☆☆☆☆☆(5.0 文句なし)

重力とは何か アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る (幻冬舎新書)
重力とは何か アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る (幻冬舎新書) [新書]
重力とは何か アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る (幻冬舎新書) [Kindle版]


本書のタイトルは「重力とは何か」だが、その実態は宇宙論の本である。重力とは何かを探ることで、宇宙の深淵に迫ることになる。


私も含め、多くの「一般人」は、相対性理論くらいまでなら、イメージとしては理解していると思う。「速く進むと時間が遅く感じるってやつね」とか、もう少し正確に理解している人なら「一定なのは光速だけで、時間や距離は伸び縮みするってことだよね」とか。

また、量子論についても、「シュレディンガーの猫」という言葉を聞いたことがある人は多いだろう。量子論の世界では、確率でしか物体の位置を観測できない、といった話も。

しかし、その先、最新の宇宙論である超弦理論(超ひも理論)についてはどうだろう。私の場合、「名前は知ってるけど、どういう理論なのかは全然知らない」だった。「大統一理論」という言葉は聞いたことがあっても、それが何と何を統一する理論なのかは知らなかった。

「超弦理論」とは、相対論と量子論との間で生じる矛盾を解消する、「大統一理論(の、最有力候補)」なのである。


じゃあ、具体的にどういう理論なの? といわれると、お手上げです、と言わざるをえない。本書にも一応説明はあり、恐らくは噛み砕いて分かりやすく書かれた説明なのだろうけど、私の手には負えなかった。


本書で超弦理論が理解できるかは読者次第だが、相対論〜量子論、そして相対論と量子論の矛盾までは、何とか付いていくことができたし、理解も進んだ。説明もイメージ重視で分かりやすい。

そして何より驚いたのは、宇宙の秘密の奥深くまで人類が進んでいること。

The most incomprehensible thing about the world is that it is comprehensible.
(世界で最も理解不能なことは、それが理解可能なことである)
-- Albert Einstein