2006年10月24日

いい子・・・だが!?3

86f763c1.JPG 初任者は初任者研修の一環として、年数回、一日教室を空けて研修にいくことがある。異校種体験研修として、幼稚園か保育園、そして、中学校。さらには、養護学校などで研修をつむ。

 初任者がいないその日に、わたしがいれば、その教室へ出向いて授業を行うこともある。

 この日、わたしは、校長からたのまれて、一日、初任者の学級に入った。

 正直のところ、かなり疲れる。
むかしは毎日やっていたことだけれど、今は、教室の後ろで初任者の授業を見ているわけだし、もうすでに、60を過ぎているわけだから、若いときのようにはいかない。

 でも、心地よい疲れだ。子どもとふれ合える一日は、たまらない魅力だ。

 どの子も、張り切っている。笑顔もたえないし、子ども同士の係わり合いも豊か。楽しくて仕方がないといった感じだ。
 
 『ああ。いい雰囲気だなあ』。そう思いながら迎えたのが、掃除の時間だった。


 何とAちゃんが、しゃくりあげるようにして大泣きしている。
 心配そうに見守る子が7,8人。『あら。あら。こまったなあ。掃除、まだ全然手をつけてないや。』

 子どもに聞く。
「Aちゃんが泣いているわけがわかる子はいるの。・・・。そうか。いないか。・・・ところで、Aちゃん。何があったか、今聞くのは無理かな。」

 泣き顔でうなずくAちゃん。

「そうか。分かった。じゃあ、後で聞こう。・・・。さあ、みんな。心配だろうけれど、今は掃除の時間だから、掃除をがんばろう。」

 やっと、掃除に取り掛かることになった。Aちゃん、泣きながらも、所定の場所に行った。まずはほっとする。


 さて、掃除から戻ったときである。
「どうだ。Aちゃん。もう、お話聞けるかな。」

 そうして聞いた話は以下の通りだった。


 Aちゃんは、Bちゃんと昼休みにいっしょに遊ぶ約束をしたのだった。それで、給食が終わるとすぐ、昇降口で待っていた。

 ところが、Bちゃんは、Cちゃんと一緒に、楽しそうにじゃんけんをしながらやってきた。やってきて、Aちゃんの存在に気づいたBちゃん。『あっ。』と思ったようだ。しかし、そのまま校庭に行ってしまった。
 
 取り残されたAちゃんは怒った。怒ってそのまま教室に戻ってしまった。

 Aちゃんが怒っているのを知ったBちゃんは、あとになって教室で謝った。謝ったけれど、Aちゃんの怒りは解けない。それで、Bちゃんは謝りながらも泣き出してしまった。

 それを見た、Aちゃんは、『わたし、怒りすぎた。』と思ったようだ。Bちゃんが泣くほど怒ってしまったと、気にしたAちゃんが、今度は泣き出してしまった。


 事情が分かり、感動する思いも確かにあった。そうか、怒りにまかせての涙ではないのだ。自責の念に襲われての涙だった。『豊かな心』を感じた。

 しかし、何か変だ。

 何が変なのだろう。

 そうか。心が開かれていない。何かギクシャクしている。

 ふつうは、怒りにまかせていたとしても、相手が謝ってくれば、『わかった。いいよう。今度、遊ぼうね。』となるのではないか。
 それで、怒りすぎを反省したとはいえ、わたしが教室に戻ったときは、Aは大泣きしていたけれど、Bはもう、けろっとしていたのだ。そんなに泣くほどのことだろうか。

 Aちゃんは、いい子だ。およそ、人に迷惑をかけるようなことはしない。やるべきことはいつもしっかりやっている。

 でも、何か、表情がさえない。いつも、強迫観念と言ったら言い過ぎだが、不安そうな表情が見える。

 『いいよう。細かいことは気にしないで。今日のことだって、怒るのは当たり前なのだから。それだけに、Bちゃんが謝ってくれたのは、うれしかったでしょう。今度一緒に遊べばいいじゃん。』

 そんな声かけをしたかったけれど、わたしが担任と言うわけではないので、それは遠慮した。また、それができないので、こまっているのだろう。もしかしたら、悩んでいるのかもしれない。

 今度、初任者の担任と話してみよう。

 『豊かな人間関係の構築を』と、口で言うのは簡単だが、実践はむずかしい、・・・かな。


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 『あるがままを大切に。』と、以前書いたことがあります。今回の例にしても、まずは、Aちゃんの自責の涙をすばらしいこととしてとらえ、対応することが大切でしょう。現状を認めることから、変容を願う指導が始まるのだと思います。

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rve83253 at 23:28│Comments(12)TrackBack(1)児童指導 | 児童観

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1. 〜おんなじ時代のおんなじ国に ぐうぜん一緒に生きている〜  [ なるほど♪ママダイアリー ]   2006年10月25日 23:13
どきん―谷川俊太郎少年詩集  ぼくは四十きみは十  としはすこしはなれているけれど    おんなじ時代のおんなじ国に  ぐうぜんいっしょに生きている    ぼくは四十きみは十  ならった教科書は少しちがうが  むかしもいまも地球はまわって  朝がくれば....

