2011年03月16日

地震のお見舞い、ありがとうございました。(3) 教員としての誇りが、

PAP_0018 一昨日の月曜日、教育関係の出版社にお勤めのAさんからメールをいただいた。拙ブログに掲載の許可をいただいたので、全文、ご紹介させていただこう。全国の教員の皆さんに心を寄せられ、エールをおくってくださっているように思われた。
 大変ありがたく、感謝申し上げたい。

 それでは、どうぞ。

 
 toshi先生。こんにちは。ブログ、拝見いたしました。

 御地もかなり被害が大きかったようなので心配でしたが、ご無事でよかったです。
 弊社も、今日は交通の乱れで半分以上が出社できず、社内は閑散としています。
 節電のため電気は極力つけず、暖房を切っていますが、被災者の方々の苦労を考えると、いたたまれない気持ちになります。

 心強いと感じたのは、教員の友人たちの声や行動力でした。
 当日は、
「自分も怖かったけど、必死に生徒を誘導した。」
ことを報告していたり、
 SNSやツイッターで、節電を呼びかけたり、色々な役に立つ情報を流したり、

 関西の友人ですが、
「月曜日には子どもたちにこういった話をしよう。」
「土日に見るテレビの映像から、ショックを受けている子どももいるだろうから、心のケアをしっかりやろう。」
とブログでまとめていたり・・・。

 私自身、夜はテレビに釘付けとなってしまい、辛くなってしまったのですが、
「自分達に出来ること・・・節電や募金だけでなく、自分の生活を取り戻すことも大切だ。」
というツイートに勇気付けられました。

 自分以外の人にも目配り・気配りのできる、教師のすごさを感じました。
 こういった側面を、社会全体に伝えていきたいですね。
 先生方が、誇りを持ってお仕事が出来るように。

 これから私自身、できることを考えていかなければと思いました。



 いただいたメールは以上だ。

 このように、若い方々が不屈の精神をもって、地震に立ち向かっていることを大変うれしく思った。

 
 話は変わるようで、変わらないのだが、

 わたしは、昨日(火曜)、地震後初めて出勤した。初任者のBさんは、東北地方のC県出身ということを知っていたから、声をかけた。

「Bさんのご実家は大丈夫だったの。」
「はい。いいえ。テレビでよく報道されるDに住んでいますので、大変だと思います。」
「ええっ。それは、それは・・・。それで、ご両親のことは分かっているの。無事かな。」
「はい。いいえ。電話まだつながらないのです。でも、いとことは話すことができたので、様子を見に行ってもらいました。
 そうしたら、昨日(月曜)夕方になって、やっと、両親と祖父ともに無事でいることが分かりました。」
「そうか。それはよかった。とりあえず、安心できたね。・・・。でも、・・・ということは・・・、
 土曜日は、学校へ来て、クラスの子たちの安否確認をしたのだったよね。そのときは、・・・
 いや、昨日(月曜)もだな。昨日も子どもと一緒のときは、まだご家族の安否は分かっていなかったということになるのか。それは、それは、ずっと心配だったねえ。ほんとう。大変だったなあ。」

 Bさん、少し、涙ぐんでいるように見えた。


 わたしは、阪神淡路大震災のときの、我が養母のことを思い出した。

 養母の母、姉妹は、この震災のもっとも被害のひどいところに住んでいた。地震当日、養母は頻繁に連絡をとろうとしたが、まったく通じない。
 その夜のことだ。家族そろって安否を気遣っていた。そんなとき、養母がわたしたちにお茶をいれようとした。ところが、手がふるえにふるえて、うまくいれることができない。みんなまわりにこぼしてしまうのだった。
 それが、当時高校生だった我が娘にはショックだったようだ。あわてて代わりにお茶をいれてくれたっけ。

 そう。今回のBさんにしても、それとまったく同じ精神状態ではなかったか。安否が分からないなかで、被災地の悲惨な状況だけはどんどん画像付きで報道される。
 そんななかでの、子どもの安否確認と学級経営だったわけだ。大変な試練だったことだろう。よくがんばったものだ。

 もちろん、自分のクラスの子どもたちの安否も心配だ。しかし、こちらは、すべての子の安否が分かるまでそう時間はかからなかった。
 前記事にも書かせていただいたが、そうしたなかで、わたしに、
『ご心配をおかけしました。先ほど、全員の安全確認ができました。よかったです。』
とメールしてくれたのだね。その心境はいかばかりだったか、おしはかることもできない。

