2006年04月11日

『原個性』と『実践個性』(2)4

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 一見マイナスと思える変容とは、どんなことか。そこには、どうしようもない葛藤がある・・・と思うのだ。

 わたしが経験したなかから、二つの例を述べる。

 
 その子は、1年生。4月入学当初は、模範生だった。何も問題がなかった。どちらかと言えば、おとなしいくらいだった。

 それが、6月になってからである。『突然』と思った。気が狂ったようにわめきだした。席にじっと着いていられない。たいした理由もなく、友達とけんかをする。ふつうなら我慢できることも我慢できなくなる。言って聞かせても、やたら興奮しているだけで、分かったのか分かっていないのか、理解に苦しんだ。とにかく暴れるので、力づくで、押さえつけたり抱きかかえたりすることもふえた。そんなことがしばらく続いた後、授業中に突然家へ帰ってしまう事態が起きた。

なぜこうなってしまったか。最初はほんとうに分からなかった。不可解としか言いようがなかった。

保護者とは何度も面談した。その結果分かったのは、幼稚園のしつけがものすごくきびしく、精神的に押さえつけられていたということだった。
それに対し、わたしの指導が、子どものあるがままの姿を大切にするということだったので、圧迫感がなくなった。すると、精神的なバランス、安定感が保てなくなってしまったのだった。

 成長した後での、その子の言葉によれば、『あの時は、自分で自分をどうしたらいいか、まったく分からなくなってしまった。』ということになる。

 けっきょく時間のたつのを待つしかないという結論になり、事実、なんということなく、自然に落ち着きを取り戻していった。

 
もう一つの例。

 これは、5年生。5月ごろだった。

 女の子数名が、わたしに言いにきた。とは言え、言っていいものか、やめたほうがいいか、迷った末に、決心して言うといった感じだった。わたしが常々、『ちくる』(ホームページにリンクされた方は、一番最後のをご覧ください。)とは、といった話をしていたからだった。

「先生。Aさんのことなんだけれどね。最近、掃除をまじめにやってないよ。」
「そうか。・・・。そうだな。わたしも少し気づいていたよ。4月の初めは、一生懸命やっていたよね。」
「そうだよ。4年生のときはもっとまじめだったよ。」
「そうか。それは残念だな。・・・。でも、いいよ。」
「えっ。なんで、いいの。そうじ、サボっているんだよ。ほんとうにいいの。」
「うん。だって、Aさんは、4月のころは、なんか、表情がなかったよ。いつもブスッとしているようでさ。それが、いまはすごく楽しそうじゃないか。はしゃぐような感じだ。」
「そりゃあ、そうだけどさ、でも、掃除をサボっていていいなんて、先生がそんなこと言っていいの。」

 わたしは、ただただ苦笑いだ。
「ごめん。やっぱりいいっていうことはないな。しばらく様子を見ようよ。そのうちまた一生懸命やると思うから。」

 事実、しばらくしてから、張り切ってやりだした。前のように、無表情でということはなかった。


 この両者に共通していること。それは、以前は、あるがままの自分を出しようがなかった。常に自我を抑制していた。それが、あるがままの自分を出せるようになると、いったんは行き過ぎる。以前も書いたが、ふりこは、傾いているほど、振幅の差が激しいのだ。

 こういう場合は、まず、抑圧感を払拭させる。少なくとも、抑圧することが指導ではない。そして、自我が表に出てから、それこそ、真の指導が始まるのだ。

 『実践個性』の真骨頂である。

 『実践個性』は、担任の営みのなかにある。しかし、個性である以上、あくまで、それは子ども自身がつかみとるものである。担任の営み。それは、お釈迦様の手のひらなのかもしれない。


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rve83253 at 06:00│Comments(3)TrackBack(0)学級経営 | 指導観

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この記事へのコメント

1. Posted by ヵヮィィ☆ブログランキング   2006年04月11日 09:27
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2. Posted by 奈々氏   2006年04月11日 21:53
ご無沙汰しております。4月当初の学級がだんだんと活気付いていくのはうれしいことです。今年の子どもたちは,お上品にまとまっている女の子が多いせいか,私には物足りません。これからだんだんとその子らしさが見えてきたら,どんな学級にしていったらよいかが決定するのかなって考えてます。
3. Posted by toshi   2006年04月12日 00:25
奈々氏さん
 『実践個性』豊かな3月までと、『原個性』の4月とで、いいようのないむなしさを感じることは多いと思います。
 わたし、昨年度の初任者とお別れの際、言ったのですよ。
 『もし、前のクラスはよかったと、新年度になって思うようだったら、昨年の4月を思い出しなさい。ああ。今と同じだったなあと思えると思うよ。そうしたら、ようし、がんばろうと思えるのではないかな。』
 教員の営みは、これの繰り返しなのですね。でも、年々、子どもたちの育ちが、より確かなものになっているのではないでしょうか。

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