2009年09月02日

民主党マニフェスト教育編(1) 『学校理事会』をめぐり、4

4d609f0e.JPG 民主党のマニフェストの教育関係の項目を読ませていただく。これがそのとおり実行されれば、大変な教育改革だ。

 わたしが、これまで、拙ブログに書かせていただいたことのかなりの部分が実現する。

 そういう意味では、『よくぞ。ここまで。』の感あり、身ぶるいするくらいである。



 それでは、本記事では、第四項目の

 保護者や地域住民等による「学校理事会」の設置

をとり上げてみよう。


 今、全文を、掲載させていただく。

 地方公共団体が設置する学校においては、保護者、地域住民、学校関係者、教育専門家等が参画する「学校理事会」が主な権限を持って運営します。学校現場に近い地域住民と保護者などが協力して学校運営を進めることによって、学校との信頼関係・絆を深め、いじめや不登校問題などにも迅速に対応できるようにしていきます。こうした学校との有機的連携・協力が生まれることは、地域コミュニティの再生・強化にもつながります。

とある。



 読者の皆さん、どうだろう。

 お読みになって、『ええっ。』と、驚かれたのではなかろうか。

 『学校現場に近い地域住民と保護者などが協力して学校運営を進める。』の部分だ。

 逆ではないかと思われたのではないか。教員にしても、市民の方々にしても、

 『学校長をはじめとし、教職員が一致団結し、子ども主体で、子どもがいきいきと学ぶことができる学校運営を進めることによって、地域住民、保護者との信頼関係・絆を深め〜。』

 これなら素直に読める。

 そう思われたのではないか。



 もしそうなら、認識を変えていただくよう、お願いしたい。



 裁判員制度も始まった。下記、初めのリンク記事にあるのだが、

 日本国憲法の特色である『主権在民』は、ますます実質化していく。

 学校とて、その例外ではないのだ。


 これにかかわる拙ブログ過去記事は、次のものがある。


〇この記事は、同党マニフェスト『学校理事会』設置の理念をわたしなりに解釈したものである。

    真の主権者は?
 
 
〇次に、この、『学校理事会』に似たものは、すでに多くの学校で設置され、機能しているのであるが、それにかかわる記事である。

    学校評議員制は機能しているか

 ここでいうところの、学校評議員制とは、同党マニフェストでいうところの『学校理事会』の前身と言ったらいいだろうか。


 学校理事会は、地域・保護者などが学校運営の主体者とされるのに対し、

 学校評議員制度は、あくまで、学校運営の主体者は校長を中心とする教職員、つまり、学校にあるのである。

 そして、学校評議員制度は、現在、多くの学校がとり入れているはず。


 ただ、ここでお詫びだが、

 わたしは、上記、『学校評議員制は機能しているか』の記事のバナーの下に、


 この学校評議員会は、全国の公立学校にあるはずのものです。もし、ご存知ないなら、それは、どなたかのブログにもあったように、現状、ほとんど機能していないということでしょうか。もしそうなら、こまった事態です。

と書いてしまった。


 しかし、これは勇み足だった。

 我が地域では、確かに、この通りだった。

 しかし、上記リンク先のウィキペディアにあるように、

 学校の設置者(教育委員会、学校法人、国立大学法人など)の定めるところにより、学校評議員をおくことができる。

であり、したがって、おかなくてもいいのだった。だから、『もしそうなら、こまった事態です。』は、ちょっと言い過ぎであった。

 申し訳ありません。



 というわけで、話を戻し、

 学校の一方的な学校運営から、

 地域住民、保護者の声をとり入れた学校運営へと進化し、

 さらには、地域住民、保護者が、学校運営の主体者になるという、


 まさに、この、第三段階が、民主党のマニフェストにうたわれたというわけだ。 



 ところで、ここまでは、やや抽象的で、具体的な学校運営の姿を、想像できないかもしれない。


 そこで、たとえばということで、一つだけ具体的な姿をイメージしていただこう。



 同党マニフェストには、『教科書の充実』という項目があり、そこには、

 〜。教科書採択にあたっては、保護者や教員の意見が確実に反映されるよう、現在の広域採択から市町村単位へ、さらには学校(学校理事会)単位へと採択の範囲を段階的に移行します。

とある。


 これはもう、わたしは、長年、希望してきたことだ。

 教科書採択は、だんだん広域化してきた。今は、市区町村ごとの採択であり、地方教育行政府が一括して決めてしまう。したがって、地域住民や教員の希望は反映されにくくなっている。