 昨日(火曜)午後になり、子どもたちを帰したあと、Bさんは再度連絡をとった。よかった。やっとご両親とお話することができた。

○家族はみな元気だ。命があるだけでもありがたい。被災し、亡くなったり行方不明になったりしている多くの知人のことを考えると、何ともやりきれない。
○津波は、家までやってきた。しかし、我が家は床下浸水までですんだ。
○家の瓦は落ち、ガラスはほとんど割れ、壁にもひびが入っている。しかし、暮らせないことはないので、避難所生活はしていない。
○ライフラインはほとんど止まったままだから、生活には難儀している。
とのことだった。
 
 まずは、安堵の思いといったところか。
 しかし、無事が分かったら分かったで、今度はその生活の方に心配が広がる。当地へ呼び寄せたいところだが、今のところ、その手段がない。
 小学生以来のお友達のことも気になる。こちらは全員無事ということはまずあるまい。そんな思いが頭をよぎる。


 ところで、肝心の学級経営だが、

 やはり、教室がちょっと騒々しくなっているようだ。落ち着きをなくしているようにみえる。学級担任の精神状態は、以心伝心子どもに伝わる。
 しかし、こんななかだから、そうなってしまうのもやむをえないだろう。

 むしろ、それにもかかわらず、算数の授業などでは、子どもたちとしっとりとした授業を展開していた。Bさんも、笑顔を絶やさず、心と心が通じ合うような感じがとてもよかった。
 ただただ、けなげだなと、それこそ、わたしまで涙ぐむ思いになった。

 放課後、いつものように言われた。
「toshi先生。ご指導をよろしくお願いします。」
「いや。いや。今日は、いいだろう。Bさんも、気持ちはそれどころではあるまい。
 それに、学期末であると同時に年度末でもあるのだから、仕事は山ほどあるはずだ。大変だろうけれど、そちらの方をがんばってね。
 今日も、一日、ご苦労様。大変ななかでよくやっていたよ。」

 
 再び、Aさんからのメールに、話を戻らせていただこう。
 「自分自身のこわかったり、つらかったりする思いに打ち勝ち、子どもたちへの目配り・気配りを忘れない、そんな教員のすごさを感じました。」
とあったっけ。

 そうだよね。人間は危機に遭遇すると強くなる。

 阪神淡路大震災のとき、教員は、それぞれ自校に避難している市民の方々のお世話に精出し、皆さんから感謝されたし、
 今回も、テレビ報道で知ったのだが、
 午前中は卒業式をやり、午後は避難してくる方々の世話をするといった学校があった。その学校の校長は、『教員、中学生が一体になって、その任務(?)を果たしている。』と語っていた。

 このように、『教員のすごさ』を発揮している姿は、全国各地にみられることだろう。

 いや。教員だけではないね。こわくてつらく悲しいなかでも、奮闘されている市民の方々は、ほんとうに多数いらっしゃることだろう。


 わたしは、思わず自分の教員生活35年を振り返ってみた。そのなかに、こんな過酷な体験はあっただろうか。

 ほとんど記憶にないのだ。

 それを初任者が1年目にして経験してしまう。ああ。なんということだろう。あくまで番外だが、実に大変で困難な初任者研修(?)をする羽目になってしまった。Aさんがおっしゃったような『教員としての誇り』。それを、Bさんは実地に学び、獲得しつつある。

 ふるさとから遠い地でふるさとを想い、その一方で自分の学級の子どもたちのことも想い、まだまだ不安、困難、試練は待っているだろうが、これを乗り越えてくれるものと確信している。 


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 『せっかくブログをやっているのだから、Bさんのご両親、それにおじいさまに、心からの応援のメッセージをおくりたい。また、Bさんがこんなにもがんばっていますよということをお伝えしたい。』
Bさんにそう話しました。・・・、しかしね。今、とてもパソコンなどご覧になれる状況ではないでしょう。

 いつの日か、落ち着かれたとき、ご覧いただけたらと思いました。

 また、全国の被災者の皆さん。気持ちだけになってしまい、大変申し訳ありませんが、かげながら応援の声をお届けしたいと思います。

 なお、阪神淡路大震災のときの過去記事もあります。よろしかったらご覧ください。

    阪神淡路大震災から11年



rve83253 at 06:25│Comments(10)TrackBack(0)初任者指導 | 災害

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この記事へのコメント

1. Posted by YK   2011年03月17日 12:30
この度の災害は日本にとって痛恨の極みであり、いま被災地で寒さに苦しむ方々、御家族を失われた方々にかけるべき言葉が見つかりません。募金もしましたが、まだまだ頭の中には教え子たちと協力できるであろう案があるので、輸送機能が回復し次第、実行しようと思っています。

