2007年04月20日

学校だよりへの想い(7) 自己肯定感を育む4

c0ce1ac4.JPG  今の子どもに足りないものの一つが、自己肯定感だと言われる。何をやっても自信がない。『どうせ自分なんて、』『何もできやしない。』そんな自己否定にもつながるような思いが強いと言われる。

 これは、子どものまわりにいる大人の責任もあるだろう。一部かもしれないが、

・ 学習にノルマを課す。
・ できて当たり前、できないと小言となってしまう。
・ 子どもが意欲的でも、親や教員の期待するところと違うと、それを評価しない。
・ 大人の一方的な期待(それは『子どものことを思って』という仮面をかぶっていることが多い。)を押し付ける。


 そのようなもろもろの大人の態度が、子どもの自己否定につながり、何に対しても意欲がもてない子どもにしてしまうのではないか。


 わたしは、教育において、やたら外国をよしとする風潮には違和感をもつのであるが、ことこのことに関しては同意できる。

 我が地域において、外国人講師による国際理解教育は、そろそろ20年近くの歴史をもつが、どの講師も、子どもをほめることに関しては、すばらしいものをもっている。しかもそれが自然体である。“very good”“nice 〜”の連発だ。これはきわだって日本人教員と異なるところである。(明らかな例外がある。日本人教員でも、個別支援級担任となると、これはもう、『すごい。できたねえ。』『やったあ。』多くの教員が連発している。)


 これは、教員だけのことか。そうではないだろう。家庭においても同様のことが言えるのではないか。できて当たり前。できないとそれがやたら目につき、つい小言となってしまう。何をかくそう。このわたしもそうであった。


 こうした状況を踏まえると、自己肯定感にかかわって、学校だよりに記事を書くことは、大変有用なことと思われる。家庭、学校の双方で、連携し合いながら、子どもを温かく包み込むことが当たり前のように実行されれば、2倍どころではない。2乗に近い効果が期待できるのである。

 しかも、わたしには、確信がある。これまでの2年余の初任者指導を通して、その確信はさらに強まったのだが、子どもを認め、ほめ、感動し、共感してやることは、明らかに子どもを、意欲的、前向きな態度に変容させるのだ。



 それでは、そのようなねらいをもった学校だよりを紹介したい、・・・のだが、

 今ふり返ると、ちょっとした間違いを、わたしはおかした。

 わたしは、学校だよりの記事においては、『自己評価力』という言葉を多用した。しかし、これは、吟味が足りなかった。

 ある教育センターによれば、自己評価力とは、

1. 自分の学習課題を適切に設定することができる。
2. 自己成長課題を適切に設定することができる。
3. 既成の観点にしたがって、自分の学習成果を評価することができる。
4. 自己設定した観点にしたがって、自己の成長を評価することができる。
5. 自分の長所や学習成果をより伸ばすための方法を考えることができる。
6. 自分の短所や学習の不十分な点を改善する方法を考えることができる。
7. 他者からの評価を参考にして、客観的な自己評価をすることができる。
8. 自分の得意なことや自信がもてることについて自覚することができる。

となる。このなかで、自己肯定感とおさえてもよいものは、8.くらいなものではないか。したがって、本記事で紹介するに当たっては、このあたりをよく吟味し、『自己肯定感』と、『自己評価力』とを区別して使用するようにしたい。
 
 


 自己肯定感を育む


 本校教員の発行する学年、学級だよりのたぐいは、わたしも毎回読ませてもらっています。あるとき、あるたよりが目にとまりました。思わず、『いいなあ。』と感じ入ってしまいました。

 そのたよりには、子どもの作文がのっていました。とても子どもらしくいきいきとした表現で、楽しい作文でした。文章のセンテンスは短く、会話文もとり入れ、とても読みやすいものでした。楽しそうな生活場面の一こま一こまが目に浮かぶようでした。もっとも、作文といっても、正確に言えば日記文です。

 さらにジーンときたのは、最後のこの子の文章です。本人の承諾を得ましたので、ここに引用します。

 「日記を全部書き終えると、ふうっとため息がでた。手が痛い。
 文章を見たら、何じゃこれはと思った。長すぎる。ぼくはこんなに長い文章を書けるようになった。すげぇ〜!!」

 ここでは、見事に、そして端的に子どもの自己肯定感、達成感がしるされています。自分で自分に自信をつけたようです。むかしの、オリンピックのマラソンランナーの、『自分で自分をほめてやりたい。』を思い出しました。

 そして、この日記文の後には、担任の文も載っています。それも引用させていただきます。
 「○○さんの日記を一目見た。『何じゃこれは!』と思った。『長すぎる。すごい!!』それから、自分で自分のがんばったところ、成長したところを見つけられたのもすごいなと思った。他のみんなはどうかな。(パソコンを)打ち終わった今、手が少し痛いが、とても満足している。」

