2006年12月14日

マスコミ報道とブログ(2)5

aca60a9e.JPG ある年、地域の小学校が、全国から多くの教員を向かえ、研究発表会を開催した。盛会だった

 マスコミも多数取材に訪れた。
ビデオカメラが子どもたちの姿をとらえるが、子どもたちは、一向に気にする様子はなく、いつも通り(と思うが)、授業に集中していた。
 活発な話し合いで、問題追求に余念のない学級。グループで、楽しそうに共同作品を作っている学級。物語を劇化し、その発表をしている学級。
 授業形態はいろいろだが、どの学級にも、遊んでいる子はいなかったし、みな、真剣に取り組んでいたことは間違いない。
 多くの学級で、担任と子どもとの一体感を感じたし、どの子も大変学習に意欲的で、そういう意味では、好感がもてた。

 わたしの先輩も、この研究発表会に来ていた。
 先輩と話し込む。

 「確かに子どもはいきいきと学習に取り組んでいるのですが、なんか、変ですね。」
「そうか。やっぱりそう思うか。わたしも、さっきから、それを感じている。子ども主体の学習といえるのかということだ。」
「そうですね。楽しく学習に取り組んでいるとは感じますが、『先生の言う通りやるのが楽しくて仕方ない。』そんな感じでしょうか。」
「うまい言い方をするな。
 マスコミが、大勢来ているだろう。さっきから、『子どもたちの目が輝いている。』そればかり言っているよ。」
「先輩には、マスコミからの取材があるのではないですか。きっと感想など求められますよ。」
 

 それから、数日後のことである。

 その先輩と会う。話のなかで、この研究発表会が話題となった。

「いやあ。参ってしまったよ。あのマスコミには、30分くらい、取材されたが、すべて、ボツにされてしまった。放送では、わたしの話はまったくカットなのだそうだ。お気に召さなかったようだよ。」

 
 こういうことだった。

 はじめ、『子どもがいきいきと楽しそうに、学習に参加している。活動も多様だ。よく工夫されている。』そんなことを話していたときは、『これからの教育は、こうでなければいけない。』といった調子で、取材もスムースだったのだそうだ。
 
 ところが、『ただ、課題もある。ほんとうに子どもの思いから出た活動なのかは疑問が残る。わたしたちは、もっと、子どもの思いを掘り下げることが大切だ。』と話し出したら、意外そうな顔をされ、それ以後は、おざなりな取材となり、結局ボツになったのだそうだ。

「マスコミには、あらかじめ、自分たちで描いたストーリーがあるのだよ。そのストーリーに反する声は、結局無視してしまう。そして、ストーリー通りの報道にしてしまう。」

 それが、先輩の言葉だった。むなしさが残った。


 どうだろうか。これからは、このブログ等が、そういう意味で、マスコミの報道姿勢を、チェックする役目を果たすようになるのではないか。

 ここに一冊の本がある。『ウェブ進化論』なる本を読んで、その思いを強くした。

 『何を、大げさな、』と思われる方もいらっしゃるかもしれない。しかし、これはすでに実例がある。教育ブログではないが、リンクさせていただこう

 写真を使用し、インパクトあるブログで、わたしは、ただただ敬服した。教育ブログには、ここまでの迫力はないだろうが、でも、そういう役目も果たしたいと思う。


 この、『ウェブ進化論』なる本は、インターネットで本の内容の概略を紹介している。ふつう、インターネットでは、本の内容を書くということはないだろう。そんなことをしたら、本が売れなくなると考える。
 しかし、この本の著者、梅田望夫氏は、そう考えない。本の内容の概略を紹介することによって、興味を持った人が買ってくれるのではないかと考える。

 梅田氏の言葉によれば、今、マスコミで活躍している教育評論家の多くは、優秀だからマスコミに登場するようになったのではないという。たまたまの偶然で、その潮流にのったに過ぎないという。だから、その潮流にのれず、埋もれたままになっている人材は、全国各地に、多数いるに違いない。

 これまでは、そういう人々が、自分の思いを表現する手段はなかった。でもブログの出現により、そういう方々も、自分の思いを主張できるようになった。

 これからもネットは進化し続ける。すると、教育評論家の権威も揺らいでいくのではないか。そう主張される。

 さらに、おっしゃる。これまでの教育評論家的権威は、マスコミが決定していた。マスコミに気に入られた人が、テレビ・新聞等で表現する手段を得ていた。

 しかし、ブログの場合は、権威は、一般大衆が決定する。
読まれること。
リンク、トラックバックなどしてくださること。
コメントを寄せてくださること。など。など。

 具体的に言えば、あるブログが、検索の上位に上がるかどうかは、一般大衆が決定する。これは、表現することにおける民主主義の実現ではないか。


 わたしは、ここまで読んで思った。

 上記、先輩は、教育評論家としても、十分活躍できる方である。先輩を知っている方は、皆そう思うに違いない。たまたま、ブログはやらない方なので、今日は、わたしが代行させていただいた。


 『ウェブ進化論』は、ネットに関するわたしの目をものすごく開かせてくれた。横文字が多く難解な部分もあるが、これからのネット社会を予測する本で、ものすごく興味をそそられた。
 
 上記以外にも、ネットをやる方なら、興味津々の記事が多いこと、間違いなし。わたし、おすすめの本である。


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 『ブログ民主主義』という言葉が、なぜか、すごくうれしかったです。ここに、ネットが社会を変革させる鍵がありそうです。
 それにしても、ネットが社会に与える不正義の排除は、これは、技術の改革、およびマナーの教育によって、早く実現させたいものです。

