2010年02月22日

朝日もPTA任意加入を支持!?4

2798de60.JPG 昨日の朝日新聞に、『PTA実は入退会自由』なる見出しがおどった。なんか、とてもうれしい気持ちになった。

 というのは、同任意加入論については、過去記事に書かせていただいたことがある。

    PTAと学校(7) PTAは任意加入か!?


 わたし自身、現職中は、PTA任意加入論など、まったく考えたこともなかった。

 しかし、上記リンク先記事にも書かせていただいたように、作家の川端裕人氏にお会いしてお話をうかがう機会があり、それを契機に、わたしは、任意加入を支持する気持ちになった。

 というのは、

 わたし自身、『加入こそ任意でなかったものの、活動そのものは任意である。』という、そういう学校に校長として身をおいた経験があったからである。

 今、その学校のPTA活動を紹介させていただいた記事にもリンクさせていただこう。

    ひらかれたPTA


 そう。

 『会員がやりたいとする活動をする。やりたい人がいない活動はしない。』

 そうであれば、その延長線上には、『会員になりたい人が会員となる。』があって当然だろう。

 だから、川端氏の主張は、わたしにとって理解しやすかったのである。


 そう。そう。

 川端氏の主張は、同氏のブログに書かれている。それも併せて紹介させていただこう。

    第2回 ?任意加入?が前提ってホント?



 それでは、朝日新聞の同記事をめぐって、論評、考察してみよう。


1.本来、会員になるかどうかは、保護者の自由

 これは、かつて校長であったわたしにとっても、目からうろこが落ちる思いだった。

 川端氏にお会いし、お話をうかがうまで、わたしは、このことを知っていたのだろうか。
 
 35年間の教員生活があったのに、

 今となっては、知っていたか、知っていなかったか、はっきりしない。

 知っていたような気もする。でも、分からない。


 ここに、日本特有の本音と建て前の使い分けを感じる。

 つまり知っていたとしても、それは、あくまで建て前としてなのだ。

 だから、『気にする必要はない。どうせ、全員加入するに決まっている。』そう思っていたに違いない。そのように、軽い軽い受け止め方だったから、その結果として、知っていたかどうかの認識がほとんどないのだ。

 学校長であるわたしがこのようであったことは、今となっては申し訳なかったと思う。


 同新聞記事には、『全保護者を自動的に加入させている学校も少なくない。』とあるが、これはちょっと誤解を招くのではないか。学校が意図的に全員加入させているかのように受け取られかねない。
 
 もう、読者の方にはご理解いただけたと思うが、別に意図的なわけではない。

 まずは、学校が、建て前としてですら認識していないことが考えられる。また、認識していたとしても、長年の慣行の中で、『それは、あくまで建て前でしょう。』とばかり、無自覚でいるとも考えられる。そういうことではないか。 

 また、この場合の『学校』は、教職員だけではなくPTA組織も含めての学校だと思う。


2.「入退会は自由」と知らない保護者が半数

 これは意外。もっともっといると思った。

 学校長が先ほど述べたような認識なのだから、保護者が知らないのは当然。そう思っていた。でも、半数は知っているということか。知っているうえで、自動加入に応じているということか。とすると、保護者も、本音と建て前を使い分けているということか。

 
 「入会時に(任意加入の)説明があった。」とする者は17%とのこと。

 そうか。あらためて、自分の現職当時、このような説明はしなかったなと、今になって、またまた、申し訳ない気持ちになった。


3.活動内容は変わる。

 「これからのPTAのあり方」シンポジュームでは、

 川端氏の『PTAはボランティア組織と知らないと、PTA活動は義務になり、役員はすり減ってしまう。入退会は任意と文科省が広報してほしい。』との発言に対して、次のような意見が出たという。

「任意にすると、地域の子ども会と同じように参加者が減り、活動が衰退する恐れがある。」
「PTA会費を新入生の名札購入などにあてている。入会しない保護者の子どもの分をどうしたらいいのか。」

 これはもう、文字通り任意加入となった場合、活動内容は大きく変わるものと認識した方がいい。

 このあたりの細かいことも、過去記事に書いている。再度リンクさせていただこう。わたしが勤務した学校において、『任意加入』ではないが、『任意活動』といっていい状況があったので、それを記事にしている。ご参照願いたい。

