2009年10月16日

亀井さんの発言に思う。3

04f95df6.JPG あれは、何年前になるだろう。長女が客室乗務員だったときだ。亀井さんがテレビのニュースに登場した。そのテレビを見ながら、長女が言う。

「飛行機には、もちろん、政治家の人も乗るけれど、あの、亀井さんていう人は、ずいぶんえばっているのよ。客室乗務員なんか、あごで使うっていう感じ。」


 わたしは、おかしくなった。

「そうかよ。だけれど、亀井さんは、客室乗務員にとって、恩人だろう。

 だって、数年前、A航空会社が、『今年は客室乗務員を一切採用しない。』と決めたとき、『そんなことがあっていいものか。客室乗務員になりたいと、日々、一生懸命努力している人が大勢いるというのに、そんな簡単に乙女の夢を踏みにじっていいのか。』と怒って、けっきょく、A社は、採用に踏み切ったじゃないか。」

 正確に言うと、この、わたしの言葉はニュアンスが違っていたようだ。まあ、『乙女の夢』云々は間違いなく言ったのだけれど、これが主な理由ではない。

 その点は、ウィキペディアの『亀井静香』の項を参照してほしい。リンク先の『雇用政策』欄に書かれている。


 今回の『モラトリアム法案』が妥当かどうか、わたしには分からない。でも、亀井さんが、『弱い立場の者の味方』という印象は強くもった。


 そんな亀井さんが、またまた、経団連に対し、爆弾発言をした。

 驚いた。

 さすが、『弱い立場の者の味方』だけのことはある。


 しかし、この主張は、やっぱり無理があるだろう。家族間殺人は、それだけが理由ではない。いろいろあるはずだ。

 それに、報道によれば、家族間殺人は、件数としては増えていないようだ。



 でも、思う。先に、拙ブログにおいて、『子どもの貧困』をとり上げさせていただいたが、

 これ、『大企業のやっていることが、子どもの貧困の原因になっている。』と言ったら、かなり、的を射ているのではないか。


 『子どもの貧困』の記事にリンクさせていただいたNHKのセーフティーネット・クライシス vol.3 しのびよる貧困 子どもを救えるか、なる番組。

 これは、しょうさんのブログで、くわしく説明されているので、それにもリンクさせていただこう。

    しのびよる貧困 子どもたちを救えるか 1


 このしょうさんのブログを拝読すると、『子どもの貧困』についての大企業の責任が、かなり明確になると思われる。


 その一例だが、

 『子育て世代に当たる20代〜40代の4割近くが低所得の非正規労働者であるにもかかわらず、子どもの医療費、教育費、住宅費、食費等の負担は、正社員家庭と同じく一律に求められ、貧困に拍車をかけているのだ。』

というように、

・働いていても貧困に拍車がかかる状態だというのに、

・大企業は、ここのところ、非正規雇用の労働者の解雇をどんどん進めてきた。


 わたしは、同番組を見るまで、『企業も、不景気により背に腹は変えられないのかな。』と思っていた。

 だって、『日本の法人税は諸外国に比べると高過ぎる。これでは、企業は安い外国の労働力にたより、海外へ逃げてしまうだろう。』という主張は、かなり以前からあったものね。


 しかし、同番組を見て分かったことは、これはどうも事実と違うようである。

 確かに、法人税の負担は外国に比べると高い。しかし、年金保険料の企業負担分なども含めると、日本企業の負担は諸外国よりも低くなるのだ。

 それに企業の内部留保の問題もある。


 そうなると、どうも、ここ数が月の、大企業による非正規雇用労働者の解雇は、『切り捨てごめん』的なものだったように思われてならない。


 ここで、皮肉な話だが、紹介させていただこう。もっとも、読者の皆さんはご承知のことと思うが、

 麻生前政権が、経団連等に雇用の維持を要請したとき、会長は、その要請に応えるべく努力する旨回答したが、その舌の根もかわかぬうちに、同氏傘下の企業は、大量首切りを断行したのだった。


 大企業は、もっと雇用の維持に努めるべきであった。また、努めることは可能だったのだと思う。ここに、『大企業のやっていることが、子どもの貧困の原因になっている。』という主張の正当性がある。(これに関連する過去記事を紹介させてください。『不況を乗り越える!』です。


 もっとも、それとは逆に、

 これも、しょうさんが紹介してくださったのだが、現に雇用の維持をはかっている企業もある。拙ブログ『感動的だった鳩山首相の外交デビュー』にお寄せいただいたコメントの5番にある京セラだ。


