2012年06月17日

20年ぶりの学級経営は、(2) 遠足に行く

kodomo01 面接の際、校長先生は申し訳なさそうにおっしゃった。
「toshi先生にお願いする期間、それは夏休み前までですが、その間には、土曜授業参観も、遠足も、そして、個人面談もあるのです。」
 そのときは思わず『ええっ。』と叫んでしまったわたし。

 しかし、ここ数日は遠足を楽しみにするようになった。体力に自信がついたからだろう。そのことに何ともいえない喜びを感じた。やっぱり人間は、いくつになっても体をつかって何か打ち込めるものをもった方がいいようだ。

 そういえば先日も、体育の授業の折、気づいたら子どもと一緒に走っていたっけ。たまたま通りかかった保護者の方が意味ありげに笑いながら、
「toshi先生。お若いですね。」
と声をかけてくれた。
 ああ。走るなんて、何年ぶりだろう。自分が自分でないような気がした。今、あらためて自分発見をした想いでいる。


 さて、遠足のことだが、今度は話が反対になってしまう。期せずして、寄る年並みを意識させられるハメになってしまった。

 子どもたちは約束をよく守り、楽しく仲良く行動できたのだが、このわたしが、何ということなく他クラスとペースを合わせられないのだ。そういうことが何回かあった。たとえば、『集合!!』という合図に少し遅れをとってしまう。『次、これ、』『その次は、これ』といった感覚はあるのだが、追いまくられる感じになってしまった。

 反省会では謝った。
「すみませんでした。なんかわたしが足手まといになってしまったようで。」
「いいえ。そんなことないですよ。すべて予定通りにいきましたから、大丈夫です。それより、どうもお疲れさまでした。」
やさしい言葉をいただいた。


 それでは、一日を振り返ってみよう。

 駅までの約1kmの道。あたたかなまちだなあとあらためて思った。『あらあ。A小学校の遠足だあ。』とばかり・・・、保護者だけではない。いろいろな方が声をかけてくださる。
 一人のおばあさん、子どもたちの声を聞きつけたのだろう。おうちの窓を開けて『行ってらっしゃあい。』と手を振ってくれた。わたしは、てっきり誰かのおばあさんなのだろうと思った。しかし、それは違っていた。
 わたしに向かっておっしゃった。
「すみません。子どもが大好きなものですから、声をかけさせてください。」

 また幼稚園では、園児と先生が園庭の向こうから手を振ってくれた。そうしたら、我がクラスのBさんだ。
「toshi先生。ここがぼくのいた幼稚園だよ。うわあ。C先生がこっちを見てる。」
そう言って、ジャンプするようにして手を振り返していた。

 わたしはわたしで、『ああ。こうした方々を生活科の『まち自慢』でとり上げればいいのだな。』などと商売っ気(?)丸出しで思うのだった。

 電車のなかでも、ほほえましい光景がたくさん見られた。一般のお客さんが子どもたちに声をかけてくださる。たぶん、『どこへ行くの。』『何年生?』などと聞かれているのであろう。温かな日差しも車内に差し込んでいた。

 Dさんに声をかけられた。
 「toshi先生。どうぞ、座ってください。」
 「うわあ。ありがとう。いいの・・・。じゃあ、座らせていただくよ。」
 わずか数駅ではあったが、やさしい子どもたちの声にあまえさせてもらった。車内で子どもたちの指導にあたっている先生方には申し訳なかったが・・・。

 目的地のE公園は、降車駅のすぐ近くにある。とちゅう、アジサイのきれいな中を歩いたが、子どもたちはあまり関心を示さない。それより、池の生き物には強い関心を示した。やはり小動物の方が魅力的なようだ。
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 実は前々日、遠足のしおりをつかって指導している際、Fさんが言った。
「おじいちゃんから聞いたのだけれど、E公園には大きなお墓があるんだって。わたし、そこへ行ったら、(手を合わせて)お参りするんだ。」 
「そう。(しおりの絵地図を指し示しながら、)ここに立つと、こっちには大きなお墓があり、反対側は大きな川が流れているよ。G川っていう川。」

