全国学力調査の結果公表で、(6)学力検査のあるべき姿は!?

2010年08月30日

全国学力調査の結果公表で、(7)

maturi1  今回の全国学力調査結果の報道で、いちばん、センセーショナルに騒がれたのは、次の点ではなかったか。

 『円の面積 やっぱり苦手 中3の理解度 小6と同等』

なる見出しが紙面をおどった。


 4回目となる今年は、初回小6だった子どもたちが中3になり、再度、同調査を受けることになったわけだ。

 そこで、調査問題作成者は、3年前と同種の問題をとり入れることにしたのだと思われる。

 わたしは、その英断には拍手をおくりたくなったが、どういう結果になるかについては、期待と不安と入り混じった気持ちだった。

 そして、小6と中3とで3年の成長があるにもかかわらず、理解度が同等ということについては、複雑な思いになった。

 
 そこで、さらにくわしく読み進めていくと、同等どころか・・・、

 『3年間でどれだけ理解が進んだかを調べたが、円の面積がからむ問題でつまずく割合が3年前の小6のときより増えた。』

だって。


 わたしは、失笑を禁じ得なかった。

 それはそうだよね。だれだって、小6から中3ともなれば、理解は進むと思うのが当然。

 ところが、逆に、つまずく割合が増えてしまったとは。

 
 でも、これ、そうと分かれば、心当たりがあった。


 急に卑近な話になり申し訳ないが、わたしは、むかし経験したことを思い出した。


 多くの学校へ授業を見に行く。

 たまにではあるが、こんな子どもの話を聞き、あぜんとしたことがあった。

 たとえば、5年生のクラスで、
「ええっ。それ、3年生の時に習った漢字なの。そんなむかし習った漢字なんか、覚えてるわけないじゃん。」

 また、6年生のクラスで、
「三角形の面積を出す公式は、ずいぶん前に習ったことは覚えてるけど、すごく前だから、もう忘れちゃった。」


 そうした子どもの声を聞くと、『教え込みの、ただ覚えさせる学習がいかにむなしい結果を招くことになるか。』

 深刻にそう思った。


 
 それでは、上記の問題だが、くわしくは、下記リンク先をご覧いただこう。問題は204ページにある。5番の(4)だ。そして、正答率は211ページ、分析結果と考察は212ページ、さらに、参考として3年前、小6のときの問題と正答率等が213ページに載っている。

 平成22年度全国学力・学習状況調査 【中学校】調査結果概要 数学編


 ここで、問題となるのは、

 3年前、小6だったとき、円の面積を出す問題の正答率は73.2%だった。それが、今回中3で、円柱の体積を出す問題の正答率は43.2%(底面積は3年前の円の面積の問題と同じ数値)となってしまったことだ。


 読者のみなさん。もう、わたしが言いたいことはご理解いただけるだろう。2つある。



〇今の日本の学校教育の現状で、

 つまり、日本は、学ぶことへの意欲が、PISA調査参加国のなかで最低なのだが、

 それなのに、地方教育行政府や一部市民は、いかにして『意欲的に学ぶ子どもを育むか。』という観点をまったく考慮せず、ただただランキング公表によって学校間の競争をあおり、

 その結果、多くの学校は、短絡的に、反復訓練、トレーニングのような学習を課してしまうという、

 その悪循環がこうした結果を招いてしまったのだ。

 
 だから、全国学力調査をこのまま続けていたら、子どもたちの学ぶ意欲はさらに衰え、上記のような理解力減退の状況は、今後さらに強まり、広がっていくに違いない。


 これを報じる新聞は『依然として課題が解決していない様子が確認された。』という。

 違うのだ。

 わたしに言わせれば、『課題がますます深刻化していく様子が確認された。』となる。



 保護者の皆さん。我が子に置き換えて考えてほしい。

 仮に、『我が子の学ぶ意欲が低下しているなあ。』とみた場合、その我が子に向かって、
「あなたはちっとも勉強しないわね。学ぶ意欲は、クラスで最低だっていうわ。」
「あなたは基礎的な問題はできるのに、活用問題はできないのねえ。」
などとはっきり言うだろうか。言えば、子どもは発奮し、意欲的に学ぶようになると思われるだろうか。 


 一部市民の皆さん。

 市民の『知る権利』はいい。情報公開を求めるのも賛成だ。

 しかし、この場合、相手は子どもですよ。学ぶ主体者は子どもなのです。

 子どもの成績を公表し、低い点数しか取れない状況が分かったとして、それで子どもが発奮してがんばるようになると・・・、本気で、そう思っていらっしゃるのだろうか。

 あるいは、
 『低い点数なのは、教員がなまけているからだ。』とばかり、教員を追いこみ、それで、反復訓練学習を強制したら、子どもの成績が上がると、そう思っていらっしゃるのだろうか。

