2006年04月15日

先入観だなんて4

55d702a3.JPG 前回に引き続き、aoisoraさんのブログ記事をとり上げ、書いてみたい。

 Aoisoraさんは、数年前、ご自分のお子さんに障害があることから、入園後10日ほどたったとき、お子さんのことについて、幼稚園の先生にお話しようと思われた。そうしたら、いきなり、
「お母さん、あせらないでください。しばらく様子を見ましょう。」
「あのね。お母さん。わたしたちはあまり先入観を持ちたくないんですよね。」
と言われ、ショックを受けた。

 それについて、わたしなりに思うことを記事にしたいと思っていたら、aoisoraさんは、そのことについての現在の心境を、数日後、記事にされた。
「先生にも個性があり、いろいろな指導方針がある。そこに信頼をおいて、お任せしたい気持ちになった。」
とおっしゃる。

 その他にもいろいろおっしゃっていただいていて、学校としては、大変ありがたい保護者の意見と思った。


 だから、もう何も言う必要はない感じなのだが、冒頭の記事について、わたし自身、aoisoraさんに共感する部分が多かったので、わたしの思いを記事にしたいと思う。


 わたしが初任だったころのことだ。

ある年の4月、受け持つことになったばかりの学級の指導要録を読んでいた。すると、2,3年わたしより教職経験のある先輩教員が、
「何そんなの読んでいるんだよ。前担任の書いたものを読んだって、参考にならないぞ。それに、先入観をもつだけ、マイナスだ。自分で感じた子どもの姿が、一番自分に正直なはずだ。」
と言った。

 そんなものかと思ったわたし。すぐ読むのをやめたような気がする。

 しかし、その後、自分の思った姿がそのままその子の真の姿と、ほんとうに言えるのか。自分の気がつかないところで、まったく違った面を見せているということがあるのではないかと思うようになった。

 たとえば、家庭訪問。

 これは、全国各地の学校で、まもなく始まると思うが、我が地域では、最近、やらない学校がふえてきた。その理由は、この記事ではずれるので省略するが、わたしは、ぜひやるべきだと思う。

 というのは、自分が教室で、学校で把握しているのとは異なる、子どもの一面を見られることがあるからだ。

 教室では、おとなしい内気な子と思っていたら、家庭では、ものすごく活気があり、元気いっぱい。母親から、『先生がいらしているでしょう。もっと落ち着きなさい。』などとたしなめられているので、驚いたことがある。『うちの子は、内弁慶で。』などとおっしゃっていた。

 もちろん、学校で見せる姿と同じだなと思うケースの方が多い。

 そういう場合を含め、交友関係、わたしへの接し方、学習に取り組む姿勢など、ほんとうにいろいろな場面で新発見したり、再確認したりすることができた。

 その一つ一つが、子どもをより広い視野から見つめる契機となったように思う。


 これは、家庭訪問から把握できるということだけではない。前担任と話していても、『うわあ。わたしの見方と全然違うな。』と驚くこともあった。

 また、『これは、見方の違いだけではないな。』と気づかされたこともあった。

 前担任のときは、ほんとうにその子は内気だったのだろう。わたしが担任したことによって、その子自身が大変容したのだと思えるケースに出っくわした。

 その前担任は実に正直だった。わたしの授業を見終わったとき、

「うわあ。子どもたちすごいね。わたしが受け持っていたときは、数人手を上げるだけだったのに、あんなおとなしかったAちゃんまで、『はい。はい。』と言って手を上げているのだもの。びっくりしちゃった。」

 そんなふうに言ってくれることもあった。

 それらを通して、わたしは実感した。

 やっぱり、先入観を抱くから、わたし以前の担任の書いたものは読まないというのは、『間違い』だ。

 これは、aoisoraさんも書いていらっしゃるのだが、プロの教師なら、読まなければいけない。保護者の話を聞かなければいけない。それが、子どもを見る目を鍛えてくれる。もし、それが先入観となって、子どもを見る目を狂わすなどと思うのでは、プロとして恥ずかしい。

