2006年12月18日

子どもの表情に着目する。4

9fe751a1.JPG もう多くの学校では、卒業アルバムの撮影が終了したことだろう。文集づくりが始まっているのかな。そんな段階だと思う。


 初めの記事は、むかしのことである。我が家は子育てまっただなかだった。

 あるとき、わたしは、できたばかりの自校の卒業アルバムを、一冊、家に持ち帰った。

 数日後、妻の友人が訪ねてきた。その方も子育て中だったが、若いときは、幼稚園の教員をされていた。話が、その卒業アルバムのことに及んで、わたしは、それを、その方に見せた。


 ある学級のところで、その方の手がピタリと止まった。しばらくじっと見つめてから、おもむろに言った。

「このクラスは、問題がいろいろあったのではないかしら。・・・。何か、そんな感じがする。」

 わたしはびっくりした。図星だったのである。

「なぜ、そんなことが分かるの。写真を見ただけで。・・・。驚いたなあ。」
「うん。確信はなかったけれど、なぜか、そう思ったの。・・・。そうね。みんな、笑ってはいるけれど、笑顔が自然ではないわね。無理しているみたい。」

 そうか。そういうことか。それで、何となく納得できた。


 今の卒業アルバムは、学級全体の集合写真がメーンではない。このころもそうだった。
 学級の写真も撮るが、それは脇役で、メーンは、一人一人の写真が見開きで載る。ほとんどがそうなっていると思う。

 わたしの経験だと、写真屋さんが一人一人の子どもを撮っていくのだが、級友をまわりにおき、おもしろおかしくさせて、被写体の子を笑わせる。

 学級がまとまって心が一つに結ばれていると、心からの、いい笑顔になるだろう。よくまとまっている学級は、一人一人の写真の集合体なのに、ページ全体として、温かい雰囲気が漂う。

 ところが、学級がまとまっていないと、笑いたい気分ではないのに笑わされるから、その笑顔は、引きつったりゆがんだりしてしまう。

 そこのところを、もと幼稚園の先生は、ばくぜんとした印象ではあったが、指摘されたのだろう。


 それからというもの、わたしは、卒業アルバムを、全体の雰囲気から受ける印象と、一人一人の表情に着目して、見るようになった。案外、学級の雰囲気が分かるから不思議だ。いや。そう感じるだけなのかもしれないけれどね。


 また、日ごろ、学級担任としても、子どもの表情を気にかけるようになった。そうすると、いろいろなことが分かってくる。
 そう。子どもは正直なのだ。つまらなければつまらない。楽しければ楽しい。その瞬間、瞬間の内面を、表情に映し出す。演技は基本的にはできないと言っていいだろう。


 授業中も、その思いを生かすようにした。

 友達の発言を一生懸命聞いている。思わずにこっとうなづく子。『あらあ。そうかなあ。』と言った感じで、首をかしげる子。
 たとえ手を上げていなくても、わたしはそういう表情を見ると、聞くことにした。
「Aちゃん。どうだい。発表できそうかい。できるのなら、言ってごらん。無理だったらいいよ。」「・・・。」「そうか。わかった。じゃあ、言えそうになったら、手を上げてね。」
 そうすると、けっこう言ってくれるものだ。

 やっぱり、表情に着目することは大切だ。


 さて、一昨々日、わたしは、勤務校の初任3年目の教員から、すごい話を聞いた。

 その日は、個人面談の最終日だった。

 「『うちの子はいじめられていないですか。』と聞く親は、ふつうにいるのですが、Bちゃんのお母さんは、『うちの子は、友達をいじめていないですか。』って聞くのです。Bちゃんはもちろんそんな子ではないですから、強く否定したのですが、わたし、びっくりしちゃって、どうしてそんなことを聞くのかと思ったものですから、聞いたのです。そうしたら、『ええ。もしいじめられていれば、子どもはその暗い気持ちを表情に出しますから、親でもすぐ分かります。でも、いじめているかどうかは、親では分かりませんものね。』って、おっしゃったのですよ。」