 
 馬を水場に連れていくのはたやすい。しかし、馬に水を飲ませるのは大変なのだ。あなた方は、馬に水を飲ませるのもたやすい。そう思っていませんか。

 もう少し考えていただければと思う。 
 

〇これに関連して、おもしろい記事があった。

 これで4年連続、国は都道府県別の平均正答率を公表した。
 
 『中3では、上位・下位が固定化しているが、小6では、地域によっては、下位から中位・上位に浮上したところがあるとのこと。独自の学力向上策で成果を挙げた。』とある。


 何が、成果なものか。

 わたしには、小学校で成果(?)が上がって、中学校では上がらないわけが分かる。

 読者のみなさんもお分かりになりますよね。


 ちなみに、拙ブログでこれまでもとり上げてきた大阪府。

 これがまあ、見事なものだ。

 小6の算数は上がった。全国平均にかなり近づいた。

 しかし、中3では?

 やはり、固定化だ。

 ねっ。大阪府がどのような学力向上策(??)をとってきたか。『目的のためには手段を選ばず、』『理想を棚上げし、結果を出す』取組をした結果、小6の点数は上がったのだろう。

 しかし、小学生にくらべれば、中学生はもはや自我もはっきりしてきている。もはや、大人の思うままにはならない。それゆえの固定化だろう。


 だから、このまま、なりふりかまわず今のやり方を続けていけば、

 ああ。今は向上したとされる小6だが、3年後の結果が目に見えるようだ。

 学びへの意欲喚起につながらない学力向上策がいかにむなしいか。

 これでは、ほんとうに、子どもがかわいそうだね。


 これは、子どもの学力の問題ではない。大人の学力の問題だ。日本の将来をダメにする大人にしてはならない。 



 ところで、同調査問題には、もう一つ、小6と中3で同種の問題がとり入れられている。しかし、こちらの方は、まったく報道されていない。

 なぜだろう。

 たぶん、その理由は、『小6の正答率が54.3%だったのに対し、中3では76.0%だったから。』ではないかな。

 これなら一応順当と言えそう。順当だから報道しないか。


 でもねえ。問題な面を大々的に報道するなら、順当な方だって報道してやらないと、公正ではないだろう。それでは、現中学3年生がかわいそうだ。


 ちなみに、問題文を紹介しよう。

 それは、上記リンク先の182〜185ページにある。

 問題は、『答えが210aで表される問題文を、下のアからエまでのなかから1つ選びなさい。』というもの。これが小6のときは、aが『0.6』という数値になっていた。あとは全部同じ。

 
 ただ、蛇足になってしまうが、この問題・・・。どうだろう。

 aと0.6とでは、

 aの方が、『2を入れてみたら、いくつになるか。』と考えることができ、

 0.6という数値が示されるよりは簡単に解けると思う。そう考えると、必ずしも、『中3で理解度が増してよかった。』とはならない・・・かもしれない。

 そう思うが、読者の皆さんはどうお考えになりますか。



 最後に、冒頭リンクさせていただいた新聞紙面には、ある大学教授の言葉が載っている。最初の、『中3になり、つまずく割合が増えた。』とされた問題についての論評である。


 それについて、一言、言いたいことがある。

 今、全文、引用させていただこう。

 「公式の意味をしっかり説明できるように授業をしていないため、忘れたり混同したりしてしまうのだろう。振り返り学習を充実させたり、クラスごとに違う授業をしてより効果のある教え方を見つけたりして、学校側は工夫する必要がある。」


〇前半はいい。その通りだと思う。

 公式の意味に限らず、自己の考え、思いをしっかり表現できる子どもに育てることが肝要だ。

 そして、PISA調査や全国学力調査は、こうした力を養うことを大事にしている。

 しかし、日本の伝統的な授業では、こうした力を養うことを軽視してきた。

 だから、教員の指導力アップのための取組も、やるべきことは明確なのだ。もはや、従来の日本の伝統的な指導法を踏襲していたのでは、将来の日本は沈没の方向にいくしかない。


