2006年06月23日

かわいいエピソード(1)4

4bc86b82.JPG  わたしが現在勤務している学校は、いずれも都市近郊にある。宅地化の波に洗われながらも、旧農村の姿を、少しはとどめている。
 そのようなところだが、近年、地域の方のボランティアによる登下校の見守り活動は盛んだ。


 まったく地域の方には頭が下がる。雨の日も、風の日も、要所要所に立ち、子どもたちに、『おはよう。がんばってね。』『おはよう。気をつけるのだよ。』などと声をかけてくれる。 
 それだけではない。わたしたち教員にも、明るく気さくに声をかけてくれる。


 ある日の登校時、子どもが7人くらい、そのボランティアのAさんを取り囲んでなにやら話し込み、何かを手渡しているのを見た。『自分たちの安全を守ってくれる人への感謝の思いをプレゼントに託したのかな。』と思った。

 そのあと、わたしも、Aさんに挨拶を交わし、その子どもたちと一緒に歩くかたちになった。

 しばらくすると、そのなかの数人が、ひそひそ話し込んでいるのに気づいた。ときどきチラッと、わたしを見ている。

 一人の子が声をかけてきた。
「toshi先生。今、わたしたち、Aさんに何言っていたか、分かるう。」
「いや。分からなかったなあ。おじさんに、何かプレゼントしていたのかな。」
「言ったことは分からなかったの。・・・。ああ。よかった。」
みんな一様に、胸をなで下ろす仕草をした。

 でも、そのあともまたひそひそ話。次のような言葉が聞こえてきた。
「プレゼントじゃないのだよね。」
「言っちゃおうか。」
「いいよね。言っちゃっても。」
「うん。いいよ。言っちゃお。」

 そして、今度は別の子が言う。
「ねえ。Toshi先生。誰にも言わないでね。秘密だよ。」
「うん。分かった。何よ。」

 「あのね。Bちゃんが、学校へ持って行っちゃあいけない物を持ってきちゃったの。それでね。みんなで相談して、ボランティアのAさんに、あずかってもらうことにしたの。」
「そう。だからね。帰りにまた、ここを通ったときに、返してもらうの。」
「それだから、言わないでね。誰にも。言うと、Bちゃんがかわいそうだから。」
「そうか。そういうことだったのか。・・・。分かった。誰にも言わないよ。」
「約束だよ。」
「うん。分かった。分かった。・・・。分かったけれど、Aさんが気の毒だなあ。」

『どうして?』って言いたいような、けげんそうな顔が並ぶ。

「・・・。だって、Aさんは、Bちゃんが帰るとき、あそこに絶対立っていなければいけなくなったでしょう。」
「だって、いつも立っているよ。」
「そうかもしれないけれど、おうちで何が起きるかわからないからなあ。急病人がでちゃうかもしれないし。」
「そうかあ。どうしよう。」

 また、その数人で相談しそうな雰囲気になったので、今度は、わたしがあわてて、
「今日はいいのではないかな。Aさんはにこにこしながら受け取ってくれたし、これから気をつければいいよ。」
「うん。わかった。・・・。返してもらうとき、『ありがとうございました。』って言うよ。」
「『ごめんなさい。』も言おう。」
「そうか。それは、いいね。えらい。」

 「でもさあ、持ってきてはいけないものを持ってきたときは、こまるよね。」
「そりゃあ、おうちを出る前によくチェックしなよ。
・・・、
それとねえ。『しまった。変なものを持って来ちゃった。』って思ったときは、そのままランドセルの奥深くしまっておけばいいのではないかな。そうすれば、誰にも気づかれないから、そのまま持って帰れる。絶対出しちゃあダメだよ。」

『うん。分かった。』というような顔をしたが、やはりそれでは、不安なのだろう。
 
 それはよく分かる。まじめな子ほど、『それでいいのかな。大丈夫かな。』と思うものだ。

 ボランティアのBさんもやさしい方だ。いやな顔一つせず、にこにこされて受け取ってくれた。

 不審者対応、あるいは、交通安全のために立ってくださっている方々は、今、全国に大勢いらっしゃるだろう。ほんとうにありがとうございます。

 でも、相手が子どもだから、いろいろ楽しいふれあいが生まれているに違いない。


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rve83253 at 04:47│Comments(9)TrackBack(0)子ども 

