2006年04月28日

学校、第三の民主化


08bc6bbd.JPG  先に、『学校民営化?』と題して記事にしたところ、大変物議をかもした。『民営化』の言葉の不適切なことが原因だった。そのことは、皆さんからのコメントで、よく理解することができた。

 大変申し訳ありませんでした。

 そのなかで、Hidekiさんのコメントが、大変ありがたかった。わたしが言っていることは、『学校の民主化ではないか。でも、民主化というと、これまで民主的でなかったような印象を与えてしまうかもしれませんね。』とのこと。

 そこで、思った。『そうか。第三の民主化と題すれば、よいのではないか。』それで、さっそく、それをタイトルとすることにした。Hidekiさん。そして、皆さん。どうもありがとうございました。


 さて、そうなると、第一、第二の民主化とは何か。

 第一の民主化は、言わずと知れた、戦後すぐの、『教育の民主化』である。
これについては、一断片にすぎないが、『社会科学習への誤解』と称して、すでに記事にしたことがある。ごらんいただければありがたい。

    
    社会科学習への誤解(2)
    社会科学習への誤解(3)
    
 しかし、真に子どもが主体の授業が行われたのは、ほんの一時期だったような気がする。
 
 それで、第二の民主化となるが、国と教員組合がしのぎを削り、教育権争奪戦のような事態になる。すると、イデオロギーが絡んだり、労働運動が盛んになったりして、子どものことはおき忘れた観を呈するに至った。

 今、このブログを読んでくださっている、小学生の保護者の皆さんは、こうした時期に小学生だったのではないか。わたしが初任者からベテランの域に入ろうかというころだ。知識注入の全盛時代だったような気がする。

 そして、近年、第三の民主化の波が顕著になった。一口に言えば、国民が教育権を握る時代の到来と言えるだろう。いや。まだ、今は、そこまではいっていないか。そうした時代の前夜なのかもしれない。


 第二と第三とで、我々に意識の違いがありそうだ。それを示すおもしろいエピソードがあるので、紹介しよう。

 わたしの現職最終校でのことだが、教頭が、職員打ち合わせで、次のようなことを言った。

 「昨日は、PTAの運営委員会がありました。その席で、ある保護者から、『うちの学校の授業参観は、ほとんどが、◎◎発表会とか、○○大会とかばかりで、つまらない。わたしたちは、ふだんやっている授業を見たいのです。』という要望が出ました。
 明日は授業参観ですね。どうぞ、そういった意見もあることを念頭において、どんな授業をするかお考えいただければと思います。」
 
 そのとき、ある教員が、教頭に文句をつけるように言った。

 「保護者から、そういう声があったとき、教頭先生は、どうお答えになったのですか。保護者に言いたいことを言わせっぱなしでは、いけないと思うのです。教頭先生は、『どの子にも活躍の場を与えたい。』という、わたしたちの気持ちを伝えていただけたのでしょうか。」

 「いえ。わたしは、保護者の言う通りだなと思いましたから、『そうですね。よく先生方には言っておきます。』と答えましたよ。・・・。『どの子にも活躍の場を。』と言うのは、当然のことだと思います。ふだんの授業でも、どの子にも活躍させることができるよう、授業改善に努めていただきたいと思います。」

 第二の民主化の時代だったら、教頭はこうは言えなかったと思う。
 組合の強い時代は、労働者主権だったから、働く者の意向は最大限尊重しなければならなかった。それに対し、第三の民主化の今は、国民主権になりつつあるのだから、消費者、この場合は、教育の受益者の思いを尊重しなければならない。

 ここで、4月24日の、『学校民営化?(3)』のコメント2番、まき菱さんのコメントだが、それを思い出す。

 『民間の給食会社(民間委託先)に勤務する知り合いから話を聞きました。アレルギーへの対応もしているそうです。
 うらやましかったです。うちの学校は、私が「卵を入れる前のスープを取り分けていただけませんか」とお願いしたときに、「労働の関係でできません。」と回答なさいましたので、』とあった。

 この、『労働の関係』というのが、まさに、労働者主権の時代を思わせる。働く者の都合が、消費者の要望より、重視されたのだ。

 しかし、我が地域では、たとえ民営化されていなくても、除去食と言って、ずっと前から、アレルギー対応はしている。今のところ、調理員さんの好意にすがっている観があるが、これは、本来、労働者の過重負担にならないように、定数増を図ることによって、消費者サービスに努めるべきだろう。それが、第三の民主化の時代の、あるべき姿だと思う。