 さあ。

 るる述べてきたが、こうした事態は、将来的に、企業が自分で自分の首をしめる事態を招くことになるだろう。だって、間違いなく、少子化の原因にもつながるよね。4割近くの人にとって、とても、子どもをもとうとする状態ではない。

 
 でも、ちょっと、蛇足を。
 
 間違えないでほしい。

 先の亀井発言があったから気になるのだが、

 この事態を、『少子化は経団連のせい』と言ったら、これは、やはり言い過ぎだよね。少子化の原因は他にもたくさんある。

 逆は真ならずだ。



 さて、今度は、亀井さんへ。

 以上述べてきた事態については、

 政治の責任も大きいものがあるよね。


 上記、NHKの番組を見て強く感じたのだが、

 やはり、大量の非正規雇用を国会で認めたときに、同時に、新しい社会に見合った『子どもの医療費、教育費、住宅費、食費等』の負担のシステムも創出すべきだった。それを怠ったことは、悔やんでも悔やみきれない。


 と同時に、わたしも自己反省だが、

 どうも人間というものは、

 いったん燃え上がれば、情熱的にがんばり、実力以上の力を出す反面、易きに流れる傾向もある。

 この大量の非正規雇用を認める法案が国会を通ったとき、その理由には、『多様な雇用形態を求めるニーズに応えるため、』というのがあった。

 そして、この理由は、かなり正しかったと思う。


 働く側にも甘えがあったのだ。

「趣味の世界に生きていきたい。仕事には、多くを求めない。食っていかれるだけの収入があればいい。」

そういうことを言う人は、けっこういたのではなかったか。


 ここにつけ込まれる余地があったのだね。

 非正規雇用でいくか、正規雇用でいくか、それが、働く側の選択権で運用されるのなら問題はなかった。逆に、雇う側の選択にゆだねられてしまったので、おかしなことになってしまったわけだ。

 もっとも、非正規雇用を認めるということは、そういうことだ。

 どだい社会のシステムからして、働く側の選択権にゆだねられるわけがない。こんな自明なことに、我々国民は気づいていなかったのではないか。


 いったん制度が許せば、どんどん易きに流れていく。労組も力をなくしていた。あるいは、傍観を決め込んだ。国民の一部も自己責任論を展開するようになった。

 そうなると、雇う側の方がどうしたって強いものね。その典型が、この事態だった。



 さあ。最後に、教育に携わるものとしての責任。

 強い決意をもって述べさせていただく。


 先ほど、

 『どうも人間というものは、いったん燃え上がれば、情熱的にがんばり、実力以上の力を出す反面、易きに流れる傾向もある。』
と書かせていただいた。

 このことに関して、教育の果たすべき役割は大きいものがあると言わざるを得ない。

 とするならば、前者のような心根を養うのも、教育の責任であろう。


 わたしは、ブログを始めさせていただいてから、『国家も学級も同じだな。』と思うことが多いのだが、前者の雰囲気をもつ学級もあれば、後者の雰囲気をもつ学級もある。もちろん、中庸も。

 とするなら、究極の教育の目的は、テストの点数でもない。ノルマでもない。もちろん受験でもない。

 子どもたちが心のゆとりと張りをもって生活することのできる学級づくり。子どもたちが自分自身の思いで、『気づいたらがんばっていたよ。』と、満足感でいっぱいになるような学級づくり。

 そこにあるのではなかろうか。


 冒頭ふれた、NHKの番組も、最後は、この点にふれていたと思う。

 教育への投資。それは、やむを得ず行うものではない。国家の未来への投資なのだ。


にほんブログ村 教育ブログへ
 ninki



 民主党を中心とした連立政権の時代となりました。

 今日、述べてきたことも、大きく変わることを期待したいと思います。


 しかしながら、ちょっと暗雲が立ち込めてきた感を抱くのは、わたしだけでしょうか。

 それは、民主党が赤字国債発行を言い出し始めたこと。

 だって、『まずムダの排除。それから消費税のアップ。それでやり切れる。』と言っていたのではなかったでしょうか。赤字国債など言っていなかったですよね。

 ムダ排除が不徹底のまま、子ども手当てをもうけても、『そのツケが未来の大人へまわる。』のでは、笑い話にもなりません。

 大変なのは分かりますが、これも、『易きに流れ』る例と言えるかな。


 最後に、本記事は、『貧困と子どもたち』の続きとしているつもりですが、同記事には、たくさんのコメントをいただいています。

 それも併せ、ご覧いただけたらと思います。

 

rve83253 at 07:31│Comments(5)TrackBack(0)エッセイ | 自己啓発

トラックバックURL

この記事へのコメント

1. Posted by しょう   2009年10月17日 17:36
 拙ブログ記事もご紹介いただき、ありがとうございました。

 上記で述べておられることに、総論で大賛成です。

 ある新聞報道によれば、2008年度、製造大手16社の内部留保は33兆円。
http://ameblo.jp/kokkoippan/image-10182521096-10122912369.html

