戦う事

December 16, 2015

最近のうちの選手の試合の件で思うことがあったので書きたいと思います。
まぁ選手たちも見てるし普段選手たちに直接言ってる事も多いけど文章を読んで考えて欲しいと。

自分が引退して2年、現役時代を振り返る。
試合の時はいつも殺す気だった。
本気だった。
ルールに沿ってれば相手は死んでさえいいと思っていた。
逆に殺されても仕方ないという覚悟もあった。

殺す気でもルールは守っていた。ロープやケージを掴んだことは1回もないし勿論体重はしっかり守る。
殺し合いにおける最低限の約束だった。

試合時入場時間近くになると殺気が上がる。
後楽園とかでお客さんが盛り上がってると血が沸騰するような感覚になる。
試合前の緊張はいつもそんなにしなかった。
本当に試合なのか今日は?ぐらいに緊張感がない日も多かったと思う。
その分仲間やお客さんの応援やリングの空気で自分を奮い立たせて集中していた。

しかし何故緊張しなかったのか?
答えははっきり解る。
格闘技を始める前、山形から19歳で上京して沢山の夢があったはずなのに仕事して生きるだけの生活を5年も続けていた。実家で甘い生活を送ってたツケなのかとても好きな事をやるような余裕はない。
年も23歳になった。
ただ当たり前に働いて周りの人には若いのに偉いねと言われていたが何も嬉しくなかったし精神的にはどん底だった。
田舎の友人たちとも離れ離れで現場のおっさんたちに囲まれ何もない働くだけの日々、休日を待つだけの日々。待っていたはずの休日でさえ朝起きなくていいだけでする事がない。
死んでもいいかなと思っていた時期もあった。

死んでも死にきれないから勇気を出して一歩進んで始めたのが格闘技。
毎日が仕事と練習でかなり辛い生活だったはずなのに嫌だとは一切思わなかった。
練習も妥協しなかったし仕事も変わらず続けていた。
型枠大工一本の時と違って仲間も世代を超えてどんどん増えていった。
肉体は悲鳴をあげていたけど気持ちは反対で毎日が楽しくて仕方がなかった。

格闘技を始めてから1年後にプロになってずっと読み続けていた格闘技雑誌の中に入る事が出来た。
大工の寮生活での地獄の日々を振り返ると試合や相手は何も怖くなかった。
リング上でギラギラしていたのは5年間溜め込んでいた自分の気持ちの開放だった。


生きる実感を初めて得ることができた。

続く

Posted by ryo_chonan at 22:28