〇でも、この教授のお話の後半はいただけない。

・振り返り学習など、やれればやった方がいいに決まっているが、学習内容が過密化する現在、基本的にやる時間はない。

 今のままで振り返り学習に時間をかければ、いきおい、つめ込みにならざるを得ず、それでは、先ほどの自己の考えや思いをしっかり表現できる子どもを育てることからは遠ざかり、さらなる意欲の減退を招いてしまう。

・クラスごとに違う授業というのは、『習熟度別』を指しているのだと思うが、これは効果をあげえないこと、学力の国際比較をしているPISA調査の専門家が指摘している。また、我が地域の算数を専門とする校長も指摘している。

 これも過去記事にあり、くわしくふれているので、リンクさせていただこう。

   日本のよさを生かそう。(習熟度別学習をめぐって)


 やはり、拙ブログにおいて、限りなく、あるべき授業の姿を、実践的に紹介させていただいているように、教員の授業力アップ策は、正統的な授業改善の段取りを踏むものでなければならない。

 でなければ、子どもの自己表現力アップなど、望むべくもない。
 
 
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 先ほどの『210a』の問題において、国はどう分析しているかをみてみると、『正答率がアップしてよかった。』と言っているように感じます。

 次のような記述があるからです。

 『文章に「倍」という表現が含まれることのみから乗法と判断してしまう生徒が少なくなったと考えられる。』

 でも、そんな単純なことかな。

 3年前の小6の問題作成のとき、『0.6』などという数値でなく、もっと単純に整数で作問したものでなければ、くらべられるものではないと思うが、〜。

 そんな思いが抜けません。


 マスコミ、一部市民は、ともに、悉皆とか、公開とかには情熱を燃やして主張しますが、『どんな出題にするか。』とか、『どう分析するか。』などについては、まったく国にお任せのようです。

 わたしは、昨年、『同調査問題は学力観の黒船』と書かせていただきました。

 今年はどうだったのでしょう。次回記事ではそのことにふれてみたいと思います。

rve83253 at 08:33│Comments(13)TrackBack(1) 全国学力調査 | 教育風土

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1. 公開授業のお知らせ(2回目)  [ 一歩いっぽ・・・前に前に!(ブザン公認マインドマップフェロー・辰巳ジャンプ監督) ]   2010年09月03日 23:18
本日は多くの方々に応援のバナークリックを頂戴し、ブログランキング小学校教育部門で2位まで上げていただきました。ありがとうございます。素直に喜んでおります。 気を良くして、またまた記事内でのお願いをさせていただきます。 ↓のバナーを1クリックお願い致します。m...

この記事へのコメント

1. Posted by しょう   2010年08月30日 18:44
>『目的のためには手段を選ばず、』『理想を棚上げし、結果を出す』取組をした結果、小6の点数は上がったのだろう。
>しかし、小学生にくらべれば、中学生はもはや自我もはっきりしてきている。もはや、大人の思うままにはならない。それゆえの固定化だろう。

 まったくその通りだと思います。
 toshiさんが前記事で述べられた一方の人間観『もともと教員など信用できない。子どもだって、追い込まなければ勉強などするものではない。それにはノルマを課すに限る』が結局は子どもたちにとっても社会にとっても有害な結果をもたらす、ということを証明する「結果」だと思いますね。

 全国共通テストと学校選択制を取り入れて「手段を選ばず結果を出そうとしたイギリス」でも同じ現象が起こっているのことを拙ブログで取り上げたことがあります。

 『競争しても学力行き止まり』97頁
 「(イギリスが)国を挙げて必死になってテスト勉強したわりには、効果はほとんどなかったのだ。」
http://plaza.rakuten.co.jp/shchan3/diary/200811080000/

>これは、子どもの学力の問題ではない。大人の学力の問題だ。日本の将来をダメにする大人にしてはならない。 
 
 まさにその通り。結果をどう分析し何を学ぶべきか、そこにこそこだわる必要があるのですが…。
2. Posted by toshi   2010年08月31日 05:41
しょうさん
 いつもお世話になります。
 本記事と同じ内容を、しょうさんはイギリスを例にして、すでに書かれていらしたのですね。再度、しょうさんがご紹介くださったURL先にとび、確認させていただきました。
 驚くほど、今の日本と似ていますね。
 ありがとうございました。

 読者の皆さん、
 ぜひ、しょうさんのブログ、URLを開いてみてください。イギリスと日本とでほんとうに一致した傾向をみせていることに驚かれると思います。現在の学校間競争を招く取組が、いかに子どもをダメにするかということが確認できると思います。
 今の日本は、イギリスの轍を踏んでいるかのようです。
 また、わたしも、イギリスの事例を過去記事に書いたことがあります。本コメント欄のtoshiのところに、URLを貼り付けましたので、よろしければ、こちらもご覧ください。
3. Posted by 伊藤   2010年08月31日 16:02
ちょっと脱線してみます。

