2006年01月17日

人権教育(3) 交流教育 他4

e7ec358f.JPG  毎日ブログの記事をまとめていて、いつもうまくいったことしか書いていないように思い、だんだん心苦しさを覚えるようになった。
 今日は、『そんなことないですよ。失敗と反省の繰り返しです。』という部分を書いてみたい。

 最初は、校長になってすぐのことである。ちょうど修学旅行から帰ってきて、駅構内で解散の式をやっていたときのことだ。引率の先生が、子どもたちをしゃがませるとき、点字ブロックをふさぐようにして座らせたことには気づいていた。
 気づいていたが、大人も子どもも疲れていたし、迎えの保護者も来ているし、再度立たせて場所を変えるのは時間がかかりそうだし、『まあ、いいや。5分くらいで終わるのだから。』と、軽く考えた。

 ところが、白い杖をついた人が、背後からやってきた。しまったと思ったがもう遅い。その白い杖は、最後尾の子どもの背中を何度もたたいた。その子は、『なんだよ。』という感じで、白い杖を払うのと、後ろを振り向くのはほぼ一緒だったと思う。それだけでもっとひどいことにはならなかったから、その点はよかったが、ほんとうに申し訳ないことになった。

 わたしは、その方のところに行って、お詫びしながら誘導しようと思ったが、わたしより早く、一般市民の方で、誘導してくださる方がいらした。そして、『何だって、こんなところに座らせているの。どこの学校かしら。』といった感じのいまいましげな表情で、階段の向こうに下りていった。

 けっきょくわたしは、お詫びもしなかったし、できなかった。その自責の念が、今も残る。


 次。
わたしの先輩が、養護学校の校長に着任した。そして、久しぶりに夕方出会ったとき、その先輩が、
「ああ。今日は遠足の引率で、疲れちゃったよ。」
と言った。
 そのときわたしは、
「養護学校も遠足に行くのですか。」
と、それこそ、何の思慮もなく、ついボロッと言ってしまった。

 その先輩は、『あきれた。何ていうことを言うのだ。』というような表情をされて、
「そりゃあ、行きますよ。」
と、ゆっくりおっしゃった。

 障害児であるからこそ、新鮮な戸外の空気、緑のにおい、町の雰囲気など。ともすれば、体験不足になりがちな、それらは、大変大事な学習内容なのであった。
 

 さて、標題の『交流教育』に移る。

 これは、校長としての管理責任を問われる事態といえるかもしれない。

 交流教育は、個別支援学級の子どもについて、担任と保護者と相談のうえで、その子に合った学習内容、時間数を決めてふつう級で学んでいるわけだが、ふつう、同学年で実施している。

 だから、個別支援級に児童のいない学年の子たちは、個別支援級の児童とふれ合う学習が、極めて限られた場でしかできないことになる。

 なぜこうなるか。それは、交流教育が、個別支援級の児童のニーズだけで行っているからだろう。ふつう級の児童にとっても大切な学習なのだという部分が抜けている。


 ある日の放課後、まちの公園で、大変な事態が起きた。

 本校のふつう級児童が、低学年の個別支援級の子をいじめているという連絡が地域の方から入ったのだ。すぐ、双方の担任が駆けつけた。無抵抗なのをいいことに、差別的言葉を投げかけて、ランドセルから教科書等を放り出し、中には砂を大量に入れたということだった。

 このふつう級児童の学年だけ、上記の理由で交流教育が抜け落ちていた。それでこういう事件が起きたと言えるのかどうか、即断はできないだろう。
 しかし、先生方は、それを反省した。そして、すぐ、交流を開始した。まずは給食をともにすることから始めた。

 やっぱり知らないとだめだ。ふれ合っていないとだめだ。自然な交流ができない。差別的な言辞も、知らないので、かってに見た目だけで思いを巡らせることから始まるのだろう。
日ごろの何気ない交流が最低限必要だ。

 交流を始めてから、そういう問題行動はなくなった。そうなると、『問題行動が起きる前から、ちゃんと打つべき手を打っておかなければだめだ。起きてしまってからでは遅すぎる。』そう思うようになった。


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    交流教育の次に続く。

rve83253 at 05:40│Comments(9)TrackBack(1)交流教育 | 人権教育

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1. 交わり、ふれあい、わかちあい:障害児との交流教育  [ ☆自閉症児マリオくん☆ ]   2006年01月18日 22:36
「普通クラスとの交流」…これは、特殊クラスに通う自閉症児の親なら、おそらく多くの 人が抱いたと思います。実際に私自身もそのことを思っていました。 詳しくは、過去の記事:【??İ|