 一人の目で判断するより、多面的な子どもの見方をとり入れた方が、より客観的に見ることができるではないか。
 また、変容を変容としてとらえることもできる。だから わたしたち教員は、子どものことを多いに語り合うべきだ。情報交換すべきだ。


 Aoisoraさんのブログを読ませていただいて思った。

『我が子のことは一番よく知っているという親としてのプライド。』

 なるほどなあと思った。わたしは父親であるせいか、教員だったからか、我が子について、そこまで思ったことはなかったので、勉強になった。(今ごろ勉強になっても遅いな。すみません。)

 そうだ。学校は、親のプライドを大切にしたい。親の話に共感した上で、受け入れる。そして、次のようなことになれば、すばらしいではないか。

「お母さん。このまえ、お子さんのことについて、〜っておっしゃっていましたけれど、最近教室では、〜の面を見せるようになったのですよ。驚いてしまいます。すごいですね。家でも、ほめてやってください。」
「ほんとうですか。信じられないですよ。」

 そして、数日後、その保護者が、
「先生。ほんとうだったのですね。信じなくて、ごめんなさい。昨日、Bちゃんのお母さんと話していたら、Bちゃんのお母さんからも、この前の先生のお話と同じことをうかがったのです。Bちゃんがお母さんに話したらしいのですね。家で、思わず我が子に聞いてしまいました。うんとほめたんですよ。ありがとうございました。」

 ねっ。別に、親のプライドを傷つけたわけではないでしょう。まさに信頼の教育だ。

 あっ。そう。そう。最後につけたし。

 日ごろ、『心配なこと、不安なことがあったら、いつでも、どんなことでも、お話しに来てください。』と言いながら、いざ親が言おうとすると、『あせらないでください。』『先入観をもちたくない。』と言って聞こうとしないのでは、これはもう、信頼感をそいでしまうことになりかねない。


ブログランキング・にほんブログ村へ
 
 激しく、せっています。今日も、1クリック、お願い!

人気blogランキングへ
 
こちらも、1クリック、お願いできますか。



rve83253 at 18:22│Comments(11)TrackBack(0)児童観 | 指導観

トラックバックURL

この記事へのコメント

1. Posted by 大山虎竜   2006年04月16日 06:32
年度初めの仕事に追われ、toshi校長先生のブログをじっくり読むことができませんでした。今日は、何とか時間を絞りだして、読むことができました。毎回感心していますが、実に充実した内容のブログです。教師修業に欠かすことができないブログだと思います。
プロの教師なら、収集出来る情報は求めるべきだと思います。そして、子どもを多角的に理解することが大事だと思います。人は、対応する相手によって見せる姿が違います。ある意味、偏った児童理解しかできないと思います。だから、多角的に。
2. Posted by aoisora33   2006年04月16日 15:40
 ひとり言のような日記を読んで頂けてコメントを残してくださったことだけでもとても嬉しいことだったのですが、このように記事として採り上げて頂けたこと、本当にありがたく感じています。
 子どもの成長に伴う様々なあらわれについて、先生と保護者の間で、toshiさんの仰るような情報や意見交換が行われることは、私もすばらしいことだと思います。
 そして、そうした情報を積極的に親に伝えてくださる先生に、自分は既に出会ったことがあることにも、改めて気付かせていただきました。 もちろんその先生から子どもの学校での様子をお聞きしてプライドが傷ついたことはありませんでしたし、日々お忙しそうにしていらっしゃった先生が、そんな中でも子どもの小さな成長に気付き、共に喜んでくださったことは、本当に嬉しく、ありがたく感じました。今でもとても感謝しています。


3. Posted by toshi   2006年04月16日 15:59
大山虎竜さま
 
 お久しぶりです。教頭先生はお忙しいのですから、無理なさらないでくださいね。わたしの記憶でも、2月から5月のゴールデンウイークあたりまでは、ほんとうに多忙だったように思います。
 わたし、初任者にもよく言うのです。教育に限らずですが、人の世界のことは矛盾を追求するのだと。
 幅広く見方をとり入れながらも、自分を見失ってはならないとか、信念をもちながらも柔軟さも大事とか。
 だからこそ、やりがいがあるのだと思います。
4. Posted by POOHママ   2006年04月16日 16:10
素敵な記事を読ませていただきました。
私も、こういう親でありたいと
思いました。


