「ビアンカ・オーバースタディ」(筒井康隆)を読む。筒井版のラノベ、あるいはメタラノベ、ということで、「涼宮ハルヒ」シリーズのいとうのいぢがイラストを担当するなど、仕掛けがいろいろある。

 物語は、ちょっとアンモラルな実験に精を出す美少女の女子高生のところに未来人があらわれて、タイムトラベルを繰り広げながら世界の実相をしる、というもの。「時をかける少女」とは少し違うラインの、古典的なストーリーのように思った。一定の面白さはあるし、エロいところもあったりして。。不満足ではないのだけど、天地がかえるような驚きがあるというほどでもない。

 そしてラノベのようではあるものの、物語に入り込んでいるのは紛れもなく戦後の日本のSFのイメージで、そこで行われているのは社会への批判や提言であったりして、ラノベの姿は外殻だけ、という感じもする。

 たぶんこれを読んだ人は、作者の画策したとおり、ラノベそのものより、本人の作風のほうに興味をもつことになるんだろうな。

 それはそれで、作者の狙い通りなのかも。ラノベより、おれの本のほうが面白いぞ、と。