2006年10月20日

いじめの問題(6) 緊急提言3

3a285e36.JPG いじめの問題が発生し、保護者から、クレームがつけられたとする。学校は、その声にどう対応したらよいだろうか。
 今日は、そのことについて考えてみたいと思う。

 ことは緊急を要する。日がたてばたつほど、子どもの記憶はあいまいになる。
 そして、いじめたとされる子も、いじめられたという子も、傍観した子も、言う内容の食い違いが、めだつようになってしまう。


 おそらくこれから書くことは、多くの教員が思っていることの逆になると思う。『えっ。そんなことをするの。』と思われそうだ。でも、あえて書こう。

 上記のようなクレームがついたとき、教員は、それぞれ一人ずつ子どもを別室に呼んで、個別に事情を聞くことが多いのではないか。
 しかし、これをやると、誰だって自分に都合のいいように言いたいから、それぞれの言い分が食い違い、かえって事態を混乱させることがふえてしまうように思う。
 仮に、限りなく疑わしい、いじめはあったのではないかと思ったとしても、にっちもさっちもいかなくなる。

 ここはやはり、学級全員の前で対応したい。みんなが聞いているということは、正直に言わなければならない状況とも言え、事実が的確に把握できることが期待できる。


 ただし、これには留意点がいくつもある。

1.疑ってかかるのではだめだ。客観的に事実の把握に努める態度を堅持することが大切だ。
 
2.悪い子をつくらないことだ。いじめたとされる子も、正直に認めたらそれをほめるようにする。素直に反省していたら、さらにそれもほめる。
 行為は毅然としていけないとしながらも、正直、反省の心はほめるようにするのだ。そして、いじめられた子に向かっても、
「正直に認めてくれたから、よかったね。うそ、ごまかしがあれば、くやしくなってしまうところだけれど、正直だったからうれしかったでしょう。」
と言うようにする。

3.第三者(傍観者)に対しては、傍観もいじめに加担していることだということを、毅然として話すようにする。
 そして、これも、正直だったり反省したりしていたら、うんとほめるようにする。


 しかし、以上は学級が正常に機能している場合の話だろう。

 学級にボス的な存在の子がいると、なかなかこのようにことは運ばないのではないか。傍観者もいつ自分がいじめられるか分からないという気持ちになるから、なかなか正直になれないであろう。

 一番大切なのは、そのような状況にならないようにという意味でも、早め早めの対応を心がけることだ。ある意味では、保護者からクレームがきてからでは遅い場合もあるだろう。
 日ごろから子どもの表情、行動などをきめ細かく観察する必要がある。

 いじめではないが、対応策について、すでに記事にしたことがあるので、それを参考にしてほしい。ただし、あくまで例示だ。

    小学校初任者のホームページ  『でも、こんなこともあった』の靴かくし事件


 では、不本意ながらも、学級が秩序だっていない状態になったらどうしようか。

こういう場合は、学級全体を相手にしても、解決の望みは薄いので、やめた方がいい。解決の望みどころか、正直に言うことが期待薄なのだから、かえってこじれてしまうだろう。

 ここで話を変える。


 保護者からクレームが届いたとき、
「いじめる側にも人権があるのだから、初めから疑ってかかることはできない。」
とし、道徳などで、『いじめはよくない。絶対にしないように。』と言って聞かせて、それで指導したとしていることが多くないか。

 これでは、いじめ撲滅は期待できないだろう。やはり、すでに述べたように、最大限事実の把握に努めるべきだ。

 仮に事実が把握できなかったとしても、最初から、『そういうことはできない。』としてしまうのと、『申し訳ありません。事実の把握に努めましたが、解決できませんでした。』とするのとでは、保護者の受け止め方はまったく違ってくるのではないか。

 また、教員が事実の把握に努めたことは、子どもの心にも深く刻み込まれるだろうから、いじめの起きにくい環境づくりには役立つと思う。

 いずれにしろ、おざなりではだめだ。

「Aちゃんが、Bちゃんをいじめているような状況はあると思う。しかし、いつも認めないから、いつも疑わしい状態のまま終わってしまうのよね。」
こうして、いじめがいつまでも続くという状態が一番よくない。

