2006年04月24日

学校民営化?(3)


19258c37.JPG 本記事をお読みいただく前に、関連する記事をリンクさせていただいた。それらをお読みいただければ幸いである。

     12月 8日   学校民営化?
     12月11日   学校民営化(2)
      1月 5日   民間人校長を迎える前に
      2月27日   真の主権者は? 


 東京都が、職員会議での採決を禁止する通達を出したという。前代未聞の通達だ。

 おかしくなってしまう。心のなかで笑いころげたが、しかし、なかには深刻にこの通達を受け止めた方もいらっしゃるだろうと思うと、笑えなくなってしまった。

 『校長の権限強化』と言われて久しいが、未だに、採決を行っている学校があるから、こういう通達が出るのだろう。


 そう言えば、若い教員だったと思うが、一ヶ月くらい前、ブログで次のような記事を読ませてもらったことがある。
「うちの学校は、次年度の学年学級編成も職員の話し合いで決める。そうすると、わがままだったり、強く主張したりする人は自分の思い通りになって、気が弱く強く言えない人がいつも損をする結果となり、職員室は険悪な雰囲気となる。」

 驚いた。こんなことはごめんこうむりたい。職場が暗くなるもとだ。どこの会社に、『あなたは営業だ。ぼくは経理だ。君は工場を。』などと、自分たちで決めているところがあろうか。そんなことをしたら、エゴの職場となり、営業成績はダウンの連続となるだろう。

 教職員の意見は聞く。そして、できることは採り入れるし、できないことはなぜできないかの説明をする。そうして、広く教職員の理解を求めながらも、校長が決定する。それが当然ではないか。

 わたしの校長時代、職員会議で挙手し、採決したことは、『運動会の採点種目に、職員競技やPTA種目などを含めるかどうかについては、児童会にゆだねて決定する。』ことの可否など、ほんの数回にとどまった。

 たまに、
「最終的には、校長であるわたしが自分の判断で決定させてもらうが、教職員の皆さんのご意見を広くうかがったうえで決めさせてもらいたいので、よろしくお願いします。」
と言ったことはある。大体腹は決まっているが、今一情報がほしいという場合だった。

 さんざん話し合わせておいて、大勢は、A案の方なのに、校長が強引にB案と決定すると、教員のなかには、『さんざん話し合わせておいてなんだい。それなら早く言ってくれよ。時間の無駄じゃないか。』と思うものも出てくるから、前もって何のための話し合いかを明確にしておくことは大事である。

 十分民主的(わたしのいう民主的な職場とは、組合的な発想ではない。上記の意味合いである。)な職場もあれば、校長であれ、教職員であれ、言い張る者が主権者のごとく振る舞える職場もある。いずれにしてもそれは、長年の慣行でできた雰囲気だろうから、それを改革するにはものすごく強いエネルギーがいる。
 
 だから、冒頭に述べたような通達が出るのだろう。


 どうしてこうなってしまったか。

 やはり、文部省と日教組との長い間の対立関係が関係してこよう。教育の主権がどこにあるかについての対立だった。

 教育の主権は、国にあるわけでもなく、教員組合でもなく、教育の受益者たる国民にあることが、近年だんだん明確になってきた。

 教育は、成果を上げなければならなくなったのである。


 かつて、文部省と日教組の対立が激しかったころ、校長の権限強化などが叫ばれると、必ず次のような反発の声があった。

 「そんな時代になったら、教職員は皆校長におべっかを使い、校長の覚えのいい者が出世する暗い職場になるだろう。」

 もちろん、そのような人はどこにでもいるから、そういう校長、教職員、学校があることは確かだ。これからもあるだろう。

 しかし、そういう学校は確実に、成果を上げられなくなる。子どもはあれるだろう。(逆は言えない。『子どもがあれるから、そういう学校は、校長におべっかを使うくらい職場だ。』などということは、絶対言えない。)

 国民主権であれば、こういう学校は、保護者、地域、市民から、糾弾される。校長の管理責任を問われる。校長の権限が強化されたなかで起こるこうした事態は、校長の降格制度も伴うことになるだろう。

 こうして、学校民営化は、子どもが主体の、子どもがいきいきと成長する学校を創ることになる。


 やや、論理が、理想に走りすぎたようだ。現実は、民営化にもいろいろ問題がある。

 学力をどう見るかの問題。保護者、地域の声と学校の説明責任との問題。教職員給与の査定の問題などである。イデオロギーの対立の問題は、もうこれからはないだろう。

 これらの問題は、民営化の過程で、十分討議すべきと考える。


にほんブログ村 教育ブログへ

 教育ブログの1位と2位をいったりきたりしています。
 しかし、ポイント数は驚異的に上昇中。皆さんの盛り上がるようなご支援を強く感じます。ほんとうにありがとうございます。
 今日も1クリックをよろしくお願いします。