 教科書を使って授業、学習をするのは教員と子どもなのに、これはもう、おかしな話だ。

 学校理事会が、教科書採択の権限をもつということは、地方分権社会(この場合は学校分権だね。)における、実りあるやり方と言うことができよう。


 以上、わたしは、『感動』をもって同党マニフェストを拝読した。


 これが、数年以内に、実施に移されることを願う。


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 教科書採択の件ですが、わたしが教員になる以前は、学校が決定することができたのです。それが、教科書無償配布とともに、広域採択となってしまいました。

 しかし、それでも、教員の意見、希望は通っていたのです。それがいつごろからでしょう。地域による違いはあるのですが、今はまったく地域住民や教員の声はきかず、地方教育行政府が決めてしまいます。

 新制度(?)の下では、教員が、理事会に対し、教科書採択についての希望意見、あるいは、説明責任を果たし、理事会が決定するということになるのでしょう。

 期待したいと思います。
 
    (2)へ続く。 

rve83253 at 01:33│Comments(10)TrackBack(0)教育制度・政策 | 学校経営

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この記事へのコメント

1. Posted by ドラゴン   2009年09月02日 20:34
いつも勉強させていただいております。
学校理事会については、実は反対なんです。理想としてはよいかもしれませんが。
以前も書きましたが、教育は誰でも経験がある分、逆に危険があります。
大阪の例もあります。
最近、法学関係の方と議論しました。いわゆる「生きる力」は賛成ですが、小学校は、読み書きと計算練習で充分だと主張されて、問題解決型の学習は否定されていました。
一橋大学も出られて、社会的地位もある方です。人柄もすばらしい方なんですが、教育には一家言あるようで譲られません。もちろん、この方は、子どものことを考えてのことで、その根っこは、私たちとは変わりませんが、方法が違うのです。
こういう方が、学校理事会に入られると、学校は読み書きと計算の訓練所になってしまいます。
そういう懸念もあることを理解していただきたいと思います。
2. Posted by ドラゴン   2009年09月02日 20:35
私もここ数年、保護者としても学校と関わっております。PTAではありませんが、別の学校を支援する組織で、先生方のお手伝いをしております。幸いにして、その学校は、地域ともよいコミュニケーションをとっております。充分に地域に開かれていると思います。それは前任の教頭先生がすばらしい方だったからだと思います。校長先生も大物で、保護者対先生でソフトボール大会を開いたり、お酒を一緒にする機会を設けたりもしてくださいます。
結局、こういう事は、制度ではなく「人」なんだろうと思います。だからこそ、toshi先生のようなお考えを、ブログで広めていくことは、非常に大事だと思います。
3. Posted by ドラゴン   2009年09月02日 20:36
ただ、この機会にぜひご考えていただきたいことに、負の連鎖を断ち切るには、教育が欠かせないということなんです。ぜひ、民主党に力を入れてもらいたい。
負の連鎖で参考になるのは、次の記事です。
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/kyousei/security/20081007-OYT8T00386.htm
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/natnews/education/282732/
次の記事は、あまり賛成はしませんが、表をご覧ください。
http://plaza.rakuten.co.jp/wellness21jp/diary/200907300000/
日本は、他の国と比べると教育関係の費用が非常に少ないのです。

数年前、ある教育系の学会で、このような報告があり、衝撃を受けました。そして負の連鎖を断ち切ったのはやはり教育だというのです。普通の学校だけではなく、職業訓練学校の場合もあります。
愛媛大学の大内先生が指摘されていますが、子ども手当の支給よりも、高校の無償化など、教育費を無償化する方が大事です。子ども手当がどのように使われるかわかりません。働かない親の酒代になるかもしれません。子ども手当を支給しても負の連鎖は断ち切れません。いかに容易く教育を受けるようにできること(成人していても)が大事なのではないでしょうか。
4. Posted by toshi   2009年09月03日 02:08
ドラゴンさん

 学校理事会に反対したい理由。
 これは、もう、痛いほどよく分かります。ドラゴンさんが指摘された懸念は決してバカにできないものがあると思います。

 しかし、これが、全国的に喫緊の課題となってきた場合、それに反対することは、民主主義に反対することだというのが、わたしの思いの根本にあります。

 わたしが現職教員で、自分の学校にそのような理事がいたら、実践に携わるものとして、全力をあげて説明責任を果たそうとするでしょう。実践を見てもらうとか、資料を豊富に用意するとか、いろいろやると思います。