 このあたりの具体的事例は、
   いじめの問題(2)
に書いたことがある。まだお読みでなかったら、ぜひどうぞ。

 リンク先に書いた例示にあるように、『いつかはかならずはっきりするのだ。』と子どもにも日ごろから言いたいし、実際そうなるという確信のもとに努力すべきだろう。


 最後に、今わたしが担当している初任者のクラスでも、いじめが起きた。そのときの状況や対応についても、記事にしたので、それもお読みいただければありがたい。
 姉妹編の、『小学校初任者のブログ』内の記事である。


     いじめ発生(1)  (2) 


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ごめんなさい。いじめへの対応の留意点は、4.が必要でした。

 4.学級全員のまえで対応する際の留意点としては、やはり、学級の多くの子がいじめの事実について、概容を把握できている場合のことだ。
 下校途中など、だれもその事実を知らない場合のできごとなら、学級全員の前でやるのは、不適切だろう。真相究明にも役立たない。

 (この文章は、一週間くらいたちましたら、本文に挿入します。ご承知おきください。) 

rve83253 at 05:41│Comments(6)TrackBack(0)学級経営 | いじめ

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この記事へのコメント

1. Posted by Hideki   2006年10月22日 22:41
こんにちは

いじめの問題、いままでも色々な思いと意見をしてきましたが、はからずも、いま、直面しています。Toshi 先生のお話のひとつひとつに、ひとことひとことに、改めて教えらます。本当に感謝しています。

とりあえず、落ち着いたら、記事にしてトラックバックできればと思っています。ちょっとナーバスな話になるから、なんとも分からないところですが。
2. Posted by toshi   2006年10月23日 22:07
Hidekiさん
 「ええっ。」
 びっくりしました。お子さんが、いじめに直面しているということのようですね。
 
 これ、ほんとうにむずかしい。保護者の立場ではむずかしいのですが、学校は全力を挙げて取り組んでほしい。学校の姿勢が問われます。
 今、日本中が、ショックを覚えているさいちゅうですから、学校が全力で上手に対応してくれることを願うのみです。
 記事の件については、どうぞ、無理のない範囲でお願いします。
 それにしても、多いのですねえ。暗澹たる思いです。
3. Posted by Hideki   2006年10月24日 01:07
Toshi先生、かえってご心配かけることになってしまい恐縮しています。

ちょっと複雑なんですが、世間一般でいう「いじめ」というほどエスカレートした話にはなっていないのですが、やられた本人が嫌な思い・不快な思いをしているという点で、いじめの芽といえる段階とは思うのです。

で、当初いじめられる側となり、それに従い、逆にいじめに加担することになるという、何というか一番かなしい話となっています。

でも、担任の先生は、真摯に熱心に対応してくれてますよ。土曜日も夜に訪問してくれて、遅くまで子どもをまじえてみんなで話し合っていました。

子ども自身の心の強さの問題…私としてはそこが一番気がかりな点です。いっぽうで、人と人との関わり・関係のつくり方。

対等な友達関係ではなく、上下関係になっている、今の状況を打ち破る、そんな強さを、少しでもいいから、芽吹くことを望んでいます
4. Posted by toshi   2006年10月24日 20:15
Hidekiさん
 よく分かりました。ありがとうございました。
 よくあるパターンだとは思いましたが、親御さんにしてみれば、なんともはや、複雑な思いでいらっしゃることと推察します。
 けっきょくは、学校に任せるしかないと思うのですが、先生の熱意が子どもに伝わるといいですね。
 『雨降って地固まる』。そうなるよう、願っています。
5. Posted by おんたま   2009年03月16日 17:21
でも、最後までうそを突き通す人がいる場合もあります。
6. Posted by toshi   2009年03月16日 21:54
おんたまさん
 そのことも記事とリンク先記事でふれているつもりです。あきらめてはいけないと思います。根気の要る仕事です。

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