2010年05月28日

なつかしの自転車旅行4

df141b54.JPG 60歳を過ぎてから、我が子ども時代の同窓会が急に増えた。


 お互いに、むかしがなつかしくなるのだろう。

 また、子育ても終わり、あるいは、定年退職し、こうした時間がとれるようになったのだろう。心に余裕が出てきたといっていいのかもしれない。

 つい最近は、もちろん偶然だが、小、中、高校時代と、同窓会が集中して行われた。それぞれ、なつかしのメンバーに会うことができた。


 思い出はたくさんある。

 どれもなつかしいが、その中でも特に、大学時代、高校の仲間3人で行った自転車旅行が忘れられない。

 もう、40年以上前になる。40日かけて、約2,000kmを走破した。


「〜で、〜のようなことがあったなあ。すごく感動したよ。」
「えっ。そんなことあったっけ。」
「・・・・。」
「3人、それぞれ、覚えていることが違うみたいだな。思い出をお互いに出し合おうよ。そうすれば、思い出すことを増やせそうだ。」


 さあ。その思い出は、
 
○寝袋、テント持参の旅行だったが、実際にそれらを使ったのは、わずか3泊に過ぎず、あとは、ほとんど、見ず知らずの方々なのに、家に泊めてくださった。

○泊めてくださっただけではない。旅の話をしながら、けっこうあちらこちらでごちそうにあずかった。その土地、土地ならではの名物、郷土料理も味わわせてもらった。

○ちょうど旅行中に台風の直撃を受けたことがあった。そのときは、お寺に泊まっていたが、そこに3泊せざるを得なくなった。ただただごちそうになっているのは申し訳なく、『何か仕事をさせていただけませんか。』と申し出た。まき割りをやらせていただいた。

○自転車旅行が趣味という高校生と遭遇。『狭いが、ぜひ自分の下宿にとまってくれ。』と言う。こちらはもっと先まで行きたかったが、その日は早めに切り上げ、泊まらせてもらうことにした。

 彼は、いろいろ旅行の話を聞きたがった。数ヵ月後、今度はその高校生が自転車旅行を始め、そのときは、拙宅にも泊まってもらった。

○老夫婦の家に泊まらせていただいたことがあった。なんか、なつかしの息子に会った思いになられたようだ。そのご夫婦も、数ヵ月後、突然、我が家を訪ねて来てくださった。養母からその旨連絡が入り、あわてて家に帰った。両親ともびっくりしたようだった。もちろん、泊まっていただいた。

○今でこそ当たり前だが、当時、ある銀行の預金は、どこの支店でも引き出すことができた。それで、お金がなくなりそうになると、その土地土地の銀行で引き出しながら、旅行を続けた。引き出すとともに、窓口の行員からサインももらった。支店名とお名前を書いてもらった。

 だんだんサインがたまってくると、『前を見せてもらってもいいですか。』と言われ、『あらあ。〜さんだ。』とうれしそうにしている行員もいた。『自転車旅行、がんばってください。』と、皆さん声をかけてくださった。それが励みとなった。

○自転車の調子なのだろう。悪路では、比較的、わたしが速くなる。しかし、いい道だといつもわたしだけ遅れた。延々と続く急な下り坂で転倒。かなりのけがをしてしまったこともあった。

