2006年06月30日

ひらかれたPTA

fd3e185e.JPG  わたしがその学校に校長として着任したとき、もうすでにPTAの機構改革は決定していた。新しい組織でのスタート1年目の年だった。

 それまでは、4月、各学級でPTA委員の選出をする際は、なかなか選出が困難だったそうだ。

 そこで、各学級から選出するのは、学年学級委員3名のみ。他に地区ごとに選出する校外委員。それだけ。
 あとは、やりたい人がやりたいことをやると決定したとのこと。それをサークルと称するが、5名以上そろえば届けだけで発足することができる。(PTA役員選出は従来通り)

1. やりたい人がいなければ、その組織は当然ない。
2. やりたい人は、お子さんが卒業しても、引き続き、参加することができる。
3. PTA予算からの補助については、児童に還元できるものだけは、補助を出すこともあり得る。

 
 わたしは、このことを知ると、はっきり言って、ショックだった。

1. 保健委員会がない。学校保健委員会など、法律にもとづいて実施するものがあるが、それへの参加体制はどうなってしまうのだろう。
2. PTA広報紙などは、どこの学校でも発行しているけれど、これはなくなってしまうのだな。
3. 趣味の活動が中心となってしまうのではないか。

 しかし、そんなことはなかった。PTA広報紙作成の有志を募ったところ、20名くらいが集まってきた。ワープロ、パソコンに明るく、得意としている人もいた。最初から、お子さんはもう卒業してしまった方も入っていたようだ。

 これは、児童というか、各家庭に還元できるから、初めから、PTA予算によって、運営されることが決まった。

 すばらしいものができあがった。熱意を感じた。

 最初はどの学校も、教職員の紹介を載せると思うが、『せっかくの教職員の顔写真が白黒では残念だ。』ということで、どなたかお一人が、おうちのパソコン印刷機を使い、12時間以上かけてきれいにカラー印刷してくださった。

 イラストの得意な方がいた。PTA会長の顔写真、いや、イラストは、毎号載った。それ以外にも、紙面構成、記事の内容など、ユニークで、読み手を引きつけるものがたくさんあった。こうしたことのプロもいらっしゃるのではないかと思われた。

 できたばかりの第1号を手にして、わたしの、PTA会長へのお礼と感謝の言葉は尽きることがなかった。

 当初の、『ショック』は、感動と喜び、信頼感に変わった。


 趣味の活動は確かに多かった。陶芸、粘土細工、絵画などなど。校内作品展では、PTAコーナーも設けられ、皆さんの作品も一角を飾った。

 これらは、PTA予算ではなく、ほとんどは私費だったようだ。

 だんだん人気を呼び、人や開催回数が増えると、校内ではとても無理となり、地域の施設を借りても行うようになっていった。

 先のPTA広報紙は、地域のコンクールにも参加。表彰される団体の常連となった。


 問題点もあった。

 先にふれた学校保健委員会には、各学級から選ばれた学年学級委員が交代で出席してくださったから、問題点は簡単に克服された。

 また、地域の小中学校が集まって開催されるPTA連絡協議会には、従来から多くの学校にあると思われる『保健、給食、広報、・・・』の部会があるが、本校はそれがないから、どのように参加体制をとるかが、けっこう困難な点と思われた。
 しかし、いざ、その時期になると、これも、学年学級委員が適当に割り振られるかたちで、自然に決まっていった。

 問題を感じたのはわたしだけだったようだ。

 
 上記、PTA連絡協議会では、本校の機構について、委員が説明した。質疑は活発に行われた。
 そして、多くの委員からうらやましがられた。その後、本校同様に機構改革するPTAが数校現れた。

 驚くべき変化が現れた。役員、委員の選出に当たっては、なり手の希望が多くなった。さすが、役員を自ら希望する方はいなかったが、候補選出は、だいたい1週間から、10日くらいで決まった。
 委員については、ジャンケンで勝ち抜いて委員になるクラスがいくつも現れた。
 人気が出て、各クラスから選出する委員は、4名でもいいことになった。

 皆さんの声を拾うと、
「PTA活動が楽しいとおっしゃる方がふえて、『それなら、やってみたい。』と思うようになったのではないでしょうか。」
「校長先生が、わたしたちの思いをよくくんでくださって、自由に活動させてくださるので、皆さん、とても張り切っているのですよ。」
「本校の活動の楽しさは、近隣校にも鳴り響いていて、皆さんから、うらやましがられています。」

