかっているのが印象的だった。


 今、地方教育行政府の多くは、子どもたちの自然体験を中心とした学習のできる宿泊施設をもっている。そして、それらの施設では、学校ですることのできない、野外炊飯、農業体験、自然観察、工芸教室など、多彩で、体全体を使う学習が繰り広げられている。どれも、子どもたちの、興味・関心をそそるものばかりだ。


 しかし、近年、その多くが、存亡の危機のなかにある。ご多分にもれず、どこも財政難なのだ。
 施設・備品等が老朽化しているのに直したり補充したりすることができないとか、指導員、事務員などが減らされているとか、挙句の果てには、今年度中に閉鎖せざるを得ないとか、そういう窮状が紹介されていた。


 他方、ご承知のことと思うが、数ヶ月前、国は不況対策と称し、巨大な補正予算を成立させた。

 そして、文科省関係では、太陽光発電パネルとか、電子黒板とか、そういったものに集中して予算を執行することを決定した。わずか十数日の限られた日程での決定だった。


 要するに、各地方教育行政府、学校、教員などの要望をきくこともなく、国は一方的に、自分たちの胸三寸で決定したのだ。

 なお、悪いことに、これらの決定には、役所の天下り団体がからんでいる。自分たちの存在意義、利権などのために、全国一律に決定する。

 そういう仕組みになっている。

 概略は以上だ。



 わたしは、あ然とした。

 どうして、地方教育行政府、教育現場の要望を聞こうとしないのだろう。

 そんな巨額を使わせてくれるのなら、各地域には、上記の例の通り、切実な要望項目があるはずだ。



 実は、冒頭の野外体験宿泊学習だが、

 これは、我が地域においても、ほとんどの学校が実施している。わたしの現職中も、もちろん行っていた。子どもたちは、学級、学年の仲間とともに、雄大な自然に身をおき、そこでしか体験できないことを学ぶ。貴重な学習である。

 それだけではない。こうした体験を通して仲間との連帯、きずなを深めていく。

 子どもたちの喜々とした表情、身のこなしなど、今もまぶたに焼き付いている。


 わたし自身の思い出もある。

 我が地域において、こうした施設をつくろうと計画したのは30年前だった。そして、その構想を練るため、野外体験宿泊施設建設のための委員会が持たれた。

 わたしは、社会科を代表する立場としてその委員に委嘱された。

 各教科領域の代表とともに、子どもたちのために、どのような施設にしたらいいか、どんな体験学習ができるか、一年間かけて検討した。わたしは、社会科関連として、農業体験であるとか、伝統的な技術を生かした工業の体験であるとか、そういったものを提案させていただいた。

 そうした経験があっただけに、その後、自分の学校の宿泊体験学習についていくのも、何ともいえない楽しさがあった。自分たちが計画し提案したものによって、子どもたちの狂喜するくらいの喜びが生まれる。それは、快感にも似た喜びだった。



 ああ。だから言うわけでもないが、今回の補正予算は嘆かわしい。片や、存亡の危機にあるというのに、太陽光発電パネル、電子黒板か。しかも全国一律に。



 それらが教育的に無価値とは言わない。

 上記、番組も、文科省に取材していた。そこでは、エコ、環境教育などという言葉がおどっていた。

 しかし、各教育現場には、現場としての優先順位というものがあるよね。『そういう予算があるのなら、〇〇に使わせてほしい。』そういった要望は必ずあるはずだ。

 なぜ、それをきかないのだろう。


 時間がなかったのか。

 自分たちの利権を守りたいためか。

 いずれにしても、教育こそ、地方分権でなければならないのに、相変わらずの中央集権か。

 
 さらに、言いたいことが2つある。

・国がやっていることは一点豪華主義のように思える。それに対し、地方の要望を受け入れるということは、広く浅く経済を支える。不況対策というなら、どちらがよりましなのだろう。わたしは後者のように思う。

・一口にムダと言っても、いろいろなムダがある。

 次に述べるもう一つのムダは、

 一つ一つの事業に、一般常識では考えられないくらいの巨費がとうじられるということだ。

 これは、すでに、全国学力調査実施のときに述べた。我が地域でも、学力調査を長年にわたり実施してきたが、その〇倍ものお金が全国版では使われている。


 
 ああ。今の日本は、江戸時代後期によく似ていないか。

 江戸時代の莫大なムダは、大奥であった。

 今、それは、巨大な天下り団体であろう。

 江戸時代は、享保、寛政、天保の改革とあった。

 今、それは、小泉改革か。そして、ここ数ヶ月の政治は、『元の田沼のにごり』に似ているか。


 ムダにムダを重ね、ますます巨大化する赤字国債。

 『借金を子や孫の世代に負わせるな。』と言う。


 しかし、それだけの負担かな。これは、わたしだけの心配かもしれないが、

 日本という国家が、リーマンブラザーズ同様の破綻に見舞われることがなければ幸いだ。


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 民主党の言っている16兆円のムダ。これは、おそらくほんとうでしょう。もっとあるかもしれません。