 最後に、先の、職員打ち合わせでの教頭の話の件だが、この教頭は、どの教職員からも好かれていて、この質問をした教員とも、大変なかよしだった。そして、この教員は、以後、ほんとうに授業改善に努めるようになった。


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rve83253 at 23:55│Comments(11)TrackBack(0)学校、第三の民主化 | 学校経営

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この記事へのコメント

1. Posted by Hideki   2006年04月29日 09:43
私が子どもの頃、ご指摘の日教組の活動を積極的にしている先生もたくさんお見えになりました。たしかに、ストだか会合だか分かりませんが、たまに授業を休まれることがあり、それは今でも「どうなんだろう?」とは思いますが、日教組の先生はとても熱心な先生も多かったように思います。子供達の間でも人気の先生だったりしました。
いま、そんな組合活動はすっかりすたれた感がありますが、それと関連するかしないか、最近の先生は小粒で大人しい人が多い印象もうけます(先生方…直裁的な表現でごめんなさい)。いや、これって、先生に限らず、最近社会に新たに出てくる人に全般にいえることかもしれません。
あぁ、話がそれました。
「イデオロギーが絡んだり、労働運動が盛んになったりして、子どものことはおき忘れた観」というお話に、理解できる部分は多いものの、ちょっと違和感を感じたんです
2. Posted by Hideki   2006年04月29日 09:48
私は、マーケティングということにかかわる仕事がら、「消費者」を基軸におくということは、常日ごろから心がけているつもりです。だけど、マーケティングは消費者発想を!と良くいいますが、ちょっと違うと思うのです。
「お客様は神様です」というのは故南春夫の名言ですが、マーケティングではこれはけっして適切じゃない。じつは「お客様は王様です」なんだと思う。正しいことを必ずしも知ってるわけではない。だけど、出されるものを受け入れるかどうか、それを決める権利をもつ。
教育・学校に、このマーケティングの発想が直結するとは私も思いません。でも、お客様にあたる子どもたち・保護者のことを、最優先で考え、慮り、そこを基軸に発想するという点で同じように思う。
3. Posted by Hideki   2006年04月29日 10:01
その場合に、問題は「お客様=子ども・親」が必ずしも正しいとは限らないということ。だけど、だからといって「お客様が理解」してくれないまま進めるのは間違いだということ。その2点の両立なんだと思うのです。
マーケッターの場合、「お客様からの目線・視点で発想」するのを前提にして、その上での「あるべき姿」をきちんと持つことが大切になってきます。そして、それはけっして独りよがりではなく、いつもお客様の目線で精査され続けるものでなければいけない。
子供達、そしてその親の、現状と実情と生々しい気持ちをしっかりと見て受け止めて、その上で「あるべき姿」をきちんととらえ、しかもそれを決して押し付けるわけではなく、子ども・親と共有・理解しながら進めていくのが理想なのではないかと思うのです。
あるべき姿の発想という点で、イデオロギーはとても大切なんです。
4. Posted by Hideki   2006年04月29日 10:02
冒頭にのべた、ちょっとした違和感は、私が子どもの頃にであった日教組の先生方は、そこの部分がとても熱かったように思う。
体制に疎まれてもなお、主張すべきものを主張するわけだから、それが無い人にはできないと思う。そして、それが最近の人たちに感じる、線の細さ、小粒さに、けっして無関係ではないように思う。
(あぁ、誤解しないでくださいね。けっしてストを中心とした組合活動全てを支持するものじゃないですので)
5. Posted by toshi   2006年04月30日 09:58
Hidekiさん
 Hidekiさんはじめ、多くの読者に、お詫びしなければいけないかもしれません。
 これまで特にふれなかったのですが、ここではふれないわけにはいかないなと思いました。
 実は、わたしも、担任時代は、日教組の組合員でした。我が地域は、100%組合員だったのです。今はやや組織率は低下しています。
 でも、100%ですから、日本の多くの地域の方が思う組合のイメージとはかなり違った組合になっていたと思います。
 わたしが初任からベテランの域に達するかというころ、ストライキこそ、他地域同様にやったり、また、勤務拘束時間が4時までとなったりしたものの、わたしが勤務した学校はすべて、卒業式では君が代を歌い、日の丸を掲示していました。
 わたし自身は、学級経営、授業研究一筋に、生きてきたつもりです。
 