この記事へのコメント

1. Posted by Hideki   2006年01月17日 12:58
Toshi さんの思いが、痛いほど伝わってきます。なかなか、上手くいかないことのほうが、多いんですよね。事実、障害者は、普通の子よりも手間がかかることが多いと思うし、なかには「何てことを!」と思われるような言動もする。

今回もいろいろと思うことがありますが、またそれは別途にいたします。
2. Posted by こだま   2006年01月17日 14:52
Toshi先生、こんにちは!

私も苦い経験ばかりで、もう忘れてしまいたいことだらけです(いまだに思い出してはひとり苦しむこともあります(^_^;))。こうしてブログにありのままお書きになる先生の勇気に敬服します。

>やっぱり知らないとだめだ。ふれ合っていないとだめだ。自然な交流ができない。差別的な言辞も、知らないので、かってに見た目だけで思いを巡らせることから始まるのだろう。

学生時代に障害者の村のようなところに泊まって(2泊3日ぐらい?)生活したことがあります。はじめは口にしてはいけない言葉とかそういうものが頭にあったのですが、共に生活してみると、彼らも私たちと同じなんだということに気がついて、悪口を平気で言い合える仲になったことを思い出しました。短い期間でしたが。
やはり自然な交流は大切ですね。子どもの頃から、そういう体験がたくさんあれば、差別の問題などかなり少なくなるような気がします。
3. Posted by kei   2006年01月18日 17:02
こんにちは。
私は3校目の現在初めて特別支援級のある学校に赴任しました。恥ずかしいことに、どう交流していいのかそのすべも分かりませんでした。ですから、空き時間には参観させていただくことにしました。
本校では、給食で交流させていただく機会もあるのですが、厳しい給食指導に子ども達は「私達よりもずっと立派だった。」と驚きます。「好き嫌いを言って残すのが恥ずかしくてちゃんと食べた。」とも感想を言っていました。特別支援級の先生方の子どもたち一人ひとりに対する支援は学ぶことがいっぱいです。また、年に一度の交流ではなくて、何度も何度も繰り返し、toshi先生のおっしゃる「何気ない交流」にならなくてはだめなのだと思います。
4. Posted by toshi   2006年01月18日 21:25
 Hidekiさん。
 Hidekiさんがいつだったかおっしゃっていたように、子どもって大人のくもった思いやいい加減さがあると、それをすぐ映し出すものですね。
 こちらが真剣であれば、子どももしっかり育っていくと思います。
 今あらためて、その原点を見つめ、初任者指導にあたりたいと思います。
5. Posted by toshi   2006年01月18日 21:31
こだま先生。
 「『わたしは差別などしていない。』そう思っているうちは、差別しているのです。差別の心は誰もが持っていることを認識しないといけません。」
 初めその言葉を理解できませんでした。自分は差別する心などないと思っていたからです。
 でも、記事のようなことを認識してから、『差別』をしっかり見つめるようになったと思います。
 こだま先生の学生時代の体験は貴重ですね。
6. Posted by toshi   2006年01月18日 21:39
kei先生。
 空き時間に参観されたとのこと。すばらしいと思います。『いつも真剣。』『喜怒哀楽をはっきり行動に示す。』など、教育の原点と感じることも多いのではないでしょうか。
 『初任者のHP・学級経営・児童理解編11子どもをほめるということ』にも書いたのですが、先生方も、子どもを育てようとする心があふれていて、よく子どもをほめているなと感心します。
 ほんとうに学ばせていただいていると思います。
 考えてみれば、豊かな人間関係を構築しようとすれば、『自然な交流』は、どんな人間関係でも大切なのですね。
 
7. Posted by kei   2006年01月18日 22:26
toshi先生、たびたび失礼します。リンクを貼らせていただきました。事後承諾で申し訳ありません・・・・。
8. Posted by Hideki   2006年01月18日 22:40
Toshi さん、こんばんは

いろいろと考えさせられました。ちょっとまとめるのに時間がかかっちゃいましたが、トラックバックさせていただいきました。

また、いろいろとお話を聞かせていただければと思います
9. Posted by toshi   2006年01月21日 06:50
kei先生。リンク、ありがとうございました。わたしもリンクさせていただきました。
 末永くよろしくお願いします。

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