○悪路を喘ぎながら登る。その先の峠から見る眺望はすばらしかった。感動的だった。

○馬が放たれ、牧歌的な雰囲気の岬。小さな灯台。雄大な海。

 これも、ものすごく印象に残った。たいして有名でない観光地(?)。そこは期待していないだけに、感動は大きなものがあった。

○都道府県境では、必ず自転車を止めて、案内表示板も入れ、写真をとった。山あり、川あり、海岸ふちあり、それぞれが印象に残った。

○・・・・・・・。



 3人で思い出を出し合った後、この自転車旅行が、その後の人生に、多大な恩恵を与えてくれたことで話が一致した。

 わたし以外の2人は、いずれも会社員になり、営業畑を歩んだ。1人は社長にも就任した。


 彼らの話。

 営業活動をする。そして、こうした話題となると、皆さん、感動してくださり、話は盛り上がるようだった。

 これはわたしの想像だが、そうしたことが、営業成績を上げることにもつながったのではないか。


 わたしの場合は、・・・、

 正直のところ、あまり、この話を子どもにしたことはない。しても、子どもには実感が伝わらないようだった。

 後輩教員に対しては、・・・、もちろん感動はしてくれるが、それが、学校経営にいい影響をもたらすなどということは、・・・、あるわけないよね。

「ええっ。toshi先生、やせているのに、よくそんな体力がありましたね。」
などと、ひやかされることもあったくらい。
 


 しかし、何より、その後の人生にうるおいを与えてくれたこと。それは間違いない。

 上述のように、この旅行中、味わうことのできた、各地での人情の篤さ。これはもう計り知れない。見ず知らずの若者に示してくださった好意の数々。

 『情けは人のためならず。』というが、それを実感させてもらった。

 わたしの場合、その心は、学級経営、学校経営につながったと確信する。

 子どもとのふれ合い、管理職になってからは、地域・保護者・教職員に対し、やはり人情を忘れないということ。人情を示すということ。これはもう、呼吸するがごとく、自然に行っていたと思う。

 他の2人にしても、それは同様だ。前言を取り消すようだが、単に営業成績が上がったという話ではない。



 最後に、

 時代は変わった。

 今、こうした旅行は無理・・・かな。

 気軽に泊めてくださるということ。人情を学ぶということ。おそらく、できないのではないか。


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 わたしは、現職時代、

『退職したら、今度は車で、むかし自転車旅行した時の道をたどってみたい。そして、可能なら、むかしお世話になった方々を訪ねたい。』

 それが夢でした。


 しかし、こうして、初任者指導に携わることになり、さらに、ブログも開設させていただき、いつのまにか、車の旅行を取りやめている自分に気づきました。


 あるとき、妻に言われました。

「車で旅行したいと言っていたから、その分、お金は用意してあるけれど、もう、いらなくなったのかしら。」


 今、あらためて、このブログを通し、当時お世話になった方々に、感謝申し上げます。ありがとうございました。



 なお、同窓会関連の記事は、他にもあります。本記事と直接かかわるわけではありませんが、よろしければご覧ください。

    同窓会の幹事で
 

rve83253 at 03:36│Comments(4)TrackBack(1)エッセイ | むかし

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1. なつかしの自転車旅行  [ 自転車旅行@cyclingload.com ]   2010年05月30日 18:08
言われ、『あらあ。〜さんだ。』とうれしそうにしている行員もいた。『自転車旅行、が...

この記事へのコメント

1. Posted by 伊藤   2010年05月28日 10:06
私は自転車も好きですが、電車に乗ることが好きです。

先日、琵琶湖を一周してみました。
3時間の旅でしたが、見える風景や駅の趣など心地よい電車の揺れの中で持ち込んだ文庫本を全く読むことなく、外ばかりを見つめていました。

URLは自転車好きのレポートです。
今は便利なので、書き込みによって応援する人もいます。

そんなところをみると、まだまだ日本も捨てたもんじゃないと思います。
2. Posted by ちろ   2010年05月29日 11:53
toshi先生は、学生時代にとても貴重な経験をされたのですね!読んでいるだけで、私もわくわくしてくるような気持がしました。
私も学生時代は貧乏な旅をしては、その土地でであった人に大変お世話になりました。そのたびに人の温かさに感動したものです。
きっとそういう方も人に温かくしてもらった経験があるのではないかと思います。

めまぐるしい日々でしたが久しぶりにここへ来て、toshi先生の記事を読んで、ほっとしました。
ありがとうございました!
3. Posted by toshi   2010年05月30日 14:17
伊藤さん
 なるほど。今も、かたちは違っても、人情は絶えるものではないということですね。確かに、マスコミ等、情報産業を通しての支援等は、今も盛んに行われていますね。
4. Posted by toshi   2010年05月30日 14:28
ちろさん
 お久しぶりです。
 当時、貧乏旅行は、学生の特権だったかもしれません。記事の自転車旅行以外にも、徒歩旅行とか、電車を使っても、それ以外は寝袋とテントでとか、いろいろやりました。
 なんか、このようなことばかり書いていると、かなわぬことながら、もう一度、当時の自分に戻ってみたいような気持ちになりました。
 今はもう、とても体力がもちませんけれどね。

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