2005年12月06日

子どもと管理職と4

8f073e12.JPG 「教頭先生になられた皆さんのなかには、子どもとはなれてしまったと、さびしい思いになっている方もいらっしゃるでしょう。
 でも、わたしたちのように、役所に入った者から見れば、まだまだ皆さんがうらやましい。

 役所に入ってしまうと、子どもの声が聞こえてきません。それは、さびしく味気ないものですよ。『丘にあがったかっぱ』のようです。
 それにくらべれば、少なくとも、皆さんは、教育現場にいらっしゃるのですから、子どもとふれ合おうとすれば、いくらでもできるはず。
 どうぞ、そうした場面も大切にしてください。」

 校長職から、教育委員会の課長になられた先生の講演だった。


 職員室に居っぱなしになっただけで、さびしい思いをしていたわたしは、

『そうか。まず、職員室にやってくる子とふれ合おう。そして、休み時間は校庭に出て、できるだけ子どもとふれ合おう。』
そう決心した。後者はなかなか思うようにいかなかったが、前者は真心をこめて対応することができたと思う。

 子どもが、『失礼します。』と入ってきたときは、仕事中でも、来客の応対中でも、校長と密談(?)中でも、さっと子どもの方を向いて、子どもへの対応を優先させた。それで気分を害するような来客は皆無だったし、
 校長にしても、わたしが気づかないでいると、
「ほら。かわいいお客さんだよ。」
とおっしゃって、話を中断させた。

 
 職員室に来る子は、何か用事を抱えている。担任の先生から頼まれごとがあったり、鍵を取りに来たりして迷っているときは、その担任の机に行ったり、鍵の保管場所まで行ったりして、一緒にさがした。

 再度、「失礼します。」と言って出ていくときは、「ご苦労様。」と声をかけた。


 職員室に来る子は、だいたい決まっている。だんだん用事以外の話もするようになった。すると、顔が分からない子と廊下ですれちがっても、笑顔で会釈してくれる子がふえた。

 
 『子どもとふれ合うことができない。』などと嘆くことはなかった。こちらが意識し、実践すれば、何ということはない。簡単なことだ。

 
 もう一つ。校長先生に感謝していることがある。

 ある日。朝の打ち合わせで、全教職員に言ってくれたことがある。

 「皆さんは、わたしたち管理職を呼ぶとき、『校長先生。』『教頭先生』と、名前をつけず、役職名で言いますよね。朝会などで、子どもに対しても、『さあ、校長先生の話をしっかり聞きましょう。』といった具合です。

 わたしはそれでもいいのです。通信票や学校だより、そして、数々のお知らせに、名前が書かれていますから、わたしの名前を忘れる子はあまりいないでしょう。

 しかし、教頭先生の場合は、そのようなものがないので、名前を知る機会がほとんどありません。ですから、ほとんどの子は忘れてしまっているのではないでしょうか。これからは、『A教頭先生』というように名前をつけて言うようにしてほしいと思います。

 なお、これは、『調理員さん』や『用務員さん』も同じですね。名前で、『Bさん』『Cさん』と言うようにしてほしいと思います。

 それが豊かな人間関係を培うもとになると思いますから、よろしくお願いします。」
 
 そのときわたしは、うれしさとはずかしさで、下を向いてしまったと思う。

 
 さて、こんなことばかりではなかった。わたしの失敗も数々ある。そのうちの一つは、自分のホームページ『コラム集2』に記載した。ご覧いただけたら、幸いである。

rve83253 at 23:32│Comments(7)TrackBack(0)子どもと管理職と | 自己啓発

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この記事へのコメント

1. Posted by MIE   2005年12月07日 17:16
こんにちは!
自分が小学生の時は、職員室ってなんだか少し怖い雰囲気で、そんな風に親しく話しかけてくれる先生もいなかったような気がします。toshi先生のいた小学校の子供達は幸せですね。
できれば将来うちの子が通う小学校もそういう雰囲気だといいなあと思います。
2. Posted by toshi   2005年12月07日 22:12
投稿ありがとうございます。職員室が怖かったとおっしゃる方は、けっこういますね。それではいけないと反省しています。今も含め、これからの学校は、そういうことはなくなると思っているのですが。
 現職の先生の投稿があれば、嬉しく思います。
3. Posted by 秋野   2005年12月07日 23:17
はじめまして。
ブログ開設おめでとうございます!
私は秋野と申します。
ここまで流れ着いてきました!

私は今年教員採用試験に合格し、四月より小学校の初任者教員となります。
ブログを読んでいて、非常に勉強になることがたくさんありました。
現在私は中学校で非常勤の講師をしているのですが、職員室にはいってくる生徒にどれだけ心を向けていただろうと考えさせられました。
自分が生徒の立場なら、ドキドキして入った職員室で先生に声をかけてもらえたらそれだけで嬉しいだろうなと。
明日から何気ないコミュニケーションをもっと大事にします!

また勉強させていただきます!
4. Posted by toshi   2005年12月08日 17:34
秋野さん、採用試験合格、おめでとうございます。そして、投稿、ありがとう。わたしのHPやブログが参考になってくれたら、こんなに嬉しいことはありません。わたしの先輩の校長から、『心の教育を標榜する者は自らも心を示さなければいけない。』と学ばせてもらったことがあります。いずれこのこともブログにするつもりです。末永く宜しくお願いしますね。
5. Posted by マグ   2005年12月10日 21:44
始めまして、いつもToshi先生にお世話になっているマグです。2年生A学級の担任をしています。
 今年1年間、指導教官にToshi先生にともに歩んでいただき、とても幸せです。もしToshi先生にお会いしていなかったら、仕事を続けられていたのかよくわかりません。
 どんな授業をしても、どんな対応をしても、そこからよかったところを見つけて頂き、お話してくださっています。そこから、自信が少しずつついてきて、心の余裕がでてきました。学校は嵐のごとく進んでいきます。私は、あえてストレッチや歩調をゆるめて歩いたり、休み時間に子どもと遊んだりできるようになってきました。
 Toshi先生が「北風を太陽」のお話をしていらっしゃいました。私は太陽でありたいと思います。こう思えるようになったのはToshi先生のおかげです。
6. Posted by toshi   2005年12月11日 15:13
マグ先生。コメント、ありがとう。いつも頑張っているね。最近は少し、心に余裕が出てきたように感じ、わたしもリラックスモードです。
 先生を見ていて思うこと。先生は柔軟な心を持っているなということです。子どものあるがままを受け止め、共感してやることによって、内気な子に活気が出てきたり、腕白な子に落ち着きが出てきたりしていますよね。
 保護者の信頼も抜群の先生。
 これからも、ともに頑張りましょう。
7. Posted by マグ   2005年12月11日 21:09
 Toshi先生、温かいコメントをありがとうございます。余裕はありませんが、最近考えていることはあります。
 深呼吸1回してから、教室に入るとゆとりをもてるなら、深呼吸しよう。
 それに、Toshi先生から教えていただいたように、1週間に1回はできるだけ全員の子どものよいところを見つけていこうと思っています。
 今週もよろしくお願いします!!

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