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音楽・映像関連ライター/ベーシストの不破了三のブログです。

2006年03月

惜別・宮川泰先生

昨日は、日本フィルハーモニー交響楽団、第158回サンデーコンサートへ。

この日は、指揮:宮川彬良で、メインイベントは「宇宙戦艦ヤマト放映30周年スペシャル」。父・宮川泰氏の手がけたヤマトの音楽を、息子:彬良氏が初めて本格オケで振る……というハレの舞台のはずが、残念なことに、追悼コンサートのようになってしまったわけです。

もはや何百回聴いたか知れない数々のヤマト劇判。半音と半音の波間を行きつ戻りつしているようなハーモニーのゆらぎの気持ちよさと、宮川泰という音楽家が失われた哀しみとがごちゃ混ぜになって、なんだか夢を見ているようなひと時でした。

しかし、ゲストのささきいさお氏や客席から登場の松本零士氏のトークが、どうもあんまり哀しげな感じがしない。これやっぱり、芸風と才能をガッチリ受け継いでる頼もしき二代目を目の当たりした安心感じゃないでしょうかねぇ。実際、聴衆一同誰しもが、「宮川節は死なず!」というのを確認したコンサートだったんじゃないだろうか。

この日はまさに、父から息子へ、ヤマトの音楽が受け継がれる贈呈式みたいな日だった感じです。もちろん、できれば「生前贈与」のほうがよかったわけですが、それでもなんだか「まぁしょうがないか…大丈夫でしょ」という感じで、泰先生のタマシイが漂っているであろうステージ上の空中を、客席&出演者みんなでほのぼのぼんやり見上げている姿が、泣けました。こんなふうに送られるのって、ほんと幸せなのかも。

ご冥福を…… という決まり文句よりも、
ただひたすら、良い音楽をありがとうございました、と申し上げたいところですねー。

あ、劇判マニア的には、「白色彗星のテーマ」のパイプオルガンが、高校生当時の彬良氏の演奏(手弾きパートのみ)だった…… というカミングアウトには、思わずイロメキたちました(笑)

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その後、カラオケBOXに移動し、持ち寄った宮川先生関連の番組&音源鑑賞会、そしてクレイジーからザ・ピーナッツ、「ヤマトの賦」までを全部一つなぎにしての追悼カラオケ大会をブチかまし。劇判研究界の超豪華メンバーが結集していただけに、「ピンコラ音頭」から「グランプリの鷹」挿入歌までをヘーキで歌いたおす地獄の軍団になってました(笑)

PSE法修正〜「ビンテージ」は誰が決める?

おぉ、来た来た!
「PSE法、ビンテージ楽器は「例外」に」だってさ!
特別承認制度、っていうか例外処置? 見事に通っちゃったよ。しかも「楽器」がその代表扱いとは、やっぱり署名運動が効いたのかなー。何にしても、意思表示って、やっぱり大事なのかもね〜。

さて、経済産業省のリリースを読んでみると……

うわー、なんかこれ、もっとモメそうな感じ(笑)

あのぉ「ビンテージ」「他の電気用品で代替不可能」って…… こういうの、誰がどうやって判断するんですかね?


先日も書いた「ソフトシンセ音源」、これ、要するにビンテージなアナログシンセの仕組みをパソコン内でシミュレートして、そっくりな音を出しちゃうソフトなんだけど、コレ、「同じ音が出るモノがある」なら、考えようによっちゃ十分に「代替可能な他のもの」ってことになり得るんじゃ?(笑) 「チっガウんだよ! この音の厚味とウォームな感じ、ソフト音源じゃ出ないの! モノホンじゃないとダメなの! そのヘン聴いて分かんないかなー!? まったく!」とか言う話になるわけでしょ、結局。でも、経産省の人にンなこと言っても、ぜったいワカンナイ(笑)


まぁこれは極端な話だけど、要するに「ビンテージ」「代替不可能かどうか」なんて、個人の感覚や趣味趣向、果ては「思い出」「想い入れ」みたいなところで最終的に決められちゃう価値でしょ。そんなの法律上で扱えるのかな?…って。 

例えば、ジャイアント馬場がCMで「ぽくにも弾けた…」とか言ってたYAMAHAのポータサウンドや、カシオのカシオトーンなんかの、80年代に山ほど出た「安手のミニキーボード」の類とか、カラオケBOXに置いてあるような「デジタルパーカッションおもちゃ」の一族みたいなのとか。

