2007年04月13日

学校だよりへの想い(5) 臨時号の発刊4

cf63cedd.JPG  今日の記事でとり上げる事象は、決して『枝葉』とは思っていない。子どもの心を育む意味でも、大事に、大事にしたい。そのための、臨時号の発刊だった。


 その想いは、わたしだけではなかった。発端は、一人の保護者からいただいたお手紙だったし、それに教職員もよく応えた。こうした、大人同士の心のひびき合いを子どもは見ているから、そのことが、すばらしい教育になっていると思った。

わたしがお願いしたことは、ほんのわずかなこと。大部分は、教職員の主体的な行動だった。

 何はともあれ、まずは、学校だよりの文章を。




 警備のAさんへの思い


 ある日、お子さんを通して、一人のお母さんから、お手紙をいただきました。要旨は以下のようでした。

 『昨日の朝、車同士の事故がありました。ちょうど子どもの登校時間帯でしたので、ものすごい音を聞いたときは、ドキッとしました。すぐとび出しましたら、歩行者は無事でしたし、けが人もなく、ただ車がボコボコになっただけですんだので、ホッとしました。と同時に、子どもが巻き込まれずにすんだのは、この交差点で新しい住宅(造成)地への工事車両の交通整理にあたっているAさんのおかげと思わずにはいられませんでした。

 この方はほんとうによくやってくださいます。あの時間工事車両はほとんど通らないので、けっきょくB小の児童の横断指導のために立ってくださっているようなものです。いつも笑顔と大声で、『おはよう。』『おはよう。』と声をかけ、歩道から下りて歩いていたり、危ない歩き方をしていたりする子どもには、本気で大声で叱ってくださいます。暑い真夏もどしゃ降りの日も、毎朝、毎朝、B小の児童のために、それはそれは真剣な姿勢でやってくださいます。

 昨日の事故も、Aさんが、
「歩道に乗れ!危ないぞ!」と、ふだん言ってくれたおかげで、子どもが巻き込まれずにすんだと思うのです。

 今月いっぱいで、あそこに立つのは終わりだそうで、校長先生にご報告させていただきました。』


 わたしも、出勤時、この交差点を時々通り、Aさんとも挨拶し、お礼の気持ちを伝えておりましたが、ここまでやってくださっていることは知りませんでした。さっそくお知らせくださったお母さんにお礼の気持ちを伝えるとともに、交差点にもご挨拶にうかがいました。それだけのことをなさっていながら、あくまで謙虚で気さくなお人柄に、またまた心打たれる思いがありました。

 子どもたちは、『あら。なんで、校長先生がいるの。』といった表情をしながらも、Aさんに元気に、
「おはようございます。」の挨拶をしていました。

 教職員にもすぐ、このお手紙のコピーを配布しました。そうしたら、ただ単に交通安全指導をしただけでなく、Aさんへの感謝の思いを形にもしたいと、子どもを巻き込む形でのいろいろな話し合いをもってくれました。


 Aさんがこの交差点に立ってくださるのも限りがあることでもあり、Aさんへのお礼の手紙、寄せ書きなどを書いて贈ることになりました。
 わたしは、職員朝の打ち合わせで、
「ありがとうございます。こうしてAさんへ思いを寄せることがそのまま交通安全指導になっているのではないでしょうか。」
と話しました。

 そして、C教頭先生が、それらを学校だよりにまとめてくれました。子どもたちの文を読むと、Aさんへの親しみ、愛着など、豊かにもっていることがうかがえます。今日、児童会代表と教職員とで、Aさんのもとへお届けにうかがうつもりです。

 最後にこの欄を借りて、日ごろのPTAの皆様の交通安全指導やパトロール活動などにも、深く感謝申し上げます。まことにありがとうございます。


                                学校だより掲載の文は以上です。



 学校だよりは、だいたいどこも毎月一回の発刊ではないか。我が校も基本的にはそうだが、随時、臨時号も発刊した。

 残された日数はほとんどなかった。それを知った教職員が、機敏に行動してくれた。さっそく児童代表委員会を開き、全校児童がお礼の気持ちを作文に書くことになった。

 つい先日も、『心のひびきあい』をテーマに記事をまとめさせていただいたが、これなども、まさに、学校に関係する多くの人が、Aさんへ寄せる思いで、ひびき合ったのである。

 わたしが教職員にお願いをしたのは、迅速な交通安全指導を行うことだった。
「車同士の事故でも、はずみで、子どもが巻き込まれるということはあるでしょう。それはちゃんと歩道を歩いていても巻き込まれるかもしれない。しかし、歩道からとび出していたら、巻き込まれる可能性は比べものになりませんね。子ども同士の話し合いで、それに気づかせるような指導をよろしくお願いします。」

 しかし、教員は、それ以上のことをしてくれた。『お礼の気持ちを作文にあらわしたい。』
 特に感慨深く思ったのは、たよりにも書いたが、Aさんへのお礼の作文書きが、そのまま交通安全指導にもなっていることだった。


