2006年05月26日

『やり直し』について3

cfa76dd7.jpg  今日の話題は、昨日の『子どもにも大人同様に、(2)』の続きであるが、標題からはずれてしまうので、タイトルを変えた。

 これは、多くの教員が、うっかりやってしまっているのではないかと思う。しかし、お読みいただいたあとは、わたしの考えに賛同していただけるのではないか。

その1

 今、我が地域では、この時期、運動会を実施する学校が多い。

 ある日、学年で運動会の練習に取り組もうとするとき、一クラスだけ、整列がえらく遅れた。

 他クラスは、だいたいちゃんと並んでいるのに、そのクラスだけ、なんと、並んでいるのは、5人しかいない。あとの子たちは皆、列の後方で、ふざけたり遊んだりしている。
 この日、このクラスの担任は出張中。この場にはいないのだった。

 さあ、こういう場合、教員の皆さんは、どう声をかけるだろうか。保護者の皆さんも、『自分が教員だったら。』という思いで、お考えいただけたら幸いである。

 多分大声で怒鳴る教員が多いのではなかろうか。

「何やっているのだ。他のクラスはみんなちゃんと並んでいるのに、このクラスだけひどいではないか。早く並びなさい。」

 しかし、よく考えてみよう。その怒鳴る先生のすぐそばで、ちゃんと並んでいる5人の存在は無視されてしまっている。

その2

「さあ、立ちましょう。」

 しかし、聞いているのかいないのか、立つ子はわずかしかいない。すかさず、
「何やっているのだ。聞いているのか。しっかりしなさい。やり直し。」

 すわったままの子は、『しまった。』とは思うだろうが、やり直しをする必要はないわけだ。
 ちゃんと立った子が、やり直しをさせられる。

その3

 『ドン、ドン』と、たいこが2つなる。すると、重い大漁旗を持った子が、グランドを走り始める。ところが、多くの子は、太鼓に合わせ、うっかり立ち上がってしまう。

 「違うだろう。今の、『ドン、ドン』は、大漁旗を持った子が走る合図じゃないか。他の子は、次の、『ドン、ドン』で立ち上がるのだよ。・・・。しっかりしなさい。もう一度やり直し。」

 さすが、これに対しては、ちゃんと大漁旗を持って走った子が気の毒と思ったのだろう。別の先生が、声をかけた。

「旗を持って走っている子、ごめんなさいね。重い旗を持っているのに、2度も走ることになってしまって。」
 
 これらは皆、ちゃんとやっている子が損をしてしまっている。(その3は、大漁旗の子への配慮があって、その点はよかった。)


 一番先に述べたケースでは、わたしがその5人の一番そばにいた。

 それで、こう声をかけた。

「うわあ。このクラスは、ちゃんとしている子は、5人だけか。・・・。この5人は、すごく偉いよ。だって、他の子が勝手なことばかりやっているなかで、しっかり並ばなければと、心から思っているのだものな。
 『赤信号 みんなでわたれば こわくない。』って、知ってるか。この5人は、そんななかでも、しっかり信号を守っていることになる。
 
 他のクラスは、みんながしっかり信号を守っている。そういう場合は、信号を守るのは当たり前だし簡単だろう。でも、みんなが信号を守らないなかで、信号を守るのは、すごく勇気がいるよな。だから、すばらしいのだ。」

すると、5人のうちの1人が、ふざけている子たちのところへ行き、『早く並べよう。』と声をかけた。多くの子はそれで初めて、どういう事態になっているかを自覚し、並び出した。

 そうだ。やり直しをさせるときは、ちゃんとやっている子への配慮が大切だ。


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rve83253 at 23:56│Comments(11)TrackBack(1)学級経営 | 児童観

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1. 忘れ物対策  [ ガッコーの教育 わが子のきょーいく ]   2006年05月30日 06:04
忘れ物。 これは,たいていの教員が悩まされる問題であろう。   忘れ物をするとなぜ困るのか。 忘れた子どもは,みんなと同じに作業ができない。 「忘れました」という子どもが次々と来ると,そこで授業が中断される。   本人も困るし,みんなも困るのだ。...