 そんな話をしていたから、その場所に到着すると、わたしは言った。
「ほら。これが、Fさんのおじいちゃんが教えてくれた、大きなお墓だよ。」
すると、Fさんたち、あたりを見渡して、
「ええっ。お墓なんかないじゃん。」
「そうだよ。山があるだけじゃん。」
「いや。この山全部がお墓なの。ほら。ずっと向こうまでお墓だよ。」
「うそだあ。山だけしかないよ。」
 わたし、おかしくなってしまった。Fさんも含め拝む子はいなかった。

 そう。読者の皆さんはもうお分かりだろう。これは前方後円墳なのだ。古墳はまあ、2年生にはちょっとむずかしすぎるよね。それで、『大昔のえらい人のお墓』と言うにとどめた。

 ここは都会の喧騒を離れ、緑のにおいもして、ほんとうにいいところだった。他校の遠足とかち合うこともなかったので静寂のなかにあり、とてもよかった。アジサイの咲き乱れるあたりは、年配のカメラマンが少なからずいらしたが、混雑するほどではなかった。PAP_0069

 広場に到着する。学級ごとにリュックを下ろし、トイレに行きたい子は行って、それから集合。

 このトイレではちょっとしたハプニングが起きた。先頭の子どもたちが《このトイレ、きたない。》と言う。そのため、ちょっと遠くのトイレに殺到しだした。

 実はきたなくなどないのだ。きれいに掃除は行き届いている。
 なぜきたないなどと言うのだろう。初めそう思った。たぶん暗かったのと、床の色が黒ずんでいたのと、掃除で下が水で濡れていたのと・・・、そんなのが原因ではなかったか。

 わたしは子どもたちの後ろについていたので、ちょっとあわててしまった。きれいなのを確認し大声を張り上げたが、もう時すでに遅し。そこを使用した子どもはわずかになってしまった。
 それやこれやで広場に戻ったが、そのときはもう他クラスの先生が我がクラスのリュック置き場を指定してくれていた。こんなことでも思わず時間を食ってしまうものだ。

 学年全体での遊びに入る。G先生の進行で、『遠足に行こうよ。』を楽しんだ。これは、『猛獣狩りに行こうよ』をもじったものだ。うまく組めない子は必ずいるもので、そういうときは教員が他の組めない子とうまく引き合わせてやらなければならない。大人数グループになると、どうしてもそろわない子たちが現れるが、そういうときは教員も人数のうちとなり一緒に手をつないでしゃがむ。

 もう一つは、H先生進行の『進化するゲーム』。

 初め全員がゴキブリになる。両手首を振ってゴキブリのマネ。そして、任意の友達とじゃんけんをする。勝つとアヒルに進化する。アヒルは口に片方の手をもっていき、ガー、ガーと鳴きマネをする。そして、アヒルさん同士がジャンケン。勝つと人間に進化する。人間は両手を大きく振って歩く。またまた歩いているもの同士でジャンケン。勝つとハクチョウに進化(?)する。そして、大きく羽ばたきながら所定の場所に行って並ぶ。負けるとどの段階でもゴキブリに戻りジャンケンのやり直しだ。

 こんなゲーム、初めて知った。おもしろい。今度クラスでもやってみよう。

 次は、クラスの計画による遊びだ。ある程度遊び出すと、子どもたちは口々に、『疲れた。疲れた。』を連発するようになった。・・・。その理由は・・・、Jさんたちが言う。
 
「先生。ぼくたちのクラスはずっとオニごっこだよ。もうさっきから走りっぱなしだよ。」
「そう。K組のように、はないちもんめやだるまさんがころんだの方がいい。」
「そうか。でも、こまったなあ。この前クラスのみんなで話し合って決めたのだからなあ。みんなその通りやろうと思っているよ。」
 
