2011年09月29日

ぼくたち、わたしたちは、宇宙人ではないですよ。

kodomo3その1 

 ある日、1年生の教室の壁面に、『一ぴき』『一だい』『一きれ』など物の数え方を学習したらしく、二十種類以上も書かれたものが貼ってあった。『子どもたち、すごくたくさん言えたのだな。』と感心する思いで見ていると、そのなかに、『一なき』とあるのを見つけた。

 『一なき』ってなんだ。友達が泣いた回数でも数えるのかな。

 そう思って、放課後のAさんとの話し合いでちょっと話題にしてみた。
「はい。わたしもちょっと違和感を感じて変だなと思ったのですが、Bちゃんに聞くと、小鳥が鳴くのを数えるのだそうです。」
「そうか。小鳥なのか。それならよかった。わたしはまた、友達が泣く回数でも数えるのかと思って、それじゃあ、そのお友達がかわいそうだなと変なことを想像してしまった。
 でも、それにしても、そんな数え方はないだろう。『おもしろいものをみつけたね。』とばかり、共感してやるのは大切だけれど、『一ぴき』『一だい』『一きれ』などと並べて書いたのを貼っておくのはまずいよね。なんかそういう呼び方があるみたいだ。」

 その場ではそれで済んだ。しかし、ちょっと気になるところがあり、グーグルで、ためしに、『“ひとなき”』と入れ検索にかけてみた。

 やっぱりだった。あるではないか。『ひとなき』が。しかも、『うぐいすのひとなき』なるブログまで見つけた。これは、これは、・・・1年生から教わった思いだ。

 次の日、Aさんにお詫びした。そして、『(一ぴき、一だい、一きれなどと)並べて貼ったままでいいね。』と訂正した。そうしたら、今度はAさんに感心することあり。
「でも、やっぱり変ですね。他のものはほんとうに数え方になりますから、十でも百でも数えるということになりますが、鳴くのはやはり、一つしか言い方としてはないのではないでしょうか。慣用句のようなものかもしれません。」
「なるほど。そういえば、『ひと眠り』とか、『ひと休み』とかもそうだな。二や三はない。」

 まあ、それはそうだが、やっぱりせっかくBちゃんが言ったのだ。それに子どもは、2回鳴けばふたなき、3回鳴けばみなきと思っているようで、その辺はちょっと悩ましくもあったが、そのまま掲示していいことにした。


 その2

 算数では、式からお話をつくる学習がある。『4+5−2』なる式があるとき、
 『ことりが 4わ とまっています。そこへ 5わ とんできました。すると 2わ とんでいきました。なんわ いますか。』といった具合である。

 ある日、給食に巨峰が出た。初め4個ずつ配られたが大量にあまったため、『いただきまあす。』に前後して、担任のAさんが希望者に2個ずつ配ってまわった。それなのに、わたしがおじゃましたグループのCちゃんの皿には、5個しか入っていない。わたし、
「あらっ。5個しかないね。」
 わざとらしく、すっとんきょうな声を上げた。

 Cちゃん。ニヤニヤしながらも無言。
 そうしたら、となりのDちゃん。
「toshi先生。4−1+2だよ。」
 またまた、わたし、わざとらしく、『−(ひく)1?』と声を上げた。
「そう。Cちゃんねえ。1個、食べちゃったの。」 
 それで、『えへへ。』と声を上げたCちゃん。
「だって大好きなのだもの。待ちきれなくなっちゃった。」

 Dちゃんはさらに続ける。
「4−1+2の答えはねえ・・・。」
と言って、Cちゃんのお皿を指さしたから、大笑いしてしまった。

 もう、読者の皆さんはお分かりでしょう。これは最後に食べる約束になっている。だから、違反なのだ。

 でもね。こんなかわいい違反は不問に付すことにした。1個だけだしね。それより、
「Dちゃん。すごい。約束違反のお話から式をつくっちゃったね。」

 生活のなかにある算数。見事だった。

 ここで、1年生保護者の読者の皆さんに申し上げます。お子さんとの自然な会話のなかで、『生活のなかにある算数』を適用するのは大変けっこうです。こんな調子で出題したりされたりしたら楽しいですよね。でも今はまだ、式も答えも1桁の問題ですから、その点ご承知おきください。 (ああ。ごめんなさい。9+1+3や12−2−1のように、いったんきりのいい10になる問題なら、今まさに学習したばかりといっていいでしょう。ただし、教科書によっては時期が多少ずれるかもしれません。このかっこ内は、30日午前5時半に追記しました。)


その3

 休み時間、Eちゃんがいたずらっぽい笑みを浮かべわたしに言う。
「toshi先生。算数の問題ができたよ。」
「ふうん。どんなの。」
「toshi先生が6人います。」
「ええっ。何だい。それは。toshi先生は1人しかいないじゃないか。」
「いいの。じゃあ、問題の続きだよ。toshi先生が6人います。5人ははげています。はげていないtoshi先生は何人でしょう。へ。へ。へ。」
「なにい。」
 わざと大仰に怒ったふりをして、大声をあげてしまった。Eちゃんは相変わらずニヤニヤしている。
「そんな変な問題はできない。」
「できるよう。答えはね。1人じゃん。」