この記事へのコメント

1. Posted by hirarin   2006年05月27日 03:19
しっかりやっている子達への配慮。自分はどうしても忘れがちです。どうしてもしっかりできない子ばかりを指導しています。
考えを変えていかなくてはいけないと思いました。
しっかりやっている子達を生かす教育をしていきたいと思います。
2. Posted by kei   2006年05月27日 18:51
こんにちは。
運動会の練習が毎日ありましたので、このお話は身にしみました。(今日雨天のため、火曜日開催になりました。)
何事も、一生懸命に心を込めてやっている子どもたちを認めていきたいと思います。力を抜いてしまっている子や本気を出さなかった子に対しては、「できるはずなのに悔しいです。」と言うこともあります。子どもたちの考えて行動する力を強くしていきたいなあと思います。
3. Posted by デモシカ   2006年05月27日 23:35
>やり直しをさせるときは、ちゃんとやっている子への配慮が大切だ。

この業界に限らず見えなくなってしまうことが多いですが,
そのことに気づき光を当てることの大事さを改めて感じました。
さすがですね,私のブログと違い教育ブログ1位にふさわしいと思っています。
4. Posted by toshi   2006年05月28日 04:57
hirarinさん
 『しっかりやっている子を生かす教育』こそが、それ以外の子も生かすことにつながっていくし、それは遠回りのように見えて、結局は一番の近道のような気がします。
 hirarin先生は、まさにそれを実践されている先生だと思います。
 ともに、がんばりましょう。
5. Posted by toshi   2006年05月28日 05:05
keiさん
 わたしの勤務する学校も、昨日の予定だったので、今日となりました。しかし、今日もできるかどうか。
 「できるはずなのに、悔しいです。」
 こういう言い方はいいですね。子どもに反省を促す言葉です。
 わたし、5人のなかの、多くの子を呼びに行った子を、そのことでほめることができませんでした。
 それを悔いています。まだまだですね。
6. Posted by toshi   2006年05月28日 05:14
デモシカさん
 うわあ。ランキング1位の先生から、コメントをいただいてしまいました。恐縮です。
 お互いに良きライバルとして、がんばっていきましょう。
 それぞれが、それぞれの持ち味を大切にしていくことがよいのではないでしょうか。
7. Posted by せきちゃん   2006年05月28日 10:51
そうですね。
今,若手によく話をしているところです。
できていない子の近くで,できている子を褒めよ!と。
信号の話。
分かりやすくていいですね。
8. Posted by toshi   2006年05月29日 02:30
せきちゃんさん
 『できていない子の近くで、できている子を褒めよ!』
 これもいいですね。いえ。実は、わたしもこのことを次の記事に書くつもりでした。
 どうぞ、末永くよろしくお願いします。
9. Posted by 漢字は苦手   2006年05月29日 15:20
娘が5年生の時、プール初日に水着に名前を書いてこなかった何人かの子がいたのだそうです。そのお説教で時間を潰しほんの少ししかプールに入れてもらえなかったと言ってがっかりしていたことがあります。
時代錯誤ですよねえ、連帯責任なんて。
「次回も名前が書いていなっかたらその人たちは見学させるよ」って一言で済みそうなんですけれど。
ほんと時間の使い方を知らないんですよね、あの人たち。って先生のこと?ごめんなさい。
10. Posted by toshi   2006年05月29日 23:13
漢字は苦手さん
 そうか。連帯責任を負わせるという錦の御旗があったのですね。でも、これ、おっしゃるように、封建時代、あるいは、軍国主義時代の遺物ですよね。心の豊かさを願う教育とは、無縁です。
 つい、それが常識のように思い、無意識でやってしまっていることが多いのだと思います。
 そういう理不尽なことの積み重ねが、子どもを反抗的にしてしまうと言えるのではないか。
 現代という時代は、特にそうだと思うのです。
11. Posted by toshi   2006年05月30日 09:05
せきちゃんさん

 『できていない子の近くで、できている子を褒めよ!』
にかんする記事は、わたしのもう一つのブログ、『小学校初任者のブログ』に掲載させていただきました。5月29日『第三者をほめる』です。
 ご覧いただければ幸いです。

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