2006年11月04日

学校評議員制は機能しているか4

a38fddbd.JPG 最近のいじめ事件でつくづく思い知らされたことは、地域により、教育事情はかなり異なるということだ。

 最近、地域の現職校長と雑談する機会があった。異口同音だったのは、
「あの二転三転は、けっこうひどいね。なぜああなっちゃうのだろうね。」
「何か事情はあるのだろうが、開かれた学校づくりを標榜しているものとしては、学校は隠蔽体質と思われるのが一番つらい。」
「一連の報道で、子どもは影響されていないのだが、保護者はけっこうシビアになっているね。」 
「不可解なのは、学校評議員制度や、学校評価は始まっているわけだし、隠蔽などしたくてもできない時代なのだけれどね。」

 他地域のことはほんとうによく分からない。

 最後の言葉はわたしが言ったのだが、・・・、どなたかのブログにも、いじめによる自殺のことをとり上げている記事で、『学校評議員制度はまったく機能せず、〜。』と書かれていた。


 これまでも、学校評議員制度については、折にふれて記事にしてきた。簡単に言えば、学校経営に、地域・保護者の声を反映させるための制度だ。


    12月8日  学校民営化?
    4月28日  学校、第三の民主化

 これが正常に機能していれば、今回の事件は未然に防げたかもしれないと思う。


 そこで、今日は、わたしが校長時代、この制度をどう活用したかについて述べてみたい。

 最初は、地域一校のモデル校設置だった。我が校は、地域、保護者、学校が、一体という感じがしていたから、なおいっそうその連携を強めたいという思いと、モデル校としてたたき台になれればありがたいという思いで、わたし自ら、モデル校に名乗り出た。


 まず、趣旨の徹底などのPR活動を行なった。

 それまでも、地域・保護者の声には謙虚に耳を傾けてきた。
 しかし、それは、思い付きだったり、突発的だったり、抗議・苦情だったりしたわけで、その方とはわかり合えても、それが広く全地域・保護者に伝わるといった性格のものではなかった。

 それで、

『これからは学校評議員会(名称は異なる。)を発足させるので、これまで以上に、学校に対する声をお寄せいただきたいし、その声に対しては、謙虚に耳を傾け、できることはとり入れるし、できないことはなぜできないかの説明責任を果たすようにします。』

 委員は、校長が委嘱するのだが、各町内会代表、PTA代表、地域内の子どもに関わる公共(公的)施設代表、老人会・子ども会の代表、学校を使用して活動する各団体の代表など、総勢16名と、学校からは、校長、教頭、教務主任が出席した。

 モデル校だったこともあり、ときどきは、教育委員会も、オブザーバーとして参加した。

 委員は公表していたから、一般の方には、『意見等あれば、学校に直接言うもよいし、その方々にお伝えいただくのもよいですよ。』と言っておいた。

 規約もつくった。開催日数は、毎学期一回ずつで、臨時に開催することも可能とした。


 さて、会の内容は、

 学校は、初めに、学校経営方針と、最近の学校の様子、行事のことなどを中心にして話をする。
 あとは自由討議だった。

 最初は皆さん、遠慮気味だった。主に出た話題は、

・ 子どもの登下校の様子について
・ 地域が主宰する行事への子どもの参加体制や態度について
・ 子どもの挨拶について
・ 少人数編成やTTなどの新しい指導形態についての質問
などだった。

 子どもの登下校については、以下のようなことがあった。

 地域の方から指摘があった。

「最近、特に下校が乱れていませんか。子どもたちは道いっぱいに広がって歩いている。まあ、大人も悪い見本を見せてしまっているのだが、もう少し何とかならないか。危なくて見ていられず、そういう時は注意しているが、一向によくならない。」

 次の会合のとき、その方が、おっしゃってくださった。
「あれ以来、とてもよくなりました。校長先生初め、先生方がよく見てくれるようになった。ありがたいことだ。でも、これは本来、地域やPTAがやらなければいけないことだよね。」

 そして、だんだん見守る輪が広がっていった。


 回を重ねるごとに、シビアな話も出るようになった。

「今、世間では、いじめのことがいろいろ言われていますが、本校ではどうですか。いじめはありますか。」

 一件あったから、それは正直に話をした。ただ、子どものプライバシーもあるから、学年や男女別など、そういうことは伏せた。

 もっとも、PTAの何人かは知っていたけれどね。
 でも、その知っている中身が曲者で、間違って伝わっている情報もあったから、それは正させていただいた。(隠蔽体質と言われている学校は、正す機会も自ら放棄していることにならないか。)