 これは遠足が終わったら反省として、ぜひともJさんたちに発言してもらおうと思った。次回以降のためにね。
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 お昼になった。

 そう。『わたしが足手まといになる。』と冒頭書いたが、ここだけはしっかり時刻を守れた。と言うか、もう、子どもたちは公園に到着したころから、『おなかがすいた。』と叫んでいたから、《お弁当》のかけ声とともに、待ちかねたようにシートをしき出した。

さて、ここでまたまたハプニング。

 カラスが一羽、各グループの周りをうろうろしだした。子どもたちは口々に、
「カラスがきたよう。お弁当をとられないように気をつけないとだめだよう。」
「こわいよう。うわ。近くに来た。」
 ちょっとふるえている子もいる。
「大丈夫。しっかりお弁当をかかえてとられないようにしてね。」

 そんな調子でカラスもあきらめたか、飛んで行ったようだった。ホッとする。

 お弁当の後は、グループごとの遊びとなる。しかし、疲れてしまった子がいて、また、そういう子も遊ばせようとする子もいて、ちょっとトラブルになるグループもあった。

 わたしはわたしで、体内時計(?)がくるってしまったのだろう。時間が意外と短いことに気づかず、他クラスがもう集合していても我がクラスだけ遊んでいるといった状況になってしまった。

 これはもうびっくり。あわてて集合をかけた。
「ごめんね。先生の気づくのが遅れた。いやあ。ごめん。ごめん。そんなわけだから急いで片付けてリュックにしまってね。」
「先生。そんな急げって言ったって無理だよう。〜がないよう。探していいですか。」
「先生。トイレ行きたい。」

 ダメと言うわけにもいかず、いやあ、もう、あせった。あせった。こんなところにも『20年ぶり』を感じてしまった。学級経営の感覚がにぶっていることを感じさせられた。
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 帰りはもう、どの子も疲れ切ったよう。歩くスピードは落ちるし、列は長くなってしまうし、おまけに学校の近くでは道路工事のため迂回を余儀なくされるハプニングもあり、大変だった。わたしも、感覚のにぶさからくる疲れを感じざるを得なくなった。

 でもね。子どもとこうして過ごす一日は、ことのほか・・・、やっぱりうれしかった。楽しかった。


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 最後の道路工事では、ちょっと今どきの子どもに驚かされることがありました。

 いつもの通学路が使えないということで、集団下校することにしました。それに我々教員もついていきました。そうしたら、何とふだんと違う道なため、家に帰りつけなくなってしまう子がいました。わたしももちろんその子の家は分かりません。

 いろいろ話をして、《ああ。そうか。じゃあ、いつも通っている道は、この一本右なのだな。》と思い、やっと辿り着くことができました。

 それにしても、一部ではありましょうが、今の子どもの行動範囲の狭さを実感させられました。

 そう。そう。今回の遠足ではそういう子はいないようでしたが、かつて、『電車に乗ったの、(遠足の)今日が初めて。』と言って喜んでいる子がいましたっけ。その子はふだん、どこへ行くにも自家用車のようでした。