6. Posted by toshi   2006年04月30日 10:09
組合員と言っても、小泉さんではないが、『組合員もいろいろ』なのです。もちろん我が地域でも、組合活動に積極的だった者はけっこういました。そして、Hidekiさんがおっしゃるような組合員もいたし、子どもをないがしろにする組合員もいたというのが実態でした。
 このような感じですから、市民のもつ、組合へのイメージは、地域による違いがものすごくあるだろうと思います。
 ただ、すみません。記事にしたときは何気なく書いたのですが、Hidekiさんのコメントをいただいて、少し考えてみました。
 すると、上記のような想いになったのと矛盾するようですが、『子どものことをおき忘れた』は、前後に記述した、『子ども主体の学習が置き忘れられた。』と、『知識注入の全盛時代』をさしているとも言えるなと思いました。
 再度ごめんなさい。なんか自分の言っていることが矛盾していますね。言い訳をしているようで、多少いやになりました。
7. Posted by toshi   2006年04月30日 10:17
Hidekiさんのおっしゃる
 《問題は「お客様=子ども・親」が必ずしも正しいとは限らないということ。だけど、だからといって「お客様が理解」してくれないまま進めるのは間違いだということ。その2点の両立なんだと思うのです。
 マーケッターの場合、「お客様からの目線・視点で発想」するのを前提にして、その上での「あるべき姿」をきちんと持つことが大切になってきます。そして、それはけっして独りよがりではなく、いつもお客様の目線で精査され続けるものでなければいけない。》
 これは実によく分かるし、それをモットーに努力して来たつもりです。校長としての学校経営も、担任としての学級経営も、この精神でなければならないと思います。
8. Posted by POOHママ   2006年04月30日 18:52
第3の民主化ねえ・・・
確かにそのほうが適しているようですね。
私の目指しているところは
またちょっと違うのです。
それは、第4の民主化といえるかもしれません。
教育は誰のために行うのかということです。
教育の主権者は「子ども」であると
考えます。
第3の民主化が
地域や保護者の要望を取り入れて改善されるものと考えると、
第4の民主化は、子どもの要望から教師や保護者が知恵を絞って改善されるものなのです。
もちろん、子どものわがままを取り入れると言うものではありません。
子どもの要望を指導要領や市町村の教育費に照らし合わせて、大人(教師や保護者・市域住民)ができることは何かを考えながら取り入れていくというものです。
前任校はまさにそれを実践している学校で、
来月その実践が本に
「子どもの人権」を教育に生かしている学校として
紹介されます。
早稲田大学の研究員も何度か訪問しています。
9. Posted by POOHママ   2006年05月01日 20:33
前任校について、
多少、過大評価していました。
子どもの要望から学校を作っていることは確かですが、
保護者や地域の要望はあまり聞き入れていないようです。
というより、
「子ども主体の学校」という教育を
保護者や地域に理解してもらうのが精一杯で、
保護者の声に耳を傾けるところまでは
まだいっていないようです。
私が転出して4年立ちましたが、
まだ進展がないようです。
今春から、我が子を前任校に通わせています。
もう少ししたら、
その後の様子をお話できるかも。
10. Posted by toshi   2006年05月03日 12:45
POOHママさん
 今度は、わたしの方が、言葉について、吟味させていただきますね。
 「子どもが主体の学校」と「子どもが教育の主権者」というのは違うと思いますよ。
 もっとも、コメント9番で、それにはもうふれる必要はないのかなとも思います。
 「子どもが主体の学校」についてなら、わたしのブログのかなりは、まさにそれだと思います。
 本を出されるとか。町の本屋さんで売られるのでしょうか。それでしたら、ぜひ買い求めたいと思います。
 なお、蛇足ながら、一言。
 『子どもが主権者』と言うと、わたしは、欧州の、教員の査定に子どもも参加するとか、確か、日本でも、教員の人事考課に、子ども加わるなどというニュースがあったと思いますが、それを思い浮かべます。
11. Posted by POOHママ   2006年05月03日 18:51
書籍名「子どもとともに創る学校」
日本評論社の出版
A5版、定価2000円(税別)
だそうです。
編者には、早稲田大学の
喜多 明人教授が含まれています。
推進しているのは、
北海道教職員組合員の組合員でもあります。
町内全体に関しては、教育長が執筆、
前任校の取り組みに関しては、
元教諭ら9名が執筆しているそうです。
(私は、推進者ではなかったので
 含まれていません)
私もまだ、手にしていませんし、
内容もよくはわかっていません。
しかし、前任校の取り組みのすばらしさは実感し、
(すべてとはいえませんし、
 問題点もたくさんありますが)
現任校でできる範囲で実践しています。

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