2012年05月12日

愛犬が引き合わせてくれた原発避難の方 他

PAP_0049 14歳になる我が家の老犬は人見知りする。初めての人と仲良くなることはめったにない。警戒心が強くはたらいてしまうようだ。

 そんな老犬だがこのご婦人へは出会ってすぐ、しっぽを振りながら近づいていったそうである。妻はびっくりしたようだ。それが縁となりそのご婦人Aさんと親しく話すようになった。

 何回かそういうことがあって、このAさんが原発避難者であることを知る。それで妻はAさんのことをわたしに話してくれるようになったのだが、今度はわたしがびっくりした。

 そんなある日、二人で犬の散歩につき合っていたら、またまたAさんと出っくわした。例によって愛犬はすぐ近寄っていく。そして、原発の話になるのに、そんなに時間はかからなかった。

 「いやあ。わたしたち、避難するように言われたときは、すぐ家に帰れると思って避難したのですよ。それが、もういつ帰れるか分かりゃあしないでしょう。20年、30年とも言われますが、そんなに生きてないですからねえ。もうそれは帰れないということでしょう。・・・。家は津波にあったわけではないから、ちゃんとしているんですよ。それだけに悔しくってねえ。」
「避難ていったって、どこへ逃げていったらいいの。国は何にも言ってくれないですからねえ。とりあえず知り合いのところへ逃げていったのだけれど、あとでそっちは放射能がいっぱいだったっていうじゃないですか。
 もう国は信用できないですね。国が信用できなくなったら、わたしたちはどこを信用すればいいのですかねえ。もう、いやになっちゃいますよ。」

 おっしゃること一つ一つに身を切られる思いがした。

「野田さんは、『身を切る覚悟で、』ってよく言いますけどね。『あらあ。いったい自分の体のどこを切る覚悟なのかしら。』って思いますよ。」

 しかし、言葉とはうらはらに、表情は明るくゆっくりゆっくり笑顔で話されるので、聞いているわたしたちはかえってつらくなった。

「国はどこかの原発を再稼働させたいようだけれど、そんなことをして大丈夫なのかしらねえ。安全だなんてとても言えないでしょう。もうあんな思いをするのは、わたしたちだけでたくさん。少なくともわたしの周りの福島県民はみんな怒っていますよ。
 このまちには、再稼働に賛成する人もいるようだけれど、もう地震は起きないとでも思っているのかしらね。なんか、国が大きなかけごとを始めようとしているみたいで、いやですねえ。」


 そう。かけごとと言えば、もっと深刻でせっぱつまったかけごとが、つい先日ブログ記事になっていたっけ。近い将来、昨年並みの大地震が発生したら・・・、

ここからは、愛犬とAさんの話題から離れさせていただく。

 今その記事にリンクさせていただこう。10円まんじゅうさんの『かかわりすぎない子育て』のなかの『日本が滅亡するかもしれないなかで』の記事だ。
 同氏がこの記事でふれている『福島第一原発4号機の核燃料棒』の問題。これについては、You Tubeの『福島第一原発4号機倒壊で首都圏壊滅!? 1』で、小出裕章氏が、よりくわしく話されている。
 また、yahoo newsでは、福島第一原発4号機・使用済み核燃料プールの危機的状況を米上院議員が指摘、「国際的支援を仰げ」と駐米大使に書簡を送付とある。

 いやあ。驚いた。

 これについて、東京電力は何て言っているか。4号機使用済燃料プールの安定的冷却までの取り組みとありテレビなどでおなじみの方が話しているが、『再度地震が起きたら、』という話はなかったように思う。

 それで上記リンク先の小出氏の話を引用させていただくが、
 「〜。東京電力は、傾いた燃料プールの耐震補強工事をやったと言っている。しかし、猛烈な被ばく環境のなかでどこまでしっかりやれたかと思うと、不安である。このプールが余震によって全壊すれば、これまで放出された放射能の10倍が大気に飛び出してくると思う。」
とのこと。

 ああ。日本政府は、米国のロン・ワイデン上院議員の書簡を受け、国際的な支援を要請したのだろうか。ネットで調べる限りそうした報道はない。また、マスコミもこのことを報道しているのだろうか。わたしは最近テレビをあまり見ないのだが、どうなのだろう。

 2004年のスマトラ沖地震では、その後もその地震に匹敵するくらいの余震が何度も発生したという。国際的な支援を要請すれば何とかなるのかどうか、それは分からない。しかし、何らかの手を早く打ってほしいものだ。

 世界が心配している。


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 ああ。我が家の愛犬のおかげで、めぐりめぐって大変なことに気づかせてくれました。もし心配の事故が起きたら、教育の諸問題なんか、吹っ飛んでしまいますね。

 原発避難のAさんは、今、我が地域で、お子さんと一緒に暮らしています。
「わたしなんかまだいい方なの。息子のところにいるのだから。わたしより悲惨な方はいっぱいいらっしゃるわよ。」
とのこと。また、
「動物はいいなあ。ウソつかないし、ごまかさない。ほんとうにいやされるわね。」
またまた愛犬はAさんのもとへ寄っていき、ぺろぺろ指をなめています。ああ。ことがことだけに、重たい言葉だなと思いました。

