2009年09月28日

感動的だった鳩山首相の外交デビュー4

30f2e7bb.JPG 今回の鳩山首相の国連総会、安保理における発言は、実に感動的だった。『かつて、日本の首相の発言に、こんなに感動したことはあったかなあ。』と、そんな思いにもなった。

 世界も同じ思いであったらしい。発言後、その感動を口にしたり握手を求めにきたりする各国首脳が相次いだ。

 日本人として、なにやら誇らしげな思いにもなった。


 その発言内容は、

 安保理での『核拡散防止』。

 総会での『温室効果ガス25%削減の国際公約』。

 
 双方とも、感動、かつ、大変重要な発言であったが、

 本記事においては、『核拡散防止』にかかわる感慨を書かせていただきたいと思う。

 ある意味、わたしは、近年、このことに関する日本人の意識の変化に、危機感を抱いていたし、また、教育に携わってきたものとしての反省もあった。

 そのことにふれながら、同首相の発言をとり上げてみたいと思う。


 まずは、その発言の要旨に、リンクさせていただこう。

    国連安保理:首脳会合 鳩山首相発言(要旨)


 このなかで、特に印象に残る言葉は、

「世界の指導者は、ぜひ広島・長崎を訪れ、核兵器の悲惨さを心に刻んでほしい。」

「日本は核開発の潜在能力があるのに、なぜ非核の道を歩んだか。

 日本は核の攻撃を受けた唯一の国家だ。我々は核軍拡の連鎖を断ち切る道を選んだ。唯一の被爆国として果たすべき道義的な責任と信じたからだ。」

「(日本の)近隣国家が核開発を進めるたびに「日本の核保有」を疑う声が(世界の国々から)出るが、それは、我々の強い意志を知らないがゆえの話だ。

 日本が非核三原則を堅持することを改めて誓う。」

など。など。


 そんなに目新しいことを言ったわけではないが、

・中学生でも分かるような、平易な言葉で呼びかけたことと、

・『「日本の核保有」を疑う声が(世界の国々から)出るが、』など、率直、かつ、聞き手の心にグサッとくるような言葉で呼びかけたことと、

・後述するように、日本人の核をめぐる世論が、変化しつつあるようなタイミングでの発言であったことと、

・これまでの政府も、非核三原則は言い続けてきたが、核密約問題で揺れているように、どうもすっきりしない状況のままできたことと、
 

 そんなことがあったから、明快で毅然とした発言が、感動を呼んだと思われる。はっきり、これまでとは一線を画していた。


 わたしの感動。それは、鳩山発言に抱いた安堵の思いと言ってもいいのだが、

 その背景には、前述のように、近年目立つ、一部日本人の、警戒すべき発言、論調がある。


 わたしは、ショックを覚えたのだが、

 先月の終戦記念日だった。NHKの「核:日本の、これから」なる討論番組を見た。

 その番組には、少なからず、日本人の核武装論者が登場していた。


 この番組には、被爆者の方もいらした。

 その被爆者の前で、

「日本は核をもっていなかったから、核攻撃をされたのです。当時核をもっていたらこのようなめにあうことはなかったのです。」

と話す、その言葉に、わたしは心の中で悲鳴をあげてしまったのである。

 『うわあ。このようなことを言う日本人が現れたか。日本も変わってしまったものだなあ。』と、驚きの念を禁じえなかった。


〇ちょっと、わき道にそれてしまうが、重要なので、あえてお許しいただきたい。

 この歴史認識は間違っている可能性が高い。仮定の話だから、『可能性』という言葉でしか言えないが、

・当時の日本は総力戦を展開していたことと、

・『一億玉砕』を叫んでいた日本の軍部だ。そして、8月15日前夜には、成功こそしなかったものの、事実クーデター騒動も起こした。一億玉砕に向かおうとする勢力もいたのである。

