2006年05月07日

『校長先生の代わりに』5

f51dfed4.jpg 前回掲載した朝会の話の後である。

 朝の登校時、いつものように校門に立って、子どもとふれ合っていると、次々と声をかけてくれる。

 「校長先生の歳、分かっちゃったよ。お母さんに話したら、『じゃあ、校長先生は、○○歳だ。』って教えてくれた。」
 「そうなのだよ。『朝会で、戦争とわたしの話をすると、わたしの歳が分かっちゃうなあ。』って、思ったのだ。『でも、いいや。言っちゃえ。』って、言っちゃった。」
 うれしそうな表情をして、教室に向かって行った。
 
 わたしの場合、歳をかくしたくなる心情は、若い女性のそれとは違う。
『退職まであと、○年』が分かってしまう懸念からだった。

 次は、元気そうに明るい表情で、ピョンピョン跳びはねるようにしてやってきたBちゃん。
「校長先生。昨日ね。お友達のAちゃんと、仲直りできたのだよ。」
「あらあ。何。・・・。けんかしていたのか。」
「そう。お話もしていなかったの。」
「ふうん。どうして仲直りできたの。」
「あのねえ。・・・。わたしの方から、『ごめんね。』って言ったんだよ。」
「そうか。そりゃあ、えらいねえ。『ごめんなさい。』って言えたんだ。」
でも、そのBちゃんは、急に複雑な表情になってしまった。

 そばにはさっきから、Aちゃんが、ブスッとしたままで立っている。それには気づいていた。
 それで、わたしの方から、Aちゃんに話しかけた。
「Bちゃんと仲直りできたのだって。よかったね。」
でも、Aちゃんは、相変わらず、ブスッとしたまま。無言である。
「何だ。仲直りできたのではなかったのかな。・・・。Bちゃん、謝ってくれたのでしょう。・・・。でも、許せないのかな。」
「違うの。Bちゃんはね。確かに、『ごめんね。』って言ったのだけれどね。でも、ね。そのあとも、話してくれないの。・・・。黙ったままで、わたしを無視するのだよ。」
「そうか。それじゃあ、謝ったことにならないなあ。・・・。どうなの。Bちゃん。」

 Bちゃんは、わたしには答えず、Aちゃんの腕をやさしく引っ張って、向こうの方へ。なにやら密談を始めた。わたし、気がかりではある。でも、子どもの思いを大切にし、そばに寄ってはいかないことにした。

 次は、外国籍のCちゃん。1年生である。以下の話の内容は、特にふれなければ、とても1年生とは思えないだろうから、特別にふれることにした。

 「校長先生。いつも、朝会のお話を考えるの、大変だね。」
「ええっ。すごいこと、感じてくれたね。ありがとう。・・・。でもね。そうでもないよ。わたしは、いつもみんなのえらいところを話すでしょう。みんなが、えらいことをたくさんしているから、わたしは、そういうのを見つけるの、楽だし、楽しいし、・・・。」
「そうか。それで、校長先生は、いつも、朝、校門にいるのか。」
「それだけじゃないけどな。最近は、不審者もいるからね。」
「ふうん。・・・。校長先生。今度、ぼくが朝会の話をしてやるよ。」
「ええっ。そりゃあ、すごいな。校長先生に代わってやってくれるか。」
「うん。ぼくね。お姉ちゃんに話したんだ。」
「なんて、話したの。」
「みんな、仲良くしなきゃいけないねって。」
「ふうん。そりゃあ、いい話をしたね。・・・。分かった。・・・。じゃあ、校長先生の代わりにやってくれるっていう話もそういう話か。」
「うん。お友達同士、仲良くしなきゃいけないよ。いじめちゃいけないよ。そんなことしたら、かわいそうだよ。・・・。そういう話なの。」
「そうか。そりゃあ、すばらしい。いいじゃないか。・・・。でも、Cちゃんに話してもらったらみんながびっくりしちゃうから、わたしが、それ、話させてもらうよ。Cちゃんは、学級で話したらいい。担任の○○先生に頼んでおくね。」

 思索的な表情をして納得してくれた。

 そのとき、先ほどのAちゃん、Bちゃんが、ともににこにこしながら、わたしの前に現れた。

「うわあ。ほんとうに仲直りできたようだな。その顔をみれば分かるよ。」
どうやって仲直りしたかは、秘密のようだから、聞かないことにした。

 『よし。この、A,B,Cちゃんの話を、今度の朝会でしよう。』そう思った。


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rve83253 at 08:57│Comments(7)TrackBack(0)子どもと管理職と | 子ども