 わたしだって、まったく自由にして何も言わなかったわけではない。人権的な内容でチェックさせていただいたことはある。ただし、それ以外では、誤字、脱字のチェック程度にとどめた。

 PTA広報紙は学校が出すものではないし、表記について、学校的な立場から、クレームをつける必要はないと考えた。

 
 最後に三言。

1.PTA活動は子どものためにある。しかし、楽しいことが一番だ。その楽しさは子どもにもひびいていくに違いない。

2.これまで、制度としての規制緩和を、何回か書いてきた。

 それに対し、これは、内なる規制緩和と言おうか。やればできるのだ。

3.当時の文部省の役人の講演を思い出す。

 「今、全国のPTAが、燃えています。自由にやりたいことをやりたい人がやるという、そういうPTAがふえています。それらに共通していることは、情熱的だということです。」

 まさにうちのPTAのことだと思った。そして、同時に、『ああ。こういうPTAが、全国的にふえているのだな。』そう思った。



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なお、関連記事にリンクさせていただきます。

    PTAと学校(11) PTAの未来像は、

rve83253 at 09:16│Comments(4)TrackBack(1)PTA | 教育風土

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 ネットサーフィンしてて見つけた『教育の窓・ある退職校長の想い』というtoshiさんのブログのエントリー「ひらかれたPTA」。そこには9年...

この記事へのコメント

1. Posted by くるみ   2006年07月02日 11:36
toshi先生・・・胸が熱くなって黙っていられなくて。やっぱりコメントさせてください。
 PTAの活動・・・保護者の皆さんがイキイキと楽しく活動することで、直接でなく間接的に子ども達へ「手本」を見せることとなりますよね。人と人がつながって、自分ができることを出し合って何かを成し遂げること、そして、その過程の素晴らしさを。
 やはりリーダーが目指す姿、理念をわかり易く伝える事で、安心できますね。人は、子どもも大人も「安心して心を開く」ことで大きく飛躍するものなのですね。机上の空論と思っていたことが現実にある、また光を見つけた気持ちです。
 ボランティア活動同様難しいこともありますが、実は、あるのが当たりまえで、うまくってばかりじゃつまらない、なんて思っているのです。
 いろんなことをみんなで知ることからはじまると信じています。
2. Posted by toshi   2006年07月03日 05:39
くるみさん
 わたし、大切なことを書き落としてしまいました。こうしたPTA活動については、会長さんのお人柄も大きかったですね。人格円満で包み込むようなお人柄でした。
 そうしたもろもろが、くるみさんのおっしゃる「安心感」につながっていったのだと思います。
 予算の使い方などでは、むずかしい面もありましたが、そこはお互いの思いやり、理解しようとする心で、うまくいったのだと思います。
 わたし、自分が担任時代は、ジャンケンで勝ち抜いて委員になるなどは、まったくありませんでしたので、ほんとうに、感激したのです。
3. Posted by なな   2013年01月08日 21:04
5 『学校保健委員会』はなぜそんなに必要なんでしょうか?
無くなったら学校としてやっていけないものを任意の方にお願いする、あるいは志願でやってもらうのって、無責任過ぎると思います。
具体的にどういったことをしているのか気になりました。
4. Posted by toshi   2013年01月11日 19:41
ななさん
 学校保健委員会は、学校保健法という法律に基づき行われるものです。したがって必要か否かは国が決めたことになります。
 しかし、これでは回答にならないですね。子どもの命、安全、健康等を守るため、学校は最善を尽くしたいと思います。本ブログにおいては、わたしの現職時代に我が校で行った学校保健委員会を例示しています。ちょっとエピソード風で参考にはならないでしょうが、本コメントのtoshi欄にはり付けさせていただきました。よろしければご覧ください。
 『任意の方、志願』と書いたつもりはありません。着任早々そう思いましたが、学年学級委員さんが出席することに決めてあるのを知りましたので、問題はないと思いました。
 なお、今、PTAのない学校もありますし、任意加入のPTAも増えていると思います。そうした学校においても工夫して、本委員会に参加する体制づくりは行っているものと思います。

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