私の勤務先も昨日ようやく卒業式が終わりましたが、一昨日、地域の放射線量の異常値が出たので、直ちに事務局に連絡しました。延期も視野に入れるべきだと言いましたが、挙行はされました(しかし、概して学校事務レベルでは危機管理能力が低く、状況をよく把握していないようにも思われます)。

1基2基ならまだしも、もしも福島の原発が10基ダメになったら関東は終わりです。いまはとにかく冷却するしかない。冷却が成功すれば関東圏内は生存できますが、失敗すれば当面はここに住むことはできなくなるかもしれません。上手くいって欲しいです。
2. Posted by フルタ   2011年03月18日 09:05
B先生、担任の生徒全員が安全に帰宅されているかを確認されたのですね。そうせずにはいられないほど、子ども達全員との結び付きが強かったのだろうなぁ、子ども達は幸せな学級環境にいるのだなぁ、普段のB先生の姿からもたくさんのことを学んで良い成長をされているのだろうなぁとじ〜んとしました。

toshi先生にとっても教員生活の中でも最も過酷な体験を、初任で体験されご実家の心配もある中、ご不安も多いかと思います。でも、少しずつ生活が落ち着いてくると思うので、B先生には落ち着いたら休養をとっていただき(B先生の学校の校長先生にご配慮をお願いしたいです)、子ども達とともに素敵な学級作りに今後もずっと専念していただきたいなと思いました。

私にできること・・・初任者の先生が我が子の通う学校に赴任されたら、B先生だと思って応援することかなと思っています。
3. Posted by toshi   2011年03月18日 16:17
YKさん
 ほんとうに、これまで60年余生きてきて、こんな震源の幅の広い地震は、初めて経験するように思います。東北各地域の状況はほんとうに悲惨ですね。
 わたしも何らかの協力はさせていただきたいと思っています。
 原発も心配です。憂慮すべき事態です。一進一退を繰り返しているようです。自らの危険を顧みず現場で働く方々の苦労、心労を想うと、これもまた、いたたまれない気持ちになります。
 我が地域でも、今日が退職した学校、明日が今勤務している学校の卒業式です。今日は無事行われました。ほんとうに感動的な卒業式でした。
4. Posted by toshi   2011年03月18日 16:24
フルタさん
 はい。土曜日もかなり多くの教員が出勤したようです。やはり、よき先輩が無言の影響力を与えているように思います。低学年は下校中の子も多く、そんなわけで、低学年の方が子どもだけでの対応を迫られるという、何とも心配な事態になってしまいました。B学級だけでなく、全校の児童が安全に家に着いたことが分かったときは、校長はじめ全教職員も、心から安堵したようでした。
 B先生に心を寄せていただき、ありがとうございます。心より感謝申し上げます。
 春休みが休養になるかと言いたいところですが、年度末と年度初めの学校は、ほんとうに忙しいのです。でも、交通網が修復すれば、帰省をちょっとすすめてみるつもりです。
5. Posted by み   2011年03月20日 00:19
被災者の方々へ、お見舞い申し上げます。こちらは関東です。東電により計画停電がなされ、学校では対応がなされています。
新任の方、ご苦労なさっていることでしょう。この経験は、今後の教育に反映されるであろうと思います。

さて、被災地に勤務している臨任の方へ、正規の教員と同じく責務を遂行していることでしょう。彼らは、正規採用された人も、不合格だった人も、同じくこの局面を乗り越えようと努めているでしょう。
ぜひとも、次年度採用にならなかった教員が、この局面を正規職員と同じく乗り越えようと職務を遂行しているならば、それが報われるような措置が取られることを希望します。よろしくお願いいたします。
6. Posted by toshi   2011年03月20日 06:01
みさん
 被災者の方々へのお見舞い、ありがとうございます。
 我が勤務校も被災地に入るらしくて、計画停電の対象外となっています。
 臨任職員のことですが、
 おっしゃるように、臨任の方々は様々な待遇面での差があるにもかかわらず、正規職員と同じ職務を求められています。
 みさんは、採用される側に思いを寄せてコメントをくださっています。それはもちろんその通りで、わたしも同感です。
 でも、わたしはあえて採用する側に思いを寄せて書かせていただきますが・・・、
 これが規定数調整のためのやむを得ない措置(教員定数が法によって厳密に定められているため、微調整のための臨任職員はどうしても必要。)ならばいたしかたないとも言えるのですが、現状、多くの地域では不当に正規職員を減らす政策がとられています。つまり必要以上に臨任職員をふやしているのです。それは将来の教育施策という意味でも問題だと思います。
 この状況の改善は、そのまま、みさんがおっしゃる、『この局面を正規職員と同じく乗り越えようと職務を遂行しているならば、それが報われるような措置』につながると思います。
 教育行政府に強く求めたいですね。
 なお、臨任職員のおかれている状況については、過去記事に書いたものがあります。みさんにはご覧いただいていると思いますが、本コメントのtoshi欄にそのURLを貼りつけさせていただきました。読者の皆さん、よろしかったらご覧ください。
7. Posted by み   2011年03月22日 21:44
そうですね。
再度、過去記事を読ませていただきました。