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この記事へのコメント

1. Posted by にしこ   2006年06月23日 17:00
ほのぼのとしたお話しですね。
こういうお話も大好きです。

リンク、どうもありがとうございました。
これからも宜しくお願いいたします。
2. Posted by 奈々氏   2006年06月23日 20:32
ご無沙汰しております。

 うちの学区も,地方都市の中でも田畑がまだ残りつつも,宅地化が進んでおり,市営住宅があるという学区です。学区のボランティアの方は登下校時に低学年を中心に付き添ってくださいます。また,交差点などにも立ってくださる方も見えます。
 それとは別に,保護者ボランティアという制度もあり,見学の付き添いや家庭科の授業の支援,読み聞かせなどいろんな形で支えてくださっています。
 ありがたいことだと思います。このような方々の気持ちが他の方にも伝わってくれればうれしいのですが,なかなかうまく伝わらないこともあり,それだけがちょっと残念です。
3. Posted by くるみ   2006年06月23日 21:20
 ふれあいから生まれる笑顔、思い浮かべています。
 きっとtoshi先生、似顔絵のような素敵な笑顔で子ども達とお話なさったのではと思います。子ども達それぞれの小さな心の動きを見逃さない・・・そんな温かいまなざしを注がれている子ども達、幸せだなあと思います。
 今日、ボランティアで学校に行って来ました。子ども達の笑顔、大好きです。元気を沢山もらってきました。
 かわいいエピソード続編楽しみです♪
 
 
4. Posted by hirarin   2006年06月24日 04:44
ここ数年の不審者対応で我が校でも「スクールガードリーダー」の組織がシルバー人材の方々を中心に作られました。
本当にボランティアの方々なんですが、元警察官の方が多くいて、子どもたちへの指導もすばらしいです。
最近は保護者の方々も低学年の下校時間には自宅の前に立って下校を見守る姿が多くなってきました。
またゲートボールの時間帯をわざわざ子どもの下校時間と合わせて、公園での治安の確保に努めてくれている地域もあります。

こんな地域のまなざしが子どもたちに安心感を与え、成長させていくのだと思います。
5. Posted by toshi   2006年06月24日 06:54
にしこさん
 いつもと調子の違う記事で、皆さんにどう読んでいただけるか、ちょっと不安な点もありましたが、「ほのぼのとした話」と受け取ってくださって、ありがとうございました。
 リンクも遅れてしまい、申し訳ありませんでした。今後とも、よろしくお願いします。
6. Posted by toshi   2006年06月24日 07:06
奈々氏さん
 お久しぶりです。ありがとうございました。
 こういうのって、地域差はかなりあると思いますが、我が地域も似たような感じです。
 協力してくださる方と、そうでない方との意識のギャップは、かなりのものがありますね。
 でも、子どもの安全を守るうえで一番重要な人は、保護者のはずなのですがね。
 その保護者のなかに、それすら、他人任せという人がいるのは、こまった気がしますが、一方で、少子化の波を見ると、やはり、意識のある方が取り組むしかないのかなという気もして、思いは複雑です。
 我が地域では、今、教員も、登下校時、交代で、門に立っています。

相互リンクさせていただきますね。これも、これまでうっかりしていて、申し訳ありませんでした。
7. Posted by toshi   2006年06月24日 16:56
くるみさん
 『子どもはかわいい。』一言で言ってしまえば、それだけですが、若いときに感じたそれと、今と、ちょっと中味に違いがあるのですね。
 子どもだから、問題行動もありますが、一言で言うと、問題行動も含めてかわいいのです。
 記事の件も、若いときだったら、『そんなもの、Aさんに預けちゃダメ。すぐ謝って返してもらいなさい。』などと、言っていたような気がします。
 あとで、わたしからも、Aさんに軽くお詫びの気持ちを伝えましたが、Aさん、「なあに。これくらいいいですよ。」とおっしゃってくださいました。
8. Posted by toshi   2006年06月24日 17:03
hirarinさん
 すばらしいですね。わざわざ子どもの下刻時刻に合わせるなど、これもほんとうに頭の下がる思いですね。
 そう言えば、rirarinさんのコメントで思い出しましたが、我が地域では、消防車も、子どもの登校時刻に、巡回してくださっています。大型になると、ガソリン代もバカにならないでしょうが、しかし、感謝の思いでいっぱいです。
 我が地域では、保護者の活動は今一のように思います。
9. Posted by 奈々氏   2006年06月24日 20:50
リンクしてくださるなんてありがとうございます。未だにトラックバックがまともにできない私ですみません。><

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