気がついたらもう7月なのに、今年上半期に上映された映画をまとめるのを忘れていたので、年間トップ10にも入りそうな5作品をご紹介。


1. はじまりのうた


"音楽に関わる人でこれを観てグッと来ない人は、今すぐ音楽辞めちまえ!"って思うくらい音楽ムービー。あの菊地成孔氏も開始15分で号泣の1本(粋な夜電波参照)。マーク・ラファロ演じる元売れっ子音楽プロデューサーが、再起をかけてキーラ・ナイトレイをプロデュースという骨組みは極めてありきたりな作りなんだけど、結果的に"音楽っていいよね!"って思わせるのは監督の手腕かと。前作"ONCE ダブリンの街角で"も音楽が人を結びつけるっていう似たようなコンセプトで撮って、アカデミー音楽賞受賞してるだけはある。とにかく音楽に関わって生きてるなら四の五の言わずに観る!という映画。DVDは10月に出るらしいので買います。


2.バードマン


もう僕がどーのこーの言うまでもなく、色んな人がこの映画について語ってくれているけど、"全編1カット"っていう手法がこの映画の醍醐味。それは諸説あるけれど、"演劇"がこの映画の中心に置かれている為にこういった手法になったのではないかと。時間的にも空間的にも一つのフレームに収めることでもたらされる"その場にいる感"は、この映画が持つエネルギーの源になっているはず。


3.マッドマックス 怒りのデスロード


上半期最後にぶち込まれたジョージ・ミラーの傑作。マッドマックスシリーズ最新作は、"120分ずっとクライマックス"の名作に。言葉ではなく馬鹿でも判る圧倒的なビジュアルのインパクトは、監督のキャラクターなんかのディテールへのこだわりによるものなのかと。詳しくは、ジョージ・ミラーのインタビュー参照。とにかく"観て"!


4.BIG EYES


最近よくある"事実を元に系ムービー"。と書けば、ごくありきたりな三文映画かと思われるかもしれないけど、この映画は面白さは1本の中に2つの展開が待ち受けているところ。前半は、事実を伝える、いわゆる"フリ"が展開し、後半突如として極めてスピィーディーなコメディへと転換する。こういった2部構成にすることで、後半部をより際立たせより印象的な映画に仕立て上げているのは間違いない。観終わった後の清々しさは、こういった作りになっているからより明確に残るんだと思います!


5.THE COCKPIT


今までありそうでなかった"音楽を作るプロセスお見せします"ドキュメント。音楽を作る人にとっては、「やっぱり人によって全然作り方違うなー」っていう発見というか確認であり、一方そうでない人にとっては、「音楽ってこうやって作ってるんだ?!」っていう工場見学みたいな楽しさがある一本。僕は、音楽を作る人だから前者にあたる訳だけど、僕にとってこの映画が面白いと思ったのは、テクニカルな面で”音楽を作る作業”を見せるのではなく、音楽を作るプロセスで必要な"アイデアの捻り出し方"まで見せたこと。OMSBとbimが、ナイキの靴の箱からリリックのアイデアを捻り出すシーンは映画史、音楽史に残る名シーンになると言っても過言ではない。
つまりここで何が重要かというと、音楽はやはり"頭で考えるもの"だということ。アイデアのない音楽はただただつまらない。頭で考えて捻り出した音楽はその人自身が出るし、それはその人にしか作り出せない音楽になるから面白い。ただ、その捻り出す原動力は決して"ロマン主義的なパッション"ではなく、あくまで"思考"であることが重要。この辺を話出すと終わらなくなるので、それについてはまた気が向いたら。。とにかく、この映画は観るべき1本であることは間違いない。


以上。また今年の年末にベスト10やります。