2007年06月28日

学校だよりへの想い(11) 家庭の教育力を高める4

c4159505.JPG これまで、家庭との信頼関係の構築が大事ということで、その面で中心的役割をもつ、学校だよりの大切さを述べてきた。
 それでは、信頼関係が構築できたら、それで、学校だよりの役目は果たしたと言えるだろうか。

 そんなことはない。保護者と学校とが信頼関係で結ばれたなら、そうなって初めてできることがある。
 それは、家庭の教育力の向上を願い、そこに焦点を当てていくことだ。
 家庭の皆さんに、子育てに喜びの念を深めてもらったり不安を解消してもらったりすることだ。その一助になれば幸いだと思う。


 家庭の教育力の向上。それは、保護者に教訓をたれることではないだろう。まして、お説教をすることでもない。

 子どもの変容をとり上げることだ。また、担任をはじめ、用務員さん、調理員さんまでも含めた教職員の営みを紹介することだ。さらには、地域、PTA、保護者の皆さんの学校へ示してくださる支援も記事にすることだ。

 それらへの感謝の念、意味づけ、価値づけなど。それは、ほんの少し、つけたしくらいでよい。つけたしくらいでも、それが、家庭教育の道しるべになったら、望外の喜びだ。

 こんな声が寄せられた。

「学校だよりに載っている校長先生の文章は、そのままで、育児書のようです。」
「もう小学校時代は、はるかむかしのことになってしまったのに、わたしがA小学校に通学したい気持ちになります。」
「わたしも家庭で、子どものよいところを見つけ、ほめてやることができるようになりました。子どもって、ほめるとどんどん変わりますね。」


 もう一つ。言いたいことがある。

 これまで、道徳教育について述べてきた。学校の全教育活動のなかで、道徳教育は行われている。
 学校だより発行にあたっては、そうした視点も大切にしたい。子どものさりげない行動をとり上げ、それを意味づけ、価値づけるということだ。



 それでは、今回も、学校だよりをお送りします。




   ちょっとした心配り

 今年も、おしつまってまいりました。本たよりも、最終号を迎えます。この一年間のご愛読に感謝申し上げます。

「学校だよりの校長先生の文章は、とても話が具体的で分かりやすく、今、目の前で見ているかのようです。毎号楽しみにしています。」
「もううちの子は卒業してしまってお世話になっていないのですけれど、校長先生の文の載っている学校だよりは、いつも楽しみです。いつも感じているのは、今のA小学校は、すばらしい小学校になっているのだなということです。創立130周年も大盛況、大成功で、おめでとうございました。」

 そのようなお声をお寄せいただくと、こちらの方こそ、恐縮してしまいます。ほんとうにありがとうございます。


 さて、先月は人権週間がありました。本校では、『誰もが安心して心豊かに生活できる学校づくり』をテーマとして、この人権の指導に取り組んでいます。


 先月の全校朝会で、わたしは、次のような話をしました。

「今、多くのクラスで、友達のよいところを見つけようということをやっていると思います。

 それでね。友達のよいところというのは、見つけやすいことと、よほど気をつけて見ていないと見つけにくいこととあると思います。
 見つけやすいというのは、たとえば、落としたものを拾ってくれたとか、助けてもらったとかいうことね。これは、今、目の前でそのお友達はよいことをしてくれているわけですから、これは見つけやすいよね。
 でもね。まえはけっこう乱暴したりわがままだったりした子が、今はそういうことをしなくなったよというのは、見つけにくいと思います。なぜかと言うと、今、目の前では、そのお友達は何もしていないからです。だから、よほど気をつけて見ていないと気づかない。

 それとね。直接自分がしてもらったよいことは見つけやすいのだけれど、お友達が別なお友達にしているよいことは、直接自分に関係ないからね。これも気をつけて見ていないと気づかないと思います。だから、そういうこともどんどんみつけて発表できると、もっといいクラスになるだろうなと思います。

 もう一つ。見つけにくい友達のよいところがあるのだなということを、皆さんの作文の中から見つけることができました。『ああ。そうか。こういうこともあるのだな。』と、わたしが勉強させてもらいましたよ。ありがとうね。

 それは、『自分の気がつかない自分のよいことを、友達が発表してくれて気づかせてくれた。』というものです。気づいて発表した子も立派だけれど、それを作文に書いているのもすばらしいですね。うれしくなりました。」


 さて、最近、ちょっとした子どもの振る舞い、言葉などに、子どもの心の育ちを感じることがふえています。ありがたいなあと思います。

1. わたしは職員室に入ろうとしました。そこへ用を済ませた子どもが職員室を出て、ドアを閉めました。閉め切ったところでわたしのいることに気づくと、自然な動作で、再びドアを開けてくれました。「どうぞ。」その言葉に心からうれしくなったわたし。「まあ、わたしのために、ありがとう。」