この記事へのコメント

1. Posted by hirarin   2006年10月25日 04:35
最近の子どもって、人間関係が本当に狭いと感じます。
「あの子でなければダメ」のような感じ。
特定のグループ。特定の子でしか遊べない。
かといって何をしているかと思えば、ただいてしゃべっているだけ(会話さえないときもある)。

私たちの子どもの時のように、がむしゃらに汗を流して休み時間の終了のチャイムを忘れるまで遊ぶような子どもの姿は本当に少なくなりました。
「ただ思いっきり遊びたい」という気持ちが先に立って、その後人間関係が自然とできていたような気がしますが、今は人間関係(??)がしっかりしていないと休み時間もろくに遊べないようになっているのでしょうか。

「豊かな人間関係の構築」
これは「授業だけ」ではなかなか築けないことだとだと感じています。
2. Posted by toshi   2006年10月25日 05:40
hirarinさん
 ちょっとしたことですぐ荒れる子どもがいる一方で、ちょっとしたことですぐ気にしてしまう子どももいるのですね。
 大人の心の反映でしょうか。
 あるいは、外で思いっきり遊べなくなった生活環境のせいなのでしょうか。
 いずれにしても、何かかわいそうな気がしました。やはりもっと自己に自由であってほしいですね。
 担任には、子どもにそういう声かけをしてほしいと思いました。できると思います。
3. Posted by aoisora33   2006年10月25日 17:02
こんにちは

女の子同士の人間関係は、小学校といえど侮れない難しさが、今も昔もあるように思います。

人間関係の狭さは、子どもたちの世界にのみ起っていることではないですよね。

むしろ、大人の世界の人間関係が狭くなっていることを感じます。

大人同士が協力し合い問題を解決していこうと努力する姿、や、問題があってぶつかりあった相手とも許しあい認め合い共に暮らそうとする姿、を

今の子どもたちはどれくらい見ながら感じながら、暮らせているだろうか?と思うことがあります。

地域の大人同士の関係
学校での先生同士の関係
先生と保護者の関係・・・

そういう空気を、子どもたちは日々感じながら暮らしていると思います。

4. Posted by aoisora33   2006年10月25日 17:03
続きです

子どもが、安心して自分の想いを話すことのできる、困った時は親に相談すればきっと力になってくれる、と思える家庭にしたい

そして子どもが、失敗しても大丈夫、困ったら先生に相談すればきっと力になってくれる、と思える学校であってほしい。

と思うのは、甘い考えでしょうか。理想論になってしまうでしょうか。

そんなことを、記事とコメントを読ませていただいて、感じています。


5. Posted by なるほど♪ママ   2006年10月25日 23:09
こんばんは。
胸の痛くなる様なニュースがまた、続いているこの頃で、悲しい思いをしています…。

でも、こちらへ来て、一生懸命がんばっておられる先生たちや、保護者の方達のいる事を感じると、少しほっとして、ありがたい気持ちになります。

>…現状を認めることから、変容を願う指導が始まるのだと思います。

その時の気持ちを受け止めてあげる事をまずしてあげるのが、大切なんですね…。そして、そこから、相手の気持ちへと、思いを巡らせ、気づく事ができるように手助けをする事…なのかな…。

toshi先生の以前の記事を読ませて頂き、いつも感じるのは、子どもが気付く事をとても、大切にしている様におもいます。そして、変容は、寛容へと…変わって行くように思います。
6. Posted by なるほど♪ママ   2006年10月25日 23:11
(その2)
子どもにも、保護者にも、いつも、温かな、寛容の心…相手を許す広い心を感じます。すいません。まとまりのないコメントで…。

私の今日の記事中に、こちらのブログをリンクさせて頂き、ご紹介させていただきましたので、宜しくお願いいたします。
7. Posted by toshi   2006年10月26日 04:13
aoisora33さん
 なるほど。大人も社会が狭くなっていますね。そう思います。地域によっての違いはありますけれどね。
 大人同士が連帯し合えると、それが子どもに感化していきますね。

 また、『失敗しても大丈夫。』そういう心も養いたいですね。これも、大人が失敗を許さないようなそんな心の狭さを露呈していることがあるかもしれません。

 むかしは、こういう問題は都市部だけの問題だったのですが、今は、あらゆる地域でそういう問題が生まれているように思います。
8. Posted by toshi   2006年10月26日 04:28
なるほど♪ママさん
 過去のものまでお読みいただき、ありがとうございます。
 まずは『あるがままの子どもの姿』を受け止めてあげることが大切だと思います。
 そして、これは、小学生段階の話になるのですが、
 小さい子ほど、心は柔軟なので、心を受け止めつつ、子どもの行為をほめたり認めたりするかたちで、こちらの願いを示すと、子どもはどんどん変容していくように思います。
 ストレートに大人の願いをぶつけてしまうと、無理してしまう子どもとなりかねません。
 気をつけたいですね。