 また、今のわたしとしては、このブログを通し、側面から、そういう苦労をしている学校を応援したいと思います。

 でも、これは楽しい苦労になると思います。民主主義を実践することはそういうことだと思うからです。

 
5. Posted by toshi   2009年09月03日 02:08
今も、ドラゴンさんが指摘される実態はあります。全国学力調査の狂騒に巻き込まれているところはみんなそうだと思います。そして、それは強まる傾向にありますね。しかし、これは、現状では、権力によるもので、教員は無条件に従うことを余儀なくされています。
 これは、教員にとってむなしさ以外の何者でもありません。

 わたしは、最後は、主権者としての国民に信頼をおくしかないと思います。かわいい子どものことだから、子どもの幸せを願わない親(国民)はいないのだから、多くの国民は、まじめに真剣に考え、取り組んでくれるはず。

 これまでは『理想』でした。しかし、政権をとった民主党のマニフェストに書かれているのですから、これは『現実』の問題になりました。それこそ、裁判員制度ではないけれど、国民は、みんな真剣に議論しなければいけませんね。

 でも、この議論も楽しいはず。

 ドラゴンさん。真剣に議論しようではありませんか。きっと、議論することが楽しくなると思います。

6. Posted by toshi   2009年09月03日 02:20
 どのようにして理事を選出するか。

 これは民主党のマニフェストには書かれていません。

 わたしは、これはもう何となくですから、ばくぜんとした思いで、将来もっといい案が出れば、それに賛同しますが、

 今のわたしは、裁判員制度同様にやるのが一番いいと思います。無作為抽出です。

 地域住民代表は、地方教育行政府による無作為抽出。保護者代表は、学校による無作為抽出。学校関係者、教育専門家等も、同様なやり方を考えます。

 いやあ。このようなことを考えることも楽しいですね。


 なお、教育予算については、民主党マニフェストにあります。以下のとおりです。

 先進国中、著しく低いわが国の教育への公財政支出(GDP(国内総生産)比3.4%)を、先進国の平均的水準以上を目標(同5.0%以上)として引き上げていきます。学校教育に関連する公財政支出については、国内総生産に対する比率を指標として、予算の確保・充実の目標を定めなければならないとした規定を盛り込んだ「学校教育環境整備法案」が参議院で可決されました。引き続き同法案の成立を目指します。

 
7. Posted by ドラゴン   2009年09月03日 10:25
toshi先生

>ドラゴンさん。真剣に議論しようではありませんか。きっと、議論することが楽しくなると思います。

まさにそうですね。議論は勝ち負けでなく、議論によって新しい価値が生まれますし、理解が深まると考えます。だから、教科学習でも話し合いは不可欠なんですね。

toshi先生の理想は、賛同します。ただ、現実もあります。これをどう乗り越えるかですね。
無作為抽出という方法もあるかもしれませんが、これだと「学校なんていらない」という方も選ばれるかもしれません。

私も、無い頭を絞って考えてみます。
8. Posted by toshi   2009年09月04日 06:16
ドラゴンさん

 『学校なんていらない。』などという人がいるのですか。驚きました。

 でも、分かる気もするのですがね。

 発足したばかりの、『裁判員裁判』にしても、これに反対する人はいるわけで、そういう人が選ばれて、裁判中に、『裁判員裁判粉砕』などと叫ぶかもしれませんね。

 そういうとき、裁判所は、どう対応するつもりなのでしょう。

 それが分かると参考になるかもしれませんね。


 あと、理事同士でもめて、何も決まらないなどということもありえます。

 でも、これは、今ある学校評議員制においては、そういう学校の学校評議員会は廃止することができるとしています。
9. Posted by 渡辺敦司   2009年09月08日 14:33
お世話になります。いつも勉強させていただいております。
当該記事にも感服しました。マニフェストを積極的に受け止め、生かしていこうとする主体的な姿勢こそが今、教育界に求められているのだろうと愚考します。
拙ブログでは職業柄(?)懸念だけを示しましたが、最後のくだりは先生のご主張も踏まえて論述したつもりです。
今後も示唆に富むご提言、期待しております。
10. Posted by toshi   2009年09月10日 04:39
渡辺敦司さん

 ご愛読賜り、ありがとうございます。

 昨日、入稿した記事では、全国学力調査の調査問題を吟味しながら、自分なりの主張を展開させていただきました。
 なかなか、調査問題の質にまで踏み込んでの論調は少ないように思います。みんなで真剣に、教育のあるべき姿、この場合は、教員の質を高める方策という視点での議論ですが、それをしていきたいものだなと思っています。
《最後のくだりは先生のご主張も踏まえて論述したつもりです。》
 拝読しました。
 貴ブログ記事に刺激をいただきました。昨日入稿の記事は、民主党へメールで送らせていただこうと、勇気がわいてきました。感謝します。ありがとうございました。

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