2006年06月20日

『人はミスする。〜』4

9614a2f1.JPG わたしのかつての勤務校に、地域の方で、国際線のパイロットの方がいらした。この方は、日頃から、いろいろと学校や地域のために、ご尽力くださった。

 開校のときからお世話になっていた方で、学校のことは何もかも知り尽くしている感じだった。

 その方の口癖に、『人はミスする。機械は故障する。天気には勝てない。』というものがあった。

 航空機の操縦士(機長)は、機内では全責任を負う立場にあり、絶対的な権力を握るのだと思うが、その方にして、こう言わせるということに、何か引きつけられるものを感じた。

 しかし、この言葉の意味がよく理解できなかった。一度うかがおうと思いながら、とうとうその機会もなく、転勤となってしまった。

 だから、想像になってしまうが、おそらく、『万全を期せ。』『謙虚に生きよ。』といった意味だろう。また、『危機管理』という言葉も連想させた。

『この世に、完全無欠なものはないのだ。無邪気に信頼しきって、慎重さを怠ると、とんでもないことになりますよ。』
そう言っているように思えた。


 ひるがえって、学校経営の視点で、この言葉を吟味したとき、『連携ミスをしないように』とか、『事前の準備はしっかりと』とかいうことが思いうかんだ。


 そこで、今日は、『連携ミス』という点に絞って、論を進めたと思う。

 学校というところは、こういう点がないか。

『このようなことは言わなくても分かっているはず。』『たぶん先生方が伝えてくれているだろう。』
そのように勝手に判断して、それがそうなっていなくて、失敗してしまう。

 わたしは校長時代、教職員によく、『屋上屋を重ねてください。』と言った。

 その点、教務主任になった以降は、特に気をつけるようになった。

 『文書を見れば分かるはず。』と思うのではなく、承認された内容でも、当事者が確実に準備を進めているかどうかは分からないから、あらためて「よろしくお願いしますね。」と声をかけるとか、

 一日の予定を職員室の黒板に書くときは、内容ごとに色分けしたり、時刻を必ず記入したりするとか、

 とにかく、教職員の負担をできるだけ減らすように努力したつもりだ。

 会合などの名称が、そのときどきの気分で違ってしまうことのないようにも気をつけた。名称が違ってしまうと、何か別のものという印象を与えてしまい、混乱を来すことがあるからだ。特に相手が地域やPTAである場合は、気をつけた。

 また、前記、『屋上、屋を重ねる』という点についてだが、

 教職員から言われて、『ああ。そんなことは分かっているよ。』という態度をとると、教職員があまり言ってくれなくなるだろう。そうなると、ついうっかりミスがふえてしまうことになりかねない。そう思って気をつけた。

 たとえ知っていても、あるいは、準備を進めていても、
「ああ。うっかりしていたよ。そうだね。やらないといけないね。言ってくれてありがとう。助かったよ。」
と言うように努めた。そうすると、相手も、『ああ。言ってよかった。』と、うれしそうな表情になり、人間関係もうまくいくというものだ。


 話は少し変わるが、どこの学校にも、学校運営組織なるものがあるだろう。校務分掌とも言う。

 組織は大切で、尊重しなければいけないが、それにたよりすぎるのもよくない。

 学校というところは、概して教職員の数が少ない。そこでは、組織は有効に機能するとは限らない。

 人間には得手不得手もあり、仕事に取り組む意欲、態度も様々であり、その点で言えば、強力に押し進められることもあれば、はかばかしくいかないこともあるだろう。

 だから、責任ある立場にある者は、組織を超えて協力支援体制をとらなければならない。

 以上、教職員が気持ちよく仕事を進められるようにする上で、管理職の果たす役割は大きいものがある。この、『気持ちよく』が、まとまりのある教職員集団をつくり出し、さらには、連携ミスの少ない学校体制をつくり出すのだと思う。


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rve83253 at 05:39│Comments(14)TrackBack(0)学校経営 | 学校管理職