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この記事へのコメント

1. Posted by 想介   2006年05月08日 11:54
5 はじめまして
いつも楽しく?真剣に?読ませていただいております。私は小学校2年生になる障害を持つ子供の父親です。

上記記事には関係ないのですが、質問をさせてください。
4月22日の記事より「障害」を「障がい」と記述されていますが、この意味はなにかあるのでしょうか?周りの記事を読ませていただく限り、理由はみあたらないように思えます。細かいこだわりですが、私は非常に違和感を覚えます。どんな印象があろうと、意味があろうと、字は字でしょ。と思うからです。なにかお考えがございましたらご教授をお願い出来ないでしょうか?突然のコメントで申し訳ありません。よろしくお願いします。
2. Posted by toshi   2006年05月09日 05:10
想介さま

 コメント、ありがとうございます。末永く、よろしくお願いします。
 言葉とは、むずかしいですね。よかれと思ってやっているのですが、違和感を覚える方もいらっしゃるのですね。
 これは、このブログでいろいろな方とやりとりをしていて、『ああ。やはり、害という漢字を使うのはよくないな。』と思ったからです。
 その伏線としては、『外国人』という言い方には、こだわりをもたないが、『外人』と言われると、『害人』と言われているようで、嫌だという、そんな話を聞いたことがあるからです。
 確か、テレビでも、今は、『外人』とは言わないようにしていると思います。(ちょっと自信はないのですが。)
 その他でも、わたしたちの地域の教員は、『子供』とはしないで、『子ども』(ただし、公用文では、子供でいい。)、また、社会科の教員は、『町』ではなく、『まち』をつかいます。
  
3. Posted by toshi   2006年05月09日 05:11
多分この理由は、『供』は、お供を連想させる。『町』は、行政区画を連想させる。子どもの生活圏としてのまちは、ひらがなの方がいいということだと思います。
ただし、ここまで書くと、かなりこだわっているように受け取られてしまいそうですが、わたしの場合、そんな強いこだわりはありません。ですから、その日の気分ということもありますので、表記が一定していないのではないかと、その点は申し訳なく思います。
 想介さんのように、違和感を覚える方がいらっしゃれば、また、『障害』と、表記してしまうかもしれません。あくまで、そんな『感じ』ということです。
 すみません。たいした信念がなくて。
4. Posted by だいちゃん   2006年05月09日 13:21
こんなところの変なコメントに丁寧に回答いただきありがとうございます。
aoisoraさんの記事を紹介されているところで、「保護者が、『うちの子には障害があるので、ご理解を。』と訴えてまわるのは、『間違い』ではないか。」の部分、非常に感銘を受けました。私も常々そう考えているからです。で、今回の「がい」の字問題は、それに反している?と思いましたもので。
しかし、toshi様のような「ほんわか」(失礼)した理由であれば、それはそれで、また納得です。
「人はそれぞれ、好きなようにする!」が子供の教育方針な私ですので。。。(;^_^A
今後ともよろしくお願いします。
5. Posted by 想介   2006年05月09日 13:22
ごめんなさい、名前間違いました。上の「だいちゃん」は「想介」です。うーん、なんか怪しくなってしまいましたね。すみません。(>_<)
6. Posted by kumahachi   2006年05月09日 19:24
toshi先生はじめまして
いつも勉強させていただいていますkumahachiです。
記事の内容にいつも感心させられますが、コメントを寄せられる方々のお考えにも勉強させられることがたくさんあります。
今回の「がい」についても『害』『がい』『碍』といろいろな表記をされている方がいらっしゃる事に考えさせられました。コドモやマチという言葉も声に出してしまえばひとつでも表記の方法によっては伝わり方が違うのですね。それが今までの記事にもあった差別などにもつながるのかと思うと常に心して文を書かねばと思います。
これからも勉強させていただきます。
でも・・・気分で書くと言うのもひとつの表現ですね。
7. Posted by toshi   2006年05月10日 03:52
kumahachiさん

 コメント、ありがとうございました。
 kumahachiさんのブログを読ませていただきました。開設されたばかりなのですね。ブログ、開設、おめでとうございます。どうぞ、末永くよろしくお願いします。

 おっしゃること、その通りと思います。差別につながる言葉という面は確かにあり、そこは敏感でありたいと思います。
 しかし、言葉自体より、その言葉がどんな意味あいで使われているか。言葉の受け手が、そこに差別を感じたときは、どんな言葉であろうと差別なのだと、感じます。
 そういうことには敏感でありたい。そう思います。
 

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