    ひらかれたPTA


 名札などをどうするか。これについては、PTA総会の予算案審議の時に、みんなで決定すればいいのではないか。

 もし、『会員でない子どもにまで配布する必要がない。』と決まれば、この予算執行はやめることになるだろう。

 それに、我が地域では、実質、自動加入になっているが、ほとんどの学校で、このような使い方はしていない。どうしているかというと、入学式当日、保護者より入学時納入金を納めてもらっている。名札代も当然その中に含まれている。


 なお、同じく再度のリンクで恐縮してしまうが、また、下記リンク記事では、末尾近く、『第四点目』が、上記反対意見に関係していると思う。

    PTAと学校(7) PTAは任意加入か!?


 この記事に出てくるPTA配布物についてだが、


 まず、記念品などに類するものは、上記名札の扱いに準じればいい。


 次に、プリント類については、基本的に配ることにしたらいいと思う。

 なぜかというと、『任意の入退会』ということは、加入もいつでもいいということだろう。それなら、日ごろから広く活動内容をPRしておきたい。そうして、活動への魅力を感じてもらえるようにしたい。

 そんなわけで、活動そのものの周知は図っておいた方がいいと思うのだ。


 でも、これも、最終的には、各学校、PTA総会で確認し合えばいいことだろうと思う。


 なお、実質任意加入に際しては、学校も大きく認識を変える必要がある。そのあたりのことは、下記リンク先記事にくわしく書いたつもりだ。

    PTAと学校(11) PTAの未来像は、


4.元文部官僚の寺脇 研氏は語る。

 寺脇氏は、『ゆとり教育』で有名な方だが、PTA活動についても語る。同新聞記事によれば、

「PTAは任意加入を徹底したうえで、保護者だけでなく、OBや地域の大人を入れ、子どもを支援するNPOのような活動を心がけると幅が広がる。」
「名札や卒業記念品の費用をPTA会費から出すのはおかしい。子ども手当を財源とすることも考えては。」


 NPO云々は、わたしも賛成である。

 そして、上に3本の拙ブログ過去記事を紹介させていただいたが、『保護者に限定せず』は、わたしも主張させていただいたし、現に、わたしの勤務校では、そうした姿がみられた。


 ただ、名札、卒業記念品については、異論がある。

 わたしは、同氏の主張のように、『おかしい。』とまでは思わない。みなさんが、『記念品として、大事にしてほしい。』と願ってやるのなら、大変けっこうではないか。

 だから、これも、PTA総会で予算の議決を行う際、決めればいいのだと思う。先に紹介したように、執行をやめてもいいのだし、会員でない方の分は徴収してもいいのだし、方法はいくらもあるだろう。