 一人の子の作文を掲載しよう。

 『いつもわたしたちを道路で誘導してくれて、ありがとうございます。あの道はカーブしていて、車が見えないので、いてくれるととても助かります。おじさんが他の場所へ行っても、交通事故にあわないように気をつけて行きます。他の場所でも、がんばってください。(わたしは誰だか分かりますか。黄色いカバン、青のお弁当袋を持って登校しています。)』

 ひびき合いはそれだけではなかった。C教頭先生は、言ってくれた。
「臨時の学校だよりを出しましょう。保護者の皆さんも、交通安全への関心をさらに強めてくださるのではないでしょうか。」
 そうだ。このおたよりによって、多くの家庭で、交通安全にかかわる話があっただろうことは、間違いないだろう。
 
 臨時号は、発刊そのものが、強い意志をもつものである。


 さらにもう一言。『こんなこと、わざわざ学校へ言うことでもない。』と、保護者に思わせてはならない。『敷居は低い』方がいいのだ。そのためには、『言ってよかった。』と思ってもらえるように努力したい。そのための臨時号発刊でもあった。


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 そうは言っても、臨時号の多くは、運動会、作品展、修学旅行などの行事の特集が多かったです。子どもの作文を多く採り入れたのも特長と言えるでしょう。

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rve83253 at 23:58│Comments(7)TrackBack(0)学校経営 | 学校だより

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この記事へのコメント

1. Posted by yoko   2007年04月14日 02:27
とても心温まるお話ですね。

周囲への感謝の心を持つ事、それを表現する事の大切さを子供達が肌で学ぶ事ができたのでしょうね。

これこそ、人間形成に必要な大切な事ですね。

そして、それを「学校だより」に載せる事で、さらに学校と保護者や地域の方々との信頼関係も強くすることができた。お手紙を書いた保護者の方はとても嬉しかったでしょうね。

こんな学校に…toshi先生が校長先生だった時の学校に、娘を通わせたかったです。
本当に、いつも良いお話を有難うございます。
2. Posted by toshi   2007年04月14日 09:16
yokoさん
 そう。学校というところは、『表現することの大切さ』が特に必要な気がします。行動するといってもいいでしょうね。そういうことを子どもに感じさせたいと思いました。
 無言の教育もあるけれど、今という時代、それでは伝わりにくいような気がします。
 学校だよりも、表現、行動の一つの手段という気がします。少なくとも、その意味とか価値は、深まっているのではないでしょうか。
 感動も大切にしたいところです。
3. Posted by 大山虎竜   2007年04月14日 09:53
5 ご無沙汰しています。大山虎竜です。
本年度、初めて学校だよりの担当になりました。
学校と保護者、地域と心の架け橋になれるような学校だよりを書きたいと思っています。
toshi校長先生のブログは、本当に勉強になります。
涙を流しながら読ませていただくことも度々です。
これからも宜しくお願いします。
4. Posted by toshi   2007年04月15日 04:01
大山虎竜さん
 そうですか。ご苦労様です。わたしは、教頭先生に学校だより作成をお願いすることが多かったです。作成に没頭してもらえるので、安心できたのです。
 子どもの作品第一の学校だよりでした。わたしの文は、だいたい、2ページ目(全4ページ構成)、表紙の裏でした。
 次回は、こうしたことも記事にしますね。参考になればありがたいです。
5. Posted by Hideki   2007年04月15日 07:42
こんにちは

文字通り子どものことを第一に考えた、その自然な発露としての、行動(学校だよりの発行)、本当に頭が下がる思いです。

学校だより、に限らず、発行物は想像以上に手間ひまかかりますよね。いや、手間ヒマ以上に、相手に伝えたいという思いが大きくこめられているんですよね。

そう思うと、学校の発刊物って、子どもから渡されたときに読んでいたか…といわれると、申し訳ありません、余り記憶にない

妻が、「これ読んでみて」といわれたことを見たくらいかな。本当にお恥ずかしい。

今度から、しっかりと読むようにしますね。
そこにこめられた思いも一緒に。
6. Posted by toshi   2007年04月15日 16:28
Hidekiさん
 ありがとうございます。教育効果を上げるための手段は無限にあると思います。それも、子どもを育みたいという心のなせる業。
 学校が発信し、それが、地域、保護者のご理解をいただくもととなる。もちろん逆もあります。しかし、純な心で連携し合う、ひびき合う関係は、絶対子どもの心を育みます。

 ちょっと話が変わりますが、Hidekiさんのおっしゃる、『企業も心』という、すてきな話を仲間から聞きました。
 今日これから、それを記事にしますね。お読みいただければうれしいです。
7. Posted by toshi   2007年04月16日 08:15
Hidekiさん
 ごめんなさい。昨日のコメントと違ってしまいました。『企業も心』という記事は、書き始めたのですが、ここ数日前のできごとで、あまりにも生々しいので、とり上げないことにしました。
 予告のようなことをしておきながら、申し訳ありません。

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