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この記事へのコメント

1. Posted by namiママ   2006年06月20日 08:24
職員みんなが気持ちよく仕事ができるような
心遣い・思いやりを管理職の立場で具体的な行動できちんと示されるのは
当たり前のことのようで難しいことだと思います。

周りも自分も生徒や子どものために実のある仕事が
気持ちよくできるように…

今日はこの手の記事が多いです。
いい日になりそうです。
ありがとうございました。
2. Posted by buchiyamato   2006年06月20日 09:07
はじめまして。進学塾の講師をしている者です。
こちらのブログは大変興味深いものですね。また立ち寄らせていただきます。
なお私は現在「受験勉強相談室」http://www.purple.dti.ne.jp/jukensoudan/という中学受験・高校受験・大学受験の効果的な受験勉強法や有益な受験情報をまとめたサイトを運営しています。今までの受験指導経験をもとに、どうすれば第一志望校合格という夢が叶えられるかを書きました。学校の成績を確実に上げる方法やお奨めの参考書・問題集の紹介もあります。また9月以降、無料のインターネット授業も運営していこうと考えています。もしよろしければ、ぜひお立ち寄り下さい!!お待ちしております!!
3. Posted by Hideki   2006年06月20日 21:01
『人はミスする。機械は故障する。天気には勝てない。』

確かにいろんな解釈ができますね。特に最後の文節は意味深。万全を期しても、なお足りない場合もある。状況にあわせて、その時々に一番良いと思われる策を柔軟とる、ということかなぁ

人はミスする、機械は故障する、というのは、人や機械を信用するなというのではなく、ミスした人を責めるのではなく、そのミスをフォローできなかった仕組みや体制・制度を反省しろ、という意味で使う場合が多いです。

往々にして責任という言葉で、その人だけに特定化してしまいがち。だけど、それでは根本的解決に結びつかないことが多いんですよね。
4. Posted by toshi   2006年06月20日 22:48
namiママさん
 教職員の和があれば、いい教育ができるとは限らないが、いい教育をするには、教職員の和は欠かせないと思います。
 同じことをするのでも、和があれば、効果は百倍です。子どもにも響いていきますしね。
 だからこそ、それが管理職の最大の仕事ではないでしょうか。
 心からそう思います。
5. Posted by toshi   2006年06月20日 23:07
buchiyamatoさん
 コメント、ありがとうございます。
 わたしは、公教育の立場から、人間性豊かな心を育む教育を標榜し、自分なりにがんばってきた者です。
 中学受験については、わたし、いろいろ問題を感じており、このブログで何度か論評したこともあり、まことに申し訳ありませんが、それをお読みいただければと思います。

  2月12日 ゆとり教育は正しいはず
  1月 2日 教員生活35年
 12月13日 心の教育(2)

 ただし、高校、大学受験については、現在の日本の教育においては、自然で当然のことという思いもあります。
 ほんとうは、入学はたやすく、卒業は大変という体制の方がいいと思っているのですけれどね。
 いい意味の論戦ができればいいなと思っています。よろしくお願いします。
 
6. Posted by toshi   2006年06月21日 00:05
Hidekiさん
 おっしゃること、よくわかります。
 いつかも当ブログでコメントされたJR西日本の事故も、運転手一人の問題に帰すことは、当然できませんよね。
 おっしゃるように、体制、制度の問題は大きいです。
 学校もそういう点は問題にしないといけないと思います。ただ、学校の場合は、人個人と体制、制度が絡み合い、どちらもあるように見えて、なかなか単純にいかないので、常に論争になりますね。
7. Posted by くるみ   2006年06月21日 08:34
 学校に限らず、組織や管理職と個人の責任ははっきりしないなあと思います。医療事故の裁判などでも争点になる、本当に難しい問題ですね。 
 また、最近、校務分掌の一つとして「学校教育ボランティア」の担当もあるのでは?と思います。これは、かなり難しい役割ではないでしょうか。
 全国的に開かれた学校を推進する中で、学級経営以外のお仕事が増える傾向にあることをご負担に感じている先生方も多いと思います。  
 ボランティアとして参加する側は、理想論でなく、現実の各学校、各担当の先生のお立場・状況を推察しつつ、サポーターとして「連携・連帯」していきたいと思っています。先生方や仲間との話し合い、先行事例などで具体的な方法について学びの必要を感じているところです。
8. Posted by hirarin   2006年06月22日 04:22
教職員は「チームワークが下手」だということをよく耳にします。