 これもいいなあと思いました。子どもの文章をまねしながらも、子どもの自己肯定感をさらに育もうとする担任の姿勢を感じます。


 さて、急に話は変わります。申し訳ありません。前号にも書きましたように、今年度のこの時期、三者面談を実施しました。暑いなかご協力賜り、ありがとうございました。

 そして、その際、『学習状況カード』なるものを使用しました。
 ここには、これまでの学習を振り返り、子ども自身の手で学習の様子が記入されています。そして、本日、『先生から』の欄が記入され、再びご家庭に返されることになります。
 面談でも話し合われたと思いますが、このカードでも、子ども自身の自己評価と、担任による『自己評価力』を伸ばそうとするいとなみなどが感じ取れるのではないかと思います。


 これらは、学校の教育活動における、意図的・計画的な営みと言えるでしょう。
 それに対し、冒頭のそれは、担任にしてみれば、偶発的なものでしょう。ただし、子どもにとっては、必然性、切実感をもっていると思われます。

 今、我が地域では、生きる力、学ぶ力を養うことを大切にした教育方針をたてています。そのなかで、『自己評価力』を育むことは、大切な一つの観点とされています。
 本校においても、意図的、計画的な部分と、偶発的な部分と、双方を大切にしながら、これからも努力してまいります。



 さて、冒頭の件には続きがあります。子どもの日記と担任の言葉を読ませてもらいながら、わたしも書き込みたくなりました。そこで、コピーをとり、赤い字で記入しました。

『いいですね。子どもの自己評価力を伸ばし、自己肯定感を育もうとする、担任の確かな姿勢を感じます。先生の文によって、○○さんは自分の力を再確認し、自信をつけ、さらに伸びていくことでしょう。』

 記入した後で、『あら。あら。わたしの文章も、まさに評価している文章だな。』と思い、おかしくなりました。いわば、『評価の三重奏』です。子どもたちは、こうしたことを通し、『ようし。これからもがんばるぞ。』という気持ちをさらに強めていくことでしょう。



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rve83253 at 04:45│Comments(5)TrackBack(0)学校だより | 評価観

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この記事へのコメント

1. Posted by tamasige   2007年04月21日 05:22
いつも楽しみに拝見しております。
私も、看護学校の実習生を見ていて、自己肯定感が持てず、緊張して実習に来れない生徒に出会いました。隣の友人と比較せず、自分を認め、自分の成長を楽しむ・・・そんな実習にしたいと話し合いました。4人受け入れていますがみんな性格も実習内容も違います。我が子も含め、自己肯定感が持てず悩んでいる子も多いのだと改めて感じました。
減点でなく、加点評価をしなければと自分に言い聞かせています。
2. Posted by toshi   2007年04月21日 07:44
tamasigeさん
 大人になっても、自己肯定感がもてない。もてないどころか、より深刻になっているといった例は、ふえているのだと思います。
 自己改造は可能だと思います。子どものときにくらべれば大変だとは思いますが、周りの人の、さりげない一言が、その人の共感を呼ぶと、よい効果が生まれるようです。
 tamasigeさんのおっしゃる加点評価は、そういう意味で大切なことと思います。
 
3. Posted by kei   2007年04月21日 20:55
 「自己肯定感」を持っている子どもたちを見ていると、周囲の仲間に対してもとても優しく、素直にいい点を「いいね。」と認められるように思います。親御さんがきっと、子ども自身を勇気付ける言葉かけをしているのだなと思います。
 私たち小学校教師は、集団の中での子どもたちを見取ることができるので、ほめて・共感する場面は多いのでしょうね。
 子どもたちの中で、素敵な場面を逃さず、見て取る力をつけていこうと思います♪ 
4. Posted by toshi   2007年04月22日 07:18
keiさん
《「自己肯定感」を持っている子どもたちを見ていると、周囲の仲間に対してもとても優しく、素直にいい点を「いいね。」と認められるように思います。》
 いやあ。これ、わたしも実感しています。逆に、友達の良くない行動を見ても、やり合うのではなく、思いを寄せることができるのですね。
 だから、その友達が心を入れ替えるとすごく喜んで上げられます。
《私たち小学校教師は、集団の中での子どもたちを見取ることができるので、ほめて・共感する場面は多いのでしょうね。》
 これも、その通りだと思います。たった一人をほめて・共感するとしても、それを学級みんなが聞いているので、みんなの心に響いていくのだと思います。それをねらうことも大切ですね。
5. Posted by ホッカリーモ   2007年04月22日 20:58
5 いつも楽しく見させていただいています♪
これからもおもしろくてみんなのためになるブログの執筆をがんばってください!

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