 
 同時に、心温まる事例も話すようにした。

 地域の方の声でありがたかったのは、
「校長が代わって、職員室の雰囲気が一変したね。まえは、『おはよう』って声をかけても誰も返事をしてくれなかった。ひどいのになると、『何の用事で来たのだ。』とばかり、うさんくさい目で見ている者もいた。
でも、今は、まったく違う。明るい笑顔で、『ああ。おはようございます。いい陽気になりましたね。』などと、声をかけてくれる。校長が変わると学校が変わるって言うけれど、こうも変わるかね。」
「いやあ。それでだな。子どもも変わってきているよ。楽しそうだし、笑顔が多い。」


 あっ。シビアな話ではなくなってしまったね。話を戻します。

 こんなことも言われた。

「先日学校は、『子どもの登下校の時間以外は、子どもの安全のため、昇降口の扉を閉めます。施錠はしません。』(今はしている。)という文書を出したが、それ以後も、よくあいていますよ。一度文書で出したら、ちゃんとしないとね。学校の信用に関わるよ。」

 これは痛く反省。教職員にも注意を促すとともに、その徹底を求めた。


 わたしは退職して、1年余。今頃は、『子どもの学力はどうですか。』などと質問を受けているのではないだろうか。


 最初は、ほとんど、校長であるわたしが話したり答えたりしていたが、だんだん教員が自分の校務分掌に従い、出席し、説明してくれるようになった。夜の会合でもあるので、それは感謝した。

 書けばきりがないが、この辺にしておこう。


にほんブログ村 教育ブログへ

 この学校評議員会は、全国の公立学校にあるはずのものです。(訂正。『この学校評議員会は、全国の公立学校で設置することができます。』に訂正します。すみません。)

 もし、ご存知ないなら、それは、どなたかのブログにもあったように、現状、ほとんど機能していないか、設置されていないということでしょう。もしそうなら、こまった事態です。
 わたしは、『地域に開かれた学校づくり』の目玉だと思っているのです。

 先の隠蔽体質と言われるような地域・学校は、率先、がんばってほしいものです。

 それでは、よろしければ、1クリックをお願いします。


人気blog ランキングへ
 
 こちらもお願いできますか。

rve83253 at 13:57│Comments(13)TrackBack(0)学校経営 | 教育制度・政策

トラックバックURL

この記事へのコメント

1. Posted by こだま   2006年11月04日 22:25
評議員制度はこのあたり(福岡)では話題にも上ったことがありません。私の耳に入ったことがないだけかもしれませんが…。学校や地域によって、温度差があるような気がします。

今は、中学校の方に問題が大きいと感じていますので、ますます評議員の制度を活用して、風通しのよい学校にしてもらいたいと思っています。今度、中学校に評議員のことを訪ねてみたいと思ったりもしますが、息子が中3ということもあり、うかつに動いて内申書に何を書かれるかと思うと、手も足も出ない状態です。(^_^;)
2. Posted by toshi   2006年11月05日 03:18
こだまさん
 いやあ。こだまさんのような方がご存知ないなら、ほんとうに機能していないのでしょうね。よそはみんなこうなのかなあ。
 わたし、本コメントのわたしの名前のところをクリックすれば、文科省の学校評議員制度に関する見解(アンケート結果)が出るようにしましたので、ご覧いただければと思います。
 今回のいじめ自殺事件を受けて、議会などで、議員さんが、「どうして学校評議員制度を機能させないのだ。」と質問してくれればいいですね。
 なお、国が、学校運営協議会と言っているものは、本記事の学校評議員会と同一のものです。
 ほんとうに風通しのよい学校にならないとだめですね。
 わたしは、これ、民主主義の基本だと思っているのです。サービス提供者が権限を握っていたのでは、旧ソビエトとなんら変わりませんものね。
3. Posted by hirarin   2006年11月05日 05:16
学校評議委員。我が校にもあります。
しかし、年数回の会合がありますが、思うように機能していません。
精神科医の方もおられ、個人的にもよく話すのですが、「学校側から連絡が来ないと行きにくい」と常に仰っています。
それを聞くたびに、私が職員に伝え、何とか機能するようにはなっているのですが・・・・・職員が「学校評議員の存在」を知らなすぎるような現実もあるのではないでしょうか。
4. Posted by toshi   2006年11月05日 07:10
hirarinさん
 地域によって、温度差があるようですね。
学校評議員制度が機能するようにするのは、管理職の仕事ですよね。hirarinさんがなさっているとは、申し訳ないことだと思いました。
 わたし、自校を振り返って思ったのですが、評議員制がスタートしてから、教職員と地域の人との関わりがとても深くなっていきました。
 それはいいのですが、管理職を通さず、直接話が具体化してしまうことによって、いくつかの問題が浮上したこともありました。