イメージ的にどう見てもビンテージじゃない(笑) でも、あの音を求めてやまない人にとっては、紛れもない「ビンテージ」だし、「代替不可能なもの」だよねー。あと、大して古くないけど、今はもうこの音出ないよなぁ〜 っていうような90年代のシンセとかも。

要するに『ハァ、高価じゃねぇ、古くもねぇ、音もそれほどスゴくねぇ(Vo:吉幾三)』みたいなヤツら…… 「希少価値」には違いないけど、欲しがる人も少ない、でもでも、『お前じゃないと、俺はダメなんだ!(Vo:小林薫@仲手川アニ)』…などと、どこかで誰かが叫んでる…… そんなヤツらを、果たして経産省は「ビンテージ」の仲間に入れてくれるんでしょうか? 

まぁね、こういうの、ほとんどACアダプタ式だからPSE法関係ないかもしれないけど(笑)、タトエってことです


あと、対象品目を見ると…

 >電気楽器、電子楽器、音響機器、写真焼付器、写真引伸機、
 >写真引伸用ランプハウス又は映写機のいずれかであること。


おぉ、ここ名前が挙がってて、初めて気づいたけど「映写機」関係っていうのも実は大問題なのでは? あと、我われの仲間ウチ的には「ベータのビデオデッキ」と「LDプレーヤー」が問題だね(笑)

さらに。旗振りがいないのか、新製品でも十分対応可能なのか、わかんないけど、「ゲーム機」は、この仲間に入れてもらわなくていいのかな?

覆るか!? PSE法

いよいよ風雲急を告げてきた、PSE法に関する世間の動き。

5年間知らなかった僕らが悪いのか、5年間ちゃんと周知しなかった役所が悪いのか。そもそも、5年前に成立させちゃった時点でもうOUTだったのか……。

我われにとっては、もう「楽器」と「オーディオ」が大問題だよね。新製品の見込みがあるレコードプレーヤーはまだしも、ビンテージ系の電気・電子楽器は、こんな法律始まったら、もうどーにもならんがね。

「いつか一財産築いたら、あの頃のアナログシンセを……(あとシモンズも)」みたいに思ってるオヤジの夢を踏みにじること、この上ない。モデリングのソフトシンセ音源でガマンしろって? ヤダヤダ。あの「木枠」の、電源入れるとなんかあったけーシンセじゃなきゃやだー!(その「あったけー電源」が問題なんじゃ?(笑))


JSPA(日本シンセサイザー・プログラマー協会)は、
こんなふうにしてる。
https://www.jspa.gr.jp/pse/policy.html

「法律の撤回」とかいうデカすぎる話でなく、「規制緩和」や「適応除外」を狙ってるところはウマいとこツイてるとは思うんだけど、でも、ちょっとまって……。


>●請願内容:
> 音楽家の制作業務に関係する機器機材の適用記載より
> 『適用除外』を請願する。

 え、音楽「家」?
 ホントの音楽家じゃないとダメ? アマチュアはダメですか?(笑)

 ここは、「音楽の制作・演奏活動に関係する」と言ってほしかったよなぁ。音楽文化の発展は、何も職業音楽家の手だけによって進むわけではないはずだ〜ぜ? ねぇ、教授。

吉祥寺「ディスクオーツカ」が!?

吉祥寺に暮らすレコードファンとしては、全くの不覚としか言い様がありませんが、今日、井の頭公園口付近を酔ったアタマでフラフラと見上げていると、ないっ! ないっ!? 見慣れたあの看板がないっ!!

井の頭公園口すぐ脇の古本屋のビル2階にあった中古盤店「ディスクオーツカ」がなくなってる!!!

うわー、気づかなかった! いつ閉店しちゃったんだろう? いつのまにー、くやしー、キー!!!(閉店セールやったのかな?やったのかな?)

ここで買ったジャズ盤、サントラ盤は数知れず。ちょっと高かったけど、時々出る掘り出し物目当てでずいぶんと通った店でした。

またしても、中古盤屋の灯が一つ、消えてしまいました…… と思ってたら、なんと、店舗は消滅したものの、通販専門店として生きているとのこと。おぉ、完全に灯が消えたわけじゃなかったか! あぁでも、やっぱ「中古盤屋」としての店構えがないと、つまんないよ〜(T_T)

中道通りの「マイティ・レコード」も昨年閉店してしまいましたが、思い出の中古盤屋がどんどん減っていく昨今を憂いつつも、こうしてこんな文を書き込んでいる「ネット」こそが、中古盤屋の「店舗」における商売の最大の障害になっているのも事実なわけで、なんとも複雑…… 中古盤屋を救うにはヤフオク封印するしかない!?

