2006年04月18日

職人気質3

6481738f.JPG  火曜日。わたしは、原則的には、初任者の教室へは行かず、初任者研修に係わる事務を職員室で執ることになる。

 今日、パソコンを打っていたら、校長先生が、校庭を眺めていることに気づいた。校庭では、初任者が体育の授業をやっている。わたしは気になり、校長先生に近づいた。

「校長先生は確か、体育(の先生)ですよね。」
「はい。そうです。・・・。今、見ていたのですけれど、(初任の)A先生は、よくやっていますね。」
「そうですか。そりゃあ、よかった。」
「でも、子どもに太陽の方を向かせて、先生が話しているのは、まずいですね。」
「ああ。ほんとうだ。校長先生からも、指導してください。」
そんなやりとりをした。


 もう、前々々任校の話になってしまった。
当時の教頭先生も、体育が専門。よく仕事の合間を見ては、今日の校長先生同様、校庭の体育を眺めていた。(ごめんなさい。これだって仕事ですね。)そして、放課後になると、
「今日の体育の授業よかったじゃないか。子どもたち、よく動いていたよ。でも、〜は、〜のようにしてやると、もっとよかったね。」
そのような声かけを頻繁に行っていた。

 ある日、わたしは、教頭に言った。
「体育っていいなあ。職員室にいながら、教員を指導できるのだものな。さりげなく自然体で、できるのは、体育の特権かもしれない。社会科(わたしの専門)じゃあ、こうはいなかいよ。」
「いやあ。校長先生が、わたしのやりいいようにやらせてくれるので、わたしはとても感謝しているのですよ。ありがとうございます。」
 そう言えば、この教頭は、妊娠中の教員の体育などでは、進んで補助をかって出ていた。


 冒頭の話題に戻る。一緒に体育を眺めながら、そんな思い出話を、校長先生にしたら、校長先生がこうおっしゃった。

 「いやあ。わたしが若かったころは、先輩からよく言われました。『体育っていうのはな。いつだって、教室の先生方から授業を見られている。だから、体育主任たるもの、常に、全精力を傾けなければいけない。毎日が研究授業、示範授業のようなものだよ。』てねえ。だから、ほんとうに一生懸命やりました。教室から見ている先生が、『ああ。体育ってああやるものか。勉強になった。』って思ってもらえるようにね。」

 いい意味のむかしかたぎ。そのようなものを感じた。

 そう言えば、前記、教頭も似たようなことを言っていたっけ。

 その教頭の初任のころだ。いつも、体育主任が教室から、この先生の授業を見ていた。
そして、折あるごとに、その先生の足元に、チョークをとばしたそうだ。コントロールがよく、必ずその先生の足元に落ちたと言う。

 その話を聞いたとき、わたしは思わず言った。
「危ないなあ。すぐそばには子どもがいたのだろう。」
「ええ。そりゃあ、いましたけれど、でも、子どもに当たったことは一回もなかったですね。その点は自信があったみたいです。」

 そのチョークにはメモが結ばれていた。
「担任の立つ位置がおかしい。もっとこっちだ。」
「子どもをもっと動かさなきゃダメだ。」
「〜の間隔をもっとあけろ。」
などと書かれていたと言う。まさに、即時即場的指導だ。

 まあ、今では考えられない。これも古き良き時代(?)のなせる技。教員にも職人気質が残っていた。


 職員室から、初任者の授業を見ていた校長先生にも、かつてこんな時代があったのだろうか。


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rve83253 at 23:31│Comments(4)TrackBack(0)むかし | エッセイ

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この記事へのコメント

1. Posted by 漢字は苦手   2006年04月19日 14:38
toshi先生、再び1位おめでとうございます。
3月31日の長〜いコメント全部読みました。ああ疲れた。
制度を変えていく立場になくても、自分のできることからやっていこう、、。
先生のお話からきっといろいろなヒントが得られるのだと思います。
それがこれほどの支持を生み出したのだと思います。
心の教育とは、取り立てて言うほどのものではなく学校生活の何気ない一こまの中にある、、。
こんな自然体の先生が増えれば学校はもっとよくなるのにって思います。
2. Posted by デモシカ   2006年04月19日 17:53
職人気質を持つ教員は最近減りましたね。
サラリーマン化と簡単に言うのはサラリーマンの方に失礼だと思います。
サラリーマンであろうが教員であろうが,
自分の仕事にプライドを持って取り組む人が減ってきたような気がします。
私も微力ですが,授業職人としてのプライドを持って仕事を続けたいですし,
このブログは色んな意味で勉強になり刺激を受けます。
これからも頑張ってください。
3. Posted by toshi   2006年04月19日 18:44
漢字は苦手さん

いつも変わらぬご支援、ほんとうにありがとうございます。
 3月31日のコメントは、ほんとうに長くなりました。わたし自身もいい勉強をしました。
 システムを変えるように訴えたり運動したりするのも、立派な生き方でしょうが、現場に身を置くものとしては、やはり、一人ひとりの教職員の意識改革をねらうことが大事だと思います。
 また、それは徐々にではあるけれど、変革の力になるものと信じています。
 「教育は人なり」
4. Posted by toshi   2006年04月19日 18:54
デモシカさん

 授業職人。いい言葉ですね。「手塩にかける」そんなイメージを持ちます。
 ブログにお褒めの言葉をいただき恐縮です。
 
ただ、今日の記事、ちょっと誤解を受けるかなと思うのは、チョーク投げの件。それを職人気質と言っているのではないので、この場を借りて、釈明させていただきました。
 
 メモの内容とか、その場で言わずにはいられないという気持ちとか、そういったものを指しています。
 今は、子どもの意欲・関心を大切にしますから、教師主導ではだめで、記事のようなメモ内容にはならないと思います。

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