2. 他校からいらした講師の先生を案内して、階段を上っていました。ちょうど角のところで上から降りてきた子とぶつかりそうになりました。すると、「あっ。ごめんなさい。」すぐその言葉が出てきました。「いいえ。こちらこそ。」
 すると、講師の先生。「今の子、えらいですね。言葉だけでなく、心から申し訳なさそうでしたよ。」

3. 特別合唱クラブの練習を見ていました。練習も佳境に入ったと思われたころ、一人の子が息をはずませながら入ってきました。「すみません。遅れました。」 ちゃんと遅れた理由はあるのです。わたしは、それを知っていました。それでも、小声でわたしだけに聞こえるようにそう言うと、練習の輪のなかに入っていきました。


 このようなことは、ものすごくいいことというわけではないでしょう。でも、子どもにとって、なかなかできることではないとも言えるのではないでしょうか。
 少なくとも、自分本位、自己中心ではないですね。他者への気配り、思いやり、奥ゆかしさ、そういったものを感じます。そういう意味で、子どもの心は確実に育っているなと思うのです。ありがとうございます。

 それでは、来年もどうぞよろしく。どちらさまもすばらしいお正月をお迎えください。


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 ちょっと前、『つばめ』の記事に書いた社会科見学の折も、本日の記事同様のことがありました。
 わたしのグループは、6人の子どもたちだったのですが、そのなかの、リーダー格の子です。一見腕白そうな子なのですが、遅れて歩いている子への気配りを見せました。
 ちゃんと追いつくまで黙って待ってあげているのです。そして、追いつくと、何事もなかったように、自然にまた歩き出しました。

 ともすれば、『早く歩けよう。遅いぞう。』などという言葉が出そうな場面。やはり、こういうところにも、思いやり、奥ゆかしさを感じます。
 今という時代、大切にしたいことだなと思い、担任に報告しました。担任はすぐその日の帰りの会でほめてくれました。

 それでは、今日も、すてきな1クリックをお願いできればと思います。よろしくお願いします。


rve83253 at 07:16│Comments(4)TrackBack(0)学校だより | 保護者

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この記事へのコメント

1. Posted by tamasige   2007年06月30日 05:07
5 私も先生の学校だよりを読みたかったな〜
子ども達の心が育っていると感じる自然な振る舞い素晴らしいですね。
職場でドアを開けていてくれる若者はいますが、上司が重い物を運んでいても横目で通る子が増えました。ナースコールの対応も誰ですか?と代わってくれる子も減りました。
褒めて気づきを与えることが大事と最近の若者の指導の仕方で講師が言ってました。
目の前の子達をどう指導していくか、謝るより言い訳の多い若者です。
2. Posted by toshi   2007年06月30日 06:43
tamasigeさん
 学校だよりの文章書きも、ずいぶんむかしのことになってしまったなという思いになりました。こうしてシリーズものにしていると、なつかしささえ感じます。
 道徳って、ちょっとした気づきなのではないかな。そんなことも思う昨今です。

《褒めて気づきを与えることが大事と最近の若者の指導の仕方で講師が言ってました。》

 わたしも心からそう思います。
 まして、わたしの場合は相手が子どもですから、よけいそうだなと思います。
 子どもの場合は、それがその子の人格形成に多大な影響を与えますから、指導する立場から言えば、仕事そのものなのですね。
3. Posted by くるみ   2007年06月30日 15:55
学校だよりもさることながら、このブログも
育児書のようです^^

ご無沙汰しています。

本当に、「成熟した」おたよりだと感心し、子どちたちの姿が目に浮かぶようで、おたよりから伝わる活き活きとしたその姿に元気をもらいました。

今年度は、PTA広報の委員長をしています。
成熟度がまだまだの本校。
広報としては「読んでもらえる広報誌」を裏テーマに「みんなの学校・明るさ、元気、イキイキ」を編集方針に掲げました。

toshi先生のおたより作りのように「よいところ」をフォーカスしていきたいと改めて感じました。

4. Posted by toshi   2007年07月01日 09:52
くるみさん

 お久しぶりです。
 PTA広報の委員長をなさっていらっしゃるとのこと。PTAのなかでも、一番重要というか、大変というか、そういうお仕事ですよね。

 ほんとう。皆さんに読んでもらえることが、まず大切ですよね。
 明るいPTA、楽しく充実した思いのPTA活動になるよう、大変でしょうが、ご奮闘を祈ります。
 それが、子どものためになるのですから。
 

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