寺尾聰 『Reflections』



スティング、いかりや長介…と、何故か歴代CMでベーシストをクローズアップすることが多かったキリンラガーですが、またなんかスゴいのやってくれるねぇ。寺尾聰に『ルビーの指輪』歌わせちゃってるよ〜。すげー。あ、寺尾聰もそもそもはベーシストなんだけどね。

最近、寺尾聰、なんだか華咲いてますね。映画も評判いいし、音楽活動も再開したし。
で、こんな超燃えのコンサートやるんだよ。でも今頃気づいても、とっくにSold Outだってよ。たはー(T_T)

寺尾聰と言えば、わたしにとってはもう、1981年のアルバム『Reflections』。これです。『ルビーの指輪』とともに3曲同時に「ザ・ベストテン」でランク入りした『Shadow City』『出航 SASURAI』が入ってるアルバムですが、他の曲の出来も尋常じゃありません。考えてみたら、中1のときにレコードレンタル→カセット録音で聞き始めて以来、レコード買い、CDレンタル→DAT録音、CD買い、帯付きの中古レコード買い、iTMSで買ってiPodに……と、メディアを乗り換えつつ、20余年にわたって常に傍にあったアルバムです。このアルバムのアレンジの冴えは、もう日本のポップス史における一つの到達点です。このサウンドを打ち負かすアルバムが、その後現在に至るまで、一体何枚出たのよっ? って感じです。

最近、80年代アーティストの、特にアルバムを聴き直していて、そのアレンジアイディアのスゴさに打ちのめされてます。なんというか、マーチャンダイジングとか抜きに、クオリティの高いものを目指していたココロイキがドーンと伝わってくるというか、「いい音楽がちゃんと売れていた時代」という感じがします。本来、そうでなくてはいけないはずなんだけど……。

いやーしかし、中1っていったら、哀・戦士の年だよ。ガンプラ求めてマジ顔でデパートに並んでたのと同時に、こんなオトナな音楽聴いてたんだなぁと思うと、なんか不思議(笑) そして、私がベースを弾き始めるのは、この翌年ですね。
プロフィール

不破了三

音楽・映像関連ライター/イベント「Soundtrack Pub」共同主催 http://bit.ly/fRueBT /指弾き一筋30年ベーシスト/路上観察者:ばかけんちく探偵団団長///テレビ史/ドラマ/アニメ・特撮/サウンドトラック/ジャズ/楽器/職業作曲家/スタジオミュージシャン/広告/CM …他 
 
◆主な仕事--------------

●機動戦士ガンダム30th ANNIVERSARY CD-BOX『GUNDAM SONGS 145』解説協力
●CD『串田アキラBEST III 〜 Soul ENGINE』選曲、構成
●CD『機動戦士ガンダム』CD-BOX ブックレット製作協力
●CD『みんなのテレビ・ジェネレーション アニメ歌年鑑』解説
●CD『こおろぎ'73 スーパー・ベスト』解説
●CD『町田義人 スーパー・ベスト』解説
●CD『かおりくみこ スーパー・ベスト』解説
●CD『宇宙船サジタリウス 歌と音楽の旅 放映20周年記念盤 A MUSICAL ODYSSEY OF THE SPACE SAGITTARIUS』美野春樹、堀江美都子インタビュー
●CD『串田アキラベスト〜Feel So Nice』選曲、構成、串田アキラインタビュー
●CD『ドカベン 〜 究極のベスト』構成、解説、水島新司インタビュー
●CD『ハネケン・ランド−羽田健太郎・サウンドトラックの世界−』企画、構成、解説
●CD『スペースコブラ コンプリート・サウンドトラック』企画、構成、解説
●書籍『ルパン三世ジャズノート&DVD』大野雄二:著(講談社) 大野雄二ディスコグラフィ & バイオグラフィ作成
●CD『ルパン三世クロニクル』シリーズ 大野雄二インタビュー
●CD『子門真人ヴォーカル・コンピレーション』シリーズ 企画、構成、解説
                  …etc.

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