 とにもかくにも、遠足では、ふだん教室で見ることのできない子どもの姿をたくさん見て、それはそれでうれしかったです。

 最後に、学年で動くときは皆さんの迷惑にならないよう気をつけなければと、痛感させられました。あと1カ月、気をつけましょう。

rve83253 at 12:21│Comments(6)TrackBack(0)学級経営 | 学校行事

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この記事へのコメント

1. Posted by 伊藤   2012年06月20日 17:40
先日、知り合いの教育実習を参観してきました。
しかも、スイミー。ニヤニヤして見てました。

 たまたま、行ったところすぐに子供たちが吸いついてきて、実習生から「この人、何?」と言われるほど。どうやら、どこかの校長先生と思ったそうです。(苦笑)
 授業は附属学校だけあって、よくできる子ばかりでしたが、こらえ性がないというかふざける子もいました。そういう意味では、こちらから仕掛けてふざけているように見えて、実は課題をこなすとか学力につながっているような授業を展開したいと思いました。
 これは私の思いですが、どうせ学校に来るなら授業で魅せたいですね。真面目にやるのもいいですが、ひと笑いある授業のほうがいいかなと考えてしまいます。
2. Posted by toshi   2012年06月21日 05:50
伊藤さん
 ううん。『ふざけて』とか『ひと笑いある授業』とかお書きになっていますが、これは、子どもが主体的に学んでいるからこそ見られる姿と受け取らせていただきました。
 子どもが生き生きしていると、一見、ふざけているようにみえることもありますが、それは子どもの自然体のなせるわざであり、実は価値ある学習をしているのですね。いかにも子どもらしいすてきな発想に、思わず笑ってしまうこともあるものです。
 そういう授業は確かにすばらしい。わたしも今、そうした授業を目指しています。前々回書いたスイミーの授業はそうした授業に近かったかもしれません。 
3. Posted by 竹ちゃん   2012年06月21日 08:42
6月に入ってから、ブログを休んでいました。

toshi先生が、学級担任になられていることを知ってうれしくなりました。
私も、昨年9月に5週間、3年生の担任をさせていただきました。
41歳の時が最後の担任でしたから、25年ぶりで、67歳に数カ月のときでした。
運動会の練習で体のあちこちが痛くなったのを思い出します。遠足もありました。
担任の忙しさを再認識しました。
小学校の教員は心身ともに元気でないと、
務まらないものだと思いました。
その意味でも、現場の忙しさを
軽減したいものだという思いを深くしました。

ご活躍をお祈りいたしております。
4. Posted by toshi   2012年06月22日 00:11
竹ちゃんさん
 ありがとうございます。いつぞやは竹ちゃんさんからうれしいコメントをいただきました。それがこの話をお受けするうえで励みになったことは間違いありません。お礼申し上げます。
 記事にも少し書かせていただきましたが、むかしは担任としての営みが体に染みついていたのだなということを実感させられています。今はちょっとオーバーな言い方になりますが、日々が波乱万丈なような気がします。
 でも、今日、勤務校の副校長先生が、
「toshi先生は楽しそうに学級経営をされている。」
とおっしゃってくださいました。これもすごく励みになる言葉で、感謝しました。
 あと、約1カ月。せいぜいがんばっていこうと思います。今後ともよろしくお願いします。
5. Posted by みーやママ   2012年06月28日 23:12
お疲れさまでした。

その昔は、そんなに苦じゃなかった遠足も
ある時期から、気が重くなってしまいました。
でも、ここのところは、特別支援でいろんなところに
行かせていただいたり、ヨガも頑張ったり・・。
なんとか・・・。

toshi先生でも、そんな失敗?をなさると聞くと
ホッとします。教えていただいてありがとうございました。

私も今年は、ああ何年教員をやってきたんだろうか?と思うことばかりなものですから・・・。
自分の力不足ばかり感じています。
そこに実家の親の介護の問題もあり・・・なものですから、でも、笑顔でやっていこう、それしか考えていないんです。(笑)

次年度は、看護休暇をと思っています。
ホントは今年の5月から取りたかったのですが、そうもいかなくて・・・。だから、もしかしたら、最後になるかもしれないとも思いながら、楽しんでやっていきたいです。
6. Posted by toshi   2012年06月30日 06:18
みーやママさん
 いやあ。公私ともに大変ななかにいらっしゃるのですね。年を重ねることは、研究や経験を積み、豊かな実践力を身につけることと同義と思うのですが、同時に、体の衰えとか家族の看護とかそうした面もでてくるのですよね。
 でも、そうしたなかでも、つとめて明るく楽しんでとおっしゃるみーやママさんはすてきだなと思いました。
 わたしもあと何年こういうことができるか分かりませんが、ミーヤままさん同様、明るく楽しくやっていきたいと、あらためて思いました。
 ありがとうございました。

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