一般企業から来られた方は特に実感しているようです。
どうしても個人プレーに走ってしまって、同じことを何人もの先生が繰り返すような職場も多いような気もします。

上司の役割って大事だと思います。toshiさんのように、どんどん上の情報を公開して見やすくしていくと部下も安心して仕事に取り組めます。

常に壁を作って、部下に仕事を任せ、起案を提出したとたんに「全然わかっていない。書き直し」と自分の方針も示さないで突っぱねる上司が以前いました。
とても困った思いをしましたね。そんな上司の下では結局個人プレーでやっていくしかなかったです。
9. Posted by toshi   2006年06月22日 05:25
組織や管理職、個人の責任の明確化は、日本の長年の課題だという気がします。わたし、これで記事にしたいと前から思っていました。
 ただ一つ言えること。今の小泉首相は、かなり、従来の日本の手法と違い、首相個人の責任ということが明確になっていると思います。別な言い方をすれば、アメリカ等の大統領制に近い手法でやっていると思います。
 学校ボランティアについては、これは、今後ますます進んでいくことでしょう。
 人が足りなくなる現実があると思います。一方で、ニーズはどんどんふえていくことでしょう。少子化解消の手法の一つと言われる子育てを終了した人たちによる子育て支援が叫ばれていますが、わたしはこれに大賛成。
 小学校長のお仕事のprincipさんが、これについて書かれていますね。わたしも書いてみます。l
 たくさんの示唆を、ありがとうございました。
10. Posted by toshi   2006年06月22日 05:34
hirarinさん
 いました。いました。そんな管理職が。
 そんな態度では、学校の危機が深まるから、結局自分が損してしまうのですよね。そういう人は、部下の責任としてしまうでしょうが、しかし、対外的にはどう見ても管理職の責任な訳です。
 チームワークが下手というのは、学級に入れば、教員は一人一人の勝負となってしまうことにも、原因があるでしょうね。学級王国と言うまでもなく、連携が必要とする場面は少なくなるからです。
 わたし、強く思ったことがあります。校長しかいない組織での連携は、まったく下手だと思うことがありました。それぞれが言いたいことを言って、まとめる人がいなくなるのです。いても、まわりがそれを認めない感じです。あぜんとしました。
11. Posted by くるみ   2006年06月22日 08:56
toshi先生の記事や皆さんのコメントを拝読しながら、「人はミスをする〜」という前提のもと、細心の注意を払いつつ、互いに補い合い、「気持ちよく」望む結果を出していく、という基本理念をメンバーが少しずつでも共有すること・・・人が集まって何かを成そうとするときの大切なこと、と改めて感じました。

ボランティア活動に参加しながら、何かすっきりしないものを感じているのは、みんなで共有する「大切なこと」がわからない現状であることに気づきました。活動しながら作り上げていくしかないのだと
思います。

責任のこと、ボランティアのこと、是非、toshi先生のご経験、ご意見、アドバイス・・・どうぞ宜しくお願いします。
12. Posted by toshi   2006年06月22日 21:03
くるみさん
 おっしゃること、よくわかります。わたしの勤務校でも、似たことがありました。
 保護者有志の方々が、「本の読み聞かせ教室」をやってくださるとのこと。学校としては感謝して受け入れました。
 しかし、その動機は人それぞれですね。
 ご自分のお子さんの学級が落ち着かない。それで、何とかいい学級になってほしい。そういう動機の方は、ご自分のお子さんの学級でやりたいというお気持ちです。
 そうでなく、今の子の読書生活を豊かにしたいという動機の方は、全学級でやりたいとおっしゃいます。
 また、やらせて頂ければありがたいとおっしゃる方や、せっかくやって上げているのに、先生方は感謝してくれないとおっしゃる方もいます。
 それで、空中分解したこともありました。
 問題は単純ではないようです。
 そうですね。そんなことも含めて記事にさせていただきますね。
13. Posted by つぼみ   2006年06月24日 20:25
どの記事もどの記事も
本当にすばらしい内容で
ひとつひとつ噛み締めるように読ませていただきました。
わたしは現在研修を担当しており、夫は今年から教務を担当しております。
こちらの記事を読ませていただきながら、
たくさん勉強させていただきたいと思っています。

わたしのブログは、学校の話題はあまりないのですが、よろしければ、伊豆にもお越しください。

失礼いたしました。
14. Posted by toshi   2006年06月25日 06:27
つぼみさん
 すばらしいお褒めの言葉にあずかり、恐縮しています。ありがとうございます。
 ブログが、老後の楽しみ、生き甲斐になりそうです。
 こうして皆さんとふれあえることは、ほんとうにありがたいしすばらしい。
 どうぞ、末永く、よろしくお願いします。

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