 そうか。職員が知らないというのもあるのですね。管理職はもっともっとPRに努めなければいけませんね。
5. Posted by kei   2006年11月05日 09:47
私の学校にももちろんありますが、管理職が対応してくださっていて、担任は出ていません。ですからどんな話題があがっているのかなかなか伝わっていないのが現状です。
私たち一般教員も努力しなくてはならないのですね。でも日々の仕事であっぷあっぷなのですが・・・・。
6. Posted by toshi   2006年11月06日 05:12
keiさん
 管理職の姿勢が問われるのではないでしょうか。教職員、地域、保護者の皆さんに、PRをしっかりしないと、絵に描いた餅になってしまいますね。
 地域の教育力を授業に生かすという面もありますから、そういったことは、この学校評議員会の大事なテーマにしたいですね。地域と学校が、広く、学習のねらい、内容などを話し合うことは、子どもをはぐくむうえで、地域と学校が一体となっていくことだと思います。
 でも、おっしゃるように、教員は多忙です。無理はさせたくありません。記事に書いた3人は出席するにしても、あとの教員は、自分が関わる提案、質疑のときだけ、出席してもらうようにしました。
7. Posted by マスコミ   2006年11月06日 10:08
toshi先生
私の、半ば八つ当たりのようなコメントに丁寧にお答えいただきありがとうございました。
イロイロ考えています。少しずつ考えが変わってもきている様な気がします。
それでもまず最初から考えてみたいと思います。
地域差がある教育現場…なぜなのでしょう?
教育こそ、どんな子供も等しく大切にされながら受けるべきものであるはずなのに。
学校評議委員会もこの辺りでは機能しているとは思えません。
調べながら、現実を見ながら、それでも考え続けていこうと思います。
8. Posted by toshi   2006年11月06日 22:12
マスコミさん
 こちらこそ、いろいろ失礼しました。
 コメントを拝見して、いじめの深刻さを改めて強く感じました。おもいやり、やさしさを発揮することが、いじめの対象になるという、・・・、教育の場だけに、言葉を失いました。
 人間としてふつうに対応してくれればいいのに、それすらできないというのは、構造的になってしまったこわさですね。
 こういうことに地域差などあってはなりません。深刻ないじめはあってはならないこと。当たり前ですよね。
 元来、地域による違いの良否というのは、教育方針、学習内容などで、論じられるべきものです。
 理想論と言われるかもしれないけれど、わたしは、教育は地方分権であるべきだと思います。そもそも戦後、教育委員は、公選制だったのです。
9. Posted by toshi   2006年11月06日 22:41
教育は、国からも、地方行政からも独立していたのです。
 国家というより、地域が子どもの教育をになうものとされていたのです。
 それが、教育は、教育方針、学習内容まで含め、国が責任を持つべきものとされるようになり、今の形が作られました。
 また、受験体制が、教育の国家管理をサポートしたのだと思います。
 そして、管理色の強くなった地域と、さほどでもない地域とにわかれ、違いが出るようになりました。
 わたしは、そう見ています。
10. Posted by yu-ri(元マスコミ)   2006年11月10日 03:05
『先の隠蔽体質と言われるような地域・学校は、率先、がんばってほしいものです。』と仰ってくださること大変心強く感じます。
けれども地域ぐるみでの隠蔽体質の場合はどうすればいいのでしょうか?
子供の学校では地域ぐるみでいじめを認めません。
以前同じ地域の小学校でいじめがあり、学校に教育委員会が入った際、聞き取り調査に協力したのはたった一人の保護者だったそうです。その学年の子供がそのまま中学に上がり、転校生同様のうちの子供がいじめに逢いましたが、2年近く解決を見ていません。
どうかいい方法を教えてください。
わたしはこの場合、マスコミ、警察に協力を仰ぐしか方法を考え付きません。
11. Posted by toshi   2006年11月11日 01:34
yu-riさん
 今という時代に、そういう地域があることが、信じられない思いです。
 地域ぐるみということは、聞き取り調査に協力するほうが批判されてしまうということなのでしょうね。そうだと、学校ばかりを批判できないということでもありますね。
 また、マスコミ、警察に協力を仰ぐのも、困難ということになってしまいそうですね。
 
12. Posted by toshi   2006年11月11日 01:34
 どうも、そういう地域のことが、イメージに描けませんので、的確な答えになるか分からないのですが、
1.法務省の人権擁護局が全国にあると思います。2.学校にスクールカウンセラーが、派遣されていませんか。
3.教育委員会に、電話相談を受け付ける『いじめ110番』のようなものはありませんか。
4.警察内にも、青少年相談室のようなものはないでしょうか。
5.いじめを理由とした転校手続きは取れませんか。
6.先ほどテレビでやっていたのですが、学区の学校に登校させないで、行きたいときだけ行くフリースクールのようなものはありませんか。
 そんなものが思い浮かびました。いい方向に行くといいですね。
13. Posted by toshi   2006年11月11日 01:39
なお、本欄のわたしの名前をクリックすれば、人権擁護局のホームページが出るようにしましたので、どうぞ、ごらんください。

コメントする

名前
URL
 
  絵文字