 怒ったふりをしながらも、これは・・・、Eちゃんの頭の中をさぐってみたくなった。もしかしたら、Eちゃんの頭のなかでは、割合の概念が芽生えているのではないか。そう思ったのだ。

 toshiはもちろん1人だ。しかし、正直のところ、頭はかなり薄くなってしまった。でも、完全にないわけではない。ちょうど、6分の1といったらいいセンだ。そのくらいはある。(・・・。いや。あぶないかもしれないな。)
 しかし、1年生。もちろんまだ、割合も分数も学習してはいない。そこで、『toshi先生は6人』とせざるをえなかったのではないか。

 こんなこと、Eちゃんに聞いたって分かるわけはない。だから、まったくわたしの想像だが・・・、
 うん。Eちゃんは、比較関連思考にすぐれている。・・・、と思う。
 前記事に書いた、わたしがやった授業で、『ゆうだちがやんであたりが明るくなったから気持ちも明るくなった。』と発言したのもEちゃんだ。

 そんなわけで、頭にくるやら、感心するやら・・・・・・。1年生の保護者の皆さん。このマネはしないでくださいね。


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 わたしの頭の件では、2つ思い出したことがあります。

〇一つは拙ブログトップページの似顔絵です。これは、初任者指導に携わるようになった初年度、我が担当の初任者に5年生担任がいました。その子たちとのお別れのとき、Fちゃんが書いてくれたものです。もう6年前になってしまいました。
 ということは、Fちゃんたちは今年、高2になっているのですね。はやいものです。

 当時からあんなにはなかったです。あれは、Fちゃんの思いやり、やさしさだったでしょう。そう。高学年だと、けっこうそうしたやさしさは育まれてきます。その点、1年生は辛辣ですね。

〇あと一つ。すでに過去記事(ブログではないので文字が大きくなっています。)に書いています。これはわたしの担任時代ですから、もう20年前のこと。そんな前から薄くなっていたのですね。
 楽しくお読みいただけると思います。よろしかったらどうぞ。

    子どもの目線で 

 最後にお詫びを。

 本記事の表題ですが、自分で常々『1年生は宇宙人』と書いていながら、自分で否定しています。なんか申し訳ありません。1年生だって、こんなにしっかり成長しています。読者の皆さんと1年生に申し訳ない思いです。

rve83253 at 23:54│Comments(6)TrackBack(0)子ども | 自己啓発

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この記事へのコメント

1. Posted by makohyan   2011年10月02日 19:28
いつもブログ読ませていただいています。私は小学校2年生の担任です。1年生は宇宙人というのは、1学期のある一時期の話でどんどん成長していますよね。
2. Posted by 宮崎   2011年10月02日 21:17
今年は小学校の実習は小学校で明日はお別れ会です。実のところ小学生なんて・・・とこばかにしていた部分があったのですが、全然違いました。素直で熱心でとてもすばらしい子どもたちでした。3年生だったのですが、みんないきいきしていて毎日少しづつ成長していくのを感じることができ、私にとっても成長のきっかけを与えてくれました。来年はピアノの練習もして小中併願で採用試験をうけてみようと考えています。
3. Posted by toshi   2011年10月03日 00:24
makohyanさん
 ご愛読賜り、ありがとうございます。おっしゃるように、子どもはどんどん力をつけていきますね。一年間の成長には目覚ましいものがあります。こちらも負けてはいられないといった思いです。
4. Posted by toshi   2011年10月03日 00:30
宮崎さん
《来年はピアノの練習もして小中併願で採用試験をうけてみようと考えています。》
 うわあ。うれしいですね。小学校教員に魅力を感じてくださったのですね。上のmakohyanさんへのコメントとも重なりますが、何をしても習いたての成長は目覚ましいものがあるでしょう。小学生の成長にも同じことが言えるのではないかと思います。それだけに、やりがいがあるというものではないでしょうか。

 
5. Posted by 伊藤   2011年10月05日 15:38
物の数え方は名古屋大の町田先生と中大の先生が共同で本を出してます。

そういう本があると、応用が利きますよね。

附属学校には電子黒板が導入されていたので、検索エンジンでささっと調べたりすると、クイックレスポンスになるので疑問に思ったときに解決できるのはより学習意欲を高めていけるのかな?と考えてしまいます。

自由な発想に教師はいろいろ学んでいるんですよね。
本当に学んでいるのは教師側ばっかりだなと思います。
6. Posted by toshi   2011年10月06日 05:02
伊藤さん
《本当に学んでいるのは教師側ばっかりだなと思います。》
 そうなのです。しかし、現実は学ぶのは子どもだけとなっている例が多いように思います。《ひとなき》と出たときに、それを無視してしまう教員はけっこういるように思います。
 検索エンジンで気をつけなければいけないのは、それが即正解とはいかない場合もあるということですね。

 

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