人気blogランキングへ
 
 こちらも、お願いできますか。



rve83253 at 23:30│Comments(13)TrackBack(0)学校、第三の民主化 | 学校経営

トラックバックURL

この記事へのコメント

1. Posted by POOHママ   2006年04月25日 20:28
Toshi先生にあらざる記事にびっくりです。
あまりのことに、
言葉が見つかりませんが、
とりあえず、思ったことを書かせてもらいます。
>そういう学校は確実に、
>成果を上げられなくなる。
>子どもはあれるだろう。
どこか間違っていませんか?
>教育は、成果を上げなければならなくなったのである。
教育の成果って何でしょう。
教育の目的は、人格の形成ですよね。
人格の形成の成果って、何?
福知山線事故から1年。
民営化のおそろしさが充分にわかる事故ですよね。
教育はそうあってはならないと思います。
公立学校が民営化したら、
小中学生の自殺者の続出
または
ストリートチルドレンの増加に
つながると思います。
2. Posted by まき菱   2006年04月25日 21:01
民営の学校(私立)に子どもを行かせたい人が増えています。住んでいる地域に私立があれば、家にお金があれば、子どもの学力が見合えば、私立に行かせたいと思う人が、実際に増えているんです。
 公立学校はその理由を、親の身になって考えてほしいと思います。
 
 話が少し違いますが、民間の給食会社(民間委託先)に勤務する知り合いから話を聞きました。アレルギーへの対応もしているそうです。
うらやましかったです。うちの学校は、私が「卵を入れる前のスープを取り分けていただけませんか」とお願いしたときに、「労働の関係でできません」と回答なさいましたので。
3. Posted by toshi   2006年04月26日 00:23
POOHママさん
 いつもお読みいただき、ありがとうございます。
 でも、今回は大変な誤解をいただいたものだと、わたしの表現力の至らなさに、忸怩たる思いです。 JRの民営化は、資本家主権なのでしょう。資本家が利に走りすぎた結果、ああいう大変な事態になったのでしょう。
 わたしの言う学校の民営化は、本文にも書いた通り、保護者、地域を中心とした国民主権であり、学校は学校運営に際し、保護者、地域の声に耳を傾け、とり入れるべきはとり入れ、できないことは、どうしてできないかの説明責任を果たすというものです。
 そして、これは、12月8日の『学校民営化?』で、もっと詳しく述べていますので、ごらんください。
 どうでしょう。国が教育を牛耳ったり、教員組合が、教育権を行使したりするのに比べれば、ものすごく民主的なのではないでしょうか。
 
4. Posted by toshi   2006年04月26日 00:30
そして、これも、12月8日に述べたように、我が地域では、校長は、学校運営の決定に際し、地域の代表者の承認を得なければならないというモデル校を数校すでにつくっています。
現状、問題点がないわけではないが(これも本文で述べた通り)、大筋においては、民主主義の観点から、あるべき教育の姿と、わたしは思います。
 地域、保護者の声を最大限尊重した学校運営を行う公立学校。それが、現行の学校の民営化なのです。
 支持いただけませんか。
 教育の成果とは、わたしも、『人格の形成』が身を結んだ姿と考えます。
なお、2月27日の記事、『真の主権者は?』もご覧いただければと思います。
5. Posted by toshi   2006年04月26日 00:45
まき菱さん
 わたしの言う、また、現状進行しつつある、学校の民営化は、公立学校を私立の学校にすることではないのです。POOHママさんへの回答に示した通りです。私立も、学校経営者が、唯我独尊的に経営すれば、それは『学校民営化』とは異なるものです。ただ、私立は、国民の支持がなければ、成り立ちませんから、そこに歯止めがかかりますが、でも、わたしが知る限り、唯我独尊の学校はあるように思います。
 民営化賛成のわたしも、共通の土俵で勝負しない、土曜日も授業日という学校は、おかしいと思います。
 まき菱さんのおっしゃる「労働の関係でできません。」は、まさに、労働者主権であっては民主主義にならない典型的な事例でしょう。
6. Posted by toshi   2006年04月26日 01:00
ただし、我が地域では、給食を民営化していない学校でも、除去食と言って、アレルギー対応はしていますよ。わたしの学校でも、調理員さんは、血のにじむような努力をされ、保護者、地域から、絶大な信頼を得ていました。
 これは、アレルギー対応の例ではないのですが、1月4日の『心の教育(4)』をお読みいただければ幸いです。
http://blog.livedoor.jp/rve83253/archives/2006-01.html#20060104
7. Posted by 漢字は苦手   2006年04月26日 11:23
こんにちは
文部省と日教組の対立、なんだか難しそうなお話でした。
民営化はともかく、子供たちが楽しくしっかり学べる場、として学校はあってほしいと思います。
学校の中での民主的な運営ーこれは一部の声の大きな者のわがままが通るというようなやり方でないという意味です。
地域の中での民主的な運営ー強気な発言をする一部の保護者に阿るのではないという意味です。
特色ある学校づくり、学校選択制などの改革の中で、一番大切な子供が置き去りにされているように思います。
子供たちが望んでいるのはちゃんと勉強を教えてくれる学校なんです。
勿論、点数さえ取れればよいということではありませんが、人格の形成は、その前提あってのことです。
8. Posted by 漢字は苦手   2006年04月26日 12:09
福知山線の事故、修理ミスの飛行機、耐震偽装など、大切なのは何なのか、一番優先しなければいけないことは何なのか、そういった判断力が持てない人間が増えていることです。
いわゆる点数の学力と同時に考える力、いわば人格の形成についても、この国の教育は無力になりつつあるという自覚が必要です。
この30数年、この国の学校も社会もあまりに考えることをしなかった、あの浅間山荘事件、オウム事件はなぜ起きたのか、教育の方向性は間違っていなかったのか、大人の責任は大きいと思います。
そんな中、こちらのブログのお話は私にとって救いなのです。
9. Posted by toshi   2006年04月26日 16:21
漢字は苦手さん
 おっしゃる通り、子どもたちが楽しくしっかり学べる場となるよう努力すべきですし、その方向での民営化でなければなりません。そして、現状、大筋ではその方向に進んでいると思います。ただし、そうでない部分もありますから、その辺は、しっかり見つめていかなければなりません。
 漢字は苦手さんのおっしゃる、地域のなかでの民主的な運営、特色ある学校づくり、学校選択制については、わたしは必ずしも反対ではありませんので、それがいかに子どもを健全に育むかという観点から、近いうち記事にしたいと思います。
 