 これには、わたしもびっくりした。すごい親がいるものだ。きっとこの親も、我が子の表情を大切にしているのだろう。

 もしかしたら、むかし、幼稚園の教員だったのかな。・・・。それは、分からない。


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rve83253 at 23:12│Comments(6)TrackBack(0)児童観 | 学級経営

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この記事へのコメント

1. Posted by 山田正   2006年12月19日 02:26
校長先生、いつも興味深く拝読させていただいております。
今日の記事の「こどもの表情」もさることながら、「教師の表情」も大切なように思っております。いじめの問題も古くから語られていますが(国分康孝著「教師の表情」)、その点についても端的にお取り上げいただければと願っております。
2. Posted by toshi   2006年12月19日 04:13
山田正さん

 先日は、大変失礼しました。
 いつもお世話になり、ありがとうございます。
 「教師の表情」ですか。
 あまり考えたこともなかったのですが、確かに大事ですよね。前記事の『初任研は大丈夫か』では、山田さんのおっしゃるものと違うとは思いますが、「教師の表情」をとり上げさせてもらいました。
 でも、山田さんのおっしゃるのは、「学級担任の表情」ということなのでしょうね。
 これから、考えてみます。記事にできるかどうかわかりませんが、よろしくお願いします。
3. Posted by hirarin   2006年12月19日 06:13
学級の表情ってやっぱり「学級担任の表情」で決まるんでしょうね。

私のクラスはいつも落ち着きがなく、パワフルです。かといって陰湿な事件もあまりおきない不思議なクラスになります。
表情は明るいかな?とも思いますが、保護者の反応はどうだったかな?

これからも、子どもたちの表情を気をつけて見ていきたいと思いました。
4. Posted by 七星 来人   2006年12月20日 01:11
学級の子どもの写真を撮ることがあります。それは作品展示の名札に印刷する写真であったり、表彰状に入れるための写真だったりします。

その時、その子の表情と私の心の距離が分かると思っていました。打ち解けている子の表情と、そうでない子の表情は明らかに違って見えます。
打ち解けている子は、実物以上に美人に写ったり、可愛く写ったり、元気はつらつといった雰囲気で写ります。
時々、他の先生から「これ誰?こんな表情見せることもあるんだ」って感心されることもありました。

だから、写真に写った表情は、カメラマンと被写体の心の距離を表しているように思います。

そういえば、カメラマンをしている保護者から「この写真のうちの子どもの表情がいいから、データ(デジカメだから)くださいませんか?」って言われたときは嬉しかったなぁ。
5. Posted by toshi   2006年12月20日 06:25
hirarinさん
 そうですか。そうすると、やっぱり、山田さんのおっしゃるように、『教師の表情』が大切なのですね。これまで、あまり気にかけたことがなかったものですから、勉強させていただきました。ありがとうございます。
 気にかけたことはないと言っても、だから、何も言えないということではありませんので、記事にはできると思います。

 hirarin先生の学級、なんか、目に見えるようです。一人ひとりが、自分自身を出し切れていて、欲求不満がないのでしょうね。いじめが一番起きにくい学級といえると思いました。
6. Posted by toshi   2006年12月20日 06:33
七星来人さん
 いやあ。七星さんと同じようなことをわたしも思っていました。ふだん見られないような素敵な表情で写っていると、ほんとうに、うれしくなったものです。
 写真に写った表情は、カメラマンと被写体の心の距離を表しているように思います。
 そうか。そうすると、わたしの記事の場合は、写真屋さんのまわりで、おどけて、笑わせていた、級友と被写体の子との心の距離といえそうですね。
 それはうれしいことです。あの学級は、子ども同士のつながりが非常に密だったと思うからです。
 七星さんも、すばらしい学級経営をされていることがうかがえます。ありがとうございました。

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