・こういう勢力がいったん核兵器をにぎれば、それはもう、ちゅうちょすることなく、すぐ、相手国に使用したであろう。そうなれば、日本だって・・・、

・当時の政府等に日本人を守る気持ちはなかった。日本という国体こそが大切なのだった。

 だから、核の抑止効果など関係なく、使用した可能性が高い。

 なお、『当時の政府等に日本人を守る気持ちはなかった』という点に関しては、関連する過去記事があります。紹介させてください。

    歴史を見る目を養う。
    

〇すみません。もう一つ、わき道です。

 これには、思わず、瞬間的に納得してしまったのだが、

「パキスタンとインドは、核を保有する前、紛争が絶えませんでした。でも、お互いに、核をもつようになってからは、抑止効果がはたらき、紛争はなくなったのです。したがって、核を保有すれば、核攻撃だけでなく、紛争も抑止できるのです。」

「北朝鮮の核の脅威に立ち向かうためには、日本の核保有は絶対必要です。」

 でも、これも、たぶんに疑わしい。これまではそうだったかもしれないけれど、『未来も大丈夫。』という保障はないものね。

 それに、『いったんテロリストの手に渡ったら。』という心配もある。



 すみません。大変長いわき道で、申し訳ありませんでした。

 ここからは、本論に戻ります。


 そんなわけで、

 だいたい、こういう場合、人間のやることは、科学的法則にのっとってはいない。『事実は小説より奇なり。』というように、何が起きるか、何を起こすか、分かったものではない。

 だから、核保有にしても、非核保有にしても、どちらも、絶対的に安全ということはないのだ。


 それなのに、同番組において、核保有論者の多くは、居丈高であり、感情的であり、また、非核論者を小バカにしているような態度もあり、そうした点はすごく気になった。


 そして、こうした、核保有論が日本でも市民権を得ていくのかと思い、

 さらには、『これまでの、戦後教育って、なんだったのだろう。』と、なんかとてもむなしい気持ちがしてきた。『核保有論者』の存在が、我が身にはねっ返ってきたのである。

 だって、核保有論者の多くは、我が教え子の世代のようだったものね。

 

 ちょっと話が飛躍し過ぎるかもしれないが、

 そして、そんな因果関係はないかもしれないが、

 わたしの立場で、また、わたしの勝手な思いのなかで、どうしても、学校教育への反省が、避けて通れなくなったのである。

 

 
 彼らが若い世代ということは、間違いなく、戦後教育が、そういう考え方を生んだのである。


 おそらく、戦後教育で、『日本も核を保有すべきだ。』などと教えた教員はいないであろう。

 そうなのだ。

 何を教えたかが問われるのではない。

 どのような指導法だったかが問われるのだ。

 
 わたしは、これも過去記事に書かせてもらった。

    いわゆる『平和教育』 

 拙ブログでいつも申し上げるように、大人の必要感により、一方的に教え込む指導(?)はむなしいのだ。

 教えたとおりに育つかもしれないし、育たないかもしれない。学ぶ側に反発心があれば、当然逆効果にもなる。
    

 教員の自己満足の平和教育では、真の平和を手に入れることはできない。

 そんな思いがしている。



 ああ。そのような折の、鳩山発言だったわけだ。
 
 わたしは、切々と訴える鳩山氏の言葉に、日本の心を感じた。まさに、被爆者の心を代弁している。そのようにも感じた。


 鳩山発言は、「核兵器のない世界」を目指す決議採択の場で行われた。

 先ほど、『核保有にしても、非核保有にしても、どちらも、絶対的に安全ということはない。』と書かせていただいた。

 とすれば、正しいのは、まさに、この、核兵器のない世界を目指すことでしかないではないか。


 至難の道であろう。

 しかし、世界がこの方向に動き出したことを多としようではないか。


 核廃絶問題にしろ、温室効果ガスの問題にしろ、人類の叡智が試されている。

 世界共通の課題、全人類にとって不可欠の『総合的な学習の時間』がやってきた。

 
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 もともと、わたしは、あまり、鳩山代表をかってはいませんでした。率直さは認めますが、『言ってはいけないことを言ってしまう人だ。』と思っていました。

 総選挙のときも、大々的にマニフェスト公表のあと、『地方分権がふれられていない。』と責められると、『あれは、マニフェストではありません。』などと言ってしまいましたものね。

