2006年11月06日

鉄は熱いうちに打て(1)4

2de02cfe.JPG 1年生を担任して、半月たったころである。


 校庭にある固定遊具を使って、学級みんなで遊んだ。
 鉄棒、ジャングルジム、すべり台、うんていなど、みんな、それぞれのところで、思い思いに遊んでいる。

 ふと、すべり台に目をやると、『あれ、何をやっているのだろう。』と思わせる光景を目にした。
 学級で一番の腕白である、また、特別に背の高いAが、すべり台の一番高いところにまたがり、『トンネルだ。トンネルだ。』と言って、すべる子にAの下をくぐらせている。

 この段階では、『遊びの工夫かな。』くらいの気持ちでやり過ごしていた。


 しばらくよそへ行って、また戻ってみると、Aは、くぐってすべろうとしている子と、じゃんけんをしている。そして、じゃんけんに勝った子はすべらせるが、負けた子には、『戻れ。』って言って、すべりたい子の列の後ろにまわらせている。

 腕白な子だけに、『何だ。これは。・・・。勝手なことをして。』と思ったが、でも、よく見ると、みんな楽しそうだ。じゃんけんに負けて列の後ろにまわっている子も、別に怒るわけでもなく、嬉々としていた。

 『そうか。子どもたちが問題性を感じていないのなら、いいや。ほっとけ。』

 わたしもにこにこしながら、その様子を見守ることにした。



 しばらくしてからである。Bがわたしのところにやってきて、抗議口調で言う。

「先生。Aちゃんは、わたしたちが、すべり台ですべるのを、じゃましているよ。」
「そうか。わたしも見ているけれど、あれはじゃまかなあ。」
「じゃまだよ。だって、じゃんけんに負けた子は、通さないんだよ。」
「うん。それは分かる。・・・。でも、みんな楽しそうじゃないか。にこにこして遊んでいる。」
「そりゃあ、にこにこしているけれど、Aがこわいから、そうしているだけで、楽しくなんかないよ。」

 Aは腕白だけれど、そして、人の物をとったり、えばって言うことをきかせたりしているけれど、けっこうやさしい面もあって、嫌がられる一方ではなかったから、わたしは思い違いをしていたのかもしれない。



 そう。そう。Aには、こんな一面もあった。

 これは、ずっとあとの話だが、お友達のCちゃんが、遠くアメリカへ転校することになった。

 最後の日、Aちゃんは、Cちゃんに、お花のプレゼントをしたのだ。放課後、あいさつにやってきたCちゃんの母親が教えてくれた。わたしは、『おお。Aは、恥ずかしげもなく、そんなことをするのか。』ほほえましい思いで、その話を聞いた。


 数日後、Aの母親に会い、その話をすると、母親はびっくりして、
「ええっ。あのお花、Cちゃんにあげちゃったのですか。・・・。あれは、『今日、toshi先生の誕生日だから、toshi先生にわたしてね。』って言って、持たせたのです。・・・。まあ、なんていう子でしょう。」

 母親もただこまったような顔をして、そのあと、言葉が続かないようだった。
「そうでしたか。それはありがとうございました。お気持ちだけいただくことにしましょう。・・・。でも、よかったのではないですか。Cちゃんの最後の日でしたからね。」
 わたしは心のなかで抱腹絶倒。母親が帰った後、しばらく笑いが止まらなくなってしまった。



 さて、話を戻そう。

 Bの抗議を受けて、わたしは、すべり台だけ、遊ぶのをいったん中止させた。

「今、Bちゃんから、〜のように言われたのだけれど、わたしは、〜のように思ったから、・・・、どうだ。Aちゃんとじゃんけんをしてすべるのが、楽しいのか楽しくないのか聞くぞ。」

 Bちゃんの言う通りだった。みんな楽しくないと言う。

「どうだ。Aちゃん。みんなが、楽しくないって言っている。・・・。どうする。」
「だって、みんな、怒ってなんかいないじゃん。・・・。ゲームのようにすれば、楽しいじゃん。」
「そうか。分かった。Aちゃんはゲームのようにするつもりだったのだ。それで、みんなが楽しそうだったから、これでいいと思ったのだ。・・・。なるほど。それはよく分かる。・・・。さて、みんな、どうする。」

 すると、Dちゃんが声を出した。
「ゲームって言ったって、Aちゃんが勝手にそうしたのでしょう。ぼくは、ゲームなんて思っていないもん。」


 とちゅうでぶったぎるようで申し訳ないが、この話はここまで。



 どうだろう。こういう場面に出っくわしたとき、多くの教員はどう対応するのだろう。

 
 わたしが想像するに、いきなり、有無も言わせず、もしかしたら、Bちゃんの抗議以前に、
「Aちゃん。何やっているの。みんなのじゃまをするのではないの。どきなさい。」
などと言ってしまうのではないか。

 
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 このシリーズは、あと2回続けます。わたしの言いたいことはその後で。

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   (2)へ続く。


rve83253 at 04:51│Comments(0)TrackBack(1)学級経営 | 児童指導

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1. コミュニケーションの訓練  [ 新しい窓の可能性〜窓あきシート学習 ]   2006年11月11日 11:40
「キレる子供たち 対応? コミュニケーションの障害」について書いていきます。 キレることとコミュニケーションの関係には2つの問題があると思います。 1.周りの人とコミュニケーションがとれていないことによる

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