 『この30年、この国の学校も社会もあまりに考えることをしなかった』
 ほんとうに賛成です。自分の頭でしっかり考えていきたいものだと思います。
 
 ともにがんばりましょう。
10. Posted by POOHママ   2006年04月27日 15:19
あまりにも、びっくりし、
支離滅裂な、とても失礼な
コメントを書いてしまい、
反省しています。
Toshi先生への批判という意味ではなく、
私の思いは書いたとおりです。
ただ、「民営化」という言葉の使い方の誤りが
誤解を招いたのではないかと思われます。
公立学校の「公」は、
政府ではなく、国民ですよ。
地域や保護者の声に耳を傾け
かつ、真理に即して経営する学校=公立学校
なのであって、
それを無視して(あるいは、軽視して)
私欲(理事長の思惑)で経営する学校=私立学校
です。
ここでいう私欲とは、悪い意味ではなく、
宗教的な意味合いが強かったり、
進学率優先の考え方だったり、
それぞれの特色ある活動ということで。
民営化の「民」は何ですか?
国鉄も、郵政も、
民営化は利潤優先にともなう
サービス向上のことですよね。
そういった意味で、
教育にあてはめて解釈してしまいました。
11. Posted by toshi   2006年04月28日 05:54
POOHママさん
 こちらこそ、申し訳ありませんでした。27日の記事に対する、Hidekiさんへのコメントで書かせていただいた通りです。
 POOHママさんのおっしゃっていることとわたしの記事内容は、ほぼ同じだと解釈しましたが、いかがでしょう。
12. Posted by むらちゃん   2010年11月19日 16:00
toshi先生、ご無沙汰しております。
先生のブログから拙ブログにおいでになる方が多いので、ひさしぶりに記事を拝見しました。
toshi先生がおっしゃる学校の民営化とは、ガバナンス「方式」の民営化と理解しました。ガバナンスそのものを民営化(つまり私立学校にする)というわけではありませんよね。
ユニクロでもイケアでも顧客の声に耳を傾ける力のある企業が伸びています。その方式を学校も採り入れたらどうか、と。こうした会社は、顧客の声を闇雲に採り入れているわけではありません。
現在文科省が推奨している学校評価制度は、どうも闇雲に声を聞け、といっているように私には見えます。そうではないのだ、という意味であれば、学校の民営化というtoshi先生のご意見に、私は企業人として全面賛成いたします。
13. Posted by toshi   2010年11月20日 15:40
むらちゃんさん
 お久しぶりです。わたしのブログから、貴ブログに行かれる方が多いとのこと。何やら親せき関係のようで、うれしく思いました。今後ともどうぞよろしくお願いします。
  おっしゃる通り、私立学校にしようというわけではありません。タイトルに?マークをつけたのも、そんな気持ちからでした。しかし、この記事のころ、『民営化という言葉は誤解を招きそうだから、やめた方がいいのでは、』というコメントをいただき、確かにそうだなと思いましたので、その後、この言葉は使わないようにしました。
 でも、むらちゃんさんがおっしゃる通りの気持ちです。保護者、地域の方はもちろん、広く市民の声の前に、謙虚でありたいという気持ちです。ただし、もちろんやみくもに聞けということではありません。説明責任を果たそうという意味です。

コメントする

名前
URL
 
  絵文字