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rve83253 at 20:40│Comments(7)TrackBack(0)エッセイ | 教育観

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この記事へのコメント

1. Posted by うるとらまる   2006年12月14日 22:41
こんばんは。
先日は奨励賞へのお祝いの
お言葉ありがとうございました。

私は拙い実践ですが、学力低下論者に
叩かれてばかりの総合的な学習の時間を
「そうではない。工夫次第で、
 こんなことができるんだ!」
と主張したくてブログを始めました。

また、研究論文を作成しても、
現場では発表する機会がほとんどありません。
だからこそブログを使って、全国に発信したいと
思ったのでしょう。

私の勤務校でも、
総合については明らかに下火です。
これは全国的な傾向でしょう。

ただ、私としては、自分の願いをブログを通じて
伝え続けようと改めて思いました。


追伸

最近、中島みゆきさんの「地上の星」が
ヒットした理由がようやく分かるようになりました。私がブログを続ける気持ちと似ております。

では。






2. Posted by yu-ri   2006年12月15日 09:26
toshi先生のおっしゃることはよくわかります。
末端ながらもマスメディアに係わっているものとして、いつも肝に銘じながら自分の発信するものに責任を持っていたいと思います。
ただ、マスコミ全てがそんな姿勢ではないことを先生は十分ご承知だと思います。
マスコミが、教師の不祥事を報道するたびに、先生方は「自分はこんなに一生懸命仕事をしているのに先生とまとめて批判されるのはやめて欲しい」といいます。
同じことを私も言います。
「マスコミ」とまとめて批判をされることはそれと同じではないでしょうか?
TVでの報道、雑誌、新聞…全てのメディアが同じ報道をしてはいません。
学校の取り組みを好意的に報道している番組をわたしは幾つも知っています。残念ながら地方キー局だったりすると先生方の目には触れないかもしれませんが・・・
3. Posted by yu-ri   2006年12月15日 09:32
どうか、マスコミ批判をされるのと同じ力でそういう良心的な番組を応援してください。
週刊誌よりは高いかも知れませんが、そういう雑誌を応援してください。
そうすればどんどん増えるのです。
教師が批判されてやる気をなくすように、いいものを必死になって作ろうとしている記者は見てもらえない、売れないではやる気をなくします。

また、先生方のブログを幾つも拝見していますが、中には批判的なコメントは削除し、承認制とする。
コメレスも、仲良し仲間からの楽しいものにはつけても、反対意見にはレスをしない。


4. Posted by yu-ri   2006年12月15日 09:39
「マスコミには、あらかじめ、自分たちで描いたストーリーがあるのだよ。そのストーリーに反する声は、結局無視してしまう。そして、ストーリー通りの報道にしてしまう。

この[マスコミ]というコトバを[ブロガ-]に置き換えてもおかしくはないコトをなさっています。
そういうことをされたというコメントも私のブログに頂きました。
そうしておいて、コレは個人の日記的なものだから個人の自由だという。
発信しておきながら、自由な批判は受け付けない・・・ある意味マスコミより怖いです。
マスコミは発信元が明らかです。
匿名で自由な情報操作が出来る…ネットとブログのい怖いところです。
ブログにはそんな怖さがあるコトもご理解ください。
5. Posted by toshi   2006年12月16日 08:11
うるとらまるさん
 総合的な学習の時間は、なんか、一人ひとりの子どもが自分の調べたいことを調べておしまいというケースが多いのではないでしょうか。我が地域でも、それが悩みです。
 なんか、大して調べたいと思う動機もなく、『調べろって先生が言うから、何を調べようかな。』こんな調子では、必然性も何もなく、残念でなりません。
 うるとらまるさんが、ブログを通し、啓発なさっていること、敬意を表します。
 大人のポイ捨ての問題については、我が地域でもすばらしい実践をした先生がいました。がんばってくださいね。
 お体には十分気をつけて。今後とも、どうぞ、よろしく。
6. Posted by toshi   2006年12月16日 09:14
yu-riさん
 どうも、この記事は誤解を招く記事だったようで、申し訳ありませんでした。別に、『マスコミすべてが』と言ったつもりはなかったのですが、『あのマスコミ』と、特定するような書き方をしたのは、一箇所しかなかったですね。

 また、yu-riさんのコメントを読ませていただいて、もう一つ、反省した点があります。
 マスコミ報道とブログ(1)からの流れのうえでは、まずは、マスコミに感謝する言葉を書かなければいけませんでしたね。
 子どもの意欲的な学習活動、また、それを保障している学校の研究意欲、それは間違いないのですし、それを多くのマスコミが取材してくださっているのですから、これは、ありがたいことでした。『マスコミの描くストーリー』云々は、その先にあるものとして述べるべきだったと反省しています。
 申し訳ありませんでした。
7. Posted by toshi   2006年12月16日 10:04
なお、わたしのブログの目的は、明日のよりよい教育実現に資することです。そのため、広く教員向けに自己変革の必要性を訴えたり、真に子どもを生かす教育のあり方を述べたりしています。
 別に、教員の弁護を目的としてはいません。ただ、必要性を感じれば、対国、対保護者、対マスコミの意見も述べさせていただくといったスタンスです。
 ブログ民主主義については、『ウェブ進化論』を読んで、啓発された思いでした。yu-riさんがおっしゃるようなブログは、自然淘汰されていくというのが、梅田氏の考え方であり、わたしもそれに賛同します。
 ブログは別に免許制ではありませんし、誰でも、やれるものです。開かれているのです。その分、多くの人に支持されるか否かは、けっこうシビアなものがあるのではないでしょうか。

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