 ただし、子ども手当というのは変ではないか。一括徴収なら、分かるけれど。


5.『任意』へのアレルギー

 『一人一役制度、あいさつ当番など、活動を保護者に平等になるよう義務づけているところでは、任意へのアレルギーが強い。』とある。

 これは、『3.活動内容は変わる。』で書かせていただいたように、PTA活動そのものの意識改革を図ってもらうことが大切だ。

 原点は、やりたい活動をやるということ。やりたくない活動はやらないということ。

 わたしのかつての勤務校の活動を振り返ってみると、『一人一役制度』など、初めから、会員の意識にはなかったことが分かる。だって、やりたい人がやっているのだからね。

 現に、先の寺脇氏の主張のように、PTA広報紙作成など、お子さんが卒業してもやり続けている方もいらした。

 『あいさつ当番』などにしても、会員の自由意思によって決定しているのなら、やる人、やらない人がいても、『だから、不平等』などと思う人はいなくなるのではないか。


6.学校の意識改革も必要

 文科省社会教育課の神代浩課長は、「教育委員会や校長には、任意であるという意識を広めたい。」と述べたとある。

 そうなのだ。わたし自身も、本記事の冒頭で述べたように、あやふやな意識しかなった。


 そうか。教育委員会も同じなのだ。

 そうだろうね。教育委員会と校長とで、認識が大きく異なるなどということはないよね。


 なお、この辺の意識改革の必要性と、どう改革する必要があるのかは、下記リンク先記事でくわしくふれているので、ご参照いただきたい。

    PTAと学校(11) PTAの未来像は、


 最後に、ぜひふれたいこと。

○これは、PTA改革にとどまる話ではないね。

 『本音と建て前』という日本文化全体が崩壊していくのではないか。実質重視、個性重視の社会へ向けての改革につながると思う。

 日本は、どうしても、『右へならえ』主義が横行している。

 その意識改革と同時進行になるのではないか。

○その意識改革を子どもへも適用してほしい。

 これは、リンク先記事でもふれている。大人だけの個性重視、個性尊重とならないように。子どもの生活、子どもの学習へもぜひ適用してほしい。

 その場合、子どもの周りにいる大人は、子どもの内面への洞察力をもたなければならない。大人の思いこみ、独りよがりによる、『子ども尊重』では、子どもの幸せにつながらない。

○PTA活動を魅力あるものにしていく努力が大切だ。

 いくら『やりたい人がやる。』といっても、やりたい人がちっともふえないとすれば、それはいかにも残念だ。魅力ある活動にしていく努力が大切となるだろう。


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 自由にすると、活動が衰退するという危機感が、反対論者にはあるようです。

 でも、『ふつうは大丈夫。』というのが、わたしの見方です。

 
 しかし、PTA活動が義務だったり、その義務に、トラウマが生じている人が多かったりすれば、その反動で、衰退してしまうこともあり得ると思います。


 それはそれ。覚悟を決める必要がありそうです。リンク先記事にもあるように、PTA活動がなくても、学校は機能していきます。


 結局は、『子どものために、がんばっていこうではないか。』『魅力ある活動をしたい。』という原点に、どれだけ立ち戻れるか、また、そう考える人がどれだけいるかということになるのだと思います。    
    

rve83253 at 11:35│Comments(8)TrackBack(0)PTA | 保護者

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この記事へのコメント

1. Posted by 猫紫紺   2010年02月22日 19:09
5 Toshi先生、あたたかい目線で、PTA任意加入が浸透した際に起こりうる問題を整理して頂いて、ありがとうございます!
わたし、件のシンポジウムに出席しました。
寺脇研氏は、従来ないまぜになっているPTAの「社会教育団体として機能」と「保護者会機能」を分離すると良い、とお話しされていました。
わたしはさらに、「後援会機能」をも分離するとよいかと思っています。

Toshi先生のお言葉、
> 『本音と建て前』という日本文化全体が崩壊していくのではないか。実質重視、個性重視の社会へ向けての改革につながると思う。
> その場合、子どもの周りにいる大人は、子どもの内面への洞察力をもたなければならない。大人の思いこみ、独りよがりによる、『子ども尊重』では、子どもの幸せにつながらない。
ご洞察に感服いたします。ありがとうございます。
2. Posted by しれとこまま   2010年02月23日 09:21
こんにちは。
PTAの任意加入は、子供の学校ではありえないな、と感じました。
現在、PTAは18軒(先生の家庭が2軒あります)。子供がいなくても、自治会に入っている家は、PTA準会員となっていて、会費を(半額かな?)納めている次第です。
このようなへき地の地域ではPTAの協力なくては、行事も行えませんし、冬季のスケートリンク作りはPTAのお父さん方の仕事ですし、お母さん方は当番で子供の世話に出ます。
「したくない」もしくは「無理に子供にさせたくない」という方もいますが、そうすると子供に影響が出ています。他の子は毎日練習に来る、もしくは親がついて世話をする。その状況を見ているわけですし、タイムを競うわけですから結果も出てしまいます。
学校から離れた少年団活動と言えばそうなんですが、こうした地域では切り離せないのが実情です。
もちろん「出来るだけの協力は惜しまない」というのが、暗黙の了解でなりたっている学校ですから、ちょっと記事になっている状況とは違いますよね。しかし、全国にはいろいろな地域があって、それぞれのよいところもあるので、平均的にはならない、ということも知っていただきたいです。
3. Posted by しれとこまま   2010年02月23日 09:24
ちょっと補足を・・・。
スケートリンクは、学校の校庭に作ります。冬休みも、午前・夜と練習のために開放しています。
そのために、親は当番での管理をしています。
リンクは、3学期の体育でも使用します。体育の授業に、「スピードスケート」があります。
4. Posted by やまびこまま   2010年02月24日 10:20
こんにちは
ブログは以前より拝見しておりましたが
初めてコメントさせていただきます。
朝日新聞、読みまして、気にかかりました。