 いつもなら《早く故郷へ戻れるように祈念》などと書くところです。しかし、そんなことを書いてもね。むなしいですね。
 幸いお元気で、何より明るい方でいらっしゃいますので、慣れない土地でしょうが、少しでもお幸せにと祈らせていただきました。
    


rve83253 at 07:38│Comments(4)TrackBack(0)エッセイ 

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この記事へのコメント

1. Posted by OT   2012年05月12日 22:28
先生、こんばんわ

(むなしい)この言葉の意味を考えています。
昨日ネットで、(太陽)と言う映画を見ました。
昭和天皇の映画です。

敗戦後の天皇のむなしさと、責任から解放された
安堵感とまた、心ならず自分の真意では無いのに
犠牲になった人々の死と天皇としての責任
を茫然と受け入れている
一人の人間の人生が描かれていました。

無料の映画配信なので、ご興味とお時間があれば
ご覧ください。URLを貼る事はできるのですが
ネットマナー上の事を考えて、お手数ですが
(検索)をお願いします。

私は、左翼でも右翼でも無いですし。
支持する政治・政党を持つわけでも無いし
宗教にも狂信的では無いのですが
やはりついつい、むなしい現実に関しては
悩んでしまいます。

(太陽)は政治や歴史に翻弄された
一人の人間の、どうする事もできない
悲しさやむなしさ 悔しさ、家族 
様々な事が感じられる良い映画でした。
制作は、外国の映画監督だそうです。

震災も教育も、どう動いてもどうにもならない
(現実)をどう乗り越えたら良いのか、
ただ毎日 日々をつつがなく暮らし、
過ごす事しか私達にはできませんが。

人は生活する中で(希望)を奪われる事は
何より辛いです。だから人は人生に(希望)
を見出そうとするのでしょう。

多くの政治家も同じ思いを抱えて
決断を重ねながら歴史を作っていくのでしょう。
光が当たる以上、自然と影の部分は出てしまうのは
摂理だと理解しています。

その陰に寄り添える人間が日本中に増えると
もっと過ごしやすい、世の中になるだろうと
思ったりしますが、それもまたむなしいでしょうか。

動物は良いですよね。
家の子供達も犬を飼ってから、
ずいぶん元気になりました。

昔、社員証を持った犬をオフィス全体で
飼っている話を聞いたことがあります。

そんな話を思い出しました。
2. Posted by toshi   2012年05月13日 13:33
OTさん
 ちょっとOTさんのお話とかみ合うか心配なのですが、人間は大部分本能で生きていないだけに、ややっこしい生き物であるような気がします。
 すばらしく感動的なことも多々あるのですが、逆にみにくい部分も多いですね。だからこそ、教育の力におう部分がかなりあると思うのですが、どうもその教育の世界も、人間がやることゆえ、感動とむなしさと、その両面から逃れられないようです。
 わたしが若かったころの日本と今とでは、国民の気質がものすごく変わってしまったように思います。
 以前も書かせていただいたのですが、国民の多くが坂の上の雲をめざしひたすら登っていた時代は、それなりに国民は一致団結していたのですが、登り切りその雲の中に入ってしまったとたん、周りが見えなくなり、国民の多くは混迷のなかに入ってしまったのではないでしょうか。そんな感じがしてなりません。
 なんか大正デモクラシーから軍閥政治に入ったときもこんな感じだったのかな、だって、本記事の原発にしたって、国民は肝心なことを何も知らされていないですものね。
 民主主義が問われているような感じがします。
 なんか『感じ』ばかりですみません。

3. Posted by OT   2012年05月13日 23:38
とても解りやすいご返信ありがとうございます。

人が政治や歴史に対して、興味を持つ(きっかけ)は
このような事からだろうと思います。

お写真を拝見する限り、この方も多くの年月を
くぐり、生き抜いてきた方のようにお見受けします。
怒りを笑いに変えて話される様子は
この方の、逞しさでもあるのでしょうか。
日本人の強さを拝見した気がしました。

以前、時代に対する寛容に関して書かれていた
と思いますが、年を重ねると頑固になられる方が
多い中で、先生の柔軟さには驚かされます。

温かい交流の写真を拝見させて頂きました。

この方の人生においても少しでも早く、
心の傷が癒えてお元気で、暮らせるようにと
私も願います。先生は、どの業界でも
ご活躍なさったであろう方のように思います。

いつも、私の難しい問いかけに、
的確に解答をして下さいます。

ありがとうございました。



4. Posted by toshi   2012年05月14日 10:14
OTさん
 なんかすごく過分なお言葉をいただきまして、恐縮しております。ただし、原発避難の方については、ほんとうにOTさんがおっしゃるそのままのお方のように思いました。
 どうぞ、今後ともよろしくお願いします。

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