 ところが、長期にわたって莫大な利益をあげたはずの自動車業界でも、下請け企業は内部留保がほとんどなく、不況の来襲でただちに窮してしまう状況がNHKのドキュメントで放映されました。
http://plaza.rakuten.co.jp/shchan3/diary/200901250000/

 経団連が多額の政治献金を行いながら、現行の「派遣法」の制定を政権政党に働きかけてきたこと、制定後は多数の労働者を低賃金に押さえつけ、下請けに「内部留保」をつくる余裕も与えずに自らは莫大な内部留保を蓄えてきたこと、それらを考えれば、toshiさんの上記指摘に対して多くの大企業はほとんど反論の余地などないはずです。
2. Posted by しょう   2009年10月17日 17:41
>非正規雇用でいくか、正規雇用でいくか、それが、働く側の選択権で運用されるのなら問題はなかった。逆に、雇う側の選択にゆだねられてしまったので、おかしなことになってしまったわけだ。
>もっとも、非正規雇用を認めるということは、そういうことだ。

 スウェーデンなどでは同一労働同一賃金なので、人件費削減を目的にパート労働者を雇う、といったこと自体がなりたたないようですね。パート労働もあくまで個人がそれぞれの事情を踏まえて選択するのだそうです。

 『ワーキングプア2』で内橋克人氏は「国民を大切にしない国家に繁栄などありえない」と述べていましたが、これにもわたしは大賛成です。番組でも例示されたフィンランドなどの北欧に学ぶべきは、「具体的な実践方法」というよりも「基本的な発想」ではないかと思うのです。

 フィンランドなどの発想は、前記事でも触れられた「米百俵の精神」ともしっかり響きあっていると思うのですが、いかがでしょうか。
3. Posted by redu06   2009年10月17日 20:09
日本人の考え方が、短期的で狭い範囲でしか考えられなくなりつつあるような気がしています。

長い目で見て、どうなのか、自分(たち)一世代だけがよければいいのかどうか、ちゃんとそこを考えられるようにならなければいけないですね。

ほんの100年前の日本は衣食住もままならず、まさに食うためだけに働いていたことをちゃんと思い出さないと駄目だと思います。雇用する側もされる側も、企業や社会が全体としてシェアをしながら、生き残っていく方法をこの先30年ぐらいのスパンで考えるという視点を持たないと・・・
4. Posted by toshi   2009年10月18日 16:22
しょうさん
 ありがとうございます。本記事を補強していただいた思いです。
《スウェーデンなどでは同一労働同一賃金なので、人件費削減を目的にパート労働者を雇う、といったこと自体がなりたたないようですね。》
 こうしたことが政治の責任に属することですよね。『易きに流れる』のが人間の習いとすれば、こうした措置は当然とるべきだったと思います。そうでないから、雇われる側の選択権がなくなったわけですね。
《フィンランドなどの発想は、前記事でも触れられた「米百俵の精神」ともしっかり響きあっていると思うのですが、いかがでしょうか。》
 同番組でも、このことを、強調しているように見えました。やはり、「国民を大切にしている。」のでしょうね。
 それと同時に、わたしたちは、子どもの教育に携わっているだけに、「子ども(の思い)を大切にする。」教育でなければダメだと、再確認する思いでした。
5. Posted by toshi   2009年10月18日 17:16
redu06さん
 わたしも同様のことを思います。
 わたしには分からないことですが、『今の飽食とエネルギー使用と楽な生活を追求しているだけで、それがそのまま人類の破滅につながっていくのではないか。鳩山首相が25%削減を言っているが、それを全世界が実行に移したとして、果たして人類は破滅を免れるのか。もしダメだとしたら、何%削減しないといけないのか。
 少子化の方は、けっこうこういうことが語られているのですが、地球温暖化のほうは、まったくそういうことが語られないですね。
 他にも、核の問題、資源の問題など、大人の総合的な学習の時間の必要性がますます高まっているようです。

コメントする

名前
URL
 
  絵文字