私は美術が苦手です。いまだに木を彫る以外に美術でほめられたことがないほど、下手くそです。なので中学はずっと絵画は2でした。

そんな人でも上手に書けそうな気がするのがボブロス画法でした。

なんでこんなことをいうかというと、才能は本当は微々たるものでいかにその気にさせるかなんですよね。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm6077119

4. Posted by ドラゴン   2010年08月31日 17:27
いろいろとコメントしたいことがあるのですが、
忙しくて取り急ぎ情報提供です。
坪田先生について誤解があるようなので一言。

振り返りは次のようなことでしょう。
http://www.sinzaemon.jp/special/sp_080602_11.html
学習指導要領の総則でも、見通しをもつこと、そして振り返ることが明記されました。
振り返りは、決して単なる復習ではありません。
授業の終わりに、学習を省みることです。

クラスによって授業が違うというのも、実態に合わせて指導する必要があるということでしょう。
http://www.sinzaemon.jp/special/sp_080602_5.html

教科書に出ているから学習しなさいではなく、クラスの子どもにあわせて授業を構成するようによく言われています。

基本的には習熟度別には反対されております。
http://www.geocities.jp/tanbowaii/sougou-etc/s106.html
5. Posted by しょう   2010年08月31日 19:11
 こんばんは

>しょうさんがご紹介くださったURL先にとび、確認させていただきました。
>驚くほど、今の日本と似ていますね。

 早速ありがとうございます。「あまりにも似ている」のでこれ以上轍を踏まないことを願いつつ記事をアップしたのですが、著者の警告がなかなか教育行政機関に(国民にも)届きにくい状況ですね。

 ところで・・・ 毎日バナーをクリックして応援させていただいていますが、上記記事の「教育ブログ」(日本ブログ村)をクリックしてもうまくつながらないようです。
 
 問題が解消できるようでしたらよろしくお願いします。
6. Posted by toshi   2010年09月01日 06:20
伊藤さん
《才能は本当は微々たるものでいかにその気にさせるかなんですよね。》
 おもしろい《脱線》ですね。もうおっしゃる通りと思います。
 ピグマリオン効果というのはあまりにも有名で、それを実践している指導者も多いとは思いますが、これを国家的レベルで政策に生かしてほしいものです。
7. Posted by toshi   2010年09月01日 09:12
ドラゴンさん
 お忙しいなか、コメントをいただき、ありがとうございました。
 ドラゴンさんが貼り付けてくださったURL、それに学習指導要領の総則など、改めて読ませていただきました。
 確かに、当教授の言葉に関しては、ドラゴンさんがおっしゃるような誤解をしていたようです。申し訳なかったと思います。どうもすみませんでした。
 と同時に、やはりマスコミの言葉は、お話の一部のみとり上げることもあるだろうし、そういう意味では、当教授にとっても不本意な思いになられることがあるのだろうとも推測しました。
 たとえば、学習指導要領総則にしても、該当部分は、《〜,児童が学習の見通しを立てたり学習したことを振り返ったりする活動を計画的に取り入れるよう工夫すること。》とあります。これなら、児童主体の学習、つまり、児童が見通しを立てたり、振り返ったりする意欲を持ち、それを指導者が支援するということになります。(もちろん、児童がそういう意欲を示すように、指導者側が、『しかけ』を用意することも、可ですが。)
 そうであれば、わたしは大賛成です。そして、当教授もドラゴンさんももちろんそうした考え方なわけですね。それは今回、ご指摘によりよく分かりました。
 ただ、本シリーズは、学校をも巻き込んでの学力狂騒状態をとり上げていますのであのような表記にしましたが、誤解していなけれなもっと違った表記になっただろうと思うと、やっぱり申し訳なかったです。(続きます。)
 