任意加入?脱退可能?
PTAは保護者会ではありません。
保護者と学校職員が協力して家庭と学校と社会における児童の健全な成長を図ることを目的とする・・・・・のではないのですか?
少なくとも、娘の通う小学校の会則にはそのように記載されていて、入学と同時に「自動加入」です。
全員が自動加入ですが、役員さんも毎年無理なく決まり、可能な活動を、楽しくやりましょうととても活発です。とても前向きで積極的な校長先生が数年前に赴任されてからはさらに磨きがかかっています。先生方に対しての希望(クレームとは違う)も
積極的に出せるようになり、どうしたら折り合いがつけられるかと話し合ったりもします。

親が子供に教育を受けさせるのが義務なのですから、せめて義務教育のうちはPTA活動として、親と職員みんなが参加するべきでしょう。
極端な話、任意加入で校長が脱退したらどうなりますか?
児童数の少ない学校の場合はどうなりますか?
親が楽しむだけの活動なら、やりたい人だけ別にクラブ活動をすればよいのだと思います。
5. Posted by toshi   2010年02月24日 20:27
猫紫紺さん、しれとこままさん、やまびこままさん
 うううん。PTAの任意加入の問題。難しい問題なのだなあと、改めて認識させていただきました。
 わたし、この回答は、次回の記事にさせていただこうと思います。
 よろしくお願いします。
6. Posted by 猫紫紺   2010年02月26日 15:17
Toshi先生、横レス失礼致します。

>やまびこままさん
うらやましいくらい、理想的に動いているPTAのようですね。自分の学校とは大分状況が違うようです。やまびこままさんのおっしゃることは、まさしくその通りだと思います。
ですが、ただ1点、わたしは、「義務」とか「べき」とかいった考えには心配を感じております。それは、「やらない人はずるい」という発想につながる恐れがあるからです。その言外の圧力のせいでしょうか、わたしが昨年度関わった委員会で、高学年になって病気を隠して参加され、命を落とされた方がいらっしゃいました。そのショックは忘れられません。
ですから、義務をはずして、子どもの教育に積極的に関わっていく「権利」として、PTAを捉えていけばいいのではないか、そのための「任意加入」なのだ、と理解しています。
7. Posted by やまびこまま   2010年02月27日 10:16
Toshi先生、失礼いたします。

猫紫紺さま、コメントありがとうございます。
御不快になるような言葉があったようで、申し訳ありません。義務教育も子供の側からみれば「権利」ですから、おっしゃるとおりだと思います。
病気を隠してまで参加しなくてはならないほど、
強制と感じてしまうようなPTAとは・・・と考えてしまいました。心からお悔やみ申し上げます。

やらない人はずるい、という発想、寂しいですね。
長男が一年生の時、長女が生まれたばかりでしたが、地域のパトロール当番を変わってくださった方がいらして感動したことがあります。赤ちゃんがいて大変でしょう、できるようになったら参加してねと。面識もないその方は、当時6年生のお母さんでした。そして今、小学生になった長女のPTAには
無理のないところで参加しています。
言葉ではなく、やさしさや思いやり、の上に成り立つPTAでありたいと思います。

8. Posted by 猫紫紺   2010年02月28日 09:47
 Toshi先生、横レス失礼致します。たびたび申し訳ございません。

>やまびこままさん
 不快だなんて、とんでもないことです!
 こちらこそ、あたたかい言葉をかけていただき恐縮です。

 パトロールでは、わたしが参加しているPTAでも、ちょうど同じような対応をして下さった方がいらして、感激したことがあります。2回のパトロールのうち、1回目をわたしが予定を忘れてすっぽかしてしまったのを、責めないでいてくださいました。3人で回るのですが、あと一人は小さいお子さん連れのため2回目は免除、という対応をしてくださったのです。
 個人個人ではいい方のほうが多いと思うのですが、仕事量が多いせいでしょうか、高学年になるといろいろときつくなるようです。

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