 むしろ、岡田さんだったかな。

 『あれは、第一弾のマニフェストです。続いて、第二弾も出す予定です。』と答えていました。こちらが正解だという思いがしたものです。

 でも、見方を変えました。

 今後を見守り、期待したいと思います。

rve83253 at 17:30│Comments(6)TrackBack(0)平和教育 | エッセイ

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この記事へのコメント

1. Posted by しょう   2009年09月30日 22:22
 こんばんは。
 リンクされた記事も含めて興味深く読ませていただきました。

>発言後、その感動を口にしたり握手を求めにきたりする各国首脳が相次いだ。

>日本人として、なにやら誇らしげな思いにもなった

 同感です。はっきり言ってこれまで日本政府の姿勢は(イラク戦争など)無批判に対米追随していたり、気候変動に関する国際交渉でも足を引っ張ってばかり。

 はるかに小国であるはずのスウェーデンのほうがよほど存在感があった、という印象でしたが、このたびは日本の首相が「初めて存在感を示せた」と思います。

 「二酸化炭素削減目標25%」の反響も大きかったですね。その件に関連した記事も書きましたのでよろしければご一読いただけますか。

http://plaza.rakuten.co.jp/shchan3/diary/200909250000/

 私も〈今後を見守り、期待したいと思います〉。
 応援して戻ります。
2. Posted by toshi   2009年10月02日 06:38
しょうさん
 しょうさんと思いを共有できたことも、とてもうれしく思います。
 でも、これ、多くの日本人に共通の思いでしょうね。

 貴記事も、拝読しました。
 財界も、微妙に思いが変化しているようですよ。昨朝のニュースを見ていると、
・『反対ばかりしていても、また、できない、できないとばかり言っていても、世論の支持は得られないよね。』という財界の人が現れたとのこと。
・なんと、鳩山発言を上回る、『30%削減の取組を始めた企業がある。』
との報道がありました。とてもうれしい思いになりました。たぶん、
http://www.fujixerox.co.jp/release/2009/0216_co2.html
の企業だと思います。これからは、企業のこうした取組が、セールスポイントになっていくのではないでしょうか。我々消費者も、真剣に考えていかないといけないですね。

 本記事では、温室効果ガスについては、ほとんど触れませんでしたが、わたしも、過去に、二度ほど書かせていただいたことがあります。ここに紹介させてくださいね。
 
3. Posted by toshi   2009年10月02日 06:52
一つは、『環境教育の大切さ』
http://blog.livedoor.jp/rve83253/archives/725067.html
もう一つは、『地球温暖化をめぐって、』
http://blog.livedoor.jp/rve83253/archives/1144635.html
です。
 よろしくお願いします。
4. Posted by しょう   2009年10月02日 18:31
 情報提供ありがとうございます。

> また、なんと、鳩山発言を上回る、30%削減の取組を始めた企業があるとのことでした。すごいですね。

 以前、松下幸之助に関わる記事を書いておられましたが、「ずっと先を見通して社会や世界の全体を視野に活動を行おう」というすごい経営者や企業があらわれてくることには希望を感じますね。

>我々消費者も、真剣に考えていかないといけないですね。

 おっしゃるとおりです。

 紹介していただいた富士ゼロックスのような企業や、「このたびの不況に際してパートも含めて社員の解雇は行わないと宣言した」京セラなど、公益・地球益を大切にする企業を私たち消費者はしっかりと支えていく必要があると思います。
5. Posted by toshi   2009年10月04日 06:29
しょうさん

 近年、企業は、不正ばかりが目立つ印象でしたが、しょうさんがおっしゃるような、公益を大事にする企業が現れたことは、とても将来に希望がもてますね。
 今、失業率も高いものがありますが、京セラの例は、松下氏のやったことと共通するものがありますね。
6. Posted by    2012年05月02日 09:36
核兵器など持つ必要はない。
複数の長距離弾道ミサイルでピンポイントで敵基地を破壊できるだけの戦力があればよい。
それでも止まらぬのなら見せしめに重要都市をいくつか爆撃してやればよいのだ。

戦争は悪ではない。負ける戦争が悪なのだ。

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