 
8. Posted by toshi   2010年09月01日 09:25
 特に、ドラゴンさんが最後にご紹介くださった、習熟度別についての、当教授の考え方については、もうまったく大賛成で、感銘すら覚えました。
 『ああ。わたしも同趣旨の記事をたくさん書かせてもらっているな。』という感慨も持ちました。
 でも、それだけに、
 それなら、『クラスごとに違う授業をしてより効果のある教え方を、〜。』という言葉にはならないのではないか。これはもう、『マスコミの一方的な聞き間違いなのかな。』とも思いました。
 ドラゴンさんがおっしゃる、『教科書に出ているから学習しなさいではなく、クラスの子どもにあわせて授業を構成するように、』が、ストンと胸に落ちる感じで理解することができます。
 それやこれや、今回は、いろいろなことを学ばせていただきました。
 繰り返しになりますが、お忙しいなか、ほんとうにありがとうございました。
9. Posted by toshi   2010年09月01日 09:37
しょうさん
 日本とイギリスは、多くの共通点があるようです。ただ、日本の政治家の場合は、総花的な面もありますから、サッチャーさんほど、露骨な取組はしないでしょうね。橋下氏はサッチャーさんに近いかな。
 日本の場合、『大人の学力の問題』と記事に書かせていただきましたが、ほんとうに、先例に学ぶとか、よその事例に学ぶとか、そうしたことがむかしから苦手ですね。
 それより、自分の思いこみ、よく言えば信念ですが、そちらの方が優先する国民性のようです。

 バナーの件、応援とご指摘、ありがとうございました。変な文字が紛れ込んでおり、さっそく直させていただきました。
10. Posted by やまびこまま   2010年09月01日 10:46
とても難しい問題だと思い、何度も読み直しておりました。そして、保護者として素朴な疑問を持ちました。
なぜ小6と中3での実施なのか。
それぞれ小学校と中学校最終学年での実施であることはわかりますが、本当のところこの学力検査では何がどこまでわかるのでしょう。
私自身は、ランキングなど全く興味がありません。

自宅で塾を開いている知人は、学習での躓きのある子を見ているといったいどこまでさかのぼって教えたらいいのだろうと悩むことが少なくないと言います。
小6でテストを受けた子は、その結果によって考案された授業を小学生のうちにどこまで受けることができるのかと考えたら、学力テストは毎年受けるようにしたらどうか、とさえ思ってしまいます。
11. Posted by toshi   2010年09月01日 13:54
やまびこままさん
《なぜ小6と中3での実施なのか。》
 そうですね。これも、同調査の目的をどうとらえるかにかかわりますね。
 純粋に一人ひとりの子どもの学力の実態を把握し、それを明日の指導に生かすため、また、教員の指導力アップが目的であれば、全学年で実施した方が、より成果が上がるというものですよね。
 他方、国としての学力の実態把握が目的であれば、まあ、そんな全学年でやらなくてもいいわけです。今年はさらに、悉皆でなくていいとなったわけですね。
 ちなみに、我が地域の学力調査は、前者が目的とはっきりしていますので、全学年で実施しています。全児童が受けています。しかも、国、算、社、理の4教科でです。でも、内情としては、教員の指導力の問題など、いろいろな問題を抱えているようです。
 そのあたりは次回記事で、明らかにしたいと思っています。
  
12. Posted by 大阪の保護者   2010年09月09日 09:43
ご存知かもしれませんが…。大阪府教育委員会は、全国学力調査が抽出方式になったことを受け、府独自の学力テストを来年6月14日、府内の小6と中3の全員を対象に実施するそうです。小6の国語、算数と中3の国語、数学、英語で、市町村教委は各市町村の調査結果を、府教委は府全体と市町村ごとの調査結果をそれぞれ公表するそうです。どんな問題を作成するのか気になるところですね。結果の公表より、その後の活用に力を入れてほしいものです。
ちなみに、大阪市は、(4年生以上かな)毎年度末に国算理社の4教科の「診断テスト」を行っています。うちの学校では、昨年度はテスト返却後、各教科基礎重視・応用重視・基礎から応用までといった風に生徒各自に見直しプランを考えさせて、それにそって数時間見直しの時間を割いて下さいました。テストは点数よりその後の活用にこそ意義があると思います。
13. Posted by toshi   2010年09月09日 23:58
大阪の保護者さん
《テストは点数よりその後の活用にこそ意義があると思います。》
 ほんとうにその通りと思います。いかに子ども一人ひとりの学力の実態を把握するか。把握してそれを子どもの成長につなげていくか。そのための学力テストであること。それに徹していきたいものです。
 考えてみれば、我が地域の学力検査は、大阪よりも徹底したテストになっているようです。そして、各学校とも、自校のテスト結果を保護者に報告しています。報告内容や方法はいろいろですが、しかし、学力狂騒はありません。
 それは、活用に徹する姿勢が学校にあり、その姿勢が評価されているからだと思います。ただし、それとは逆に、60有余年の歴史があるため、テストの実施が、まるで年中行事をこなすような感覚になってしまっていることも考えられます。

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