今年は、
親としての感覚を研ぎ澄まして
学校経営に参加していきたいと思っています。
5. Posted by カズキ   2006年04月16日 18:01
初めて訪問させていただき、初めて書き込ませていただきます。僕は今アメリカの小学校でスクールカウンセラーの仕事をしているのですが、toshi先生のおっしゃる事に胸を打たれました。僕もいけないと思いながらも親に生徒に自分の意見を押し付けていたような気がします。大切なのは何よりも聞く事と頭では分かっていても日々の忙しさの中ついつい忘れがちになっていたように思います。しかし、アメリカの学校は効率を問われるというのも自分が一人一人に時間をゆっくり割けない理由ではあるのですが・・・。効率良くなおかつ一人一人の個を大切にしていく・・・難しいですね。とても勉強になりました、これからも勝手ながら訪問させていただきますね。
6. Posted by toshi   2006年04月16日 20:38
aoisoraさん
 こちらこそ、何度もとり上げさせていただいて、恐縮です。恐縮ついでに、すいません。ずうずうしいのですが、もう一回、お許しください。どんどんひらめいてしまうもので、ほんとうにすみません。今日も、のせさせていただきます。
 うれしいのは、そういう先生のいらっしゃることを思い出してくださったことです。
 わたしもこのブログを始めてから、いろいろなことを思い出すので、びっくりしています。
 コミュニケーションのよさですね。一人で考えていたってこんなに思い出すものではないと思います。ほんとうにありがたく思うのです。
7. Posted by toshi   2006年04月16日 20:41
 POOHままさん

 わたしも、自分が父親になったことによって、学級経営にプラスになったことはいくつかありました。それもいずれは記事にしたいと思います。
 わたしたちの仕事って、親経験が絶対役立ちますよね。
8. Posted by toshi   2006年04月16日 20:47
カズキさん
 ありがとうございます。初めてとのこと、今後とも末永くよろしくお願いします。
 アメリカの小学校とのことですが、日本にある学校の方ですか。
 アメリカと日本では、かなり、感覚が違うでしょうね。それこそ、個性、個性と言わなくったって、十分個性的なのでしょうね。
9. Posted by aoisora   2006年04月16日 21:55
こんばんは
実は、私も、toshiさんの記事を読ませて頂きながら、書きたいテーマが次々と浮かんできている状態なのです。なので、これから、少しずつ、toshiさんの記事の内容と関わる内容のものを書かせていただく事もあると思いますが、こちらこそお許しください。私のところのもので、もしお役に立つものがあるのであれば、どうぞ遠慮なくご利用ください。
10. Posted by せい   2006年04月16日 23:23
こんばんは。ごぶさたしています。

昨年、いろんなところで子どものことを聞かせてもらうにつれ、
いろんな視点から子どもを見つめていくことの重要さを身をもって知りました。
保護者の方はもちろん、養護教諭や以前の担任、授業に入ってくださる先生など、
多くの大人で子どもたちを見て、育てていくことが大切だと思うのです。

今年度は2年生の担任なのですが、
クラスには選択性かん黙の子どもがいます。
課題の特性から、家庭と学校で見せる姿はまったく違うので、
互いに柔軟に情報交換ができればと思っています。
だらだらと書いてしまい、失礼しました。
今年度も、時々何かしらご相談に乗っていただければ幸いです。
11. Posted by toshi   2006年04月17日 01:01
せいさん

 昨年、わたしが担当する初任者の学級にも、まさにその、選択性かん黙児がいました。
 それで、わたしのHP,『小学校初任者のホームページ』学級経営、児童理解編の7思いやりのある学級へ で、その児童のことにもふれています。リンクさせてありますから、お読みいただき、参考になればうれしく思います。

 10月くらいまでしか書かれていないので、その後のことを、このブログで記事にしましょう。

コメントする

名前
URL
 
  絵文字