 随意契約を競争入札に変え、また、天下り団体を徹底して禁止するなどすれば、このくらいの額は出てくると思います。

 問題は、民主党が天下をとったとして、それをやり切ることができるかどうかですね。お手並み拝見といきたいものです。


rve83253 at 06:48│Comments(8)TrackBack(0)エッセイ | 教育制度・政策

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この記事へのコメント

1. Posted by きゃる   2009年08月02日 17:20
同感です。
太陽光発電パネルも電子黒板も必要かもしれません。
しかし、「体験活動」のための予算を優先してほしいと、
切に願います。
集団遊びや外遊びをしない子どもの成長がどうなるか、
さんざん研究をされているのに、どうしたことかと思いました。
2. Posted by toshi   2009年08月02日 17:59
きゃるさん
《太陽光発電パネルも電子黒板も必要かもしれません。》
 それはそうなのですよね。
 しかし、テレビを見る限り、どうも不純な動機があるなと思わざるを得ませんでしたし、中央がこのようなことまで決めてしまうことに、納得できないものがありました。
 とにかく決定までの経過が拙速だったことは否めないようです。
 あと、国と地方の連携があまりにもとれていないなというのも実感しました。
3. Posted by せきちゃん   2009年08月02日 18:04
一つの出来事から,理路整然とした記事に還付しながら読んでいます。

先日,本校に電子黒板が届きました。
残念ながら,思っていたものとは違い,海外製。

どうせ導入するのなら,どうして,国内品にしなかったのか不思議です。

体験学習。
本県は,5泊6日で行っていました。それが,4泊5日に。保護者からも残念だと声が上がりました。

予算や必要なものは,何かと言ったことについては,それを取り決める方々が,現場を知らなすぎるのではないかと感じます。と,同時に,その調査が入ったときに,良いところを見せ過ぎなのかとも思います。

数年前,文科省の役人が2日間に渡って,本校に視察に来ました。

そのための準備や掃除,入念にしました。

評価は高かったのですが,朝8時過ぎにやってきて,18時には戻ってしまう。

朝の登校指導や放課後の指導,それからの仕事ぶりを全く見ずに,帰りました。

私たちは,子どもが帰ってからも大変なのだと……。

教育は,長い時間がかかります。
だから,すぐ目に見える成果が欲しいのでしょうね。

そのツケ……いつやってくるのでしょうか……,もう来ているのかもしれませんね。
4. Posted by いちろう   2009年08月02日 18:09
組合系の者ですが、
教育現場もピラミッド型に組織され、
子どもたちと直接関わる先生たちが、
組織の末端となって、
上からの指示、上から押し付けられたハード内でしか、
教育活動ができなくなっているのでしょう。

まさに、地方分権的発想の逆を行く、
無駄を生み出すしくみを押し進めた結果でしょう。
日教組が崩壊の一途をたどっているのであれば、
どこかで、下からの、みんなの声を吸い上げるしくみが必要です。
5. Posted by toshi   2009年08月03日 06:23
せきちゃんさん

《先日,本校に電子黒板が届きました。残念ながら,思っていたものとは違い,海外製。》
 うわあ。もう届いたのですか。
 それにしても、外国製とはね。外国とのお付き合いがあるのでしょうかね。

《本県は,5泊6日で行っていました。それが,4泊5日に。》
 それはすごい。我が地域は、ほとんどの学校が行っているとはいえ、1泊か2泊です。
 ああ。でも、そういう問題ではないのですよね。 
 
《取り決める方々が,現場を知らなすぎるのではないかと感じます。》
 そうですね。わたしの経験からしてもそれは言えると思います。地方教育行政府職員で教員出身でない方の中に、現場を知ろうと努力されていた方もいらっしゃいましたが、それは少数でしたね。
 その一方で教育現場は、知ってもらおうと努力していたのですがね。

 でも、このあたりのこと、すごく大事ですね。ムダを排除するだけでなく、よりよい教育実践を保障する意味でも、子どものために大切なことだと思います。 
6. Posted by toshi   2009年08月03日 06:32
いちろうさん
《教育現場もピラミッド型に組織され、子どもたちと直接関わる先生たちが、組織の末端となって、上からの指示、上から押し付けられたハード内でしか、教育活動ができなくなっているのでしょう。》
 それではいけないと思います。こうしてブログをやらせてもらっていて感じるのは、いちろうさんのおっしゃるような傾向は、全国各地にあるようです。
 我が地域はそのようなことはないと思っていたのですが、退職後聞く話によると、じわじわとそうした波が押し寄せているようで、危惧する思いがあります。

《下からの、みんなの声を吸い上げるしくみが必要です。》
 我が地域の場合、しくみは一応あるのです。 それが形骸化しないようにがんばりたいものだと思います。


 
7. Posted by アンディママ   2009年08月04日 17:22
子どもたちのために「予算」を使うと言いながら
実はどこかの企業のためだったりすることが多すぎると思います。
本校のまだ使えそうなパソコンも先日一斉に処分されました。
学校に1枚のE黒板もどれだけ活用されるのでしょう・・・。
本市の教育関係者のネットシステムも使いたいときにフリーズしたり、取り出せなかったり。
どれほど時間を無駄にしたことでしょう、
最悪!!
地デジのせいで学校のテレビ買い換えですし・・
8. Posted by toshi   2009年08月06日 04:26
アンディママさん
 ほんとうに子どもたちのために使うなら、やはり現場の声を聞かないとダメですよね。
 効果的な執行をお願いするとともに、現場も、有意義な使い方ができるよう、努力しなければなりません。

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