 TB、今後ともよろしくお願いします。また、わたしの方も、貴ブログをリンクさせていただきます。
9. Posted by 中田   2009年04月21日 15:36
息子を見る限り、子供自体は、
基本的に昔も今も本質は変わらないなと感じています。
休み時間に自分達で考えた鬼ごっこをして、めちゃくちゃ楽しかったとか、
虫取り探検隊のグループを作ったとか、
帰ってから話すのは、休み時間に何をしたかばかり。

たまに、暗いときもあるのですが、
とにかく仲間遊びが楽しくて仕方がない様子は、
親として、勉強ができるとか、何よりも、幸せなことです。

幼稚園時代より、のびのびしていると私は思います。
地域にもよりますが、園の保護者のお付き合いは深く、子供の顔を見れば、親の顔がすぐわかるほど。
親同士で、学生時代のようにランチしたり、お稽古したり、たまに気疲れ?もするくらい。

ですが、これが子供にとっては、良し悪しだなと、今になっては思います。
親同士が関わりすぎて、子供は思い切り喧嘩も出来ません。
大きくなる前に、親がごめんね〜と止めてしまいます。
遊びのお約束だって、親つきです。

小学校へ入学して、まだ園のお付き合いは広く浅く残ります。
誰々が、最近、素行が悪くなった等の噂もすぐに入ります。
大人の世界が狭いんです。
もめないように、関係を壊さないように、気を使っているかも。

でも、子供は、そんなの知ったこっちゃないんです。
子供には子供の世界、ルールがあるんですよね。

保護者の連携は確かに重要です。
でも、それは、お友達関係じゃなく、
学校では一線を引いて、保護者の立場を忘れてはいけないなと思います。

学校での主役は子供達。
わが子も、よその子も、
あるがままを受け止めて、みんなが成長する地域、学校であって欲しいと思います。
子供の後ろに、親の姿がホワーンと背後霊のように見えたら、叱ることも出来ません。
10. Posted by toshi   2009年04月21日 21:53
中田さん
 うううん。むずかしいですね。
 保護者同士仲良くなることは、基本的にはいいことに決まっています。理解し合えるからです。我が子の友達も我が子同様に愛することができるからです。
 でも、中田さんご指摘の件は、どうもそのようになっていないようですね。
 『親同士が関わりすぎて、子供は思い切り喧嘩も出来ません。』については、『親同士が仲良しで気心が知れ合っているので、子どもは安心してけんかすることだってできる。』つまり、けんかしても、親は、我が子、及び、我が子の友達に対し、わけ隔てなく対応できるとなっていれば、子どもにとって幸せでしょうね。
 まことに僭越ですが、わたし、かつて、保護者同士が豊かなかかわりを持ってもらうことを目的として、学校がリーダーシップをとらせていただいたことがあります。
 その記事のURLを貼り付けさせていただきましたので、よろしかったらごらんください。
11. Posted by 中田   2009年04月21日 23:18
園に子供がいる友人との話の中で、
親同士の密なお付き合いに疲れるのよね〜という話題になったのです。

このお付き合いというのは、
PTAで子供達のために何かを一緒にしようというものではなく、
単に子供繋がりで仲良しになった保護者なので、
いわゆる「ママ友」のことです。
30代ターゲットの雑誌でも、ママ友とのお付き合いのマナーなど特集が組まれたりするくらいなので、
toshi先生のおっしゃる保護者同士の関係とは、
ちょっと違うと思います。

学校がリーダーシップをとり、
保護者同士が交流を図るのは良いことですね。
うちの学校でも、親同士のスポーツ大会や、
クラスの土曜日の親睦会など、けっこう盛んです。
確かに、こういった交流は、
気の合うもの同士の派閥などではなく、
単純に保護者同士で、
子供達のために良くしていこうという意見も出ますし、
とても実のあるものだと感じます。
12. Posted by toshi   2009年04月22日 07:05
中田さん
 おっしゃることよく分かります。
 わたしの娘2人も、ご近所で同様の悩みをもっているようです。
「子どもつながりで仲良しになっても、それはうわべだけなのよね。気をつかってばかり。」
「どこまで気持ちを合わせることができるか。いよいよとなれば、もうお付き合いするのはやめようと思っている。」
などという話が出てきます。
 学校というような第三者が入り、ある種、みんなで努力し合うことが、あるいは、協力し合うような関係が、我が子の幸せにつながると実感できれば、いい関係になるのかもしれませんね。

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