採用側の調整のためにやむを得ない措置というのは、以前から理解しているところです。

私が言おうとしたのは、教員免許取得後に臨時的任用職員として採用され、臨時的任用職員として教員という職を担おうとしている人々ではありません。
正規教員を目指しながら臨時的任用職員として働いている人々が、正規教員と同様に、自身が被災しながらも、その職務を遂行しようとする姿、地方公務員として公共の福祉に資する姿は、採用選考にあたって考慮されるべきではないかと思うからです。人間性重視の採用選考ならばこそ、この窮地に人間性が現れるものですので、窮地に直面しながらも公共の福祉に力を注ぐ人々を大事にしていただきたいと思います。また、この経験を次に活かすことができる人材は、この国の学校教育において大事ではないでしょうか。

少子化の現代において、今後学校数が減少し、教員数を減少させざるを得ない状況を理解します。その調整としての臨時的教員の採用が多くなっていることも理解します。ただ、教育公務員として必死になっている人々を、調整弁として扱うことだけは避けていただきたい、そう思います。
8. Posted by toshi   2011年03月23日 05:19
みさん
 みさんのおっしゃることに、まったく同感です。わたしもそのように申し上げたつもりですがね。
 ただ、本記事は、初任者のBさんが、家族の安否が分からなかったことで、極限まで追い込まれながら学級経営せざるを得なくなったその心労をとり上げ、それが教員としての幅を広げるに違いないという趣旨で記事にしています。
 また、『いつの日か、落ち着かれたとき、(Bさんのご家族にも、)ご覧いただけたら、(ありがたい。)』とも述べています。
 したがいまして、Bさんの心労などについてのコメントもいただければ幸いです。
 
9. Posted by み   2011年03月23日 20:15
本記事からそれてごめんなさい。
Bさんには、ベテランのtoshi 先生が思いを寄せており、心強く今を生きているでしょう。それほどに、初任者を指導するベテランの方の存在、そしてその人からエールを送られることが、大きな支えとなるものだと思います。
世界各国からの支援、世界およびこの国の各界からの支援、そしてメディアから伝えられる人々のメッセージ、そして、日本に住んでいる人々の思い、そして私の思いも共通です。

自身が生命の危機に瀕していなければ、目の前の子どもたちに全力を注いでください。立ち止まるよりも、子どもたちの生きるエネルギーに影響を受けてください。忙しく立ち回ることで緩和される不安があります。くじけそうになったとき、子どもたちを見てください。健気に生きている子どもたちがいます。そして、思い出してください。指導者toshi 先生の言葉を。
必死に生き、一息ついたとき、魂が抜けたように動けなくなることがあります。それは正常な人間の反応です。不安にならずに休んでください。大丈夫です。エネルギーを充てんしたら、再び活動できるようになります。新たな活動へ邁進することができます。
10. Posted by toshi   2011年03月24日 05:27
みさん
 うわあ。すごいコメントをいただきました。Bさんのみならず、わたしにまでエールを送ってくださいました。ありがとうございました。心から感謝申し上げます。
《立ち止まるよりも、子どもたちの生きるエネルギーに影響を受けてください。》
 すばらしい言葉だと思いました。ほんとう。教員は子どもによっても育ててもらえるのですよね。子どもにのめり込むことによって、自分自身も『生き抜く力』を得ていくのでしょう。
《必死に生き、一息ついたとき、魂が抜けたように動けなくなることがあります。〜。大丈夫です。》
 よく分かります。きっと、Bさんに限らずかなり疲れていることでしょう。その疲れも意識することができず、知らず知らずのうちに蓄積されてしまっていることも多々あると思います。
 ほっとした瞬間に襲ってくるのでしょうね。
 以上、とり上げさせていただいた2点。あらためて、『そうだよなあ。』と感じさせていただきました。わたしが学ばせていただきました。
 再度申し上げます。ほんとうにありがとうございました。
 なお、いただいたみさんのコメント、
 あらためて、全国の被災地で働く教員の皆さんに送らせていただきたいと思いました。新たな記事に引用させていただきたいと思いました。よろしくお願いします。

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